ヒューマギア。
今やあらゆる場面に置いて多く使われる、人間たちの暮らしの支えとなっているロボット───否、AI。
「……ヒューマギアが暴走?飛電インテリジェンスの危機?」
ふぅん。つい最近社長変わったばかりじゃん。
いや関係ないけどね。
俺、ヒューマギア使ってないし。
ソーサーの下にあるボタンを押すと、機械が作動してコーヒーが出てくる。
俺は自分で言うのもなんだが天才だ。
天才のプログラマーだ。
ヒューマギアがなんでもやってくれるこのご時世、個人のプログラマーが売れるわけないが……俺くらいの天才になると話は別。
この前試した。
ヒューマギアは『何を作りたいか』を入力してから動き出し、『そのイメージ』を『一語一語』プログラム言語に変えていく。
その点、俺は最初からプログラム言語でやりたいことを構築しているので、まあミリの差ではあったが俺の方が早い。
懸念されていた、AIによる人間への反逆。
やっぱり起きたか。
「所詮はロボットってことかな……あれ、野菜チップス無くなった?」
通販で買って……『管理ヒューマギアの暴走により現在使用できません』?『システムの復旧をお待ちください』、だって?
……ほらぁ、頼りすぎなんだよもう。
クレームのメール三千字を送って、席を立つ。
無いなら仕方ない。近くのコンビニで買ってくるしかない。
「行ってきまーす」
誰に言うわけでもないけどね。
◇
外に出るべきじゃ、なかったなぁ……。
「おいお前!早く逃げろ!」
コンビニで謎の覆面と怪人が戦ってたわぁ……。
黄緑色の……バッタ?
バッタがモチーフの覆面を付けた男は俺に呼びかけてくる。
「早く!」
「あっ、はーい」
なんでだ。
珍しく外に出たのになんでだ。
物陰に隠れてそっと見守る。
怪人が銃を構えて覆面に撃つ。
バッタ覆面は手に持った……カバン?で身を守りながら逃げ、距離をとった。
「よーし、ならこれだ!」
バッタ覆面が何かを取り出した……あれはなんだ?メモリ?カセット?
『ファイヤー!』
ファイヤー?炎?
『オーソライズ!』
オープンライズに聞こえ……なになになに虎出てきた!
がおーって……熱い熱い熱い!炎!炎の勢いすごい!
ら、ライズフォン!録画しないと!
ピッ(REC)
『プログライズ!』
あああ走ってる!
ちょっ、こっち来んなよ!熱いだろ!
『ギガントフレア!フレイミングタイガー!』
バラバラになったああああ!?
何?
えっ纏うの?
『
なんて言ってんのアレ。
俺にはよくわかんない。
「行くぞおおおお!」
火力!火力増してるアッチイなここ!
「あぁ!?ライズフォンのケース焦げてる!さっきの虎か!」
ってか……いや……なんだこれ……。
燃え盛る炎。
弾ける爆炎。
「強……」
ライズフォンを構えながら、そう呟いてしまった。
……これは。
「久しぶりに、興味が湧いてきた、かな」
そのまま俺は、しばらくの間録画に勤めていた。
◇
……。
鮮烈だった。
「飛電インテリジェンス、検索」
音声入力で調べてみるも、特に目ぼしい情報は無い。
そこにあるのは、またもヒューマギアが暴走したという情報のみ。
そこに、バッタ覆面の情報は無かった。
「でも、あれは完全に飛電のやつだよね」
そこまでの技術を持っているものを、俺は知らない。
ってことは、飛電の中枢……。
「衛星、ゼア」
飛電の情報が全部詰まった、まさにダイヤモンド。
俺が唯一、ハッキングに失敗した機械。
「あの時とは、違う。人が減って、技術が増えた」
あの時破れなかった無数のファイアーウォール……絶対に破壊してみせる。
機材を取り出し、表面を撫でる。
「何年かぶりだな。久しぶり」
天才プログラマーは。天才ハッカーだったんだ。
キーボードを叩く。
衛星ゼアに、接続。