ペルソナ6   作:似街楠理

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更新が遅れて申し訳ありません……
評価バーが色付きになっておったまげました。文章力の低さを承知で読んでくれる皆様には感謝しかありません。
これからもよろしくお願いします………。


第四話 4月6日 夜

4月6日 夜 ???

………

………………

………………………

目を開けると見覚えのない天井が広がっていた。自分の居候先の天井とも違う、清潔感あふれる真っ白い天井である。

先程までとても不思議な夢を見ていた気がする。そして本当に今日はよく意識を失う日だ。

 

「………ようやく起きたか。儂がわかるか?」

「母方の祖父、志賀(しが) 尚司(なおじ)さん。自分を引取ってくれた」

「記憶はしっかりしているようだな。……いい友達を持ったな。倒れたお前がここにかつぎ込まれた時、ずっと付き添ってくれていたぞ」

「翔が……ありがたいな……」

「神奈木さんところの坊主だったのか」

「………神奈木さんは有名なのか?」

「日伝市も古く狭い街だからな、未だに地元の名士は強い権限と広い顔を持っている。若いモンは知らない者も多いだろうがここで生きている大人は必ず神奈木さんと関わることになる」

 

こういう田舎町ではよくある話なのだろうか。ということは、実は翔って良いところのお坊ちゃん……?

 

「医者は大丈夫って言っていたが今晩は大事をとって入院だ。あぁ、でも学校は行けよ?」

「わかっている」

 

父方の親戚をたらい回しにされていた自分を引取ってくれた彼には恩義がある。出来る限り返していきたいものだ。

大部屋の1ベッドで寝ているのだが、他に人がいないためにどうにも寂しい。たとえ誰かが居ても喋ることはないだろうが、人の気配があるのとないのでは心理的な負担がまるで違うのだと知った。

………暇だ。先程まで寝ていたせいで目も冴えている。勉強でもしよう。

自分の学生鞄を開くと目を疑うモノが入っていた。

 

「『リソウの三輪 凛那』………。なぜここに?」

 

本のセカイと現実世界をつなぐ歪み『リソウの本』。そして本には向こうのセカイで手に入った謎の栞が挟まっている。開いて確認したいところだが、軽率に開いてまた向こうのセカイに飛ばされたら敵わない。唐突にまた睡魔に襲われる。……疲れているのかもしれない。

今日はもう寝ようか…………。

………

………………

………………………

 

4月7日 朝 病院 《三輪消滅まであと8日》

 

「おはようございます、今日は簡単な検査だけして大丈夫そうなら退院よ」

「よろしくお願いします」

 

朝一番に起こされ、本当に簡単な検査が行われる。医師にいくつか質問をされ、それに答えるとあっさりと退院が決まった。

 

「お大事にね」

「はい、ありがとうございます」

 

自分を担当してくれた看護師の人にお礼を言うと病院から出ていく。そして出てすぐの場所に見覚えのある姿があった。

 

「よっ!よく眠れたか?涼」

「おはよう。昨日はありがとう」

「気にすんなって!向こうのセカイでは俺の方が命救われてんだからさ」

 

翔がわざわざ病院まで迎えに来てくれていた。本当にマメで人のいい男だ。

 

「病院から学校までの道、分かんねーだろ?昨日のこともあるし一緒に学校行こうぜ」

「助かるよ」

 

翔とそのまま道を歩く。病院から学校までは住宅街を超えていくだけなのだが、その道が想像以上にややこしい。翔が来てくれなかったら迷ってたどり着かなかったかもしれない……。

 

「なぁ、それでさイインチョの件なんだけど」

「そういえばなんで三輪のことを『イインチョ』って呼ぶんだ?」

 

確か彼女は役職で呼ばれることは気分が悪いと言っていた。

 

「あ、あー……それ、聞いちゃいます?」

「………じゃあいい」

「いや、話すよ!話させて!?あれは確か1年前……」

「すまない、やっぱりどうでもよかった」

「いや、聞けよ!?もう話す流れだっただろ!?」

 

………絶対大した話ではないと思う。やはりあえて無視を……

 

「もうお前が何考えてんのかなんとなく分かるぞ……。昔俺はイインチョに告ったんだよ!それまでは普通に名字呼びしてたんだけどフラレて気まずいからわざと役職で呼んでんだよ!分かったか、コノヤロー!」

 

前言撤回、すさまじく面白そうな話だった。

 

「告白の言葉は?」

「………『今夜は月が綺麗だな』……って放課後に言った。我ながらセンスあると思ったんだけど、普通に『告白ならごめんなさい』ってフラレた……」

「そもそも放課後なら月は出てないだろう?」

「あ、それもそーだな……」

 

何ということだ。この男、めちゃくちゃ面白いぞ。多分ネットか何かでそのフレーズを知って勢いでそのまま使ったのだろう。夕方に月の話をして告白するとは………確かにセンスはある……。

 

「って、俺の話はどうでもいいんだよ!イインチョはいつ助けるかって話だよ!」

「それなんだが……」

 

昨日自分のカバンに入っていた例の本を翔に見せる。

 

「これって、昨日の……!すぐに開けっ………いや、なんの準備もなしに開けたら危ないか。なぁ放課後空いてるか?」

「常に暇だ」

「それはそれでどうなんだ……?まぁいいや。とにかくちょっと買い物に付き合えよ」

 

翔は何か本のセカイの活動に役立つものを知っているようだ。放課後は彼に付き合ってみよう。

 

午前 日伝南高校 教室

 

「お、おい」

「三輪の席が……」

 

学校につくと三輪が座っていた机がまるまる消滅していた。それどころか出席番号も三輪を飛ばして1つ詰められている。本のセカイに閉じ込められている影響か?

 

「なぁ、イインチョってどこか知ってるか?」

 

早速翔が手近な男子に話しかけている。

 

「イインチョ?何言ってんだよ翔。委員長はお前だろ(・・・・・・・・)?」

「「!?」」

「よお、転校生!分からないことは委員長に聞くのもいいけど、俺達にも聞いてくれていいからな!」

「あ、あぁ。ありがとう」

「………なんだよ、二人とも。様子がおかしいぞ」

 

何でもないとだけ告げてその男子と別れる。これは、三輪の存在がなかったことにされて、他の生徒で帳尻合わせが行われているのか?

 

「じゃあなんで俺達はイインチョのことを知ってるんだ?」

「……ペルソナ使いだから?」

「………嫌味かよ、俺は使えねぇ!」

 

冗談のつもりだったが割と本気で怒られてしまった。翔のセンスをとやかく言えないな……。

 

「本のセカイを知っていることが条件じゃないか?」

「じゃあこれまでリソウの本で変わった人達も……」

 

気付かなかっただけで同じように一時的に消えてしまっていた可能性がある。

 

「ふ……」

「ふ?」

「ふざけんなよ!」

 

翔が怒鳴る。気持ちは分かるが教室内だ。この構図だと自分が彼を怒らせたように見えてしまう。

案の定、何があったのかとみんなざわついている。

 

「気持ちは分かるが落ち着いてくれ」

「………あ、あぁ。みんなもゴメンな!ちょっと昨日見たドラマで盛り上がっちゃってさー!」

 

翔はかなり苦しい言い訳をかますが、クラスメイトも追求するようなことはせず、各々元に戻っていった。

 

「絶対イインチョを消させたりしねぇぞ……!」

「当たり前だ」

 

翔は決意をより強く固めたようだ。自分はそもそも覚悟を決めている。自分がペルソナに目覚めたのはきっとそのためだからと思うから。

 

「でも今日は装備を整えようぜ。決行は明日だ。焦って全滅したら笑えねーしな」

「分かっている」

 

翔は熱しやすいところもあるが芯の部分は冷静だ。何か異世界に対する対抗策があるのだろう。

 

放課後 JL日伝駅

 

「なぜ駅に?」

「いや、駅には用はねぇよ。大体1時間に1本しか電車出ないし」

 

翔とやって来たのはJL日伝駅前にある広場。恋人達が待ち合わせによく使うスポットで日伝市ゆるキャラ、ペンタゴンの金色のオブジェが異彩を放っている。しかしこんな恋人達の園に男と二人だけで来るとはまさか翔にはそっちの気があるのか?

 

「無表情だけどなんとなく失礼なこと考えてるだろ」

「そんなまさか」

「用があるのはこっちの方だよ」

 

翔が指で指し示した先にあったのは

『防具屋 天下無双』

 

「………ドラ●エか?」

「いや、名前はダセーけど剣道の防具とか売ってるんだよ。学生服で突撃とかは嫌だろ?ちょっとでも防御力あげねーとな!」

 

剣道の道具って確かめちゃくちゃ高いんじゃなかったっけ?そんなにお金を持ってないぞ……。

 

「お、その顔は金がないって顔だな?」

「よくわかったな」

「無表情なのに顔に出るよな、お前。目が語ってるのか?」

 

なるほど口が無口な分、目は雄弁にものを語るのかもしれない。

 

「安心しろって。うちの高校も剣道部があってな、高校生用に手軽なヤツも売ってるんだよ」

「それはスゴイな」

「だろー。ま、とりあえず入ろうぜ」

 

翔は躊躇いなく店内に突入していく。もしかしたら店の人と知り合いなのかもしれない。

 

「………いらっしゃい」

「どうもご無沙汰してます」

「……あぁ、神奈木さんとこの……」

 

やはり日伝市での『神奈木』さんは絶大な知名度を誇っているようだ。しかし、翔の顔には少しだけ翳りが見える。

 

「それで?今日は何が欲しいんだ?」

「ちょっと鍛錬をしようと思いまして、安めの防具ありましたよね?」

「………それならあそこの棚だ。臭いもほぼ取ってる」

 

無愛想な店主が指差す方向には古い胴が何個か置いてあった。剣道の防具といえば汗臭い印象が強かったのだが、この店内はそういった臭いが一切しない。新品ばかりなのもそうだが、こういった中古品からもその臭いがしないのはスゴイ。

 

「お、すげーな。これとか2000円だぞ?」

「安すぎる……」

 

隣の新品は最低でも2万円は超えているのに……。

 

「じゃあこれ2個と竹刀2本買うか。竹刀と自分の胴は俺が出すよ。金、足りるか?」

「そっちこそ」

「俺は………やらしい話金は結構あるからいいんだよ」

 

そういうことならありがたく頂戴しておこうか。

 

「………毎度。これはオマケだ」

 

そして最後まで店主は無愛想だったが防具を入れる袋をくれた。学生に優しい防具屋だ。お金が溜まったらもっといい防具を買ってもいいかもしれない。

 

「あ、そうそう。これもお前に渡しておくよ」

 

そういって翔は傷薬と絆創膏と包帯をそれぞれ3つずつ渡してくる。

 

「どれだけ効果あるかは分かんねーけどあったほうがいいだろ?ドラッグストアも駅前にあるからお前も気になるなら買っといてくれ」

「分かった」

 

ドラッグストアの場所を教えてもらった。

 

「じゃあいよいよ明日だな。今日のんびりした分は一気に取り返すぞ!」

「焦らず行こう」

「………し、締まらねーな」

 

翔と別れて、家路についた。

 

夜 自宅

 

「………帰ったか」

「ただいま」

「体調は大丈夫か?しばらくは無理するなよ」

「分かった。ありがとう」

 

志賀さんはわざわざ家で待っていてくれた。自分は彼が仕事の関係で作った(はなれ)で住まわせてもらってる。

 

「………別にお前を出迎えてやるためじゃないからな。仕事に必要な本を取りに来ただけだ」

「そうだったのか」

 

彼は小説家を生業としており、かなり売れっ子らしい。ペンネームを尋ねたことがあるが教えてもらえなかった。この離は自分が来る前は彼の書斎も兼ねていたらしい。だから今でも山ほどの本がある。

 

「お前も気になる本があるなら読んでいいからな。というよりも本を読め。若いうちにたくさん本を読めば人生が豊かになる」

 

そう言って志賀さんは離を後にしていった。

許可も降りたことだし早速どんな本があるか見てみよう。

『人生とは』『言ノ葉を紡ぐ』『愛と恋』『暴れっぱなし将軍』『総合技術力』

手に取れる高さで気になるのはこれだろうか。上の段にも本があるが梯子が古くて不安だ……また今度直せるか見てみよう。

明日はいよいよ三輪のモノガタリに行く。体力温存のためにも今日はもう寝ようか………。




ペルソナ:キャプテン・フック
レベル 4
力 5
魔 3
耐 6
速 2
運 2
核熱無効 氷結弱点
スキル
・フレイ・砲撃

ペンタゴンのペルソナですが紳士を自称する彼にとって略奪の象徴である海賊は不本意らしいです。でも彼自身気性が荒いので周りはそこまで違和感を持ってないです。どちらかというと主人公のペルソナ、ピーター・パンと出典元が被っているほうを周りは気にしています。
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