お待たせしました、コラボ回中編です。
ジェネシス達と颯樹達は、ホロウエリアの森林を歩いていた。
「(そう言えばここって仮想世界なんだよな……どんなものなのかな〜ってずっと思ってたけど、本当に現実と遜色が無い。VRだって言われないと気付かないんじゃ無いか?)」
颯樹は初めてやって来たVRMMOの世界にある種の感動を憶えながら辺りを見回していた。
そしてどうやらそれは彼の仲間の少女達も同じ様で、皆物珍しそうな表情でキョロキョロと視線を動かしていた。
「……なあ、そんなに珍しいもんでもあるか?」
すると落ち着かない颯樹の様子を見たジェネシスが声をかけた。
「あ、ああ……何せ初めて来る場所だからな(色んな意味で)」
「まあ確かに、ここは他とは色々違うもんな(SAO内という意味で)」
そんな簡単なやりとりをした後、彼らは前を見て歩き出す。
すると目の前に数体のモンスターがポップした。
「おっと、早速戦闘開始だな」
キリトが背中から黒と翡翠の剣を抜き放ち、それに合わせてジェネシスが赤黒い大剣を、ティアが腰から銀の刀を、アスナが細く白く輝く細剣を、フィリアが鋭く銀色の光を放つソードブレイカーを、ツクヨが鈍色の光を反射する手裏剣と苦無を手の指の間に挟む形で構える。
「颯樹、ユミナ達も行けるか?」
キリトが彼らの方を振り返って尋ねる。
「ああ、勿論大丈夫」
そして颯樹は背中から二本の剣を引き抜こうとするが、
「(待てよ、ここでこの剣を抜くのは不味いかな……キリトに混乱させてしまうかもしれないし。
それに……SAOの世界で、この二つの剣はキリト以外が使うべきじゃ無いよな)」
そこで思いとどまり、颯樹は左腰から普段愛用しているガンブレード《ブリュンヒルド》を引き抜く。
しかしそれはどうやら剣の世界に合わせたのかやや形状が変わっていた。具体的なシルエットは変わらないが、刃の長さが長剣サイズまで伸びていたのだ。
「そう言えば当然この世界で銃は使えないよな……」
颯樹が少し形の変わったブリュンヒルドを見て小声で呟く。
するとその時だった。
「【風よ切り裂け、千の風刃、サイクロンエッジ】」
「【水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム】」
ユミナとリンゼが右手を伸ばし、魔法攻撃の詠唱を始めたのだ。
「(し か し な に も 起 こ ら な か っ た !
……なんて言ってる場合かーーーっ!!
しまったああぁぁーーーー!!!SAOじゃ魔法が使えないんだったあぁーー!!)」
ユミナとリンゼの行動に颯樹は思わず頭を抱え、ジェネシス達はキョトンとした表情で彼女らを見つめていた。
「いや、何をしているんだお前たちは……?」
ティアが怪訝な表情で尋ねる。
「あーーっ……と、今のはその……」
今のユミナ達の行動の真意をどう彼らに説明したものか悩む颯樹だったが、
「これは失礼しました。今のは忘れて下さい」
全てを察したユミナがペコリと頭を下げる。
ティア達は目を丸くしたままだったが、やがて「わかった」と頷くと前を向きモンスターへ斬り込んでいった。
颯樹は早足でユミナの元に駆け寄る。
「ゆ、ユミナ……もしかして気づいたの?」
「ええ。最初に来た時薄々感じてはいましたが、先程確信致しました。お見苦しい姿をお見せしてしまいましたね」
ユミナは頷き、少し申し訳なさそうな顔で頭を下げる。
「……いや、いいんだよユミナ。それに、さっきの切り返しも凄かったね」
「勿論です。伊達に貴方のメインヒロインを張っている訳ではありませんよ?」
ユミナは先程と打って変わって不敵な笑みでそう言った。
「おーい!そっちに二体いったぞ!」
その時、ジェネシスの叫び声が響き、見ると二体のゴリラ型モンスターがゆっくりと距離を詰めて来ている。
「でも困ったね。魔法は無し、遠距離武器も使えないんじゃ、キミにとってはかなりのハンデじゃ無い颯樹くん?」
不安そうな顔で、それでいて何処か揶揄うような口調で言うアヤナに対し、
「そうだね、このハンデは確かに大きい……でも」
すると颯樹のブリュンヒルドの刃が青い光を浴び始め、そして四連撃の剣技を放つ。青い斬撃の軌跡が正方形の形で浮かび上がり、その攻撃で二体のゴリラは爆散した。
「……そんな物、僕にとっては些細な事さ!」
颯樹は不敵な笑みを浮かべながら叫び、ジェネシス達の元へと駆け出していく。
「……前言撤回。やっぱバケモノだよ颯樹くん」
呆けた表情で呟くアヤナ。
「呆けている場合ではありませんよ」
するとユミナが皆に対して言った。
「颯樹さんだけにやらせては、ヒロインの名が廃ると言う物ですよ皆さん」
するとユミナは右手を上下に振ってメニュー欄を開き、そこから武器選択画面を開いて、そこに配置されていたボウガンを手に取った。
「ゆ、ユミナさん?!貴女、いつの間にそれを習得したんですの?!」
慣れた手つきで武器を装備したユミナを見てルーシアが目を見開いて叫んだ。
「何を言っているのですか。ここに来るまで、彼らが何度も同じような事をしていたではありませんか。皆さんは見ていなかったのですか?」
「で、でも!そんな風に、慣れた手つき、で……」
戸惑った様子で喚くリンゼに対し、
「いいですか。確かに今は余りにもイレギュラー過ぎる状況です。ですが……
それがどうしたと言うのです?例えどのような状況に立たされようと、臨機応変に対応し主人をお助けするのが妻と言うものです」
ユミナの言葉を聞き、一同は押し黙る。
「……確かに、拙者としたことが少々取り乱していた様でござるな。しかしお陰で目が覚めたぞユミナ殿」
八重は毅然とした態度で左腰からゆっくり刀を抜き放つ。
「全く……アンタにそう言われちゃ敵わないわね」
「私たちも、行きましょうか」
エルゼがガントレットを付けた拳を持ち上げ、リンゼが片手剣を引き抜き構える。
「当然私も行きます。レディとして殿方をお支えするのが淑女の務めですわ」
ルーシアがそう言うと、腰から二本の短剣を抜き放ち、それを逆手に持って構える。
「もう……颯樹君はいつも無茶苦茶なんだから」
アヤナはため息をつきながら、腰から片手剣を引き抜く。
ユミナはそれらを見て満足そうに頷くと、自身もボウガンを構えて
「では……参りましょう、皆さん」
『おー!』
そして少女達は一斉に飛び出した。
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戦闘が始まり数分が経過した。
颯樹は勿論、ユミナ達は当然ながらこの世界での戦いを知らないため、相当な苦戦を強いられていた。そんな彼らをキリト達がカバーすることで戦闘は進んでいた。
しかしただ守られるだけで終わるような颯樹達では無い。慣れない場所で有利に戦闘を進めるにはどうしたら良いか?その道に精通している人間に教われば良い。しかも今彼らの目の前には、その道のエキスパートが6名もいるのだ。
颯樹達はとにかく、キリト達の戦闘スタイルを観察することから始めた。武器の振り方、体の身のこなし、そして何よりソードスキルの使い方などだ。特に使用武器が被っている颯樹、八重、ルーシア、アヤナの四人はそれぞれキリト、ティア、ツクヨ、フィリアの動きを注意深く観察した。
「成る程…大体わかった」
颯樹はある程度キリト達の動きを見極めると、ブリュンヒルドを右肩に担ぐ体勢をとる。すると漆黒の刃にライトグリーンの光が発生し、そして彼の身体が前に飛び出す。
「せあああああああっ!!」
緑に輝く刃は目の前のゴブリン型モンスターの身体を斜め方向に両断した。
片手剣ソードスキル《ソニックリープ》
颯樹の放った一撃を受け、ゴブリンは身体をガラス片に変えて消滅した。
「や、やった…!」
この世界での初勝利に思わず顔が綻ぶ颯樹。
だが油断する彼の背後から別のゴブリンが棍棒を振り上げて迫る。
「しまっ……!」
しかしその棍棒が振り下ろされる前に、赤黒い大剣がゴブリンを吹き飛ばした。
「なーにを油断してるんだてめぇ」
振り返るとジェネシスが呆れた顔で大剣を右肩に担いでいた。
「あ、ありがとうございます、ジェネシスさん」
「あー……」
颯樹が礼を述べるとジェネシスはそう言って目頭を抑えた。
「その、“さん”付けは良い。つかやめてくれ…知り合いとそっくりすぎて区別がつかなくなるから」
「は、はあ……じゃあ、ありがとう……ジェネシス」
「それでいい」
そしてジェネシスは再びゴブリン達を叩き伏せに走り出した。
一方こちらはティアと八重の二人。
八重は混戦の中ゴブリンを寄せ付けない程度で応戦しながらティアの動きを注視していた。颯樹と同じように、ソードスキルを発動する際の腕や足、刀の構えなどを隈なく観察した。
「よし……掴んだでござる」
すると八重は徐に自身の刀を左腰の鞘に納める。
そしてゆっくり腰を落とし、右手を刀の柄に、左手を鯉口辺りに添え、抜刀術の体勢を取る。
八重に向かって一体のゴブリンが接近する。棍棒を掴んだ右手を大きく張り上げ、八重を叩き潰さんとゴブリンは勢いよく近づく。
「……シッッ!」
その無防備な胴体目掛けて八重は勢いよく抜刀し、そのまま刀を横一閃に振るった。銀色の光が横一直線に輝き、刀の刃の軌跡を形取る。
刀居合スキル《辻風》
八重の攻撃を受けたゴブリンは爆散し消滅した。
「ほう?中々いい太刀筋を持ってるな」
ティアが八重の攻撃を見てそう呟く。
「伊達に侍の名を語るものでは御座らんよ」
「それは上等…だなっ!」
そしてティアと八重は並んでゴブリンの群れに斬りかかった。すれ違いざまにゴブリンの足を、腕を、胴体を瞬く間に斬っていく。
しかしティアと八重がいくら刀を振るっても、ゴブリンは次々に出現し群がってくる。
「……面倒だな」
するとティアは刀を両手で正面に下段で構え、そのまま右半身に持ち上げて顔の横まで上げる。切っ先を前に、腰を低く落として中段の霞の構えをとる。
するとティアの刀『銀牙』の刃が真紅の炎を纏い始めた。
ティアはそこから勢いよく飛び出し、ゴブリンの群れに飛び込んだ。炎を纏う斬撃が次々にゴブリンを斬り伏せていき、数分経った頃にはゴブリン達は消滅していた。
「そ、それは反則で御座ろう……」
八重は思わずため息を吐きながら呟いた。
その後、颯樹や八重、アヤナ、ルーシア達はそれぞれ見事にこの世界に順応し、新たに得たソードスキルを駆使して奮戦した。
しかし一方でユミナ、リンゼ、エルゼは未だ適応できずにいた。それも当然、彼女らには己が武器の手本が存在しないため、自力で活路を見出すしか無いのだ。
「要は溜め、なのですね」
するとここで、何かを掴んだらしいユミナが矢をボウガンにかける。
そしてボウガンを両手で構えると、颯樹の背後から襲い掛かろうとしていたゴブリン軍団に向けて放った。
矢が青いオーラを放ち長らく飛翔し、ゴブリンに向かって真っ直ぐに飛んでいく。
着弾したその時、ゴブリンを中心に巨大な大爆発が発生した。
射撃スキル《グレネードシュート》
「おおっと?!」
背後で発生した爆音に驚き颯樹は思わずその場から飛び退く。
「あっ、すみません颯樹さん」
「いや、いいんだユミナ。ナイス!」
謝るユミナに対し颯樹は笑顔でサムズアップして応えた。
「ぼ、ボウガン……また新しいスキルの一種か……?」
キリトがユミナのスキルを見てそう呟いた。
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程なくして戦闘は終わった。
キリト達がいればまず苦戦しないだらう相手なのに加え、颯樹やユミナ達がソードスキルを使いこなせるようになったことで、現在彼らがいる周辺のモンスター達程度なら軽くあしらえる程になった。
「さて、そんじゃ進むとするか」
ジェネシスが大剣を背中に納め、皆を促す。
皆はジェネシスの後ろをついて行くように歩き出す。
一行が進み続けること数分。
「多分そろそろ、クエストの中ボスが出現するわ」
フィリアが皆に向けてそう告げる。
中ボスという単語に皆は気を引き締める。
「そっか……どんな奴なのか知ってるか?」
「それは……」
キリトの問いにフィリアが口を開いて答えようとしたその時だった。
目の前に青白い光と共に一体のモンスターが出現した。
紫色の半透明で液体状の身体を持つそれは、どう見ても……
「スライム、だよな?」
「ええ。名前は《メタルキングスライム》」
「どこに“メタル”要素があるんだよ。100%スライムじゃねーか」
「無駄口はそこまでにしなんし。来るぞ」
ツクヨがそう言った直後、スライムは触手状の腕を彼らに目掛けて素早く伸ばしてきた。
皆己の反射神経を持ってその場から飛び退いてかわす。
「うへぇ、スライムかぁ……」
げんなりした表情でスライムを見ながら言う颯樹。
「颯樹さんはスライムが苦手なのですか?」
「うん、少しトラウマ、と言うほどのものじゃないんだけど……」
直後、スライムは別の腕を瞬時に伸ばす。
だがその腕はジェネシスの大剣によってあっさり斬り落とされた。
「ハッ、中ボスっつうからどんなもんかと思えば…全然大したことねえじゃねーか」
余裕の表情で大剣を肩に担ぎながら言うジェネシス。
「油断しないでって言ったでしょ。こいつらの恐ろしいところは」
するとスライムが今度は細かなスライムを彼らに向けて発射した。
ジェネシスは咄嗟に大剣の刃を盾のように前に突き出して防ぎ、キリトは双剣で薙ぎ払ってそれらを防いだ。
「おいおい、今度は何だったんだ?」
ジェネシスがそう呟いた直後。
「いやあぁぁぁぁっ!!!」
突如アスナの悲鳴が響き、キリトとジェネシスは咄嗟に振り向く。
「ちょ、ちょっと…何なのよこれはぁっ?!」
見るとアスナの衣服に紫のスライムが付着し、そこから僅かに鮮やかな彼女の素肌が露わになっていた。
「あ、アスナァ?!!!」
「おいフィリア、こいつはまさか……」
ジェネシスが何かを察してフィリアに尋ねると
「そうよ。こいつは“服を溶かす特性を持ったスライム”」
フィリアは頷いて淡々とそう告げた。
「いや何そのテンプレな攻撃は?!ここに来てそう言う趣向かよ!」
ジェネシスがそう喚いた瞬間。
「うわっ?!」
ティアの叫びが響き、ジェネシスはギョッとした顔で振り返り、そして絶句した。
胸元や腰辺りに付着した紫のスライム。そこを中心に、ニットやジーパンが溶解し、さらにその下にある白い布まで溶け、薄い桃色のふくよかな肌が露わになる。
そうそれは、いつかの夜に見た彼女の秘部であり……
「み、見ないでええぇーーーー!!!」
ティアはジェネシスの視線に気づくと動転して自身の刀をジェネシスに投げつけた。
「危なっ?!」
ジェネシスは間一髪でそれをかわす。
ティアはたまらずその場に蹲った。両手を交差させて胸元を隠す。だがティアの胸囲は両手で隠し切れる大きさではなく、腕の隙間から徐々にふっくらとした母性の象徴が見え隠れしていた。更に付着したスライムによって光沢が発生し、よりそれは見るのも全ての視界に妖艶に映る。
「やあぁぁ……」
ティアはいつものクールな声では無く、彼女らしからぬ情けない声を上げている。
そしてそれはアスナも同じで、ティアと同じように両手を胸元で交差させて蹲っている。胸元や背中、腰のあたりにスライムが付着し、そこから彼女の陶磁器のような白い素肌が露わになっている。
「いやぁ……み、見ないでぇ……」
アスナも顔を真っ赤に染めて弱々しい声を上げている。
すると今度は、スライムが自身の体液を別方向に飛ばす。
その次なる餌食となったのは……
「い、いやあぁぁぁぁーーっ!!!」
「き、気持ち悪いでござる〜〜っ!!」
「ちょっと、何なんですか、これはあぁぁ?!!」
ユミナ、八重、リンゼ達であった。彼女達もスライムが服に付着し服が溶解し始めていた。
そして……
「ギャアァァァーー!!目が……目がああぁぁーー!!」
「「サツキイィィィーー!!」」
颯樹の両眼を塞ぐようにスライムが付着し、颯樹が叫びを上げた。
「く、クソったれ!こうなったら俺たちだけでぶっ倒すぞ!」
「ああ!アスナにこんなことしやがって……もうゆ゛る゛さ゛ん゛!!」
ジェネシスとキリトは怒気を剥き出しにしてスライムに飛びかかる。
だがそれはあまりにも無謀な行為で……
「うわあああぁぁぁぁーーー!!!」
「ふ、服がああぁぁぁーー!!」
あたりにキリトとジェネシスの悲鳴が木霊した。
そんな彼らを、数メートル離れた場所に生えている大木の幹の上で、フィリアとツクヨの二人は遠目に見ていた。
「何かもう……地獄絵図だね」
「ふっ、じゃがこれは、中々いい見せ物じゃな」
苦笑しながら呟くフィリアに対し、やや愉悦気味の表情で答えるツクヨ。
「しかし、これをいつまでも放置しておくわけにはいかんのう」
するとツクヨは徐に立ち上がり、懐から手裏剣を取り出す。
「手裏剣術《零次元・表式》」
すると手裏剣がゴールドの光を浴び始め、次の瞬間ツクヨが最低限のモーションでそれらを投げつける。
黄金の光を纏った手裏剣は真っ直ぐスライムに飛翔していき、そして深々と突き刺さる。
奥義級の技を受けたスライムはその身を爆散させ消滅した。
「さて、スライムは片付けたぞ主ら」
ツクヨはゆっくりと視線をティア達の方へと向ける。
ティアとアスナ達は未だに蹲った体勢のまま顔を真っ赤に染めてプルプルと震えていた。
因みに溶けていた装備はスライムが倒されたからか修復されていた。
「あうぅ……私……もうお嫁に行けない……」
「いや、もう貰ってるんだが」
弱々しい声で呟くティアに対しジェネシスがそう答える。
「キリトくん……見た……?」
「み……見てない……」
「嘘!その反応絶対見たんでしょ?!」
「見てないって!!ほんとほんと!」
慌てて否定するキリト。すると……
「貴方……私達の体も見ていませんわよね?」
ルーシアが恨みがましい目つきでキリト達を睨みながら言った。
「いや見てねえから!テメェらの裸なんぞ興味ねえから!!」
「怒らないので正直に答えて久弥……本当に見てないの?」
全力否定するジェネシス達に対し、ティアがやや威圧感を込めて尋ねる。
その問いにジェネシスとキリトは一瞬答えるのを躊躇われたが……
「……い、一瞬、チラッと見えたような」
「お、俺も……」
ジェネシスとキリトは気まずそうに答えた。
「ほ、ほらぁ〜!!やっぱり見たんじゃ無い!!」
「この助平野郎!!」
「万死に値する!!」
やはりと言うべきか案の定と言うべきか、少女達の非難の声が浴びせられる。
「……おい」
だがそんな物とは比べ物にならないくらいの悪魔が現れた。
「さ、サツキ?」
「あんたら……ユミナ達の裸……見たんだな?」
颯樹から発せられる唯ならぬ怒気を受けてジェネシス達は慌てふためく。
「ちょ、落ち着けサツキ!見てない、見てないから!」
「そ、そうだ!一瞬だ!ほんの一瞬だけチラッと視界に映ったんだって!!」
「てめぇら……
やっぱり見たんじゃないかああぁぁぁーー!!!!」
颯樹の叫びと共に強烈なパンチが炸裂した。
「「ギャアァァァーーー!!!」」
直後、二人の少年の悲鳴が森林に木霊した。
お読みいただきありがとうございます。
コラボ回はいよいよ次回で完結となります。もうしばしお付き合い下さいませ。