ソードアート・オンライン〜二人の黒の剣士〜   作:ジャズ

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今回少し短めになってしまいました。


五十二話 「女子会やるわよ!」byイシュタル

ジェネシスの前に現れた、『シキ』と名乗る女性。

彼女は微笑を浮かべたままジェネシスをじっと見つめる。

 

「…んじゃあシキ、何か俺に用でもあるのか?」

 

「用……そうね、特に用があるわけでも無かったのだけれど……一つ、訊いてもいいかしら」

 

そこでシキは一呼吸置く。

 

「どうして、貴方達は戦うの?」

 

「戦う理由?んなもん現実に帰るために決まってんだろう」

 

「そうね。貴方達はその為だけに戦っている……でも私には分からないわ。

何故自分の命を賭けてまで現実世界に帰りたがるの?そこまで現実世界にこだわら無くても、この世界で生きていくと言う選択肢だってあるじゃない。

それとも……自分達の命を犠牲にしてでも、現実世界に帰らなきゃいけない理由でもあるの?」 

 

「……まあたしかにおめぇの言う通りだ。命かけてまで戦わなくとも、ここで暮らすのも悪くねえのかもしれねえ………

どっちみちいずれは無くなる命だ。遅いか速いかの問題だわな。

それにこの世界は魅力的ではある……けど、俺たちがいるべき場所は、やっぱりここじゃあねえ。俺にはいねえが、みんな向こうに待たせてる人ってもんがある。そいつらに会うために、俺たちは戦ってんのさ」

 

ジェネシスの答えを聞き、シキは俯いて押し黙った。

数秒間の沈黙ののち、彼女は再び言葉を発する。

 

「……そう……貴方達はリスクを負ってでも、帰らなくてはならないのね。

ならば、この先貴方達には大きな苦難や敵が訪れるわ。それでも、負けないでね?陰ながら応援しているわ」

 

再び穏やかな笑みを浮かべ、背を向けて歩き出した。

 

「なっ、おいちょっと待てよ。てめぇは一体……」

 

ジェネシスがそんな彼女を呼び止めようとした時だった。

 

「久弥ー、そんな所で何してるの〜?」

 

宿からティアが現れ、暫く外に出ていたジェネシスを呼んだ。

 

「ああ、悪い。今ちょっと話を……」

 

その声に引かれティアの方を振り返り、再びシキの方を向く。

が、振り返った時には既にシキは消えていた。

ジェネシスがティアの方を見た一瞬で姿を消したのだ。

 

「何だったんだ、アイツ……」

 

「久弥、どうしたの?」

 

ジェネシスの様子を見てティアが彼の顔を覗き込む。

 

「………いや、何でもねえ。ちょっと外の空気吸いにきたんだ。

もう戻るわ」

 

「そっか、ちょうど良かった!!今からみんなでウノやるんだけど一緒にやらない?」

 

「おっ、ウノか。いいぜ」

 

ティアの誘いに乗り、ジェネシスは宿へと戻っていく。

シキの事は、今は黙っておくことにした。別に大事な事ではない、と判断したためだ。

 

「(しっかし……不思議なヤローだったな、アイツ……)」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

その夜、《店番お疲れ会》もお開きとなり、皆は解散した。

それぞれの部屋へと戻っていくその途中。

 

「「女子メンバー集合〜!!」」

 

突然、リズベットとイシュタルがそう号令をかけた。

その声を聞き、少女達は訳も分からないまま集まった。

 

「よく集まってくれたわね。みんなに来てもらった理由は他でもないわ……」

 

「あたし達、ここまで人数が増えたのに忙しかったせいでろくにおしゃべりとかした事ないじゃない?だからここで……」

 

「「女子会をやりましょう!!」」

 

二人は皆を集めた理由についてそう語った。

 

「あー、それいいかも!」

 

「言われてみると、みんなでとことんおしゃべりしたことってないですよね」

 

「私賛成〜!」

 

アスナとシリカ、サチが賛同する。

他のメンバー達も参加の意を示し、その日はそのまま食堂で女子会が開かれることになった。

円形状のテーブル席に集まり、イシュタルが全員分のコップを用意しドリンクを注いで行く。

 

「と言う訳で、みんなグラスは持った?」

 

イシュタルが自身のグラスを持って問いかけると、少女達は各々のグラスを掲げて頷く。

 

「それじゃあ、女子会を始まるわよ!!かんぱーい!!」

 

『『『『かんぱーーーい!!!』』』』

 

イシュタルの掛け声に合わせて女子達は一斉にグラスを打ち付け合う。『カラン』と言う甲高い音が食堂に響き渡った。

 

「それにしても、本当多いわよね女子メンバー」

 

「本当、この世界は女性が少ないはずなのに、よくこんなに集まったわよね〜」

 

イシュタルが集まった女子たちを見回しながら言い、リズベットもそれに同意する。

 

「まあ、ほとんどキリト君やジェネシスによるものだけどね」

 

「まったく、ハーレム体質にも程があるよ……」

 

アスナとティアがため息を吐きながらそう口にした。

 

「でも、これだけ女性プレイヤーが集まったお陰で、同じ女性仲間が増えて助かってますよ」

 

「それは言えてるかな。今まで出会った人の殆どが男の人だったので……」

 

「ま、女友達が増えたのは素直に嬉しいかな」

 

ハヅキの言葉にシリカが自身の過去を振り返って苦笑しながら同意し、シノンも頷いた。

 

「あ、この際だからずっと気になってた事聞いてもいいですか?」

 

するとリーファが手を上げ、アスナとティアに問いかけた。

 

「お二人はお兄ちゃんとジェネシスさんのどこに惹かれたんですか?」

 

「あー、それは結構気になりますね。

 

このー木何の木 気になる木ですね」

 

オルトリアも何故かこの木何の木を口ずさみながら同調した。

 

「……えっちゃんの意味不明な発言は置いといて。

 

まあ、私がキリト君に惹かれたのは……優しくてカッコ良くて、それでいて強くていざと言う時頼り甲斐があるところ、かな?」

 

「私は……現実にいた頃に助けられて、それで彼に近づくようになってから気づいたら好きになってた、って感じかな」

 

アスナとティアはそれぞれの想いびとについてそう語った。

 

「なるほど……あ、ちょっといい事思いついた!」

 

するとリズベットが立ち上がり、

 

「古今東西!名付けて『キリトとジェネシスのかっこいいところ』〜!!」

 

「わーー!!」

 

リズベットの宣言にイシュタルが手を叩いて盛り上げた。

 

「じゃあ今から、時計回りに一人ずつあいつらのかっこいいとかここがいいって言うポイントを上げていって貰いましょう!」

 

「別に被っても大丈夫だからね。じゃあ先ずは雫、あんたから行きなさい」

 

「ええ?!!本当にやるの?!」

 

問答無用でゲームは始められた。

因みに順番はティア→レイ→サクラ→ストレア→シリカ→リーファ→シノン→フィリア→ツクヨ→ハヅキ→ジャンヌ→サチ→オルトリア→イシュタル→リズベット→ユイの順だ。アスナは先程言ったため除外。以下、ティアから順番にそれぞれの発言を並べていく。

 

「まあ……ジェネシスと並んで頼りになるところかな」

 

「真っ黒な服がかっこいいと思います!」

 

「愛妻家なところが見ていて微笑ましいですね」

 

「女の子みたいな見た目もギャップがあって可愛い〜!」

 

「普段の攻略でキリトさんの知識は凄く役に立ちます!」

 

「やっぱり……妹重いな優しいお兄ちゃんってところかな」

 

「私もシリカと同じで、アイツのゲーム知識は結構頼りになるわね」

 

「私は、あの人に助けられたしね。守ると決めたものは最後まで守り通せる強さ、かな」

 

「無駄に勇気があるところは称賛すべきであるかのう」

 

「優しいのは事実ですけど、それをみんなに分け隔てなくやってるのはすごいと思います」

 

『彼って普通の人じゃ出来ないことを平然とやってますよね。システム外スキル、でしたっけ』

 

「結構責任感があるところだね。でも、もし誰かが死んだらしたら……それをずっと引きずってそうで怖いかな」

 

「食べたら美味しそうです」

 

「私は出会ってからまだ少ししか経ってないけど、まあ人当たりがいいのは凄く大事だと思うわ。

久弥がいなかったら、キリト一人のハーレムが出来てたんじゃないかしら」

 

「ちょっとムカつく事もあるけど、それ以上にアイツには助けられてるからね」

 

「AIである私を娘だと言ってくれて、私は本当に幸せです。私のパパは世界一かっこいいんです!!」

 

ここまで17名の発言が終わる。

 

「よーし、次はいよいよ『ジェネシス』の古今東西〜!!」

 

リズベットがそう宣言して、次はアスナからスタートだ。因みにティアは先程言ったので今回は省略。

 

「普段のボス戦では結構みんなの精神的支柱になってるよね。彼がいれば何とかなる、ってみんな思ってる所はあると思う。実際私も頼りにしてるしね」

 

「私のパパは宇宙一強くてかっこいいんです!」

 

「私は姉さんの妹ですからそれに倣ってお父さんと呼んでますけど……みんなのお父さん、って感じがしますよね」

 

「ぶっきらぼうだけど、実はみんなの事ちゃんと考えてて偉いと思う!」

 

「凄くお強いという点は私も同意です。あの時のジェネシスさん、カッコよかったなぁ〜」

 

「面倒見がいいですよね。お父さんと言うよりは、アニキって感じがする」

 

「キリトも同じだけど、ジェネシスは彼以上に守ると決めたものは絶対に守り通す意思、みたいなものがすごいと思うわ」

 

「私はアスナと同意見だな。普段の攻略で彼がいるのといないのとで安心感が全然違うよね」

 

「時折バカな発言はするが、それが返って皆の緊張感を和らげているのかも知れぬな」

 

「あと頭がいいですよね、ジェネシスさんって」

 

『状況を瞬時に把握して、的確な指示を出せる点は凄いですよね。指揮官にも向いてる気がします』

 

「凄く仲間想いなところがあるよね。何よりも大切にしてくれるからそこが凄くいい」

 

「意外と料理上手なんですよね彼。今度お菓子を作って貰いましょう」

 

「あとはキリトに負けず劣らずの愛妻家よね。雫一筋なのは相変わらずだけど」

 

「キリトと違った信頼感があるわよねアイツ。キリトとジェネシスが二人揃ってると負ける気がしないわね」

 

「私はあの人のお陰で今こうしていられますから。本当に感謝しています!」

 

ここで全員の意見が出揃った。

 

「こう見ると……《仲間思い》で《優しい》と言う点が共通してるわねあの二人って」

 

「多分、あたし達はそれに惹かれたんだと思います」

 

リズベットがそう考察すると、シリカは納得したように頷きながら言った。

 

『《真っ黒》と言う所も同じですよね!』

 

「あとは凄く強いと言う所も」

 

ジャンヌとツクヨがさらに共通点を挙げる。

 

「案外共通点多いのね、この二人って」

 

「やっぱ主人公感あるわね〜」

 

シノンとリズベットが立て続けにそう溢した。

 

「あ、この機会だし聞いておきたいことがあるんだけどさ

 

ぶっちゃけてキリトが好きだ、って子はどれくらいいるの?」

 

リズベットが皆に対してそう問いかける。

するとアスナ、ユイ、ストレア、リーファ、フィリアそしてリズベットが手を上げた。

 

「こ、こんなにいるんだ……」

 

アスナがその人数の多さに戸惑いの表情を浮かべた。

 

「じゃあ次、ジェネシスが好きだって子は?」

 

その言葉で手を上げたのはティア、レイ、サクラ、シリカ、サチ、そして……

 

「待って、シノン?」

 

やや小恥ずかしそうに小さく手を挙げているシノン。

 

「まあ……アイツにはこの間ちょっと助けられたから……」   

 

シノンは頬を赤らめながら小さな声で言った。

 

「シノン、その話後で詳しく」

 

ティアはシノンに対してジト目で言った。

 

「そう言えばイシュタル、あんたはジェネシスにそう言う感情とか無いわけ?ずっと幼馴染だったんでしょ?」

 

リズベットが隣に座るイシュタルに対して尋ねた。

 

「あー、まあそうなんだけどね。

でも私がこいつらと関わり出した頃にはもう私が付け入る余地すら無かったっていうか…

 

この二人、現実じゃカップルみたいにいちゃついてたからね。もうさっさと付き合いなさいよって感じだったわよ」

 

「そんな昔から二人の関係は続いてたんだ…」

 

イシュタルの独白にサチが愕然とした。

 

「だからこの世界に来て結婚してるなんて聞いても、正直あまり驚かなかったわ。この二人ならやりかねないしね。

 

………ま、流石に娘がいるって聞いた時はびっくりしたけど」

 

そう言って彼女はレイの方に視線を向けた。

 

「あの、娘がいることってそんなに不思議なことなんですか?」

 

するとレイが首を傾げながらイシュタルに対して問いかけた。

 

「そうよ、普通はかなり驚くものなのよ?あなたも大きくなったらそれが分かるわ」

 

「むむむ……難しい事もあるんですね」

 

この時のレイの疑問が後に一つの波乱を巻き起こすのはまた別の話。

 

その後、数時間女子会は続き、各々話したいことを話し合えてその日は解散となった。




お読みいただきありがとうございます。

女子会はとある方からリクエストをいただいてやったのですが、如何だったでしょうか?

さて、今後はしばらくホロウフラグメントのイベント回をやって行こうと考えてます。
では、評価・感想などよろしくお願いします。
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