ペルソナ6   作:似街楠理

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大変遅くなりました。少しドタバタしてました。また楽しんで読んでいただければ幸いです。


第九話 4月10日

ベルベットルーム

 

「見事、始まりの試練を打破されたご様子……。しかし、お客様の旅路はまだ始まったばかり。これからも多くの苦難が待ち受けているでしょう」

「現在お客様が繋いだ縁は『戦車』『魔術師』『女教皇』の3つ。新たに芽生えるであろう絆は『法王』『刑死者』『星』のアルカナ……。素晴らしいわ。絆を深めるもよし、ご自分を磨かれるのもよし。無為に過ごされることの無いよう願います」

 

4月10日 朝

 

「うぃーっす、涼」

「おはよう」

 

放課後こそ色々あったが、そんなことは関係なしに学校はある。心なしか翔も元気がなさそうだった。

 

「なんつーか、あれだよな。まだ1日のはじめだっていうのに煩わしいぜ」

「まだ疲れが残ってる気がするよ。翔もそうなのか?」

「ん?まぁ、俺もそんなとこかな?」

 

尚司さんは連日、夜遅くに帰ってくる居候に対していい感情を抱いていないようで、昨日も妙なことに首を突っ込んでないだろうなと疑われてしまった。

 

「本当だよ。でもイインチョは確実に助けれたみたいだぜ!家にも無事帰れたって連絡があった」

「いなかった期間はどう認識されているんだろうな」

「別に。何も認識されていないみたいだ。いつも通り学校に行ってたことになってるみたいだぞ」

 

なんで翔がそんなことを知っているのだろうか。

 

「な、なんだよ。その訝しげな表情は!違うからな、イインチョ本人から聞いたんだからな!」

「本当か?」

 

前に三輪のことが好きだったと言っていたし、もしかしたら翔はストーカー気質なのでは?

 

「疑ってんじゃねぇーよ!この野郎!」

「朝からうるさいわよ」

「おはよう、三輪」

「お、イインチョ!うーっす」

 

騒いでいた俺達を後ろからやってきた三輪が窘める。ん、眼鏡をかけていない?

 

「コンタクトにしたのか?」

「前から度が合わなくなってきたからね。私も、その、変わらなきゃって思えたからいい機会かなって」

「よく似合ってる」

 

なんというか、野暮ったかった眼鏡を外すだけでかなり印象が変わる。

 

「あ、アリガト……」

「マジでスゲー良く似合ってるよ!カワイイぜ!」

「ありがとう」

「なんか涼の時と反応違くね?」

 

なんというか、翔の言い方は軽すぎる。ナンパ男な感じが三輪はお気に召さなかったのかもしれない。

 

「まぁいいんだけどさ。皆、放課後の予定は空いてるか?ちょっと話があるんだけど」

「別に俺は空いてるぞ」

「私も、まぁ18時ぐらいまでなら」

 

俺ら二人を見て、翔はニヤリと笑った。なんだか、えらくもったいぶるな。

 

「図書室に来てくれ」

 

翔はそれだけ言うと走り去って行った。10mほど進んだあたりでこちらを振り返り、腕時計を指差すジェスチャーをする。

時計を見ると朝の予鈴まであと5分しかない!

 

「翔のやつ……!」

「朝宮君、急ごう!」

 

俺と三輪も学校までの道を急いだ。

 

放課後 図書室

 

翔は少し準備があると言って、一足先に図書室に行った。俺と三輪は掃除当番だったので、先にそれを済ませてから共に向かう。

図書室のドアを開けると、窓から入ってくる夕日をバックに翔が不敵な笑みを浮かべつつ立っていた。どうも手作りの腕章を身に着けている。

 

「『裏図書委員』?」

 

腕章にはそう文字が刻まれていた。

 

「そう!俺達の事だ。もちろん二人の分もあるぜ!」

「え、私も含まれてる?それ」

「俺も、なんだよな」

 

なんだか、乗り気になれない。友達から得体のしれない団体に勧誘されるというのは中々、なんとも言えない気分にさせられる。

 

「え、なんで二人とも乗り気じゃないんだよ?カッコいいじゃん」

 

翔は結構センスが尖っている。少なくとも俺は戦隊ごっこをこの年でやるような気分でやや恥ずかしさを覚えている。三輪も似たような感想を抱いているのか、微妙な表情をしていた。

 

「俺達は『リソウの本』の正体に気付き、ペルソナ能力に目覚めた同志だろ?これからも誰かがシャドウに成り代わるかもしれないのに見てみぬふりをする気は俺は無い」

「ふむ」

「なるほど、まぁ私も助けてもらったわけだし……」

 

翔の言うことには一理ある。そもそも『リソウの本』はかなり前から噂になっていたようだ。実際に劇的に変化した人もいる。実はもうすでに元シャドウがこちら側の世界に大勢いるかもしれない。

 

「それを食い止めるために、俺達は一致団結すべきなんだ。だからこそここに日伝南高校非公式団体『裏図書委員』を発足する!」

 

間違ったことを言っていないだけにタチが悪い。しかも秘密結社感が出てしまったせいでよりこっ恥ずかしさが増した。

だが、

 

「名前に文句はあるが俺もその理念には賛成だ」

「私も名前以外に文句はないわ」

「そんなにダサいか?コレ……。なら代案出せよ!イインチョ!」

「ええ、私……?」

 

三輪は少し考え込むと、目を輝かせて俺達のグループ名を発表した。

 

「『ザ・ライブラリー・チルドレン』とかは!?」

「『裏図書委員』結成だな」

「お、分かってくれたか涼!」

「な、なによ!なんなのよ!」

 

学校の噂、『リソウの本』の真相を追い求める『裏図書委員』が結成された!仲間との絆を感じる。

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