ペルソナ6   作:似街楠理

7 / 10
感想や、評価、お気に入り登録、誤字修正などいつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします!


第七話 4月9日 放課後(1)

4月9日 放課後 三輪のモノガタリ モクジ《三輪消滅まであと6日》

 

「やっぱり『モノガタリ』が進んでるな」

 

壁には新たに『第三章』の文字。しかし、未だに三輪のシャドウとはまともな接触ができていない。説得にしろ、撃破にしろ、何かしらの機会を得たいところなのだが。

 

「待っていたぞ」

 

相変わらずどこからともなく現れるペンタ。

 

「なぁ、前から思ってたんだけど、お前ってどこで寝泊まりしてるんだよ」

 

確かに気になる。シャドウはペンタも容赦なく襲っていたし、休憩を取れているのだろうか?

 

「まぁ基本はこの『モクジ』にいるな。いざとなったら『モノガタリ』からの脱出もできる」

「現実世界には来れないのか?」

「さぁな。試そうとしたこともない」

 

ペンタは現実世界の方には興味がないようだ。

 

「いいから行くぞ。おそらく『モノガタリ』も佳境だ。レディを救うのだろう?」

「あぁ、分かってる。行くぜ涼!」

 

俺達は目次の『第三章』に手を触れた。

 

三輪のモノガタリ 『第三章』

 

第三章は再び学校だった。暗い緑一色の不気味な廊下。前に来たときよりもより暗くなっている。

 

「やはり『最終章』が近付いているな……」

「……なんか、俺、イインチョの理想があんなになった理由が分かってきたかも」

 

翔には何か心当たりがあるようだ。

 

「行くぞ、間違いなけりゃイインチョは一年の教室にいる」

「心当たりがあるなら話しは早いな。リョウ、どうする?」

「翔についていこう」

「あぁ、こっちについてきてくれ」

 

翔に連れられてたどり着いたのは1年3組の教室。そして彼の読み通り、教室から話し声が聞こえてくる。

 

「やっぱりな。ここは俺達が入学して直後の場面だ」

 

三輪の理想のルーツがここにあるようだ。中を覗き込むと、教室は生徒でいっぱいだった。三輪のシャドウは手前の方で座っている。しかし派手な格好ではない。

 

「折角だし、親睦会っつーことでカラオケでも行こうぜ!」

「いーじゃん!男子のおごりねー!」

「うぉい、ちょっと勘弁してくれよー」

『ハハハハ!』

 

教室は盛り上がっている。しかし、三輪は場の雰囲気に乗り切れていないようだ。

三輪は立ち上がってそそくさと教室から立ち去ってしまった……。

 

「………なにアノコ、ノリ悪くない?」

「お高く止まっちゃってさぁ……」

 

教室からヒソヒソと彼女への不満が漏れ出ている。

翔はやっぱりな、と呟きながら大きくため息をついた。

 

「見たろ?イインチョってああいうノリが苦手らしくてさ。ちょっとクラスの空気が微妙になったときがあるんだよね。その後も打ち上げとかに来ることは無かったし」

 

つまり、三輪のシャドウの変貌と様子から察するに三輪の理想は、

 

「『明るくてノリがいい自分になりたかった』ってことか?」

「………多分」

「我は奥ゆかしい方が好みだがな」

 

ペンタの好みは興味ないが、理想の三輪のほうが彼女本人より優れているとは思っていない。逆もまた然りだが。しかし、昼食カンパの時にブロッコリーを分けてくれた彼女がいなくなるのは自分も寂しく思う。

 

「待て、シャドウが騒がしくなってきた」

 

教室の中にいる生徒たちの様子がおかしい。輪郭がぼやけてきている。いや、周りの光景すべてが歪み始めている!

 

「まさか、『章』が進むのか!?」

 

目の前が真っ暗になった………。

………

………………

………………………

 

ベルベットルーム

 

再び劇場の最前列で自分は座っていた。壇上には長鼻の老人と青のドレスの美女がいる。

 

「再びお目にかかりましたな。ご安心を、ここへはあなたの意識のみをお招きしております」

 

イゴールはどこか楽しそうだ。

 

「お客様の前で壇上に立つ……。私、主演女優として胸の高ぶりを抑えられません……」

 

アルテイシアは変わらずテンションが高い。よく通る声が劇場に響く。

自分は今日は何故ここに呼ばれたのだろう?

 

「お客様は順調に絆を育まれている様子……」

「友情、なんて美しい響きの言葉でしょう。人との絆こそが貴方を強くする……。フフフ………」

「間もなく貴方は新しい力に目覚めることでしょう」

「ではまた、いずれお会いしましょうね」

 

意識が遠のく……。

 

三輪のモノガタリ 『最終章』

 

「………い、………おい!」

 

翔の声が聞こえる……。自分は気を失っていたのか?

 

「大丈夫か、涼!お前はなんでそんなに気絶すんだよ!?」

「軟弱な……」

 

翔とペンタに呆れられてしまった……。目の前には巨大な扉が。そしてそれには大きく『リソウの三輪 凜那 最終章』とある。つまりこの奥に三輪と三輪のシャドウがいるということか。

 

「ペンタ、向こうに二人はいるのか?」

「あぁ。シャドウの気配がある以上間違いなくレディも中にいる」

「準備はいいか?涼」

 

もちろんだ。翔と二人で扉を開ける。

中には三輪と派手な姿の三輪のシャドウがいた。

 

「イインチョ!」

「神奈木君に朝宮くん!?な、なんでここに!?」

 

あれ?確か、翔は名字で呼ばれるのを嫌がっていたような……?

 

「なぁ、名字でいいのか?」

「今、それどころじゃないだろ!?」

 

確かに。再び二人に意識を戻す。

 

『ここまでやって来ちゃったんだぁ。まぁいいや。やることは変わらないし』

 

三輪のシャドウは三輪本人と向き合う。

 

『ね?見てて分かったでしょ?アンタじゃ誰ともうまく付き合えない。空気読めねー真面目ちゃんはクラスの輪を乱すんだよ!』

「んな訳ねーだろ!イインチョが輪を乱したことなんてねーよ!」

「でも、私は、私は……」

『家でもねぇー、真面目ないい子ちゃんだもんねー。ママと勉強以外の会話、最近したことある?アンタの性格じゃ家族ともうまく行かない……』

 

家族……。自分も家族とは……。

いや、今は三輪のことだ。シャドウを止めなければ。

 

『でもね、ワタシならうまくやれる。アナタよりもずっと素敵なアナタになってあげる。だから、ワタシと代わって?』

「イインチョ、駄目だ!断れ!」

「……いいわ、貴女が私になればいいっ!!」

『ふふ、フフフ、フフフフフっ!我は我、理想の汝!(アナタ)の人生、アナタ()が演じてあげる!』

 

三輪シャドウの体が大きく膨張し、怪物に姿を変えた!三輪は糸が切れた人形のように倒れ込んでしまう。

 

「お、おい、どうすんだ!?イインチョ助けれんのか!?」

「知らん!だが、あのシャドウを倒せば助けれるかもしれん!」

 

『過去の私を知るオマエ達はジャマだ……。こコで、し、死ネぇえ!』

 

シャドウが襲い掛かってきた!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。