ソードアート・オンライン〜二人の黒の剣士〜   作:ジャズ

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 いつになったらコロナ終わるんだマジで……()


八十一話 究極の闇

 アスナの指示を受けてもう一度陣形を展開するメンバー達。紫のクウガを取り囲むように展開し、武器を構えて慎重に相手の動きを観察する。先ほどのように無闇に接近すればあの大剣の広範囲攻撃で吹き飛ばされしまう。

 

「……行くわよ」

 

 静かなアスナの声を合図に、ティアとキリトが同時に飛び出す。ティアは刀ソードスキル『散華』、キリトは『ヴォーパルストライク』、アスナは『スタースプラッシュ』をそれぞれ発動し、鋭い刺突による攻撃を同時に3方向から繰り出す。AGIの高い3人の全力の突き技に流石のクウガも反応が遅れ身体の各所に深い刺し傷を受けるが、そのダメージを物ともせず大剣を横薙ぎに振り払って3人を引き剥がす。しかしその直後、ジェネシスとヴォルフが大剣とハルバードを頭上から同時に振り下ろし、クウガに重い一撃を浴びせる。一瞬クウガが怯んだのを機に、ジェネシスとヴォルフは交互に斬撃を繰り出しクウガを抑え込む。既に攻撃パターンを把握している2人は見事な連携技で着実にHPを削り取っていく。2人がクウガを封じ込めている中、キリトとアスナ、ティアとジャンヌの4人はアスナの正確なタイミング指示の下に隙を見て単発高威力のソードスキルを加えて地道にダメージを与えていく。

 ジェネシスとヴォルフの2人とスイッチして入れ替わり、キリトとアスナが前に出た。キリトが左右の剣を交互に繰り出し、アスナは神速によるブーストがかかった流星のように細剣を突き出していく。

 

『であぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 そして背後からジャンヌが旗の先端でクウガの背中を打ち、さらにティアが死角から切り込んで右膝を刀で叩き斬り、バランスを崩したところを全員で畳み掛ける。

 

「食らえええええ!!!」

 

 キリトがジ・イクリプス、ジェネシスがディープ・オブ・アビスを発動。トップクラスの破壊力を持つ2人のソードスキルを受け、クウガのHPは一気にイエローゾーンまで消しとばされた。更にティアが緋吹雪、アスナがクリムゾンスマッシュを繰り出して怒涛の連撃を浴びせていく。そこへ再びジェネシスとキリト、ジャンヌとヴォルフも加わって全員でボスに最上級の技を叩き込んでいく。あらゆる方向から襲いかかる弩級の攻撃を受けてクウガの鎧は大きな火花と破砕音を轟かせて徐々にひび割れていき、露出した生身の肉体を鈍色の刃が抉り切っていく。

 最後にジェネシスが大剣を全力で振り上げてクウガを吹き飛ばし、壁に激突した瞬間にHPを0にして動きを止めた。

 

「〜〜っ、はあ……はあ……」

 

 それを見て緊張が解けたのか、アスナがその場に膝をついて倒れ込む。それに続いてキリトやティア、ジャンヌも床に倒れ伏す。

 

「アキ……勝った……勝ったよ、アキ……っ」

 

 アスナは天を仰いで、両目から一筋の涙を流しながら啜り泣いた。他のメンバーも犠牲になった彼女を悼んで唇を噛み締めながら目を伏せた。

 

 それを黙って見守っていたジェネシスだが、ふと違和感を感じて辺りを見回す。もし、これで終わりならば「Congratulations‼︎」の文字が現れる筈なのだがそれが全く見当たらない。嫌な予感が湧いたジェネシスは弾かれるように倒れ込んでいるクウガの方を見る。

 

 彼が視線を移した時、クウガはそこに立っていた。先程自分たちが与えたダメージをものともせず堂々と立ち続けている。

 

「まだ終わってねえ!!」

 

 ジェネシスが目を見開いて叫ぶ。全員がそれを聞いて起き上がり、クウガの方に一斉に視線を移したその瞬間。

 

『ウウウウウウゥゥゥゥゥゥオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!』

 

 全身に響くほどの巨大な雄叫びをあげるクウガ。そして直後に禍々しい闇のオーラが発生し、その身体を竜巻のように包み込む。

 

 空気が軋み、地が震える。その場にいる全員に対して押しつぶす勢いのプレッシャーを放ちながら、紫の巨人は『究極の闇』へと姿を変える。

 

 闇のオーラが晴れて出現したのは、真っ黒な体躯に金のラインが走った、まさに「闇そのもの」と呼ぶにふさわしい存在。それまでは色があった瞳は黒く染まり、もはやそこに感情は宿していないように感じられた。

 

「嘘よ……まだ終わらないの……?」

 

 その光景を見たアスナが絶望に染まった顔で呟く。先程の戦いで全力を出し切った彼らもヨロヨロと立ち上がるが、その顔には疲弊が滲み出ていた。それでも彼らにここで引き下がる選択肢は無いため、自身の体に鞭を打って剣を構える。

 

 だが次の瞬間、クウガは「トン」と一瞬の動作で飛び出してジェネシスと距離を詰めると、反応が遅れたジェネシスの胴に勢いよく拳を叩き込んだ。

 

「っぐあ……!?」

 

 その強烈な一撃を直で受けたジェネシスは木の葉のように吹き飛ばされ、地面を転がっていく。さらに、起きあがろうとするジェネシスの腹部に激痛が走る。

 

「が、クソが、っ……!」

 

「久弥!?」

 

 慌てて駆け寄ろうとするティアに対して今度は下から拳で彼女の顎を打つクウガ。その一撃で顎が砕け、舌を噛み切ってしまったティアは口元を押さえて声にならない絶叫をあげる。

 

「っ゛〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

 今まで感じたことのない激痛にティアはたまらず地面に蹲ってのたうち回った。

 

「なんだ、一体どうなって……」

 

 状況が読み込めていないキリトに、クウガは容赦なく拳を打ち込んで肋骨をへし折り、続けてアスナに膝蹴りを喰らわせて急所に大ダメージを与える。

 

「っぐああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

「あ、っ……がはっ……!!」

 

 腹部を抑えて絶叫するキリトと膝をついて悶絶するアスナ。普通であればこのような攻撃を受けたところでペインアブソーバーが働くためここまでの痛みは感じない。

 

「まさか……ペインアブソーバーが機能していない!?」

 

 ここで全てを察したリズベットが叫ぶ。つまりあのボスの攻撃を受けるとペインアブソーバーが機能せず、現実とほぼ同等かそれ以上の痛みを感じるということになる。その事実に気づいたリズベットが愕然としていると、目の前にボスの黒い拳が近づく。

 

「リズ!!」

 

 しかしその時、ヴォルフが彼女を突き飛ばして左腕で咄嗟にその攻撃を受ける。彼の逞しい筋肉質な腕は、まるで紙細工のように潰れ、ぐちゃぐちゃに肉片が飛び散る。

 

「ぐあぁっ……!!」

 

 もはや原型を留めていない肉塊と化した自身の左腕を抑えて蹲るヴォルフ。血相を変えてヴォルフに駆け寄るリズを見て興味を無くしたのか、クウガは別の標的を定めてゆっくりと歩き出す。

 

「クソがあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ここでジェネシスが痛みに耐えながら大剣を振りかぶって背後から斬りかかる。しかし彼の赤黒い刃はクウガの身体に傷一つつけられず、ただ火花を散らすだけに終わる。目を見開き呆然とする彼を、無慈悲にクウガは蹴り飛ばした。最早ジェネシスの攻撃は今のクウガには通じず、それはすなわち現時点でクウガを倒す手段はもう残されていないことを意味した。

 完全に「詰み」の状態。最早彼らの敗北は決定したも同然。その事実に絶望した攻略組の面々は力なく項垂れる。

 

 だが……

 

「やれやれ、恐れていた事が起きちまったか」

 

 クウガの前にゆっくりと歩み出る人物が1人。この状況でも不敵な笑みと堂々とした立ち振る舞いをし続ける男、ミツザネ。ここまで静観を保っていた彼だが、ここにきて満を辞して前線に出た。

 

「下がってみてなガキ共。こっからは俺の仕事だ」

 

 ミツザネは拳をゴキリと鳴らし、クウガと対峙する。好戦的でギラついた目でボスを見据えながらこう告げる。

 

「……最強の真髄、見せてやる」

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。なんか気がついたら評価バーが赤になってたり推薦文が二つ書かれてたりでもう有頂天なジャズです。本当にありがとうございます!!
嬉しすぎてもうビーバーになりかけました(笑)
これも普段から応援してくださっている皆様のおかげです。重ね重ねお礼を申し上げます。
では、また次回!
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