ソードアート・オンライン〜二人の黒の剣士〜   作:ジャズ

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どうも皆さん、ジャズです。
年末が近づいてきましたね〜。令和最初の年末ですね。
そして今回から、ホロウ・フラグメント編となります。


ホロウ・フラグメント編
二十二話 コンティニュー・ゲーム


七十五層

 

ヒースクリフ……茅場晶彦との戦いは幕を閉じた。

ぼーっとしたジェネシスの背中に、ティアが涙を流しながら抱きついた。

 

「……ティア」

 

ジェネシスはゆっくりと振り向き、彼女の名を静かに呼んだ。

 

「ばか!」

 

ティアは顔を上げ、涙でぐちゃぐちゃになった顔をジェネシスに向けた。

 

「ばかばかばかっ……!!無茶なことして……心配かけて……こんな馬鹿なことする久弥なんかだいきらい!

もう……こんなことしないでよぉ……!」

 

ジェネシスは一瞬戸惑った表情を浮かべたが、左手を上げてゆっくりティアの頭を撫でる。

 

「済まなかったな……けど、俺ぁ生きてるぜ」

 

そして右手でティアを優しく抱き寄せると、ティアは彼の胸に顔を埋め、声を上げて泣きじゃくった。

 

「ジェネシス……!」

 

彼を呼ぶ声がした方を見ると、そこには涙目で彼を見ることアスナと、同じく泣きそうになりながらも必死で堪えている様子のキリトが並んで立っていた。

 

「お前ら……」

 

「この……馬鹿やろう!」

 

キリトはそう叫ぶと、ジェネシスの頭を殴りつけた。

 

「痛ぇ!何しやがる?!

 

「こっちのセリフだ!あんなやり方で俺を止めやがって……」

 

「……ああ、悪かったよ」

 

ジェネシスは苦笑しつつそう言った。

 

「おい、ジェネ公!!」

 

すると今度はクラインがジェネシスの背中を叩いた。

 

「って……な、何だ?」

 

「“何だ?”じゃねえよ!やったじゃねえかラスボスを!おめえが倒したんだよ!!」

 

クラインは満面の笑みでそう叫んだ。

よく見ると、茅場がかけた硬直から解放されたプレイヤー達が皆歓声を上げている。

 

「……そっか。俺がやったんだな」

 

「ジェネシス……本当に良かった……」

 

漸く泣き止んだらしいティアが優しい笑みでジェネシスを見つめた。

 

「ああ。やったぜ、ティア」

 

「うん……!」

そうして二人はゆっくりと唇を───────

 

「あー、俺たちがいるの忘れないでくれるか?」

 

「見ているこっちが恥ずかしいわよ」

 

あわやキスしそうな所で、キリトとアスナが呆れた顔で言った。

 

「全く、隙あらばすぐいちゃつきやがって……」

 

「それお前が言う?」

 

両手を腰に当ててため息をつくキリトに対し、ジェネシスはジト目で突っ込んだ。

 

「ちくしょう!羨ましいぞてめぇら!俺だって現実に帰ったら、綺麗な嫁さん見つけてやんだからなぁ!!」

 

「おっ、クライン氏。それはフラグですかい?」

 

「違ぇよバカヤロウ!!」

 

ジェネシスとクラインのやり取りで、場は和気藹々とした雰囲気に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、キリの字にジェネ公よ」

 

不意にクラインが訝しんだ顔でキリトとジェネシスに尋ねる。

 

「俺たち、いつになったら出られるんだ?現実によ」

 

「いつって、そりゃ…………」

 

直ぐに出られる、と言いかけたジェネシスだったがそこでハッとする。

茅場との戦闘が終わってから既に数分は経っている。

しかし未だに、ゲームクリアを告げるシステムアナウンスやメッセージなどは全くない。

 

「ヒースクリフは倒したんだよな?それで終わりじゃねえのか?」

 

「あいつは……茅場晶彦は、『自分を倒せばゲームはクリアされて、全プレイヤーがログアウトできる』って、間違いなく宣言してた」

 

訝しんだ表情のクラインに対し、キリトはヒースクリフ……茅場が告げたことを思い出しながら返した。

 

「だったら…何で出られねぇんだよ?ひょっとして、この世界から出る方法なんてねえんじゃないのか?」

 

「流石にそりゃねえと思うぜ?それなら最初からボスを無茶苦茶強く設定するなりしとけば良い話なんだし」

 

「ああ、俺もそう思う。けど……それなら何で終わらないんだ……?」

 

彼らが考え込んでいると、エギルが彼らに駆け寄ってきた。

 

「オイお前ら!七十六層に続く扉が開いてるぜ!」

 

彼らが階段の方を見ると、そこの上に設置された扉が解放され、外の光が差し込んでいた。

 

「……ここに居ても、何も解決はしねえ。なら、進むしか他に無いだろうな」

 

「ああ、行こう…七十六層へ」

 

ジェネシス、キリトの言葉に皆は頷き、やや重い足取りで階段を上っていく。

 

 

 

 

 

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〜七十六層〜

 

階段を上がり扉を潜ると、そこには大きな草原が広がっていた。草原の中を一本の道が走り、その道の先に大きな門が見える。おそらくあれが七十六層の主街区の門だろう。

 

「ここが、七十六層か……七十五層の階段を上ったら現実に戻れるかもとか、ちょっと期待してたんだがな……」

 

「奇遇だなクライン。俺もだ」

 

階段を上り終え、七十六層の景色を見たクラインはがっくりと肩を落とす。

 

「どうやら、ログアウトボタンも追加されてないようだな。やはり、帰る手段は無いか…………

ん?」

 

ここで、メニュー欄を確認していたティアが首を傾げた。

 

「どうした、ティア?」

 

「いや、アイテムが文字化けしているんだ……」

 

ジェネシスがティアの様子に疑問符を浮かべると、ティアはメニュー欄を見つめたまま答えた。

ティアの言葉を聞き、皆はその場でアイテム欄を確認する。

 

「本当だ……俺のアイテムも文字化けしてる……」

 

アイテム欄を確認したキリトが呟いた。

どうやら、ここにいる皆のアイテムも全て文字化けしてしまっているらしい。

だが異変はそれだけでは無かった。

 

「オイオイ…………スキルもいくつかロストしちまってるよ」

 

「何?」

 

ジェネシスがメニュー欄を見ながら言うと、皆は目を見開いた。

 

「ぬああああ!オレ様が必死こいて積み上げたスキルがああああ!!」

 

クラインがスキル欄を確認した後、頭を抱えて叫んだ。

どうやらレベルの方は無事なようだが、皆自分が保有していたスキルがいくつか消えてしまっているようだ。

しかし更なる異変が起きた。

 

「おい!こっちでも問題発生だ!!」

 

するとエギルが血相を変えて走ってきた。

 

「転移結晶の動きが普通じゃなくなってるらしい!」

 

「……エギル。そこんとこkwsk」

 

ジェネシスが真剣な表情で尋ねた。

 

「ああ……何でも、ここより下の層に転移出来なくなってるらしい」

 

エギルの言葉で皆は愕然とした。

アイテム文字化け、スキルのロスト、そして下層への転移が不可……どれも自分達にとってはかなり致命的な不具合だ。

 

「これからどうなっちゃうの……?」

 

アスナが不安げに呟くのを皮切りに、この層に上がってきたプレイヤー達の間ではざわめきが起き始めた。

ジェネシスは少し黙って彼らを静観していたが、やがてゆっくり息を吸い、

 

ちゅうもおおおおぉぉぉぉーーーーく!!!!

 

ジェネシスが勢いよく叫ぶと、それまで不安にかられざわめいていたプレイヤー達は皆ジェネシスの方に視線を集めた。

 

「ここで、キリト攻略組団長からお話がありまーす」

 

ジェネシスは皆の視線が集まったのを確認すると、そう言ってキリトを前に押し出した。

 

「はあ?!ちょ、ジェネシスお前……何言い出すんだよ?!」

 

突然の事でキリトは戸惑った様子だった。

だがもう既に皆の視線がキリトに集められており、キリトはジェネシスの方をジト目で並んだ後、咳払いして口を開いた。

 

「みんな、聞いてくれ。

ここで止まっていても、どうやら無駄みたいだ。ゲームシステムが不安定だし、下層にも戻れない……けど、これ以上の不具合が出る前に、先に進むべきだと俺は思う!」

 

キリトの強い意志を持った言葉に、皆は少し黙り込んでいたが……

 

「……そうだよね。私達の目的は、SAOをクリアして生きて現実世界に帰る事だもの」

 

「ああ。元々私達はそのつもりで進んでいたのだからな。必ず行けるさ」

 

アスナ、ティアが口々にそう言うと

 

「そうだよな……ああ、まだやれる!」

「第一層からここまで来たんだ……絶対行けるぜ!」

 

攻略組の面々も、徐々に闘志を燃やし始めた。

 

「てめえぇらあぁぁ!!俺たち攻略組の目標は、百層をクリアする事だあぁ!!」

 

「「「おおおぉーーーっ!!!」」」

 

「ノーコンティニューでクリアすんぞこらああぁぁーーー!!」

 

「「「おおおおおおぉぉぉーーーーっっ!!!」」」

 

最後のジェネシスの鼓舞によって再びモチベーションを完全に取り戻した攻略組は、百層クリアの決意を新たに、七十六層の道を進み始めた。

 

とは言え、七十六層で起きたことは悪いことばかりでは無く、ジェネシス達にとっての思いがけない再会と、新たな出会いが待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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七十六層《アークソフィア》転移門広場

 

ここで、ジェネシスがメニューからアイテム欄を見ていた。文字化けしたものの中で、使えそうなものが残っていないか確認しているのだ。

するとジェネシスは、アイテムの中に奇妙なものを見つけた。

 

「ん……?何だこれ、文字化けしたアイテムが光ってやがる」

 

アイテム名は既に全く読めない状態だが、何故かそのアイテム名だけが明るく光っていたのだ。

 

「オブジェクト化してみるか」

 

「え?大丈夫なの?」

 

「オブジェクト化するだけだ、そんな大層な問題は起きねえだろ」

 

文字化けしたアイテムをオブジェクト化するのは、ゲームでは基本的には避けた方がいい行為だ。何らかの不具合が起きる可能性もある。

だがジェネシスは、迷わずそのアイテムをタップし、オブジェクト化する。

すると目の前に眩い光が現れ、それは徐々に人の形を取っていく。

 

やがて光が晴れていき、中からたなびく銀の長髪、白いワンピースを身につけた小さな少女が現れた。

 

「ふぅ〜〜っ……やっと出てこられました!」

 

少女は碧い双眸でジェネシス達を見ながら開口一番にそう言った。

ジェネシスとティアは彼女を見て目を見開いた。

当然だ。今彼らの目の前に現れた少女は……

 

「れ、レイ?!」

 

「レイ…本当に、レイなのか?!」

 

《レイ》。ジェネシスとティアが二十二層の森の中で出会い、自分たちの子供のように接した少女。

その正体は、この世界に存在するAI《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》、通称《MHCP》の試作0号。

 

「パパ、ママ!お久しぶりです!!」

 

レイは満面の笑みでそう言った。

 

「お、おう……ってか、何でお前出てこれたんだ?」

 

「えっと……どうやら、この世界の根幹である『カーディナルシステム』が不安定な状態にあるみたいです。それによって、エラーの訂正機能が低下され、私が実体化出来たのかと……」

 

ジェネシスの問いにレイは顎に手を当てて答えた。

 

「カーディナルが……そっか、ここに来て様々な不具合が起きているのはそのせいか……」

 

レイの説明にティアが納得したように頷く。

 

「そう言うことかよ……まあ、不具合のせいで色々大変な目に遭ったが、こればっかりはありがてぇわな」

 

「そうだね。愛娘とここで再会できたんだし。改めてこれからもよろしくね、レイ」

 

「はい!もちろんです!パパ、ママ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後、ジェネシス達はエギルが新たに借りた宿にてレイを預けた。

その際、どうやら同じくカーディナルのエラー訂正機能の低下によって実体化出来たらしいユイと再会。

更に、キリトとアスナの仲間であると言う『リズベット』という少女と出会う。

 

「え?『レズペット』?」

 

その瞬間、宿の大広間に大きな破砕音が木霊した。

 

「あ、あんた!!誰が『レズペット』よ!!そんな失礼な聞き間違いしないでよね!!」

 

「うーん、ジェネシス、今のは私でもフォローは出来ないかな〜?」

 

リズベットが顔を真っ赤にしながらジェネシスを睨み付け、アスナも目が笑ってない笑顔を浮かべながら細剣の切っ先をジェネシスに向けている。

キリトはその光景に苦笑し、ティアは何も言わずただ呆れた顔でため息をついている。

 

「お、落ち着けよ!悪かったって!」

 

ジェネシスが殴られた左頬を抑えながら必死に制し、その後何とか謝り続けてリズベットの機嫌を取り戻すことが出来た。

 

「成る程、キリトの翡翠の剣を作ったのはリズベットだったのか」

 

「『リズ』でいいわよ、長ったらしいでしょ?

ま、自分で言うのもなんだけど、あたし結構腕が立つのよ。まあ、お店にはもう戻れないんだけどね……」

 

ティアの言葉にリズベットは得意げな顔で言った後、少し悲しげな表情で目を伏せた。

七十六層で起きた不具合のせいで、一度ここまで上がるともうしたの層に戻れなくなっているのだ。

その為、リズベットは下層にある彼女の店に戻ることが出来なくなってしまっていたのだ。

 

「んま、別に店はここでも出来るしいいじゃねーか」

 

「ええ、そのつもり。《リズベット武具店》2号店が出来たら、その時はあんた達の剣もメンテナンスしてあげるからね」

 

「おう、よろしく頼むわ」

 

その後、ジェネシス達は街を一周し再び転移門前まで来ていた。

すると、転移門が青白く光り、中から1人の人間が現れた。

藍色の髪に水色の装備、左目の涙ボクロ。

 

「ああ、良かった2人とも!無事だったんだね!」

 

「お、おめぇは………サチじゃねえか!」

 

『サチ』……彼女はギルド《月夜の黒猫団》の1人で、ジェネシス達が交流を深めた少女。

 

「な…どうしてお前がここに居るんだ?」

 

「七十五層で大変な事が起きたって聞いたの……それで私、ジェネシス達に何かあったんじゃないかと思って、居ても立っても居られなくなって……」

 

「あー、心配してくれんのはありがてーんだが……お前、もう下の層には戻れねーぞ」

 

「……え?」

 

ジェネシスの言葉にサチは目を丸くした。

 

「信じられないかもしれないが、本当なんだサチ」

 

「嘘……」

 

「マージッカマージっでマージッだショーウターイムだよ」

 

「ごめん意味がわからない……」

 

ジェネシスの言動に困惑するサチだが、どうやら下の層に戻れなくなっていることは認めたようだ。

 

「どーすんだ?とりあえずお前はここにいるしかない訳だが……」

 

「ねえ、わたしにも出来ることって無いかな?」

するとサチが顔を上げて尋ねた。

 

「と言うと?」

 

「レベルとかは少し足りないけど……でも、最前線に来たのなら守られるだけじゃなくて、ジェネシスやみんなの力になりたいの!」

 

サチは決意を持った表情で言った。

 

「そっか……なら、よろしく頼むぜ」

 

「うん!」

 

そしてサチをエギルの宿屋へ送り届けた後、ジェネシス達はフィールドに出た。

 

「きゅるるっ!」

 

すると、遠くから青いフェザーリドラがジェネシスに向かって飛んできた。

ジェネシスは敵エネミーかと考え剣を引き抜こうとしたが、その前にフェザーリドラががジェネシスの顔に張り付いた。

 

「うおおぉぉい!!何だこいつ?!」

 

「きゅるっ、きゅるるるっ!」

 

ジェネシスが何とかリドラを引き剥がそうとするが、中々離れない。

いや、そのフェザーリドラはジェネシスに懐いているようにも見える。

 

「ん……?このフェザーリドラって……」

 

そこでティアが何かを思い出したようにフェザーリドラを見る。

 

「もしかして……ピナか?」

 

直後、フェザーリドラが飛んできた方向から1人の少女がやって来た。

 

「ピナーーっ!勝手に先行っちゃ……って、ティアさんにジェネシスさん!」

 

「お前は……シリカ!」

 

現れたのはツインテールの少女、『シリカ』だ。

彼女はかつて、相棒の子竜であるピナが死んで途方に暮れていた時にジェネシス達が手を貸した少女だ。

 

「お、シリカじゃねえか!久しぶりだなぁ」

 

そこで漸くピナが離れ、シリカに気づいたジェネシスが話しかけた。

 

「はい!お久しぶりです!!」

 

しかし、シリカがいるのは現在も中層ゾーンの筈。

一体どうしてこんな最前線に来ているのか事情を聞くと、どうやらサチと同じく最前線で起きた異変を聞き、ジェネシス達が心配で来たとの事。

 

「あ、あたし、皆さんのお手伝いします!ご迷惑をおかけしちゃうかもですが……精一杯頑張ります!」

 

シリカは確固たる意志を持った瞳でそう言った。

 

「おうよ。どうせもう下には戻れねぇしな。とりあえずしばらくはレベリングを頑張って、そっからは頼らせた貰うぜ」

 

「よろしくな、シリカ」

 

「はい!」

 

そして3人は、とりあえずレベルが足りないシリカを安全圏の街へ連れていくために一度来た道を戻る。

しかしそこで運悪くモンスターに遭遇し、囲まれてしまう。

 

「うおおらぁ!!」

 

ジェネシスは持ち前の両手剣のパワー、リーチを生かして善戦し、ティアも刀の速さでモンスターを圧倒していた。

しかしどうやらこのモンスターは死ぬ際に近くのモンスターを呼び寄せてしまう性質があるらしく、彼らが倒せば倒すほど敵の数は増えていく。

形勢がやや不利な状況に傾き始めた時だった。

 

突如空中から無数の流星群が降り注ぐ。

それらは広範囲にわたって落下し、ジェネシスとティア、シリカを囲んでいたモンスター達を次々と蹴散らしていく。

シリカは一体なにが起きたのか訳がわからない様子だったが、ジェネシスとティアは今の光景には見覚えがあった。

 

「大丈夫ですか?」

 

その直後、彼らの背後から優しげな少年の声が響く。

そこにはやはり、見覚えのある顔ぶれが。

紺色の装備に双頭刃を肩に担ぐ少年と、白いコートを身につけてこの世界には珍しい弓を持つ少女。

 

「サツキにハヅキじゃねえか」

 

「お久しぶりです、ジェネシスさん、ティアさん」

 

ハヅキが笑顔で手を振った。

 

「苦戦しているみたいですね。手を貸しましょうか?」

 

「そっか、そりゃ助かるわ。来てもらって早々に悪いな」

 

「いえいえ、気にしないでください。だって困った時は助け合い、でしょ?」

 

その後彼らは危なげなくモンスターの群れを退け、七十六層の街《アークソフィア》へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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その頃、七十六層のとあるフィールドに、1人の人物が彷徨っていた。

黄色の長髪に緑色の装備を身につけ、耳は尖っており背中からは小さな翅が生えており、その姿はまるで妖精のようだった。

 

「待っててね………お兄ちゃん………」

 

その妖精は1人呟いた後、行くあてもなく歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

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同じ頃、別のフィールドにて。

 

「ここが《ソードアート・オンライン》か………」

 

こちらはどうやら男性プレイヤーだ。

グレーの民族服のような格好に茶色いマントを羽織り、左手には円形シールドを持っている。

 

「しかし、ゲーム内の日差しは強くていけねぇ……」

 

男は被っていたフードを外す。

すると、フードの下には日光を反射し光り輝く頭が。

 

「……ハゲ上がりそうだ」

 

男は苦笑しながら光沢のある頭部を撫でた。

 

「っと、いけねえいけねえ。それよりも、早く見つけてやらねえとな。

待ってろ、もう安心だからな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……雫」

 

 




お読みいただきありがとうございます。
最後の2人。1人は皆さんはお分かりかもしれませんが、もう1人のハゲた男……これは本作オリジナルキャラクターです。
一体何者なのか。それは次回判明します。

評価、感想などお待ちしています。
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