本編書くの久々な気がする……
「パパ、パパ」
ある日、ジェネシスが宿の食堂で1人コーヒーを嗜んでいると、レイが近づいてきた。
「突然なんですが……男の人って、みんな女性の胸が好きなんですか?」
レイがそう問いかけた瞬間、ジェネシスは思わずコーヒーの入ったマグカップを地面に落としてしまった。
まだ無垢な愛娘から発せられた突拍子もない質問に、ジェネシスは頭が真っ白になってしまったのだ。
そしてそれは、彼の隣に座るキリトも同じで慌てて問いかける。
「れ、レイ?!な、なにを言い出すんだ?!」
「この間、ユイからこんな事を聞いたのです……」
そしてレイは語り出した。
先日、クラインが女性プレイヤーの胸元を遠目から見つめていたのが気になったユイが彼に問いかけると、「男性はみんな女性の胸が好きなんだ」と言ったそうだ。
それを聞いたユイは何故男性が女性の胸に惹かれるのか気になり、独自に調査を行おうという話になったそうだ。その調査内容というのが、『身近にいる女性プレイヤーの胸部に触れてみる』というものだった。
「あ……そういえばそんな事もあったな……」
事情を知っているキリトが気まずそうに目頭を押さえる。
どうやらその時はアスナ・リズベット・シリカ・リーファ・フィリア・シノンがターゲットとなったらしい。
「いや何で止めなかったんだよ」
「すまん、俺には娘の暴走を止める力は無かったんだ……」
ジト目で問いかけるジェネシスにキリトは力なくうなだれた。
すると、宿の扉が空いて女性プレイヤーの集団が入って来た。
帰って来たのは、今日ショッピングに行っていたティア・イシュタル・サチ・ツクヨ・ハヅキ・オルトリア・ジャンヌの7名。
「たっだいまー!」
「はあ、今日はたくさん歩き回って疲れたよ…」
ティアが楽しげな顔で食堂に戻り、サチが疲れ切った様子で続く。さらに他の女子メンバーも続いて食堂に戻った。
「えっちゃんさんが洋菓子店のショーケースにずっと貼りつくから、中々進まなかったですよね」
「む……それを言うならハヅキちゃんだって割と食べ歩きしてたじゃないですか」
「そ、そんなに食べてないですよ私?!」
ハヅキが苦笑しながらオルトリアの方を見ながら言うと、彼女もハヅキをジト目で見ながら反論した。
「あとイシュタルが宝石店でかなり長く滞在していたのう。それこそ30分はいたのではないか?」
『イシュタルさんは宝石が本当にお好きなのですね』
「ちょっと!私が宝石に目がないその辺のセレブと一緒にしないでよね!私の場合は宝石が無いと戦えないから集めてるだけで……」
イシュタルの宝石好きっぷりにツクヨがため息を吐きながら言い、当のイシュタルは自身が宝石を集める理由を弁明する。
そんな彼女達をジェネシスはやれやれと首を横に振りながら苦笑し、コーヒーを啜った。
「パパ、パパ」
するとレイがジェネシスを呼び、問いかける。
「パパはこの中で、誰の胸部が一番好きですか?」
「ぶっっ⁉︎ 」
その瞬間キリトが思わず吹き出し、女子達の空気がピシリ、と音を立てて固まった。
「え……き、胸部?」
「だ、誰のが一番って……」
イシュタルが目を丸くし、サチが困惑した顔で呟く。
「ね、ねえ久弥?私がいない間、レイに何を教えてたの?」
するとティアが鋭い目つきと威圧感のある声でジェネシスに問いかける。
「ま、待て落ち着け! そもそもの元凶はクラインだ!」
「クラインが……?」
そしてキリトとジェネシスが事情を全て説明し、そしてレイがユイからその事を聞いたことで興味を示したという事を話した。
全てを聞き終えた女性メンバー達は同時にため息をつく。
「まったくあいつは……」
「奴が帰ってきたら蜂の巣にしてやりんす」
頭を抱えてやれやれと呟くイシュタルと、鋭い殺気を放ちながら苦無を手に取るツクヨ。
「それで、パパは誰の胸部が一番お好きなのですか?」
「だ、誰ってな……そりゃあ俺はまあ………」
ジェネシスは気まずそうにチラリとティアの方に視線を移す。
「あ、あう………久弥ってば……」
ティアは恥ずかしそうに頬を赤らめながら両腕を胸の前で交差させた。
「むむむ……パパはママの胸部が好きなのですか………
ママ、少し失礼しますね」
するとレイがティアの元に歩き出し、そしてその華奢な腕を伸ばし、その小さな手をティアの胸の谷間に差し込む。
「えっ……ひゃあああっ?!ちょ、ちょっとレイ?!どこ触って……」
「はわぁ……とっても……ふわふわです!」
ティアは胸を揉まれて素っ頓狂な声をあげ、レイは彼女の胸の感触に目を輝かせた。
「おっ、そうだな」
「ちょっと久弥ぁ?!」
ジェネシスはうんうんと頷いてレイの報告に同意し、ティアは目を見開いてジェネシスの方を見る。
「次は……オルトリアさんです」
「ほえ?……ひゃう!」
レイはトコトコと走ってオルトリアの方に向かい、彼女の胸部アーマーの隙間に指を差し込む。
「オルトリアさんは、とってももちもちしてますね!」
「も、もちもち……」
レイの感想にジェネシスが思わずそう呟き、それに対してオルトリアがジト目でジェネシスを睨んでいた。
「ハヅキさんは……凄そうですね……」
次にレイはハヅキの方に向かい、遠目から見てもかなりなものであるその胸部に服の上から触れる。
「ひゃうっ?!」
「わあぁ……思った通り、すごい情報量です!!」
レイは感激した様子でその感触を告げ、ハヅキは「ふえぇ……」と恥ずかしそうに頬を赤らめて地面に蹲み込んだ。
「成る程……これはユイが興味を持つのもわかりますね。調べれば調べるほど、興味が湧いてきます!」
レイは好奇心が刺激されたのか、少し興奮気味に呟くと、次のターゲットを定めて走り出す。
続いてレイの標的になったのは、ジャンヌ。
『んなっっ?!ちょ、お待ちください!私は主にこの身を捧げた身、その様な事は決っして許される事では……ふにゃあああああっ!!』
ジャンヌは慌ててレイを引き留めようとするも、彼女を止めることが叶わずその胸に手を伸ばされ、そして揉み解された。
「ジャンヌさんのは、とっても暖かくて気持ちいいですね!」
『あうう……主よ……どうか私にお慈悲を……』
ジャンヌはレイから背を向けると、地面に膝をついて十字架を手に持つと、懺悔するかのように祈りを捧げていた。
そしてレイがターゲットにしたのは、サチだった。
「あひゃあ?!ちょ、レイちゃん?!」
レイはサチの後ろから近づいていたので、彼女は完全に不意を突かれて嬌声をあげた。
「サチさんのも、意外とふんわりしていますね!」
「ちょっと!意外と、ってどういう事?!ねえ?!!」
「つまり……そう言うことね」
「サチさんって、いわゆる隠れ巨……」
レイの言葉にサチが突っ込み、さらにレイの発言でティアが成る程とうなずき、ハヅキがとある言葉を口にしようとしたところでサチがその口を塞いだ。
そんなサチをよそに、レイは次なるターゲットに向かって走る。その相手となったのは、ツクヨ。
「おい、待てレイ!そいつだけはダメだ!!ぶっ飛ばされるぞ!!」
ジェネシスが慌てて引き留めようとするも、その時にはすでに遅く、レイは既にその手をツクヨの胸部に伸ばしてしまっていた。
『ポニュッ…』という音が聞こえそうな弾力がレイの手に掴み取られる。レイはその小さな手でツクヨの胸部をつかんでしまった。
それを見てジェネシスを始め一同は顔を真っ青にしていた。かつてとある事故でツクヨに投げ飛ばされた経験のあるジェネシスは、もしレイが同じようなことをしたら、レイに恐ろしい事態が起きる事を想像してしまった。
「ツクヨさんのは、とっても柔らかくて気持ちいいですね!」
「ほう、そうか。まあわっちのはそこそこあるみたいだがのう」
皆の不安に反してツクヨは柔和な笑顔でレイに対して答えた。皆は思わぬツクヨの対応に固まってしまう。
「全く……わっちがこのような娘相手にそのような大人気ない事をするはずがなかろうに。そも、同性から触られたくらいで何を慌ててあるのじゃ主らは」
呆れた顔でツクヨは皆に対して言った。
そして最後、レイが標的にしたのは……
「では最後に、イシュタルさんです!」
「ちょ、ちょっと!私までやるの?!」
未だレイの検証を受けていないイシュタル。
イシュタルはやや後退りして逃げようとするも、その両腕をガシッと拘束する者達がいた。
左右から腕を拘束する、イシュタルの幼馴染みのティアとオルトリア。
「凛ちゃん、ここは腹を括ろうね?」
「貴女だけ検証を受けてませんから。大丈夫です、みんな揉まれたら怖くない、です」
「レイちゃん、ゴー!!」
ティアの掛け声を受けて、レイは「はーい!」と威勢よく答えて走り出し、その胸に触れた。
「んひゃあっ?!」
イシュタルはくすぐったい感触に思わず嬌声が上がる。
「イシュタルさんのは、とってもすべすべですね!」
「ぐっはぁ?!」
レイの純真無垢なコメントがイシュタルにはどうやら地雷だったようで、イシュタルはクリティカルヒットを受けて地面に崩れ落ちた。
「すべすべ、ね……」
「そっか……イシュタルさんはそんなにないのか……」
それを聞いて安心したように、若干勝ち誇ったような笑みを浮かべるサチとハヅキ。
「お騒がせしました。検証にご協力いただき、ありがとうございました」
レイは一頻り女性メンバーの胸を探究し終え、皆に一礼をした。
「それで、どうですか?パパ。私のレポートは参考になりましたか?」
「さ、参考ってなぁ……」
レイの言葉にジェネシスはただ困惑し、答えづらそうにしている。それに対して女性メンバー全員は『ここまで来たら言え』とばかりに、ジェネシスに対して無言の圧力をかけている。
ジェネシスは少し考え込んだ後、ゆっくりと息を吸って切り出す。
「……いいか、レイ。男ってのはな、女性の胸なら誰のでもいいわけじゃあねえ。
好きな女の胸が好きなんだよ!!」
「え、ええぇぇぇぇーー?!」
レイはジェネシスの言葉を聞いて目を見開いて叫んだ。
「つ、つまり…パパはママの胸部が一番好きって事ですか?!」
「そうだよ!つまりそう言ってんだよ!」
「何言っちゃってるの久弥あぁぁぁぁ!!!」
レイの聞き返しに対してジェネシスはもうヤケクソ気味になって答え、恥ずかしさのあまりティアがジェネシスを殴りつけた。
するとそこへ……
「あんた達も餌食になったのね……」
リズベット達が同情じみた視線でティア達を見つめながらやって来た。
アスナ達も以前、ユイから同じような被害にあっており、一悶着あった者達だ。
「本当にご愁傷様ね、あんた達」
やれやれと首を振りながらシノンは言った。
リーファやシリカ、フィリアもうんうんと頷く。
「……とりあえず、私たちのやる事は決まったわね」
ティアが鋭い眼光を放ちながら皆に告げると、全員同意して武器を手に取った。
キリトとジェネシスは苦笑いを浮かべながら、あの無精髭の侍に対して静かに祈りを捧げた。
数十分後、宿の食堂にクラインがやって来た。
「よう、もう全員揃ってたのか」
クラインはいつもの軽い調子で皆に手を振りながら食堂に入る。
するとキリトとジェネシスがゆっくりと立ち上がり、彼の両腕を左右から拘束する。
「お、おい?なんだ、何すんだよおめぇら?」
「クライン、残念だが俺たちはお前を救ってやれない」
「グッバイ、クライン……お前のことは、忘れねぇぜ」
クラインに対して別れの挨拶を交わすジェネシスとキリト。そんな彼らへジリジリと歩み寄る女性陣。
「クライン…………
悔い改めて」
瞬間、女性陣の攻撃がクラインに向けて炸裂した。
「ンギャアァァァァァ───────!!」
「クラインが死んだ?!」
「この人でなし!!」
お読みいただきありがとうございます。
ホロフラ編で個人的に一番好きなイベントをやらせていただきました。
感想欄で少し文の書き方に指摘を頂いたので、今回それを実践してみました。如何だったでしょうか?
さて、次回はどうしようかなあ〜……
では、次回もよろしくお願いします。