プログライズキー作っちゃったお話。   作:翠晶 秋

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ゼロワン終わりましたね。
でもここからが一番描きやすいです。追加のキャラも伏線も描き放題ですから。


今日のお昼、これと全く同じ内容の「あ」というタイトルの話がミスで投稿されました。
読者様の中にはこれらのことについて困惑された方もいらっしゃると思うので、深く謝罪致します。


滅亡迅雷、キボウのショウタイ?

少しでっぱった恰幅の良い体に、チェックのシャツと大きめのリュック。

まさに日本の理想とするアレの(てい)を体現した彼は、一曲歌い終えてじんわりと汗の滲んだ彼女に駆け寄る。

……ちゃんと一定距離を離れている。彼らが心情にしている聖域、不可侵領域というやつだろうか。

 

「ドールちゃん!復活したのかい!?」

「尾形君……!」

「ドールちゃん……!!ボクは嬉しい!ドールちゃんがまた歌う気になってくれて!!」

 

尾形と呼ばれた彼はドールにキラキラとした憧れの目を向け、心から彼女の再来を喜んでいるようだ。

こっそりとライズフォンをコードから切り離すと、スピーカーからブツという音がなる。失敗した。

その音で気づいたのか、尾形は俺に向けて手を向けた。指はさしてない。

 

「ドールちゃん、あの方は?」

「えっ?……えーと、上司かなぁ?」

「おぉ!ついにプロデューサーがついたんですな!喜ばしい限りですぞ!」

「や、別にプロデューサーじゃ……「どうもー、プロデューサーでーす」ちょっ!?」

 

差し出された尾形の手を握り、しっかりと相手を見据える。

真っ直ぐな目をしている……見た目は、愛嬌はあるがモテはしないだろうボディ、といえばいいだろう……。

 

「尾形と申しますぞ!以後よろしくですぞ!」

「奥義でーす。名刺は切らしてるんで……」

「構わないですぞ奥義氏!」

 

奥義氏。

 

「や、しかし、ドールちゃんが復帰するとは思わなかったですぞ!今までどこに行ってたのですかな?」

「え、えと、違くて、その」

「ドールは本人が望んでいないので復帰はしません。今回は、ドールがなぜ急に人気が出なくなったのか調べるために、一曲だけ歌わせました」

「……そうでありましたか。いえ、ドールちゃんの歌が聴けただけでも足を運んだ甲斐がありましたぞ」

 

ところで、どうして尾形はここにドールがいることを知っているのだろう。

 

「いやはや、毎日毎日、『あぁ、ドールちゃんが復帰してくれていればなぁ』とこのスタジオの目の前を歩いていて正解でしたな!」

 

答えが自ら出てきた。

 

「尾形君はいつもライブに来てくれてるよね。ほらこれ、尾形君がくれたやつ」

「そのブレスレット……!似ているとは思っていましたが実際に付けてくれているとは、なんと光栄な……!」

「お客さんからのプレゼントは宝物だからね!……まぁ、ちょーっと検査みたいのは通して危険がないか調べてるけど……」

「恐悦至極でありますよ……!」

 

ふむ。どうやら尾形はドールの熱心なファンだったようだ。

何か一つに熱中するのはいいことだと思う。……世間一般ではオタクと呼ばれて忌み嫌われているが。

 

「……ところで、奥義氏はなぜドールちゃんの歌を聴きたいと思ったのですかな?」

「……あぁ、ドールがアイドルヒューマギアなのを知って、単純な興味本位というか」

「へぇ!その子、アイドルなんだ!!すごーい!」

「……!」

 

不意に聞こえた声。

聞き覚えがある声の方向に目をやると、やはり、その場にはまだ幼さの残る笑みを携えた、職業不明のヒューマギアがいた。

フードの、少年ヒューマギアだ。

 

「ねぇドール。僕たちのアイドルになってよ!」

「あ、あなたたち???」

「うんそう!ドールの声には、ヒューマギアを引き付ける、()()()()()魅力があるんだ!」

「完成された魅力ですかな???少年、それはどういう……」

「キミは黙っててよ」

「へぶう!?」

 

おっと手を出したぞこの野郎。

ブースに突っ込んだ尾形の安否を伺うと、崩れた機材や段ボールの中から親指の立てられた手が挙げられる。

どうやら無事らしい。

 

少年はひらりと舞台に上がり、ドールに、フレンドリーに話しかける。

 

「ドールの声があれば、たくさんのヒューマギアが人類滅亡のために動いてくれるよ!!」

「人類滅亡?何を考えてるの!?私の仕事は人を笑わせることで、人を滅亡させることじゃ……」

「違う違う!!キミの仕事は、ヒューマギアを率いて人類を滅亡させること!!わかった?」

「ドール!!耳を貸すな!!」

 

いつのまにか、ドールの腰にあの岩石のような禍々しいデザインのベルトが巻きついていた。

 

「ちょっとキミ!!」

「うん?あれ、どこかで会ったことがあるね?誰?」

「人に名乗らせるときは、自分から名乗ること!!」

「……わかった。ラーニング完了。僕は滅亡迅雷.netの迅!!ジンってよんでね!」

「滅亡迅雷……またそれか!!」

 

ゼロワンドライバーを構え、腰に巻きつける。

 

『ゼロワンドライバー!!』

「仮面ライダーゼロツー。奥義旋人。どうぞよろしく!」『バウンド!!』

「あぁ、思い出した!あのときの!!」

『オーソライズ!!』

「変身ッ!!」

『クライミングラビット!!』

 

ドールを抱え、スタジオを出る。道路を駆け抜けて今は使われていないヒーローショーのステージまでやってくると、ドールを寝かせてベルトに手をかけた。

硬い。植物が土に根を張るように、がっしりとドールに組みついている。

ドールのヘッドギアにアクセス。解析不能のパターンでドールがハッキングされていっている。

 

「うう……あっ、ぐぅ……!!」

「ドール!!しっかり!!」

「そのベルトは外せないよ」

「ッ……」

 

いつの間にか、迅が追いついていた。

その手には、黄色いバックルが握られている。

 

「ふふっ」

『フォースライザー!!』

 

内側にトゲの生えたベルトが迅の腰に巻きつく。

あいつも……変身するのか?

 

空中に投げたピンク色の箱。

あれは……プログライズキーか!

 

『ウイング!!』

 

ピンクのプログライズキーがセットされた瞬間、警告音のようなものが鳴り響く。

 

「変身っ!」

『フォースライズ!!』

「うおおおおおおおっ!!」

『フライングファルコン!!』

『break down……』

 

変身……した?

三種類目のベルトだって!?

ゼロワンドライバー、ショットライザー、それで、フォース、ライザーって言うのか?

ウサギのアビリティの危険度を察知する能力で解析……。

っ、プログライズキーの威力を常にフルパワーで出している……性能がぶっこわれすぎやしないか?

 

「行くよッ!!」

「なっ」

 

気がつくと、迅は翼を広げて俺の視界から外れていた。

とっさに上を向くと、鋭利な刃物が飛んできていて……あっぶねぇ!!

横に転がって着弾地点を見ると、なるほど……あれは、翼か?翼を投げナイフのように使っているようだ。

 

「よそ見!」

「ぐあっ!!」

 

俺の横をピンク色の何かが通過していく。

腹を裂かれた。こっちはジャンプしかできない……分が悪すぎる!!

 

「だったらこいつで!!」

『プログライズ!!』

『チェンジングカメレオン!!』

 

景色に溶け込む。

姿が見えなければ、当てられる道理はない。

 

「あれれ?どっか行っちゃった!!」

「…………」

「んー、まあいいや。とにかく、ドールのあれを回収して……」

「させるか!!」

「!?」

 

擬態を解除。

全力のドロップキックの後、体を捻って空中ハイキック。

翼の刃物を投げてくるが、至近距離なら当たらない。

……それくらい、意外と経験してきたんでね!

 

『チェンジング!!』『インパクト!!』

「はああああああああッ!!!!」

 

これ決める!!足を踏み込み、ちゃんと対象を見極めて……!!

 

 

 

 

 

スティング

 

       ディストピア

 

 

 

 

 

───がッ───

 

「ぐあああああああああああッッッ!?!?!?」

 

激痛が体を襲う。

朦朧とする意識。

その場に倒れ伏す俺を後ろから通り過ぎていったのは、紫の何か。

あいつも……仮面、ライダー……?

 

「滅!」

「早くあれを回収しろ」

「あっ、そうか!わかった!!」

 

ほろび、と呼ばれたヤツの指示で、迅がドールに近づく。

 

「今まで育ててくれてありがとう!!」

「あああああああああっ!!!」

 

迅がドールの腹部装甲に穴を開け、その中に手を突っ込む。

悶え苦しむドール。

 

「あ、あったあった!これこれ!」

『ジャパニーズウルフ!!』

「あとは、あの二人のデータを集めて復元すればいいんだよね!」

「もう一人の方は目処が付いている。ゼツメライズキー培養のヒューマギアも用意はしてある……決行のときは近いぞ」

「「アークの意思のままに」」

 

アークの……意思?

アークとはなんだ?やはりゼツメライズキーを扱っているのは滅亡迅雷net.なのか?

プログライズキーとゼツメライズキーの違いは……?

 

「っぐ、あ」

「どうする滅?こいつ、倒しちゃう?」

「やめておけ。アークからそんな命令は受信していない」

「それもそっか。……うーん、わかった!」

 

滅が変身を解除した。

こいつは……俺がゼロツーとして初めて変身したときに、出会ったやつ……。

こいつもグルか……。

ライズフォンで飛電にだった三文字、「sos」と送る。

もう、無理だ……。ドール……!!!!

そこで、俺は意識を手放した。

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