ソードアート・オンライン〜二人の黒の剣士〜   作:ジャズ

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どうも皆さん、ジャズです。
こう言う二次創作を書いてると、自分の小説の主人公と原作主人公が出会う瞬間って結構テンション上がりますよね。
特にこの二人は、どちらも《黒の剣士》と呼ばれるものたちですから。


三話 邂逅

ついにやってきた剣の世界。

久弥ーー否、《ジェネシス》は早速武器屋へと足を運んだ。ゲームをするには、まず装備を整えるのが基本だ。

 

「…さて、俺は何使うかね〜」

 

目の前に並ぶのは、大小様々な形の剣。

小さいものならナイフ、大きいもので大体1メートルくらいの大きさの大剣まで並べられている。

迷った末、ジェネシスは大剣を使うことにした。

 

「おっと、とりあえず雫と合流しねぇとな」

 

ここで、先程雫と集合する約束があったのを思い出し、ジェネシスは急いで集合場所の《黒鉄宮》へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

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黒鉄宮の前に辿り着き、辺りを見渡すとどうも見覚えのある人影が見えた。

向こう側に見える女性プレイヤーは、髪は黒髪だがジェネシスと同じくらいの長身でスラリとした体系、そして何より、立っている時に左手で右腕を掴んでいる体制をとっているのが目印だった。

現実世界の雫とほぼ同じ容姿だったので、迷う事なくジェネシスは彼女に声を掛けた。

 

「……おう、雫。待たせたな」

 

雫はジェネシスの方を見ると、一瞬戸惑ったがすぐに久弥だと分かり、笑顔で答える。

 

「もう、久弥!ずいぶん待ったわよ!!

後、この世界じゃ私は《ティア》だからね!」

 

「わーったわーった。そんならテメェも久弥はやめろよ?こっちじゃ俺は《ジェネシス》だからな」

 

「……プッ、《ジェネシス》って……厨二くさい名前w」

 

「お?テメェの方から喧嘩を売ってくるたぁ珍しいじゃねえか。いいぜ、五百円で買ってやるよ」

 

「冗談よ……それより、色々レクチャーしてよ。私、この世界のこと全くわからないから」

 

「おう、任せろ……と言いてえとこだが、生憎俺もイマイチここの事はよく知らなくてな……」

 

ジェネシスは申し訳なさそうに後ろ頭を書きながら言う。

 

「なぁ〜んだ。なら、誰か知ってそうな人に教えてもらおう?」

 

「んま、おそらくこの中にはβテスターもいるだろうしな。運良くそいつに会えたら、頼んでみるか」

 

そうして二人は歩き出した。

因みにその後、武器屋にてティアの装備を見繕ったのだが、ティアが目当てにしている刀が無かったため、仕方なく曲刀を購入したのだが、いかんせん不満そうにしていたのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

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様々なプレイヤーに声を掛けた二人だったが、中々目当てのβテスターに巡り会えず、仕方なく自分達で何とかやっていこうと決め、二人はフィールドに出た。

 

草原には無数の猪ーー《フレンジー・ボア》が生息していた。

 

すると、猪の群れの向こう側で、二人の男性プレイヤーがモンスター狩りをしているのが見えた。

いや、よく見ると一人はモンスターを攻撃し、もう一人はそれを見て何か指導をしているように見えた。

 

恐らく、βテスターでないにしろ何かしらこの世界の知識を持っているはずだ。

ジェネシスはそう考え、意を決してその男性に話しかけた。

 

「おーい、そこのおめぇさんよ」

 

「?俺のことか?」

 

呼ばれた男性はジェネシスの方を振り向いた。

 

「見たとこ、結構慣れてんな……お前、βテスターだろ?」

 

「あ、ああそうだが……」

 

「なら、ついでだ。俺とそこの連れにもレクチャー頼まれてくんねぇか?俺達右も左もわからねぇニュービーでよ」

 

ジェネシスは親指で後ろのティアを指差しながら言った。

青年は少し困ったような顔で思案するが、赤髪の無精髭が生えた男性プレイヤーが青年の肩を叩き

 

「まあまあいいじゃねえか。ここまできたら、一人も三人も変わんなぇだろ?それに、みんなで楽しむのがゲームってもんだぜ?」

 

「クライン……分かった。お前らのレクチャー、引き受けるよ」

 

「そうか、助かるわ。俺は《ジェネシス》ってんだ。以後よろしくな」

 

「私は《ティア》です。よろしく」

 

「俺は《キリト》だ。こちらこそよろしくな」

 

三人はそれぞれ握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

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「どぉわ!!」

 

悲鳴をあげ吹き飛ばされたのはクライン。

猪に突撃された股座を抑え悶絶している。

そんな彼にキリトは苦笑いで言う。

 

「おいおい……仮想世界じゃ痛みは感じないだろ?」

 

「あ……そうか。悪りぃついな」

 

「けど気持ちはわかる。正直めちゃくちゃわかる」

 

ジェネシスは大きくうなずきながら、クラインに同情していた。

 

「けど、難しいのは事実ですね……現実みたいに上手いこと当てられない」

 

ティアが曲刀と猪を交互に見ながら呟く。

 

「さっきから言ってるだろ?大事なのは、初動のモーションなんだよ」

 

そう言ってキリトは、地面の小石を摘み上げると、それを猪に向かって投げた。

小石は赤い光を浴びて、流星の如く命中する。

投擲スキル『シングルシュート』だ。

石を当てられた猪はターゲットをキリトに定めると、すかさず突進する。

キリトは背中から片手剣を引き抜くと猪を受け流し、突進を受け止める。

 

「とまあ、必要なのは“溜め”だよ。少し溜めを作る感じで、スキルが発動するのを感じたら、後はシステムが自動で当ててくれる」

 

「なるほど……溜めか」

 

ジェネシスはそう呟きながら、背中から両手剣を引き抜き、左手を添えて水平に構える。

すると、刃がオレンジ色の光を帯び、ジェネシスの身体は自然と飛び出した。

 

「てやあぁっ!!」

 

そしてそのまま猪を両断する。

両手剣基本スキル『ブラスト』だ。

猪は衝撃で数メートル吹き飛び、断末を上げて四散した。

 

「おぉ……飲み込みが早いな、ジェネシス」

 

キリトが感心したように呟く。

 

「んま、こういうのは結構得意なんでな」

 

ジェネシスは得意げにそう答える。

 

「じゃあ次は、私が行こうか」

 

そう言って今度はティアが前に出て、曲刀を構えた。

 

「……ふっ!」

 

ティアの曲刀がオレンジの光を帯び、ティアはその場から飛び出し、目の前の猪に斬りかかった。

ティアの攻撃は少し逸れてしまったが、それでもボアのHPを削ることに成功する。

 

「なるほど……だいたいわかった」

 

ティアは曲刀の刀身を左手で下から上に擦ると、再び構えてソードスキルを発動し、飛び出す。

曲刀基本スキル『リーバー』だ。

二度もティアの攻撃を受けた猪はガラス片となって消滅した。

 

「おいおいオメェら……すげぇじゃねえか!」

 

「ああ、ティアもこんな短時間でスキルをモノに出来るなんて、中々才能があるよ」

 

クラインとキリトはティアの物覚えの速さを絶賛した。

 

「よぉ〜し、俺も負けてらんねぇな!」

 

クラインも不敵な笑みを浮かべると、曲刀を右肩に担ぐような体制をとる。

すると、漸くクラインの曲刀に赤い光が宿り、ソードスキル『リーバー』が発動した。

クラインはソードスキルのシステムの動きに乗りながら、猪を両断する。

 

「うおっしゃあああ!!!」

 

右手の曲刀を高く掲げ、大喜びするクライン。

 

「初勝利おめでとう、みんな。でも、今のはスライムみたいなもんだけどな」

 

キリトは言いながら背中に片手剣を収めた」

 

「マジかよ?!俺ぁてっきり中ボスくらいかと……」

 

「これが中ボスなら苦労するかよ」

 

ジェネシスは呆れた顔でクラインに言った。

 

 

 

 

 

 

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その後、四人はモンスター狩りを続け、四人は草むらで夕日を眺めながら休息を取っていた。

 

「しっかし、未だ信じられねぇよな〜。ここが仮想世界なんてよ」

 

クラインが座っている地面の感触を確かめながら感慨深く呟く。

 

「……そうね。今立ってる大地の感覚も、感じる風も、何もかもが現実と遜色ない…」

 

ティアも頷きながら返す。

 

「ほんと、このゲームを作ったやつは天才だぜ。俺この時代に生まれてよかったよ」

 

「大袈裟だな」

 

クラインの言葉にキリトは笑って返す。

 

「まあでも、実際そう感じるのも無理ねぇんじゃねぇの?俺らはフルダイブゲームがこれが初だからな」

 

「ナーブギア用のゲームをやるのはこれが初めてなのか?」

 

ジェネシスの言葉にキリトが尋ねる。

 

「ああ。つーか、それまでフルダイブゲームがあること自体知らなかったからな〜。 SAOを買ったついでに、ナーブギアとかハードを揃えた感じだ」

 

ジェネシスは頷きながら返す。

 

「にしても、初回ロット一万本のうちの一つが手に入るなんざ、俺たちはラッキーだよなぁ。

んま、βテスターに選ばれたお前さんの方が10倍ラッキーだがな」

 

クラインはキリトを見ながら言う。

キリトは何も言わずに後頭部をさすった。

 

「βテストでは、どこまで行けたの?」

 

ティアがキリトに尋ねる。

 

「二ヶ月で8層までだな。けど、今度は一ヶ月もあれば十分だ」

 

キリトは不敵な笑みを浮かべながら返す。

クラインはそれを見て苦笑いで

 

「おめぇ、相当ハマってんな?」

 

と苦笑いで聞き返す。

キリトは背中から剣を引き抜き、高く掲げて答えた。

 

「まあな……正直、βの時は寝ても覚めても SAOの事しか考えてなかったよ。この世界はこの剣一本あればどこまでも行けるんだ。仮想世界なのにさ…現実世界より、生きてるって感じがするんだ」

 

「テメェも中々大袈裟じゃねえか」

 

キリトの言葉に苦笑いでジェネシスが返す。

キリトの剣は夕日でオレンジに輝いており、キリトはそれに対してフッと軽く笑って剣を収める。

 

「さて、俺はこの後も狩りを続けるけど、お前らもやるか?」

 

キリトは三人の方を振りまき尋ねる。

 

「あったりめぇよ!…と言いてえが、腹減ってな。5時半にピザが届く予定なんだ」

 

「私も、一旦落ちようかな。学校の宿題をしないと」

 

「俺はしばらく残るわ。せっかくだ、心ゆくまで楽しんで、また明日来る」

 

三人は各々予定を告げた。

「そうか。なら、ここで一旦お別れだな」

 

「そうなるなぁ……あ、そうだキリト氏。この際だからよ、フレンド登録しねぇか?」

 

ジェネシスが手をポンと叩いてキリトに言う。

 

「名案だな。そうすれば、今後もまた遊べるし」

 

「おっ!そりゃいいな!この後一緒にゲーム買った奴らと落ち合う約束してんだ。そいつらともフレンド登録しねえか?」

 

ティアとクラインもそれに賛同する。

が、当のキリトは少し気まずそうな顔だ。

それを見てジェネシスが何かを察し、

 

「……さてはコミュ障だなオメー」

 

「なっ…ち、違ぇし!コミュ障じゃねぇよ!!」

 

慌てて返すキリトに、ジェネシスは悪戯な笑みを浮かべながら続ける。

 

「あー、いいんだ無理しなくても。コミュ障のお前にはフレンド登録なんざ出来ねぇわな」

 

「だからコミュ障じゃねえって!!

…いいよ!フレンド登録するよ!すりゃいいんだろう?!なぁ?!!」

 

ジェネシスの煽りにキリトはやけっぱちになって叫んだ。

メニュー欄を叩くように押して行き、ジェネシスとフレンド登録が完了する。

 

「おっ、やればできんじゃねえかキリト氏。今後ともよろしくな」

 

ジェネシスが満足そうに笑みを浮かべながらキリトの肩をポンと叩く。

 

「お前とはよろしくしたくないけどな!!」

 

「なんでだよ!失礼な!!」

 

「人の事頑なにコミュ障呼ばわりする奴に言われたかねぇ!!」

 

叫び合う二人の肩にティアがポンと手を置き

 

「まあまあ二人共、その辺にして。

では、私ともしてくれる?キリト」

 

「…ああ、この際もう何人でも一緒だ。フレンド登録しようぜ」

 

その後、キリトはクラインともフレンド登録を済ませた。

 

「…容赦がねぇなオメェ」

 

「いいじゃねえか。これで、晴れてキリトともダチって訳だ」

 

ジト目で言うクラインに対しジェネシスは不敵な笑みで返す。

 

「……うし、それじゃ俺はそろそろ落ちるわ」

 

「私も。また会おう、キリト」

 

「ああ。またな」

 

「お疲れさん」

 

四人は別れの挨拶を交わし、ジェネシスとキリトは並んで草原を歩き出した。

 

すると、背後でティアの声が響いた。

 

 

「あれ?……ログアウトボタンが無い」

 

 




お読みいただきありがとうございます。
さて、ついに出会った二人の黒の剣士。
まあ、ホロリアのようなギスギスした関係には間違いなくならないでしょう。この二人は寧ろ、いい相棒になってくれる気がします。

評価、感想などお待ちしてます。

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