ㅤ上条当麻にダイブする約1日前、1人の少女は入院中の少女の前で立っていた。
ㅤ金髪に眼帯をつけ、そして大事な部分しか隠されていない衣服にマントのようない服を着た少女
「なんの用、オティヌス」
ㅤしかしその容姿に何が誘惑めいたものを感じるものは一切ない。むしろ圧倒的威圧感のようなものしか感じなかった。
「随分と弱ったな」
「自然と力は戻るけどね。今回ばかりは魔術の関与が大きくて
ㅤ四条はこの前まで魔術のことはからっきしだった、しかしそれはおかしい。そもそも四条とオティヌスは旧知の中だ。それこそ宿敵とも言えるほどの、なら何故魔術のことを知らなかった。
ㅤ全開時の四条はオティヌスにさえどうしようもできない存在、あらゆる手段を使ってもとてもその記憶をどうこうできるものじゃない。
ㅤならだれが?。
ㅤ決まってる。
ㅤ一人しかいない。
ㅤ四条一人しかいない。心理掌握ですら四条の脳内の記憶情報をどうにかするなんて出来ない。
「それで、貴様はいつになったら理解者を探し終えるんだ」
「それを言うのかね、君にも我慢の限界というものがあるようだね。我が宿敵」
「ふん、そんなものは貴様との殺し合いで互いにわかっていたことだろう」
ㅤ隻眼の魔人は面白くなさそうにその場にある椅子に座り脚を組む。
「全く、君が痺れをきらず私が君の前に現れる前に世界を壊さなければ私は君の理解者になれたというのに」
ㅤ呆れたように言う彼女はヤレヤレと言った感じだがオティヌスは少しイラッとした。
「貴様は既に殺し合いとはいえ既に理解者と言える立場にいるが」
ㅤそのセリフが出るのは理解者に最も近い立場に至っているのだろうが。
「しかし心がそれを認めはしない、そもそもの話、私が君と宿敵同士になったのは君が原因である以上許すわけにはいかない。それが理由というのではない心が君を認めない」
「なら貴様はどうする」
ㅤどういった意図なのだろうか。
ㅤこれだけでは普通は分からないが、幾千億という時間を共に殺し合いをした仲。この程度なら仲のいい夫婦以上に理解出来る。
「ああ、私の理解者という話ならもう必要ない。何せもうすぐこの
「ほう、やっと終わるのか。なら手加減をする必要はなくなるわけか」
ㅤその言葉に四条は少し顔を険しくする。当然だ、故に釘を打っておく。
「ああ、私たちの理解者となるものはまず普通の人間はありえない。可能性は無くはないが幾千億という世界回っても見つからなかったのだ諦めたまえ」
「ならばどうする」
「そうだな我々の理解者になるとすれば恐らくそれは願望の集積体、だろうな。彼らなら自分達を運気の奴隷から自分達をそれからずらすことが可能だからな。とはいえやはり今では1番近いのは私だから。彼と共に幾千億という時間を過ごすのが確実だろうな」
ㅤ四条の頭の中で1人のツンツン頭の少年を思い浮かべる。そして四条が頭の中で思い浮かべたのなら理解者に最も近い位置にいる隻眼の魔神は当然その正体に行き着く。
「
「ああ、言っておくが今は手を出すなよ。私の予知によると11月13日、それが君の運命の日だ」
ㅤそう言うとオティヌスはそうか、と言っていう立ち上がり骨船を取り出す。
「ではお別れだ。オリジナル」
ㅤ彼女はそういった。
「そうだね初めての友達」
ㅤ不思議だ。私は以前から自分のことが嫌いだった。オティヌスと出会う前から。もう顔も名前も思い出せない親と一緒にいた時から、もうずっと昔に忘れてしまった自分の本当の名前があった頃から。
ㅤ家族はとても裕福ではなかった。しかしそれでも幸せだった。私はその幸せをもっと大きくするために私は自分の能力を使いみんなで幸せにしようとした。
ㅤ予言者を始め、建築士を始め、色んなことを始めた。私の能力は万能で、神なんかよりもずっとずっと人のためになるものだった。だから私は頑張った。人手が足りなければ自分のクローンを作りだし、恋を願うものがいれば成就させてあげた。そして家は裕福になり始めた。
ㅤありふれた会話をした。お父さんお母さんと共に自分の仕事のお話をした。
ㅤ話していく途中お父さんに殴れた。
ㅤお母さんに叩かれた。
ㅤ当時の言葉は覚えていないが、朧気だがなぜ怒ったのかは今なら理解出来る。
ㅤ当時の私は苦しみは悪と断定し動いていた。そのためにあらゆる苦しみを止めた。これから得たお金で家族は幸せになる。誰もがとても良い幸せを得る。
ㅤ正しい答えだ、そのはずだ。
ㅤ幸せのためならどんな苦しみや試練なんかなくたっていいはずだ。
ㅤ
「ふざけんじゃねぇ!」
ㅤそう言ってお父さんが私を殴った。
ㅤなぜ殴られたか分からないかつての四条はヒリヒリする右頬を抑える。お母さんからは左頬をパシン!と叩かれる。
「幸せさえあればなんでもいいの……幸せって感情さえあればいいと思ってるの……そんなの人じゃない。人の心っていうのは誰にも説明なんてできないものなの……誰もが必死で努力して必死に手を尽くしてそういった努力の先に在らなくちゃいけないものなの。だれかが手を貸すならいい。でもあなたのしている事は人の正しいことの否定なの」
ㅤ分からない。私には不可能を可能にできる力があった。なんでも出来た。それこそ死者蘇生から他の星に人が住める星を作るどころか宇宙全体に生成する力とかなんでもだ。
ㅤこの世からあらゆる悲劇を過去からも未来からも消し去ることが出来る。だと言うのにそれを行わないのは怠慢にほかならないだろう。救う手段があるのならそれは全力でやるべきのはずだ。
「お前がしたことは悲劇を乗り越えようとする人達へ泥を掛けてるに過ぎない!」
ㅤ分からない。
ㅤ理解できない。
ㅤ認識できない。
ㅤすべてを思い通りにできる頭脳を思っておきながら私はそれを人の心を持って理解することが出来ていなかった。
ㅤ自然と知りたかった。理解したかった。認識したかった。人の心で。
ㅤしかし瞬間世界の全てが変わった。
「さてさて後輩よ。現状の状況が上手く把握出来たかい」
「いやいやいきなりダイブしてきて何を言ってるんですか先輩」
ㅤ四条はダイブした後に突然そんな事をほざいた。
ㅤ上条の心情はきっといきなりダイブからのセリフなので口が悪いなら理解出来るはずねぇだろ、なのだが心優しい後輩はその後に、私の貧弱な頭にも理解できるように説明して、と頼んできた。
「ならば仕方ない、とはいえ今更この科学の世界で説明され尽くした脳医学について語るのも面倒ではあるしそれにどこぞの誰かには私達のやってきた事には理解がいっていると思うので省こう、そこら辺は君の脳に分かりやすく刻み込んであげよう」
「何を、言っ………て……………先輩今何日ですか!?」
ㅤ情報を書き込んだ瞬間、上条は飛び起きる具合で肩を掴んできた。観測結果で言うと神崎と戦った際インデックスはあと三日のリミットしかないと聞かされていたらしい。そこで今の状況を頭に入れた結果、情報整理の前に今3日たっていることが分かり、それで焦っているのだろう。
「いいから落ち着きたまえ、今日がリミットというのは分かっている。だがまず君が落ち着かなければどうにもならんよ後輩。焦るな、最前を尽くせ、今何をするべきか何を行うべきか整理しろ」
ㅤ落ち着かせるようにしかし厳しく子供にしつけるように言う。そう言うと上条の焦って真っ青になった顔色が戻り狼狽えていたその目には強い意志が宿る。
「すいません先輩。どう言った状況かは理解しました」
「そうかい。ならば話は終わりだ今すぐ退院するぞ」
ㅤそう言うと上条は準備を始めた。
ㅤ学生服を着て準備万端になった時、上条は先程が妙な違和感を感じていたことについて聞いてみる。
「先輩?なんか急に
「ああ、それか。いやまあ気にする必要は無いさ……それはこちらの個人的事情なんでね。それに女の子は秘密が多いほど魅力が上がると知らないのかい?。
ㅤまあ、それはそれとして私の事をちゃんと見てくれてるのは嬉しいかな。どうだ?そろそろ私を貰う気は━━」
ㅤそう誘惑な笑みを浮かべながら上条の胸元に体を寄せるが。
「先輩、ふざけてる時間はないですよ」
ㅤそう言いながら上条は頭に刻まれた魔術師達との集合場所に向かう。
ㅤ1人取り残された四条は少し俯いたあと、はぁーーーー、と、ため息を吐き。
ㅤ独り言を始めた。
「まあそうだよね。今はそんな時間はないし、こんな状況でするほど図太い神経をしているわけじゃないだろうし、それに彼に手を出す勇気があるともおもえないしね。」
ㅤそのような独り言を続けていくと四条は少し落ち込むようにベットに倒れ込む。
「私だってこんな状態じゃなきゃなにもしようともおもわない。ああ、嫌だなぁ。でも仕方ないよねここで運命を変えればただのずるになるし」
ㅤ拳をぎゅっと握りしめる。それだけでベットにシワひとつ作る。
ㅤ何故か苦しい、心臓でも鷲掴みされたように。
ㅤ何故か痛い、それこそ心臓に穴でも空いたかのように。
ㅤ
ㅤベットに小さな水が滴り落ちた。
「そうだ、彼は悪くなんてない。悪いとすれば私の方だ」
ㅤ世界をここまで変革させたのは私が理由だ。あらゆる悲劇を無くそうとし、元凶であるオティヌスを殺そうとし、その悲劇の果てに私はオティヌスを殺さなかった半端者だ。いつもいつも私はその場その場でコロコロと意見を変え、その方がいい、そっちの方が綺麗だ。人の努力や犠牲?そんなもの食蜂の1件を抜きにしても私が関わっている時点でそんなもの無駄にしている。以前から言ってた自分の死というのもこれ以上心を変えないためだ。
ㅤ私ならこれから起こる上条の運命を最高の物に変えてしまえる。だからこそダメなのだ。これ以上不幸を幸福に変えてはいけない。人の努力を変えてはいけない。
「だからね、後輩。あとほんの少しだけ貴方の運命を変えさせてください」
ㅤあと1つだけ叶えたら終わりですから。
ㅤあと一つだけ世界より大きい身勝手なお願いを許してください。
ㅤ場所は上条宅の寮の隣、すなわち四条の寮の部屋の前である。
ㅤ辺りは全く人の気配はなく、本来聞こえてくる部屋の中の声などは一切存在しない。
ㅤステイルか、神崎が人避けの魔術でも張っているのだろう。
ㅤ四条の考えではただの理論的な説得ではステイルどころか神崎すら説得できるとは思えなかった。何せ向こうには知識がない。故に絶対者倒すことの出来ない彼らにとってのジョーカーに説得に行ってもらった。
ㅤインデックス、彼女ならば理論や方法など度外視して、ただただ『助けて』、その一言で目前にいる敵が味方となる。
ㅤそして合流場所にこのような人避けを張っている時点で結果は聞くまでもない。
「そろそろ出てきたら」
「ウオ!?」
ㅤ一応倒しておこうと思ってこられても面倒なので鉄の棺桶化するエレベーターを避けて通ってきた階段から長身のルーンの魔術師と聖人の女が現れ、後ろから現れたことに上条は驚く。
ㅤ男の腕にはお姫様抱っこされたインデックスが抱えられている。
「インデックスは…………」
ㅤまだ警戒心が抜けきっていないのか、上条は慎重に聞くが。
「まだ大丈夫だだが時間まであと3時間。君たちの言う方法が間に合わないのだとすれば僕達は君たちの方法を見限り記憶を消す。いいな」
ㅤその言葉に上条は覚悟を決めたのか。目を真っ直ぐステイルに見返す。
「ああ、分かっている」
「まあここで長話もいいがそれならまず中に入らないかね」
ㅤ四条は部屋に入ると布団を敷いて。背負っていたステイルも部屋に入りベットに寝かす。ほか二人も入り、準備を整える。
「まず彼女の何処にその悪魔の首輪が付いているかだが以前観測した時に首、いや喉の奥に観測できない場所があった。見てみなよ」
ㅤそうして3人は喉の奥を見る。そこには奇妙なオカルトの文字が『4』もしくは『2』に縦線を加えたような文字が刻まれていた。
ㅤそれを見ただけで神裂は刀の鞘を砕けるほど強く握り締め、そしてステイルはあまりの怒り末に手に持っていたルーンの束を折り曲げ、上条はまた痛むであろうその右手を強く強く握りしめた。
ㅤ
「
ㅤそれはまさに聖人らしかった。超人的な能力などではなく神の力の一端を宿したからという訳でもない。
ㅤその行動そのものとその心意気がその言葉が彼女を何よりも
「
ㅤそこには小さな男の背があった。かつてその手から取りこぼし続けた弱い男の背が。
ㅤしかし、ならばこれからはどうだ?。
ㅤいまこの背中は弱いか?。
ㅤこの背中は小さいか。
ㅤ自身が最強であると証明するためにたった今10万3000冊の魔導書の目の前にいるこの男の心は本当に弱いのか。
ㅤ彼は今、それを証明するために立っていた。
ㅤ2人ともそれを殺し名としてではなく単に魔術を起動させるために言った訳では無い。これは今度こそ救うという誓いだ。
ㅤ上条は2人と比べればたかだか数日程度だ。言ってしまえばその程度、ならはっきり言って命をかけるに理由として足りるか?
ㅤそれ以前だ。何処でも何時でも苦しんでる奴がいるのならそいつに手を貸して何が悪い。偽善者?ヒーロー気取り?なら聞く。
ㅤ人が困っている時に手を差し伸べるのは当たり前じゃないのか?
ㅤ人が助けを求めている時に手を差し伸べるのは間違った行為なのか?
ㅤもしもそれが肯定するのなら多くの一般人はデモでも起きるだろう。
ㅤ別に長ったらしく言葉を重ねる必要は無い。単純に心から浮き出た言葉をそのまま口にすればいいだけの話だ。
「インデックスを助ける」
ㅤ喉の奥に魔術の文字に触れる。
ㅤさあ何年も続いた悪魔の描いたわかりやすい悲劇の人形劇から脱する時だ
ㅤダガン!
ㅤ触れた瞬間上条はその音の発生源に吹き飛ばされる。それを神裂が受け止め、すかさずルーンを部屋中に張り巡らせる。
ㅤインデックスの様子は先程比べると豹変した。
「―警告。第三章第二節。
ㅤ瞬時3人の背中には本能的な震えを感じた。
ㅤ目が赤く染まりそれはもはや姿が同じであろうと本質は別に感じられた。
「ふざけやがって………」
ㅤ上条の頭に血が上る。怒りが湧く。たかだか10万3000冊の魔導書程度にこいつらの人生は狂わせられているのだと。
ㅤ魔法陣が浮かぶ。そこから何が得体の知れない視線が四人に刺さった。魔法陣の奥底にいる何か、あれさえ何とかすれば全てが解決する。
ㅤ亀裂が走る。無理やり別の世界から、別の次元から、空間を割いたような裂け目が広がる。
「『聖ジョージの聖域』を発動。侵入者を破壊します」
「────警、こく。最終……章。第、零──……『ㅤ首輪』、致命的な、破壊……再生、不可……消」
ㅤ戦闘は1分にも満たなかった。
ㅤ魔女狩りの王で竜王の殺息を止め足元のベットをワイヤーで引っ張り足元を崩し倒す。その際宇宙空間に浮いていた演算機器を壊したり四条の屋根を貫いたりしたが最上階なので気にしない。
ㅤそして起き上がった所を上条の右手で魔法陣を貫き機能を完全に止めた。
ㅤ上条は倒れ込むインデックスを支え横にする。そして竜王の殺息の余波である天使の羽根のようなものが彼らの周りにフワフワと浮いていた。
ㅤそれは傍から見ればこの状況を祝福しているように見えた。しかし魔術師と四条にとっては違った。
ㅤ
ㅤああ、やっとこの時が来た。許されない罪に断罪される時が。
ㅤ別に待ち望んでいた訳ではなかった。でも、それでも誰にもこの罪を話せずのうのうとみんなの笑顔に合わせて自分も笑顔を合わせるなんてことをしなくていいと考えるとすこし楽だ。
ㅤ私の罪はただただ正しいと思った未来に作り替え続けたこと。
ㅤそしてオティヌスを恨み幾千億という戦いの末、世界を元に戻せない形にまで変換してしまったこと。
ㅤつまり私はこの世界を自分勝手に行動し、今生きる全ての命の努力と悲しみとつらさを乗り越えた強さを否定したこと。そしてその罪を罰せられる方法はこの世界にはない。
ㅤだから私は私で私を罰する他なかった。
ㅤ私は私でこの運命に従う。私が量子で生み出してしまったこの運命に。
ㅤ上条は咄嗟にその右手を羽に向けるが1枚の羽がインデックスに吸い込まれるように向かい、それを上条が庇う。
ㅤいきなりのことでステイルは魔術の起動が間に合わなく。
ㅤ神裂の聖人としての力も間に合わない。
ㅤ事前にこの状況を把握していた私だけが間に合った。
「演算────開始」
脳細胞の1部破損、破損は無視し次の工程を急ぎます。
次の工程は量子の変換により上条当麻及び、
入力開始
のう、力者が魔、ジュツを扱ったときにはっせいする弊害を確にん。四じょう陽香ののう内細ぼうしめつ、を確にん。これ以上の分解は脳でのえん算は不か、判断、しま。
以降は我々が引き継ぐ。お休みだ、オリジナル。
ㅤ脳内に誰かの演算が割り込まれる。だがその時点でそんなことが出来る能力者など指の数で足りるほど少ない。
ㅤ妹達、MNW、絶対能力者、木原幻生、総体、量子入力、魂の同一個体、魂の分裂、ここまでいえば誰がそれを行っているかなんてものは馬鹿でもわかる。つまるところ量子入力によって生み出された四条の妹達、それらの大きな意思、高次の自己、総体、木原幻生によって計画されている絶対能力者の進化方法、そいつが四条の中に入った。
level6への昇華を完了しました。引き続き、光の羽の量子への分解行動を再開します。
「やあ偽物」
「開口一番それかい?」
ㅤ目の前には四条と同じ姿をした自身がいた。
「当然だろう。もう記憶は残されてはいない。四条陽香という肉体は滅びなかったが脳細胞ごと記憶が殺されているんだ。故に今ここにいる君は本物とは違う。彼女の人生は彼女だけのものであり、たとえ魂から記憶を見たとしてもそれは君が歩いた人生ではない。」
ㅤ魔術領域の記憶、たとえ科学的に記憶を消されようとも脳細胞ごと記憶を消されようとも魂の記憶が覚えている限り量子入力はそれを見ることが出来る。そしてそれは決して彼女自身の記憶ではなかった。
「まあ私が偽物であることは否定しない。たしかに私は色んなところから見ても四条陽香という要素を持ち合わせているのだろうけど決定的なものがない」
ㅤ自信を偽物と認めた上で彼女は語る。
「上条当麻への恋心……それが失われている」
ㅤどう言った理由でそれが失われたのかは分からない。しかし、あえて言うのなら彼女が四条陽香本人ではなかったからだろう。どれだけ言葉を重ねても嘘や詐欺、催眠を重ねた所で心というものは自分に嘘をつくことが出来ない。
ㅤ故に理解していた。全く同じ魂、同じ肉体、同じ肉体思考能力に性格。どれだけ同じでも彼女が上条当麻という人間のことを好きになった時間、好きになった後に彼と恋仲になろうとした努力までもがたとえ同じ自分であっても奪われていい理由にはならないからだ。
「どちらかと言うと貴方の方でしょう。四条陽香という人間は」
ㅤ目の前にいる彼女全く同じ顔をした総体という大きな意思、彼女には数は不明だがオリジナルが作り出したクローン。いや全く同じ肉体を持つ完全な四条陽香、その全てが彼女には詰まっている。
ㅤ四条のMNWを量子入力で繋げてそこにはあらゆる行動あらゆる感情あらゆる死が統合されている存在。だから完全に死んだというのは少し間違いではある。彼女の中にはたしかにオリジナルの四条陽香の恋の成分も死の成分も含まれていた。
「今更そんなことを言ったところで無駄な話。オリジナルが死んだ以上これ以上はどうしようもない」
「そうだね。というかこういう風に話していること自体不毛だと思わない?所詮は心で納得出来るかどうか、折り合いをつけれるかどうかの話。そもそも私たちはオリジナルの話をしているけどその目的の話すら明確に決まっていないのだから。オリジナルと言っても生みの親とすら思っていなければ実質他人に近しいんだから」
ㅤそこで2人は話を切った。
ㅤ問題は新しく生まれたオリジナルの四条の肉体を持つ彼女がどうするべきかというもの。
「私はとりあえず肉体の主導権を元に戻して元の大きな意思に戻るつもりだけど。あなたは?」
ㅤ少し赤子の四条は少し悩みながらこういった。
「そうね、なんであんな行動をしたのか気になるし、私は上条当麻という人間と恋というものを調べてみるかな」
ㅤそう言うと彼女は少し不思議そうにした。
「それって
ㅤ総体には四条の全てが詰まっている。だからあの時あの瞬間、四条が何を思っていたのかも全てわかる。
ㅤ
「あの時彼女の行動はついでに等しかった」
ㅤ赤子の四条は肉体がオリジナルゆえに量子入力を使いその時の行動、その時の思いも全部わかる。
「そうだね、彼女があの時何より大事だったのは上条当麻に迫りきていた死だった。それを覆したかったからだ」
「だから私は知りたい。その恋って奴を。自分の思いさえ変化してさえ、恋心さえ
ㅤ純新無垢な赤子はそう言った。
ㅤ量子入力は嘘を現実にする力じゃない。本物を作り上げる力、だからほんの少し、少しだけ上条当麻という好きな相手から来る調子の乗りや好きな相手会える興奮など、それら全てが消え去った。だから少し大人びていたのだ。
ㅤそうまでする自分の思いというものを彼女は知りたかった。
「ならすきにするといい、これから先は君の人生だ」
ㅤそこまで言うと彼女は肉体を放棄しその目の前にいた少女が倒れ伏す。
「え?まさかと思うけどここに置いていかないよね」
ㅤ後に意識を取り戻した四条は立ち上がり無言で外へと出ていった。
ㅤとある病室の扉に手が届く。ドアノブに手を伸ばし、回して扉を開ける。
ㅤそこには眠るような少女がいた。しかし来たところでどうしろというのだろうか。彼女はもう彼女ではない。記憶に覚えていることは無いのだろう。ならこれからどうすればいいのだろうか、これが自分だったらどうしていたのだろうか。
ㅤそのような考えがつんつん頭に流れる。
「やぁ、初めまして」
ㅤ歌うような声が聞こえてくる。
ㅤかつてその声にとてもとても困らせられた。いつもいつも脳死状態に陥っていたあの声だ。しかしどことなくいつものように浮ついてる様子はない。
「ああ、記憶はないよ。とは言っても何が起こったかはあらまし理解している。君たちを助けようとしてここまで陥ったってことだよね」
ㅤまるで棘の塊でも飲んだ気分だ。心が痛い。
「…………そんな顔をするなよたしかに以前の私は死んだんだろうさ。でもさ以前の私はそうにまでなっても君達を助けようとしたらしいじゃないか。なら君はそれを誇るべきだ」
ㅤ言うと彼の右手は震えていた。
「…………そんなこと……出来ないですよ………………」
ㅤさすがに四条もこれ以上は何も言えない。これ以上は彼の心の問題だ。
「ならその心の折り合いは決めてもらうとしてここから先は私のわがままだ」
ㅤそう言うと手を差し出すまるで王子様に手を差し出すお姫様のように。
「私ももう一度先輩後輩で始めてはくれないだろうか」
ㅤ彼女は恋を始める。ただの初恋を。
ㅤ偽物ではない。『本物の四条陽香』の恋物語を
四条陽香という人間は元は魔神オティヌスと同じ世界に存在しておりその上原石でした。たまたま偶然奇跡が折り重なって生まれた存在です。原石故、魔神オティヌス戦では位相を操作して世界を変革する力に干渉しても問題がなく魔術に干渉しても問題はありませんでした。
ㅤしかし光の羽に干渉した際は原石とはいえ能力開発という回路がそもそも違った状態でしたので血だらけになりました。とはいえ量子入力だったが故何とか生き残るようにその弊害も操れました。
ㅤそれと魔神オティヌスと殺し合いをした時なぜ対等だったかについてはこれはとある科学の10巻と同じように○イトへの進化方法を利用しlevel6に到達したから。level6と魔神は同等の位置に居ますので同レベルの強さとなっていました。現在で戦えば普通に魔術の弊害で死にますね。
ㅤ
ㅤちなみに主人公の目的は上条当麻を救うことだけではなく同時にその時にほかの人たちの努力を奪わないことにもありました。だからインデックスを救済戦闘にも参加はしません。ちなみに四条は記憶を何度も消去しています。しかしこれは恋心までは消さず、脳細胞ごと記憶が消された訳では無いので自分が消えた訳ではありません。単純に量子入力と能力開発はしたが原石が無くなった訳では無いので自然と戻ってきます。能力開発はあくまで回路を別のものに作り替えただけ似すぎません。
ちなみに前話で演算能力を借り受けしてたのは大きな意思から1部拝借しただけです。
今回で四条の物語は終わりです。読んでくれてありがとうございます
※タイトル変更しました