二回に分けようかと思いましたが、もう纏めちゃいました。
三十五層 迷いの森
ここで、とあるパーティがアイテム分配している時にトラブルが発生していた。
「あんたはそのトカゲが回復してくれるから回復結晶なんていらないでしょ?」
赤髪の槍使いの女性プレイヤーは前髪を弄りながらそう言ってのける。
その相手は、頭に子竜を乗せた、まだ年端もない小さなツインテールの少女だ。
「ロザリアさんだって、ろくに前衛に出ないのに回復アイテムなんて必要なんですか?!」
ロザリア、と呼ばれた女性は尚も髪を弄りながら
「勿論よ。お子ちゃまアイドルのシリカちゃんみたいに男が回復してくれるわけじゃないもの」
そう言った。
その言葉でシリカは益々機嫌を悪くする。
「分かりました」
シリカは意を決してロザリアを睨み付け、
「アイテムなんていりません!もう貴女とは絶対に組まない!私をほしいって言うパーティは幾らでもいるんですからね!!」
そう言ってシリカは背を向けて歩き出した。
パーティの男性たちが止める声が響くが、彼女は気にすることなく森の中へ歩いて行った。
ーーーーーーーーーーーー
パーティと別れたシリカは、一人森の中を歩いていた。
迷いの森という名が付いている通り、そこは地図が無ければまともに進めないマップだ。
だがそんな森の中で、シリカは運悪くこのフィールドの中で手強いモンスターの部類に入る『ドランクエイプ』というゴリラ型のモンスターとエンカウントしてしまったのだ。しかもその数は三体。
ここで逃げていれば、あんな悲劇は起こらなかっただろう。しかしシリカは、ついさっきもこのモンスターと戦いしかも倒しているので大丈夫だと考えた。とは言え、それはあくまでパーティで戦っていたからであって、幾ら相棒の子竜『ピナ』がいるからと言ってこのモンスター三体を一人で相手するなど無謀にも等しかった。
最初こそソードスキルと持ち前のAGIを生かして善戦していたシリカだったが、ドランクエイプは回復薬を取り出しシリカが削ったHPを全快してしまったのだ。
それに加え、逆にシリカの回復アイテムは完全に底を尽きていた。ピナが回復してくれるものの、それでは回復アイテムには遠く及ばない。
回復アイテムがない事に気付いたシリカの一瞬の動揺を突き、ゴリラは棍棒をシリカに振り下ろした。
「きゃっ?!」
シリカは大木に激突し、HPは一気にレッドゾーンにまで減少した。
武器も落としてしまい絶体絶命の危機。だがゴリラはシリカにとどめを刺そうと棍棒を振り下ろした。
『きゅるるるっ!!』
だがその攻撃を咄嗟に飛び出したピナが庇った。
ピナの小さな体は吹き飛ばされ、地面に落下する。
「ピナ!!」
シリカは慌ててピナに駆け寄った。
ピナのHPは一気に減少し、ゼロとなってピナの身体は消滅した。
シリカはその光景にただ呆然と涙を流して座り込むだけだった。そんな彼女に、ドランクエイプは今度こそとどめを刺そうと棍棒を振り上げる。
シリカはそれを見て逃げることもせず、ただそれが振り下ろされるのを待った。
だが突如、ドランクエイプは動きを停止し、その身体が少しブレた後爆散した。
そして、四散したドランクエイプの破片が光を帯びて舞う中で、現れたのは黒と赤の装備に身を包んだ赤髪の男性プレイヤーだった。
黄色い瞳をこちらに向けながら、彼は大剣を左右に振って背中の鞘に収めた。
シリカは目の前に落ちた羽ーーピナが消えた直後に落ちたものーーを拾い上げる。
「ピナ……あたしを…あたしを独りにしないでよぉ……うああぁーー……」
シリカはその羽を胸に抱えて泣き噦った。
「おめぇさん、その羽は……?」
赤髪の男はシリカに話しかけた。
「うぅっ…ピナです……あたしの……あたしの大事な……っ……!」
シリカは泣きながらこの羽と相棒の子竜のことを話した。
「あー、そうか。おめぇビーストテイマーって奴か。
そいつは済まなかったな、大事な友達、助けてやれなくてよ……」
男はそれを聞いて申し訳なさそうに言いながら歩み寄る。
「いえ……いいんです、あたしが馬鹿だったんです……一人でこの森を抜けようとしたから……ありがとうございます、助けてくれて……」
シリカは首を振り、男の方に振り向いて礼を言った。
すると男は「あっ」と何かを思い出したように手を打ってしゃがみ込み、
「因みに、その羽アイテム名とかあるか?」
シリカはそれを言われて羽を確認する。
「『ピナの心』……ううっ…」
シリカはそれを見て再び涙が目に溜まった。
「よーしよし落ち着け、まだ泣くのは早いぜ。
『心』ってついた名前のアイテムがあれば、おめぇの友達復活できるぜ」
シリカは目を見開いて男の方を見る。
「えーっとな……確か45層にある『思い出の丘』っつうフィールドダンジョンの天辺に咲く花を取れば、使い魔を蘇生する事が出来るらしいぜ」
シリカは歓喜の表情を浮かべるが、とある事を思い出し再び表情が沈んだ。
47層。自分のレベルは44。安全マージンどころか階層数にも達していない。
「でも、情報だけでも有難いです!頑張ってレベリングすればいつかは……」
「いいや、残念ながら蘇生できるのは死んでから三日以内だ」
シリカの言葉を男は首を振って否定した。
途方に暮れ再び涙目になるシリカ。
すると男は立ち上がり、メニュー欄を操作する。
直後目の前にトレード画面が表示され、シリカが見たこともないような高レベルの装備品が出た。
「使え。こいつらがあれば5レベルは底上げできるはずだ。後はまあ、俺とパートナーの奴が行けば大丈夫だろ」
シリカは立ち上がって尋ねた。
「どうして……そこまでして下さるんですか?」
「あん?何でって……あれだ、人助けに理由なんざ要らねーって言うだろ?」
シリカはそれを聞いてキョトンとしていたが、吹き出してしまった。
「……何がおかしいんだよ?」
男はジト目でシリカを見ながら言う。
「あはは……言え、なんか変な人だなぁ〜、って」
「人助けして変人呼ばわりされたのは初めてだぜ……」
男は苦い顔で顔を背けた。
「あはは、ごめんなさい……あ、これじゃ全然足りないかもしれないですけど……」
シリカはトレード画面から所持金を幾らか下ろし渡そうとするが、男は画面の✖︎ボタンを押して拒否した。
「バッカ、要らねえよ。どうせ使い道のなかったアイテムだし、おめぇみたいな幼女から金たかるほど人間落ちちゃいねぇよ」
「そ、そうですか…何から何まですみません、本当に」
シリカはぺこりと頭を下げた。
「あ、あたし『シリカ』って言います」
「おう、俺は『ジェネシス』だ。よろしくな」
シリカとジェネシスは握手を交わした。
「何が“よろしく”だ馬鹿者」
突如、シリカではない女性の声が響き、その直後にジェネシスの頭を何かが蹴り飛ばした。
「ゲッフアッ?!!」
悲鳴を上げてジェネシスは倒れ込んだ。
シリカが見ると、ジェネシスが立っていた場所の後ろに、銀髪で白い装備に身を包んだ女性プレイヤーが立っていた。
女性は戸惑っているシリカを他所に、倒れ込んだジェネシスの胸ぐらを掴んで起き上がらせる。
「全く、人が見てない間にお前は何をナンパしてるんだ。しかもこんな幼女を相手に。ロリコン認定するぞ」
「俺はロリコンでもフェミニストでもねぇよバカ。後ナンパじゃねえ、ちゃんとした人助けだバーロー」
ジェネシスは口を尖らせながら反論した。
「なんか、さっきからすごく失礼な事を言われてる気が……」
シリカは思わずそう零した。
「気のせいだシリカ。気にしちゃダメだぞ?
おい、おめぇも早くこいつと自己紹介くれぇしろ。シリカがビビりまくってんぞ?」
「別にビビってなんかないですよぅ!」
ティアはジェネシスを引っ叩いて黙らせると、立ち上がって柔和な笑顔で
「済まない、見苦しいところを見せたな。
私は『ティア』、ジェネシスのパートナーだ」
そう言って右手を差し出す。
「あ、はい!あたしは『シリカ』です。ジェネシスさんには、先ほど助けてもらって……」
「そうらしいな。このバカが失礼な事をしなかったか?」
「いえ!全くそんな事は無いですよ!」
「そうか、ならば良い。それで、この後はどうするんだ?」
「あー、とりあえず街に戻るか」
ジェネシスの一言で二人は賛成し、一先ずこの層の街に戻った。
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三十五層 ミーシェ
シリカが普段寝泊まりしている宿までジェネシスとティアが送り届ける途中、何人もの男性に声を掛けられた。
内容はどれもうちのパーティに入らないか、と言うものだったが、シリカはジェネシスとティア達と組む事を理由に断った。
男性達は皆ジェネシスにあからさまに嫉妬の目線を向ける。シリカは勿論、とある人全てが二度見するほどの美貌を持つティアの二人とパーティを組んでいるジェネシスが羨ましいのだ。
だがジェネシスはそんな嫉妬の目線を向ける男達を一瞥するだけで下がらせた。ジェネシスに睨まれた男達は皆情けなくも尻尾を巻いて逃げていく。
「…人気者だな?シリカ」
逃げていく男達を見つめながらティアは苦笑しながら尋ねる。
「違いますよ。マスコット代わりに入って欲しいだけなんです、みんなは」
SAOではあまり見かけない女性プレイヤーであり、可憐な見た目、しかもフェザーリドラをテイムしたプレイヤーともなれば目立たない筈もない。
「なのに、『竜使いのシリカ』なんて呼ばれて、いい気になって……」
そう言いながら、自分が惨めになり涙目になるシリカ。
いつもはあった頭に感じる重さは今は無い。
あの子竜が死んだのは自分の不甲斐なさが原因だと、シリカは自分を責めた。
「おいこら、そんな自分を責めるな」
だがそんなシリカを、ジェネシスがシリカの頭をわしゃわしゃと撫でながら宥めた。
「心配すんな。ピナは絶対に生き返るさ。だから堂々と前向いてろ。主人のしょげた姿なんざ、使い魔は見たくねぇだろうぜ?」
「その通り。私たちもついてる。だから安心してくれ」
ジェネシスとティアが左右から優しく語りかけ、シリカも安心したような笑顔になる。
「そう言えば、お二人のホームって……」
ふとその事が疑問になりシリカは尋ねた。
「あー、いつもはもう少し上なんだが……面倒くせぇし今日はここでいいか」
「ああ、私もそれで構わない」
ティアもそれに賛成した。
シリカはそれを聞いて満面の笑みを浮かべ
「じゃあ、早速行きましょう!ここのチーズケーキ、凄く美味しいんです!」
「そうか、それは楽しみだな」
ティアも微笑みながら返した。
「あらぁ?シリカじゃない」
ふと聞き覚えのある声がシリカの耳に届いた。
振り向くと、そこには今自分が最も会いたくない人物がいた。
「ロザリアさん……」
シリカは思わず顔をそらした。
「無事に森を抜けられたのねぇ?良かったじゃない」
ロザリアは嫌味を含んだ声で言いながらシリカに近づいてくる。
「あら?あのトカゲどうしたのよ?……もしかしてぇ」
さらに厭らしい笑顔を浮かべながらシリカの顔を覗き込んでくる。
「ピナは死にました……でも絶対に生き返らせます!」
シリカはロザリアの顔を見据えながらきっぱりとそう告げた。
「へぇ〜、なら《思い出の丘》に行くのね?でもあんたのレベルで突破出来るのぉ〜?」
そう言い返してきたロザリアに反論できずシリカは口籠る。
「余計なお世話なんだよババァこのヤロー」
するとジェネシスがシリカを庇うようにに出て、ロザリアを威圧感ある目で見下ろしながら言った。
「テメェの心配なんざ無用だ。あそこはそこまで難易度の高いダンジョンじゃねえしな」
ロザリアは少しジェネシスに圧倒されていたが、すぐにまた陰険な笑みを浮かべ
「ふぅ〜ん?まあ見た所は強そうじゃない。まあでも、強そうなのは見た目だけで、そこら辺で威張り散らしてるだけのただの小物でしょ?チンピラと変わんないじゃない。どうせ、そこのシリカちゃんに体でたらし込まれたクチなんじゃないの?」
次々に出てくる暴言にジェネシスは顔色ひとつ変えずに黙って聞いていた。そして軽く「へっ」と笑い、言葉を続けようとしたが……
「おい」
突如ティアの声が響き、次の瞬間ロザリアは宙を舞っていた。
空中を一回転し、地面にへたり込む形で着地する。
そんな彼女を、ティアは冷徹な目で見下ろした。
「ぐっ……な、何を……?!」
ロザリアは怯えて震えながらティアを見上げた。
「…言動には気をつけろ。何人たりとも、この人に対する侮言を放つ者は私が許さん。憶えておけ」
完全に怒り心頭のティアをジェネシスが諫めた。
「落ち着けティア。嬉しいけど周りの視線が痛い」
ティアはゆっくりと周りを見渡すと、そのままジェネシスの方へと歩く。
「…シリカ、行こうぜ?」
ジェネシスがそう促し、シリカも後に続く。
ロザリアは未だに立ち上がれずにいた。
ーーーーーーーーーーーー
三人はシリカの寝泊まりしている宿屋につき、夕食をとった。
三人は各々これまでの話や、少しだけ自分の現実での話で盛り上がり、和気藹々とした雰囲気で晩餐を楽しんだ。
「……どうして、あんな意地悪言うのかな?」
ふと、シリカは先ほどのロザリアの事が頭をよぎり、呟く。
「……どんなゲームにも悪人はいるさ。善人だけがゲームをやってるわけじゃねえからな。中には進んで悪事を働く奴とか、悪を演じる奴もいる。ここだって例外じゃねえ」
シリカは顔を上げてジェネシスの方を見た。
ジェネシスはどこか虚空を見つめている。
「だが、この世界で悪事を働く奴は全員現実でも性根が腐った奴だと俺は思ってる。この世界に法律はねぇが、それでも許されることじゃあねえ。茅場のヤローが言ってた通りだ。ここはゲームであってゲームじゃねえ。
なのにここじゃ、進んで人殺しをしやがるバカがいやがる」
「そんな、人殺しなんて……」
シリカは息を呑みそう返した。
デスゲームであるこの世界でまさか人殺しをするプレイヤーがいるなど思いもしていなかった。
「因みにだが……今俺たちのカーソルはグリーンになってるだろ?だが、もし圏外で犯罪行為を行った場合、カーソルはオレンジになるらしい。そしてそれ以上にやべえのがレッド。こいつらは自分から進んで人殺しを楽しむ狂った奴らだ」
シリカは驚きで何も言えなくなっていた。
「この世界で死んだら、マジで死ぬんだ。なのにどいつもこいつも、命なんだと思ってやがんだ……」
ジェネシスは吐き捨てるようにそう零した。
「……でも、ジェネシスさんはいい人です!だってあたしを助けてくれたから!それにティアさんだって!!」
シリカは身を乗り出してそう言った。
一瞬面食らった表情をしていた二人だったが、
「……へっ、そうかよ」
「ありがとうな、シリカ」
優しい笑顔でそう言った。
ーーーーーーーーーーーー
早々に夕食を済ませて、三人は宿部屋に入る。
偶然にもジェネシス・ティアとシリカの部屋は隣で、お互いおやすみと言い合って部屋に入る。
部屋に入った後、シリカはラフな部屋着に着替えベッドに入る。
ふと、シリカは左隣の壁を見た。そこはジェネシス達の部屋だ。この宿屋は基本的に一人部屋。つまりベッドもシングルで一人用だ。
まさか、一人用ベッドに二人で……
余計な事を考えないようにシリカはブンブンと頭を振った。
「(もっとお話しがしたいな……)」
シリカはそう思い立つと、部屋を出てジェネシス達の部屋をノックした。
中から「空いてんぞ」と声がし、シリカはドアを開けた。
ドアを開けると、先程までの黒と赤の装備からラフな黒Tシャツとスウェットズボンに着替えたジェネシスと、青いキャミソール姿のティアが出迎えた。
「あ、すみませんこんな時間に……明日のことを聞きたいと思いまして」
シリカは咄嗟にそう言い訳を考え、そう伝えた。
ジェネシスはとあるアイテムを取り出すとテーブルに置く。
「あの……これは?」
見慣れないアイテムを見てシリカは首を傾げる。
「ミラージュ……コロイド、だっけ?」
「《ミラージュ・スフィア》だ。アインクラッドの各層をホログラムで展開してくれる」
アイテム名をど忘れしたジェネシスの代わりにティアが説明をした。
ジェネシスは47層を表示し順番に話していく。
「えーっとな……ここが主街区な。んで、この道をまっすぐ南に降りたら……」
そこまで話すとジェネシスはふとドアを見た。
ティアも険しい顔でシリカの前に立つ。
そして、勢いよく駆け出し、ドアを思い切り開けた。
外には誰もいなかったが、何者かが走り去っていく音が響いた。
「ジェネシスさん、一体……?」
何が起きたのか分からずシリカは疑問符を浮かべている。
「……ちっ、どうやら聞かれてたみてぇだな」
舌打ちし、苦い表情で廊下を見るジェネシス。
「で、でもドアをノックしないと中の音は聞こえないんじゃ……」
「聞き耳スキルを高めている場合は別だ。まあ、そんなものを上げてるやつなど、滅多にいないがな……」
シリカの疑問にティアが顎に手を当てながら答えた。
「じゃあ、一体誰が……?」
シリカは不安げな表情でドアを見つめる。
「……ま、それも明日になりゃ分かることだ。とりあえずシリカ、てめぇは一応今夜はこの部屋で休め。何が起きるか、わかんねぇからな」
シリカは黙って頷いた。
その後、ジェネシスとティアとの三人でまた談笑を交わした後、シリカは先に眠った。
「……すっかり寝ちゃったね」
ティアはベッドで眠るシリカを慈しむような目で見ながら呟く。
「色々あったみてぇだしな……しっかし、明日は荒れんだろうなぁ」
ジェネシスは椅子にもたれながらそう述べた。
そして、視線をティアの方に向け
「…ティア。俺を大事にしてくれんのはありがてぇが、明日は抑えてくれよ?」
今日のロザリアに対するティアの行動から、明日もしかしたらティアがまた同じようなことをするかもしれないことをジェネシスは懸念して忠告した。
「……うん、善処する。でも、無理。ジェネシスが……久弥があんな風に馬鹿にされるのは、本当に頭にくるし」
ティアは目を伏せつつも、ロザリアがジェネシスに放った言動を思い出しまた怒りが湧き出したのか握りこぶしを作って固く握り締めている。
ジェネシスはそんな彼女を見てため息をつき、ティアの握りこぶしに右手を添えた。
「馬ァ鹿野郎。おめぇがあんなクソどもにわざわざ怒る必要はねぇよ。そんな価値も連中にはねぇ。俺なら大丈夫だ、心配すんな」
「久弥……」
ティアは心配そうな目でジェネシスを見つめていたが、ふっと安心したように笑顔になり、ティアは椅子から降りて床に正座した。
「ねぇ、久弥。そろそろ休もう?」
「ん?ああ、そうだな。そうだが……なんで正座なんかしてんだよ?」
ジェネシスはティアが何故正座をしたのか分からないようなので、ティアは自分の膝の上を指差す。
「……え?お前マジで言ってんの?」
「マジもマジ。大マジだよ?」
ジェネシスはティアが何をしようとしているのかを察したようだ。
「いやいや、じゃあおめぇはどうやって休むんだよ?」
「私はこのままでも寝られるよ。いいから早く来て?」
ジェネシスはそう言われて断るわけにもいかず、言われた通りにティアの膝に頭を預けた。
「おお……」
ティアの膝……否、後ろ頭に感じる太ももの感触に言いようもない感嘆の声を上げた。
「寝心地はどう?」
「最高だな。これ以上寝心地の良い枕を俺は知らねぇ」
「ふふっ、それは良かった」
ティアは満足気に笑みを浮かべながら、ジェネシスの頭をゆっくりと撫でる。
その感触の心地よさに、ジェネシスは徐々に眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
四十七層 フローリア
次の日、ジェネシス一行はいよいよピナの素性アイテムを手に入れるため、目的の層に来ていた。
「わぁ……夢の国みたい!」
シリカは一面に広がる花畑を見て目を輝かせた。
「ここは別名“フラワーガーデン”って言われていて、フロア全体が花畑なんだ」
ティアの説明を受け、シリカは辺りを見渡した。
周りには男女のプレイヤーばかりなのに気づき、一気に顔が赤くなる。
「おい、大丈夫か?」
ジェネシスがシリカの肩をトントンと叩く。
「え、あっはい!大丈夫ですよ!!」
「そか。んじゃ行くぞー」
気の無い声で颯爽と行くジェネシスと、それに寄り添うように隣で歩くティアを見て、シリカはふと思った。
(あの二人って、お付き合いしてるのかな……?」
シリカにはあの二人がパートナーにしては仲が良すぎるように見えたが、今はその考えは捨て置き二人についていく。
そして数分歩いたところで、目的の《思い出の丘》の入り口にたどり着いた。
するとジェネシスがポケットから転移結晶を取り出し、シリカに手渡す。
「ほい、持っとけ」
「え?ジェネシスさん、これは……?」
シリカは何故こんな貴重なアイテムを自分に手渡したのか分からないようだ。
「ま、今のおめぇのレベルならここのダンジョンは問題ねぇだろうが……何が起きるかわかんねぇからな。やばくなったらそれで逃げろ。いいな?」
「私達なら大丈夫だから、約束してくれ」
二人にそう言われ、シリカは黙って頷いた。
「うーし、そんじゃイクゾー」
そして数十分歩き続けていると、何かがシリカの足に絡まる音が響いた。
「え?わ…キャアアアァァーー!!」
直後シリカは足から引っ張られ宙づりにされる。
「およ?」
「シリカ?!」
音に気づき慌てて振り返るジェネシスとティア。
シリカは逆さ吊りにされており、その下では食虫植物に似たモンスターが大きな口を開けていた。シリカはスカートが捲れないように左手で抑え、右手で短剣をブンブンと振り回している。
「いやああぁぁぁーー!!ジェネシスさん!見ないで、見ないで助けてえぇーー!!」
シリカは涙目で泣き叫ぶ。
「そんな無茶苦茶なこと言わんでくれ」
ジェネシスは体ごとシリカから背けて立っている。
そしてその喉元にはティアが刀を引き抜き突きつけていた
「おいジェネシス……見たらどうなるか分かってるよな?」
笑っているが目が笑ってない表情でジェネシスの耳元に囁くティア。
その後シリカの方に振り向き、いつも通りの顔で
「落ち着け!そいつ弱いからすぐに倒せる!」
「は、はいっ!この……いい加減に、しろぉ!!」
シリカはツタを切ってそのまま落下の速度に乗せてソードスキル『ラビット・バイト』でモンスターのHPを消しとばし消滅させた。
着地したシリカは赤面した顔でジェネシスを見ながら
「見ました……?」
と尋ねる。
「いんや、見てない」
ジェネシスは未だシリカに背中を向けたまま答える。
「ああ、見たらお前の首が飛んでいるからな?」
ティアがそう言いながら刀を腰の鞘に収める。
ーーーーーーーーーーーー
その後も幾らか戦闘をこなし、シリカのレベルも着々と上がっていく中、遂に目的地に到着した。
「ここに……蘇生アイテムが?」
「ああそうだ。多分あれだな」
そう言ってジェネシスが指差した先には、台座のような岩があった。
シリカは走ってその台に行くと、一輪の花が咲いていた。
手に取ってみるとアイテム名が表示された。
《プネウマの花》
これが今回の目的物。この花があれば使い魔を蘇生することができる。
シリカはその花を胸に抱きしめるように抱える。
「良かったな、シリカ」
ティアも笑顔でシリカの頭を撫でる。
「けど、ここじゃ手強いモンスターも多いからな。生き返らすのは、街に戻ってからにしようぜ」
「…はい!」
シリカは喜びの涙を拭ってそう答えた。
帰り道は幸いモンスターとエンカウントすることは無かった。
シリカは再び相棒の子竜と旅ができることへの嬉しさで終始有頂天だ。
そして、もうすぐフィールドの出口である橋に差し掛かったところで、ジェネシスが険しい顔でシリカを制した。
「ジェネシスさん?」
シリカは目を丸くしてジェネシスを見上げるが、当のジェネシスは未だ前を睨んでいる。
ティアもシリカの前に出た。
「…おい、最初から気づいてんだよ。さっさと出てこいコラ」
威圧感のある声でそう告げた直後、少し先の木の陰から女性プレイヤーが現れた。
「ろ、ロザリアさん?!」
シリカは驚き声を上げた。
彼女は三十五層にいたプレイヤーだったのだ。
「…あたしのハイディングを見破るなんて、随分高い索敵能力をお持ちのようねぇ剣士さん達」
ロザリアはそう言いながらシリカに視線を向ける。
「その様子だと、首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね、おめでとう……じゃ、早速その花を渡して頂戴」
一瞬の微笑みの後、醜悪な笑みに変えそう告げた。
「な、何言ってるんですか?!」
シリカは信じられない、という表情で叫ぶ。
「ああまったくだ。こんな小せえ女の子からまたたかるつもりか?どこまでも腐り切ってるみてぇだなテメェの性分は、ええ?……
ジェネシスは数歩前に踏み出しながらそう言ってのけた。
「……へぇ?」
対するロザリアからは醜悪な笑みが消えた。
「オレンジ……?でも、ロザリアさんはグリーン……」
未だ理解できずにいるシリカに、ティアがその手口を伝えた。
「オレンジギルドといっても、全員がそうなわけじゃない……グリーンのメンバーが獲物を見繕い、オレンジのメンバーが待つポイントまで誘い出すのさ」
「んで、今回のターゲットはどうやらおめぇだったみてぇだぜシリカ。夕べ俺たちの会話を盗み聞きしたのも、奴の仲間ってわけだしな」
ティアの説明にジェネシスが補足を加える。
「じゃ、じゃあ……この二週間同じパーティにいたのは……!」
「そうよぉ。あのパーティの戦力を分析して、お金が貯まるのを待ってたの」
そう言ってロザリアは舌舐めずりをする。
その光景にシリカの背中に悪寒が走った。
「一番楽しみだった獲物のあんたが抜けてどうしようかと思ってたけど、なんかレアアイテムを取りに行くって言うじゃない?
でも、そこまでわかっててその子に付き合うなんて、あんた達馬鹿ぁ〜?」
嘲笑しながら言うが、ジェネシスはまったく意に介さない。
「馬鹿なのはそっちだ」
「私たちも、貴様らを探していたのさ」
ジェネシスとティアはそう言い切った。
「…どう言う意味かしら?」
ロザリアは疑問符を浮かべ尋ねる。
「貴様、十日前に『シルバーフラグス』というギルドを襲撃したな?メンバー四人が殺され、リーダーだけが脱出した…」
険しい顔でティアは言う。
「……ああ、あの貧乏な連中ね」
ロザリアは興味なさげに前髪を弄りながら答える。
「リーダーだった男は、毎日最前線の転移門前で仇討ちしてくれる奴を探してたんだ。あいつは依頼を受けた俺たちに、テメェらを殺すんじゃなく牢獄にぶち込んでくれと頼んだぜ……てめえあいつの気持ちがわかるか?」
僅かに怒気を孕んだ声でそう訊くが、
「分かんないわよ。マジになっちゃってバカみたい。ここで人を殺したってそいつが死ぬ証拠なんて無いし。
それよりあんた達自分の心配をした方がいいんじゃ無い?」
そう言って指を鳴らす。
直後、ロザリアの周りの木の陰から次々とプレイヤーが武器を構えて現れた。その数は七人。しかも揃ってカーソルはオレンジだ。
「なっ……人数が多すぎます!脱出しないと!」
慌てるシリカだが、
「大丈夫大丈夫、心配すんな」
呑気にそう言ってジェネシスはゆっくりと歩き出す。
「ああ、シリカは私の後ろにいてくれ」
そう言ってティアもシリカを自身の後ろに下がらせる。
「で、でも……ティアさん!ジェネシスさんも!!」
シリカがそう叫んだ直後。
「え?ティア……ジェネシス……?」
オレンジの一人が彼らの名を呟き、二人を見比べ後ずさる。
「黒と赤の装備に身の丈ほどの大剣を背負った男性プレイヤー……刀装備に銀髪、白い装備……ま、まさか……『黒の剣士』と『白夜叉』!!」
そして彼は青ざめた顔でロザリアに
「やばいですよロザリアさん!!こいつら、最前線にコンビで挑んでるビーターとビギナーの……攻略組だ!!」
「攻略組……ティアさんとジェネシスさんが……?」
そこでシリカはとある噂を思い出した。
デスゲームであるこのSAOで、常に命をかけて最前線に挑み続けるエリートプレイヤー集団のことを、人々は《攻略組》と呼ぶ。
しかしその中で、特に一目置かれるプレイヤーにはいつしか二つ名がつけられた。
『黒の剣士』キリト
『閃光』アスナ
『黒の剣士』ジェネシス
『白夜叉』ティア
この四人は攻略組の中でもさらに実力が秀でていると言われており、この四人を纏めて《アインクラッド四天王》とも呼ぶことがある。
その四天王のうちの、しかも二人が揃って目の前にいて、更に一緒に冒険や寝泊まりまでしたと言う事実に漸く気づいたシリカは改めてジェネシスとティアの背中を見る。
ロザリア達の方も漸く自分たちが相手にしている者達の正体が理解できたようで、先程までの余裕な雰囲気はとうに消えている。
「攻略組がこんなトコにいるわけないじゃない!
ほら、さっさと始末して!身ぐるみ剥いじゃいな!!」
ロザリアがそう叫んだ。
「そ、そうだ!攻略組なら、すっげえレアアイテムを持ってるかもしれねぇぜ!!」
一人が気を取直して叫んだのを皮切りに
「オラアァァーー!!」
「死ねやあぁぁーー!!」
七人が罵声を上げながらソードスキルを発動しジェネシスに斬りかかった。
ジェネシスの方は反撃するどころか剣も抜かずに一切動かずに黙って攻撃を受け続けている。
「やめて!ジェネシスさんが…ジェネシスさんが死んじゃう!!」
シリカが短剣に手を掛けティアに訴えるが、
「…落ち着け、シリカ。ジェネシスのHPを見てみろ」
シリカは言われた通りにジェネシスのHPを見る。
そして目を見開いた。
確かに、HPは削られてはいるが、数秒たったらまた元どおり全快しているのだ。
「ど、どう言うことですか……?」
シリカは訳が分からずそう呟くしかなかった。
やがてジェネシスに攻撃しているオレンジ達も異変を感じたのか、攻撃をやめてジェネシスを囲む形で止まった。
「お、おい…どうなってんだよこいつ……?」
異様なものを見るまで一人がジェネシスを見ながら呟いた。
「あんた等何やってんだ!さっさと殺しな!!」
ロザリアが苛立った声で叫ぶ。
「あ、もう終わりか?
まあ、10秒あたり400ってとこか。それがテメェら7人が俺に与えられるダメージの総量だ。
俺のLVは80、HPは15000、んで更に《バトルヒーリング》スキルによる自動回復が10秒で800ポイントある。
テメェら如きじゃ一生俺を倒せやしねぇよ」
ジェネシスは周りのオレンジ達を見回しながら言った。
「無茶苦茶だ……ありかよそんなの!」
オレンジの一人が声を震わせながらそう叫んだ。
「ああ、ありなんだよ。たかが数字が違うだけで理不尽な差がつく。けどよ、そもそもゲームなんざそう言うもんだろ?」
ロザリアは忌々しげに舌打ちした。
ジェネシスは懐から結晶アイテムを取り出す。
「こいつは、俺たちの依頼人が全財産をはたいて買った《回廊結晶》だ。出口が監獄エリアに設定されてる。テメェら全員、今からこれで跳んで貰うぜ。
ちなみにもし逃げようってんなら……
全員監獄じゃなく地獄に跳んで貰う、今ここでな」
強烈な殺気を放ちながらジェネシスはそう言ってのけた。
嘘などと考えられる余裕はオレンジ達には無かった。
ジェネシスが「コリドー・オープン」と唱え、回廊結晶を展開する。
オレンジ達は観念したのか「ちくしょう」と呟きながら次々に回廊の中へ入って行く。
最後に後ろから静観していたロザリアが残った。
「おい、何してんだ。テメェも入るんだよ」
ジェネシスがロザリアを回廊の中へと促す。
「はっ、それで勝ったつもりかい?やりたきゃやってみなよ、グリーンのあたしを傷つけたら……」
とロザリアが言いかけたところで一陣の旋風が巻き起こる。
次の瞬間ロザリアの首元に銀色の刃が突きつけられていた。
「……ならば死ぬか?今ここで」
非常に冷酷な声が発せられた。
ロザリアが視線を向けると、ふわりとなびく銀髪が見え、次に見えたのは氷のように冷徹な目だった。ティアだ。
ティアが一瞬でロザリアとの距離を詰め、寸前のところで刃を止めたのだ。
昨日向けられた殺気の比ではない、完全に自分を殺しかねないほどのプレッシャーがロザリアに向けられ、ロザリアは思わず地面にへたり込んだ。
ティアは尚も冷酷な視線でロザリアを見下ろす。
「貴様はさっきこう言っていたな……“ここで死んでも現実で死ぬ証拠は無い”と。
ならば……」
そう言ってティアはゆっくりと刀を持ち上げる。
そして
「……自分で確かめてこい」
ティアの刀がライトエフェクトを伴った。
「や、やめっ……!」
ロザリアは片手を前に出し懇願するがティアは聞く耳を持たない。
「私の男に侮言を浴びせただけに飽き足らず、その上命まで奪わんとするとは……万死に値する」
そう言って、ティアは遂に刀を振り下ろした。
パァン!
という甲高い音がフィールドに響く。
ロザリアの首は跳ねられてはいなかった。
「……安心しろ、峰打ちだ」
刀を振り下ろしたティアがそう告げた。
ロザリアはもう言葉を発することができずただ口をパクパク動かしているだけだ。
ジェネシスがそんな彼女の襟を掴んで持ち上げた。
「これで分かったろ、テメェが奪ってきたもんの重さってやつが。たしかにアイテムは売ったら金になるが、命だけは買えねぇし売りもんにもならねぇんだよ」
そう告げた後、ジェネシスはロザリアを回廊の中に放り込んだ。
それを最後に、回廊は閉じられた。
「……済まねぇなシリカ、色々隠しててよ」
「奴らを捕らえるには、私たちの事を隠しておく必要があったんだ。済まなかったな」
ジェネシスとティアは申し訳なさそうに言いながらシリカに歩み寄る。
シリカは一連の出来事に頭が追いつかなくなり、地面に座り込んでいた。
「だ、大丈夫です……お二人は、いい人ですから」
シリカはそう答えた。
「んじゃ、今度こそ帰るぞ」
「あ、あの、すみません……足が、動かなくて……」
シリカの言葉に二人は苦笑しながら手を差し出し、シリカを引き上げた。
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三十五層の宿に戻り、部屋を借りてティアとシリカはベッドに並んで座り、ジェネシスは向かいの壁にもたれかかって立っていた。
沈黙が続いていたが、不意にシリカが切り出す。
「あの…もう行っちゃうんですか?」
「そうだな、五日も前線を離れちまったからなぁ〜。まーた鬼の副長さんにどやされちゃ敵わんぜ。前科もあるし」
ジェネシスが窓の外の夕日を眺めながらそう言った。
「お二人は凄いですね、攻略組なんて…あたしにはとても……」
そう言いながら目を伏せるシリカ。
そんな彼女を、ジェネシスは少し小突いた。
「バーカ言ってんじゃねぇよ。言ったろ、レベルなんざただの数字なんだよ。そんなもん簡単にひっくり返せるさ」
「ああ、その通りだ。お前なら直ぐに上がって来られる。最前線で待ってるぞ」
ティアも優しく微笑みながらシリカの頭を撫でた。
シリカもそれを聞いて笑顔になって頷いた。
「…うし、んじゃさっさとピナを生き返らせようぜ」
ジェネシスがそう促し、シリカはプネウマの花とピナの心の二つのアイテムを取り出し、花の雫を花に滴らせた。
直後、眩い光が羽から発せられた。
(ピナ。いっぱい、いっぱいお話ししてあげるからね!今日の凄い冒険の話と……たった1日だけの、凄いお兄ちゃんとお姉ちゃんの話を)
光を見つめながらシリカは心の中でそう語りかけた。
数秒後、『きゅるるっ』という聞き慣れた、それでいてどこか懐かしく、シリカが最も待ちわびた鳴き声が部屋の中に木霊した。
お読みいただきありがとうございます。
自分、シリカ回って結構好きなんですよ。ロザリアのくだりが書いてて凄くスカッとするし。
そう言えばロザリアの中の人って、千冬姉と同じなんですよね。アニメ見ててなんか聞き覚えあるなぁと思って調べたら豊口めぐみさんでした。
ちなみにティアの二つ名である《白夜叉》は銀さんから取ってます。ティアの二つ名を自分なりに色々考えたのですが、これ以外にいい奴が思い浮かばなかったんですよね。
次回もよろしくお願いします。
評価、感想などお待ちしております。