最近コロナが流行ってますが皆さんは大丈夫でしょうか?
先日ジャズの住む県でついに感染者が出ていよいよここまで来たか……と危機感を募らせております。
皆さんもどうか、手洗いうがいやマスク着用などをして、コロナにかからないよう気をつけてくださいね。
「《射撃スキル》だあ?」
七十六層アークソフィアの宿屋の食堂で、ジェネシスは素っ頓狂な声を上げた。
彼の目の前にいるのは、黒髪の短髪にクールな雰囲気を纏った少女、シノン。
「ええ、メニュー欄を見てたらいつの間にか出ていたの」
そう言ってシノンはメニューを可視化してジェネシスに見せた。たしかにそこには《射撃》と言う文字があった。
「あんたなら何かわかるんじゃないかと思ったんだけど」
するとジェネシスは首を振って
「残念だがそいつはお門違いだぜ。そのスキルはハヅキ辺りに聞くのが一番手取り早いんじゃねえの?」
するとシノンは「はぁ…」とため息をつき、
「あんたねぇ……そんな事私がわからないとでも思った?
とっくにハヅキには聞いてあるわよ。そしたら、あの娘の持ってるスキルは私のとは違うみたい」
「なんだ、違えのかよ。つってもなぁ〜……」
ジェネシスはため息を吐きながら頭をポリポリと掻く。
SAOで射撃スキルを使うものと言えば、今生き残っている6000人のプレイヤーの中でもハヅキただ一人くらいなものだろう。その彼女ですら分からない別系統の射撃スキルなど、ジェネシスからすればもうお手上げだ。
「……ん?」
と、ここでふとジェネシスはとある事を思い出す。
それは先日、ホロウエリアで出会った不思議な者達。
その内の一人が手にしていた射撃武器、ボウガン。
「うし、行くぞシノン」
「は、はぁ?いきなりなんだって言うのよ……あ、ちょっと待ちなさいよ!」
突如立ち上がって歩き出したジェネシスにシノンは慌てて付いていく。
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ジェネシスがシノンを連れてやってきたのは、街の裏路地にある骨董品屋。
「確かここにあった気がすんだよな……」
店に入るや否や、ジェネシスは骨董品の山を物色し始める。
数分探し回ったあと、漸く目当ての物を見つけたのか、ジェネシスはとある物を手に取ってシノンに見せた。
「これって……ボウガン?」
「ああ。この間偶然見つけてな。何に使うのかさっぱりだったんだが」
そしてジェネシスは早速そのボウガンを購入するため店員のNPCとトレード画面を開く。
「うげ……こりゃ中々の値段だな……」
その値段はジェネシスの全財産の約三割。だが彼は迷う事なくOKボタンを押し、ボウガンを購入する。
「ほれ」
そしてジェネシスは購入したボウガンをシノンに手渡す。
「あ……ありがと。お代はいくらだった?」
シノンはメニュー欄からトレード画面を開き、貰ったボウガンの金額をジェネシスに渡そうとするが、
「ばっか、いらねえよ。こいつはまあ、投資みてぇなもんだ。
黙って受け取ってろ」
そう言われてシノンはメニュー欄を閉じる。
「……そ。なら、ありがたく受け取っておくわ」
そう言ってシノンは歩き出す。そのまま宿を通り過ぎ、フィールドの出口へと向かう。
「おい、どこ行くんだよ」
「試し打ちよ、これに慣れておかないと実戦じゃ意味ないでしょう?」
シノンはメニュー欄から防具を選択してチェストアーマーを付けて武装する。
「ったく、テメェ一人じゃモンスターにたかられて終わりだぞ?」
「あら?私はあんたも来てくれると思って言ったのだけれど」
シノンはあっけらかんとした口調で言い、ジェネシスは一瞬ポカンとした表情だったが、
「……あー、ハイハイ。さっさと行くぞ」
そして二人は並んで歩き出す。
〜数分後〜
二人はフィールドを流れる小川のほとりまできた。
「この辺でいいだろ。ここらのモンスターなら今のてめぇのレベルでも問題なく倒せる」
「そうね、ここなら見晴らしもいいし狙いやすそう」
「しっかし、これなら双眼鏡でも持ってくるんだったなー…ただっ広すぎてモンスターの影も形も見えやしねえ」
「あれなんか使えそうじゃ無い?」
シノンが指差した先には、高さ6メートルほどの大木があった。
「……なるほどな」
シノンの言いたい事を察したジェネシスは大木の根本まで歩くと、そのごつごつした幹に手をかける。
「たく、木登りなんざやんのは初めてだぞ」
と言う愚痴を零しつつ、ジェネシスは慣れた手つきで大木をよじ登っていく。
およそ半分ほどの高さにある太い枝の方に移り、周りを見渡す。
「……お?あそこにいい感じの猪がいるな」
大木から約数十メートル先の草原に猪型モンスターがいるのを発見した。
「私でも倒せそう?」
「ああ、今のお前なら問題なく倒せんだろ。あれの肉でも晩飯にするか」
「えっ、食べ物にするの?」
「ああ、あの猪からドロップする肉が結構イケるらしいんだ。ウチには料理スキル完全習得のアスナとティアがいるしな」
「ふうん……ねえ、ジェネシス。そこ少し詰めて」
するとシノンはジェネシスと同じ要領で木を登り始めた。
「は?いやお前もこっちに来んの?」
「高いところの方が狙いやすいし、飛距離も稼げるでしょ?」
そしてシノンはジェネシスの立つ木の枝までやって来る。
だがその枝は二人が立つにはあまりにも狭く、ジェネシスの体格の大きさも相まってかなり窮屈だった。しかしシノンは問題ない様子だ。
「射撃ポイントとしてはここが最適みたいね……ここから狙うわ」
そう言ってシノンはボウガンを構え、照準を定める。
「……ターゲット捕捉」
「あの、窮屈なんだけど……」
「うるさい、気が散る」
「アッハイ」
シノンはジェネシスの言葉をばっさりと切り捨て、集中力を高めていく。お互い無言のまま時間が過ぎる。
「……そこっ!」
シノンはボウガンのトリガーを引き矢を射出した。
青い光の尾を引きながら矢は弧を描いて真っ直ぐに猪へ飛んで行く。
猪は接近する矢に気付くが時すでに遅く、矢は猪の胴体に突き刺さり、『プギャアアアッ!!』と言う断末の叫びを上げて消滅した。
「……ふう」
シノンはただ喜ぶでも無く、淡々と息を吐いてボウガンを降ろした。
「やるじゃねえか」
「まあね」
ジェネシスの言葉にシノンは得意げな顔をした。
「それじゃ場所を移しましょ」
「え、まだやんの?」
「当たり前じゃない。たった一発打っただけじゃ物足りないわよ」
そしてシノンは枝から降りようと立ち上がるが……
「きゃあっ?!」
「おわっ?!」
シノンはバランスを崩し、ジェネシスも巻き添えを食らってそのまま落下していく。
そのまま大木の下を流れる小川に二人は水しぶきを上げて落ちた。
「いって、おいシノ……んげっ?!」
ジェネシスが顔を持ち上げるやいなやギョッとした表情で慌てて視線を逸らす。
「ご、ごめんなさい。ちょっと足を踏み外したわ……ってあんた、何で目を逸らしてるのよ?」
シノンはジェネシスの方を振り返って疑問符を浮かべる。
「いや、それは自分のケツ見たらわかる」
「……っ?!」
ジェネシスにそう言われ、シノンは自分の臀部を確認すると目を見開いた。
自分が身につけているショートパンツが水に濡れて透けてしまい、その内側の下着がくっきりと……
「……ねえ、ジェネシス」
楽に上がると、シノンは冷ややかな声でボウガンを背中のホルダーから再び引き抜いた。
そして矢を装填し、その銃口をジェネシスに向ける。
「おい、何でそれを俺に向けるんだよ?」
ジェネシスが引きつった表情で尋ねた瞬間、ボウガンから矢が放たれ、ジェネシスの頭部の側面を通過して行った。
「危なっ?!」
「ジェネシス……あんた、見たわね?」
尚も冷たい声でいいながらシノンは矢を放つ。
「待て!!気持ちは分かるが今は落ち着け!!当たると色々やべえから!!」
「問答無用!」
その後ジェネシスは、圏外でプレイヤーが人に対して攻撃してはいけない理由をシノンから放たれる矢をかわしながら何とか説明した。
「全く……そう言うことは早く言ってよ」
「言ったよ?!言ってるのに全然聞く耳持たなかったよなお前?!」
ジト目で言うシノンに対しジェネシスはそう叫んだ。
「しかも服が濡れて透けるって……ゲームなのにどこまでリアルに忠実なのよ」
「それは俺が聞きたい」
シノンは恥ずかしそうに頬を赤く染めながら言った。
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その後、幾らかシノンの射撃訓練を兼ねてモンスター狩りを行った。
気がつくともう夕方になっていた。
「今日は付き合ってくれてありがとうね」
「気にすんな。テメェが強くなんならこっちも大助かりだしな」
「…でも、もうあんな事はしないでよね」
「するかよ!」
そうやり取りを交わし、二人は帰路についた。
短いですが今回はこの辺で。
さて、原作ホロフラではシノンは弓を使ってましたが……今回では何と、ボウガンを使います。これは以前のコラボ回でユミナの武器として登場してるんですよね。
今、ボウガン用のオリジナルスキルも考案中です。何かいい案などありましたら是非感想欄やメッセージにて送ってくださいませ。
ではまた次回。