プログライズキー作っちゃったお話。   作:翠晶 秋

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逃れられぬ言い訳はイイワケ?

「お待たせしましたー、醤油とんこつと塩ラーメンチャーハンセット、みそラーメンになりまーす」

 

どんと、俺の前にみそラーメンが置かれる。

しかし、箸をつける気にはならない。

 

「「じぃぃぃぃ……」」

「…………」

 

国家権力を扱える兵士と、圧倒的後ろ盾のある有名企業の社長。

俺の顔をじろじろと見つめる2人の手元には、それぞれライトグリーンのキーと青色のキーが置いてある。

 

「だせ」

「……飛電が持ってます」

「だせ」

「えっ、あっ、俺」

 

飛電が白色と紺色のキーを取り出した。

持ってたんだ。使うつもりだったんだ。ふーん。

 

「このキーはどこで手に入れた」

「黙秘権を行使する」

「てめぇこのやろう……」

「不破さん!不破さん落ち着いて!不破さん一回座ろう、な?」

 

机上のクライミングラビットプログライズキーを手に取って手で弄びながらラーメンのスープを見つめる。

いい加減に伸びそうだ。

 

「あの、本当に、どうしてキーとベルトを持っているのか教えてもらうだけでいいんだ。我が社としては、それをどうこうするつもりはない」

 

もう先延ばしにはできまい。

 

「……ハッキングした」

「「……ん?」」

「衛星ゼアってあるでしょ。それをハッキングしてこのデータを手に入れた。動機は興味があったから。以上、いただきます」

 

硬直する2人の前でラーメンをすすり始める。

あ、店員さんがほっとした顔してる。そりゃ料理運んだのにまったく食べなかったら不思議に思うよね、うん。

 

「……我が社の、要になっている衛星ゼアを、ハッキング……?」

「……?つまり、どう言うことだ」

 

1人理解できてないじゃん。

 

「ベルトとキーの仕組みをコピーして、材料揃えて後は手作り。後ろでぴょんぴょんするでっかいやつはよくわからんが空から降ってきた」

「ライダモデルのことかぁ……」

「……あぁ……?」

「不破は銃で変身するからライダモデルのことがわからないんだね」

 

あのマグナムみたいなやつはぴょんぴょんするやつが出なかったしな。

 

「ん?あぁ、ショットライザーのことか」

 

ごとりと不破が机にショットライザーを置く。

やめなさい、店員さんが怯えてるでしょ。

 

「これは俺のとこの武器作る専属のやつが……」

「不破ぁぁぁぁ!!」

「あぁ、言ってるそばから……ちくしょう」

 

突然響いた声に何事かと扉に目をやると、勢いよく開いた扉から小さな女の子が飛び出して不破に抱きついた。

 

「事案発生、警察を呼べい!」

「呼ぶな俺が警察だ!くっっっっそ、離れろ!!」

「きさまは目をはなしたらすぐどこかにいく!もう少しおとなしくすることはできんのか!」

 

舌ったらずな声で少女が不破の肩を掴みぶんぶんと揺する。

特徴としては、切り分けたロングの黒髪に、ほくろが一つ。あと目がキリッとしている。

 

「わかった!わかったから離れろと!」

「やだーっ!」

「…………」

「…………?」

「…………」

「…………えぇ……」

「行ってこい」

「えーと……不破、さん?」

 

視線を合わせた結果、根負けした飛電が話しかける。

幼女はハッとして不破から降りると、俺たち2人にぺこりと頭を下げた。

 

「やいば ゆあ と言う!不破がお世話になっているな!」

「……ええと、ゆあちゃんで、良いのかな?」

「はい!」

「やっぱり事案じゃないか……」

「おいそこの犯罪者」

「ふ、不破さんとはどう言う関係なのかな?」

「……!……?じょーしと、ぶか?」

「そいつは同期だ!」

 

はぁ?同期?じゃあなにか、この「やいばゆあ」もエイムズの隊員だってこと?

……さすがにそれは無理があるんじゃあ。

 

「おいその目をすぐにやめろ犯罪者」

「もしもし警察ですか?おたくの飼い犬が事案発生させまして」

「俺はウルフだァッ!」

「もー、んなことどうでもいいから!不破さん、状況説明して!!!!」

 

飛電は苦労性だな、かわいそうに。

……お前ギャグ系の芸人やってたんじゃなかったっけ?

 

「あー……こいつはもともと成人済みだったんだが、武器を作るときに事故で身体の時間が巻き戻ったらしい。なんか脳の波長が合うとかなんとかで、俺といるときは脳だけはもとの状態に戻るらしいがな。ショットライザーはこいつが管理してる」

「じかんざっくす!」

「うるせぇ!元に戻れる時間が1日3時間しかないからって説明放棄すんな!戻ってこい!」

「やだやだやだゆあ遊びたい!」

「ダダこねんじゃねぇぇぇぇぇ!」

 

店員がチラチラ見てる。

まぁそりゃそうだよね、騒がしいもんね。

 

「ラーメンをテイクアウトってできます?」

「は?」

 

だよね、ラーメンだもんね。はい、ずずず。

 

 

 

 

「結局お前の話を全く聞けなかった」

「いやもうアレで供述は全部なんで勘弁してもらってもいいすか」

「どうする刃」

「むざい!」

「やった自由だ」

「戻ってこい刃……頼む……!!!!」

 

これで晴れて自由の身!めんどくさい法律や憲法から解放されたよ!

ちゃっかりプログライズキーも二つ回収できたし、ゼロワンドライバーにはフレイミングタイガーとフリージングベアーの二つのデータが入ってる。

ホントは本物があれば一番いいんだけど、贅沢言ってられないし一時的なデータでなんとかノアの復旧を急ごう。

 

「っ、なぁ旋人君」

「……はい?」

「ウチで働いて見る気はない?」

「脈絡なさすぎて草」

「え、ええと、君のその技術は他にも使い方があると思うんだ。だから、ウチでヒューマギアを作る仕事、してみない?」

 

ヒューマギア作る仕事……。

ヒラ社員→小回りが効く→飛電の懐に忍びやすい→大量のプログライズキーGET!

 

「やります」

「ほんと!?よかったぁ〜!いやあ、ゼアをハッキングできるって聞いてだいぶ不安だったけど、丸く収まってよかった〜!」

「全ッ然丸く収まってねぇよ!法的なこいつの処分がまだ……」

「むざい!」

「刃ァァァァァァァァ!!!!」

 

不破は脳筋ゴリラかと思っていたけどツッコミポジションだったんだな。

そんな目を向けるなよポリスメン。ウルフなんだろうキミ?

 

「それじゃあ、わたしたちはこれで!」

「勝手にしきるな」

「じゃあ旋人君、明日の午前11時に我が社に来て欲しい」

「わかった」

「俺がルールだぁ!!」

「それじゃ」

「それじゃ」

 

やっかましいパーティを抜け、空を見上げる。

お昼時などとっくに過ぎてしまった晴れた空は、あんな事件など無かったかのようにすかっとしていた。

 

「……酷い目にあった……」

 

あーあ。この先どうなるんだろう。

……そういえば進路、なーんにも決まってないやぁ。




◇人物紹介◇

奥義 旋人:18歳。ゼアを数秒だけならハッキングできるやべーやつ。高校には行っていないが親が金持ちなので教師ともども見てみぬふり。金持ちやべえ。

飛電 或人:22歳。おじーちゃんの会社を受け継いだ(財力・権力的に)やべーやつ。芸人として活動してたけどひょんなことから社長ライダーになった。誰にも言ってないけどおとーさんがヒューなマギア。

不破 諌:ゴリラ

刃 唯阿:ごちゃい(うそ)。なんかしらんけど特殊技術研究所最高責任者にて、A.I.M.Sの技術顧問。実験してたら幼い頃にもどってしまった系幼女。夢はお姫様。仮面ライターバルキリー?しらん、誰だそれは。

爺:じいやです。はい。

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