ペルソナ6   作:似街楠理

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三輪のモノガタリ終了です。筆が進みました。読んでくれる皆様のおかげです。


第八話 4月9日 放課後(2)

三輪のモノガタリ 最終章

 

色が目まぐるしく変わる巨大なカメレオン型のシャドウは舌を伸ばして鞭のように振るってくる。

 

「「「ペルソナ!」」」

 

それぞれのペルソナ、ピーター・パン、キャプテン・フック、ハーメルンでそれぞれの属性攻撃を放つが、倒し切るには至らない。

 

『ムダ、むだ、無駄ヨ!!』

 

カメレオンの舌が空気を引き裂き、ペルソナ達を薙ぎ払う。鈍い痛みが舌の当たった右下腹部を襲う。

 

「もう一度畳み掛けるぞ!」

「ああ」

 

ピーター・パンが突風を巻き起こす。しかし、体色がいつの間にか緑に変わっていたカメレオンは風を吸収してしまった。翔とペンタがそれぞれ念動力、青白い球体を飛ばすが、それぞれの色に変色したカメレオンは攻撃を吸収してしまう。

 

「まさか、攻撃を解析して無効化できるのか?」

「はぁ!?チートじゃねぇかよ!」

「なら、ペルソナっ」

 

ペルソナをジャックランタンに切り替え、火球を放つ。しかし、それも倒し切るには至らない……。カメレオンは今度は赤に体色を変えた。炎ももう通じない。

自分はペルソナを2体しか持っていない……もう攻撃は通じないのか?

 

「な、なんなの、これ?」

 

三輪は呆気にとられているようだ。確かに、いきなりこんな戦いを見せられたら誰でも呆気にとられるだろう。………もし、三輪がペルソナに目覚めたら、この状況を打破できるかもしれない。しかし、どうやって?

いや、ペルソナに目覚めなくてもあのシャドウは三輪自身の理想だ。彼女の意識を変えることができれば何らかの弱体化が起きるかもしれない。

 

「朝宮君、今、どういう状況?みんななんか変なの出してる……」

「三輪、アレがお前の理想なのか?」

「そ、そうよ。悪い?あれが私のなりたかった自分。私とは違って明るくて、空気の読める、……」

「いや悪くない。俺には理想がないから。誰かの理想を否定できるような大層な人間じゃない」

 

ジャックランタンから再びペルソナをピーター・パンに切り替え、敵の攻撃を躱す。避けきれない分はいなすが、それでも体の芯に衝撃が響く。

 

「じゃあなんで。朝宮君だって明るい子のほうがいいでしょ?見たんでしょ?私がどんなコンプレックスを持ってるか……」

「ああ、見た」

 

翔とペンタのペルソナが吹き飛ばされ、実像を維持できなくなっている。攻撃がその分自分の方に集中してきた。躱すことがどんどん難しくなっている。

 

「なら……」

「それでも理想の三輪よりも、今の君と仲良くなりたいと思った」

「え……」

「翔も自分も、それからペンタも君だから助けようとしている」

「私は……」

「それに、せっかく理想があるなら自分で目指さないか?それならいつでも手伝うよ」

 

『や、ヤ、ヤメろ!?余計なコトヲ言うナぁあアァ!!』

 

三輪のシャドウが苦しみ始めた。そして三輪は何かを決意したようだ。

 

「…………私の理想は……確かに貴女よ。でも、貴女に代わってもらう必要なんてない!私の理想は私が叶える!」

 

『あ、ア、アァアぁ!!!』

 

シャドウがさらに苦しみ始めた。少し形が綻びはじめている。そして三輪の様子もおかしい。三輪の体から青い炎が溢れ出ていき、像を結び始めた。

 

『ただ周りに合わせるなんて、存在しないのと一緒……。そんな亡霊を目指した訳ではないでしょう?』

「ええ、そうね……」

『なら契約よ。貴女を本当の意味で変身させる魔法を授けてあげる……』

「いいわ。契約よ」

『我は汝、汝は我……。12時までなんてケチなことは言わないわ。思う存分戦いなさい!』

「来てっ!『シンダーエラ』!!」

 

凍えるような冷気が溢れ出る。幻想的な雪の結晶が空間を満たし始めた。同時に自分にも新たな力の目覚めを感じる……。ベルベットルームの住人が言っていたのはこのことだったのか?

意識の中のピーター・パンとジャックランタンが合わさり、新たなペルソナが誕生する……。

 

「来いっ『アプサラス』!」

 

新たなペルソナ、アプサラスからも冷気の力を感じる。

 

「三輪、行けるか?」

「ええ、大丈夫よ。シンダーエラ!」

 

三輪のペルソナから放たれた淡い光が体を包む。痛みが引いて傷が癒えている……?翔とペンタの傷も癒えているようだ。

 

「すごいな……」

「まだまだこんなものじゃないわよ」

「頼もしい」

 

一度攻撃したら対応されてしまう。それならば新たな属性での攻撃は力を合わせて強力なものにしなければ。

 

「三輪、合わせてくれ」

「ええ」

「「ブフっ!」」

 

強烈な氷結攻撃がシャドウを凍り付かせる。畳み掛けるなら今しかない!

 

「翔、ペンタ!まだ行けるよなっ」

「愚問だ!」

「これで決めるぞ!!」

 

自分たちの渾身の一撃が氷像と化したシャドウを砕く。砕け散った破片は床に落ちると黒いヘドロのようなものになって消えていく。

 

「お、終わった、のか?」

「そのようだ……な……」

「イインチョ、大丈夫か?」

「ええ、だい、じょう、ぶ……」

 

三輪は座り込んでしまった。三輪がシャドウとなり変わることは阻止できた。引き返そうか……。




今作でのペルソナは『理想を自分で叶えようとする意思』で、シャドウは『理想は叶えたいが努力はしたくない惰性』と位置付けました。この感情は同居しうるものだと思ったので、シャドウをブレイクスルーする訳ではなく、シャドウとペルソナは別々のものとさせていただきました。
本編で説明できたらいいのですが、うまくやる自信がないのでこのような形で説明させていただきました……。
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