「ハァッ……ハァッ……!」
飛電インテリジェンスの入り口にある改札にライズフォンをかざし、通り抜ける。
エレベーターの中で息を整えつつ、社長室へと急いで向かう。
意識を手放す前、ドールの中に何か、プログライズキーのようなものがあった。
低く響く感じから、きっとゼツメライズキーだ。それに、腰に巻き付けられていたベルトのことも気になる。
全身が鈍い。上手く動けない。
「ドールっ!!」
開いた社長室の壁に目をやると、そこにあったはずの壁はなく、ラボのようなものが剥き出しになっていた。ザル警備。
そのラボには、誰もいない。
なんだ?なにが起こってるんだ?あの仮面ライダーはなんなんだ?
『〜♪』
唐突に鳴り響くライズフォンに少々面食らいながらも画面を見る。
飛電の字が表示されていた。
「もしもし」
『位置情報を送るから増援に来てくれない!?』
「は?」
『頼むよ!!』
「……条件がある!」
『なんでも呑むから〜!!』
ピッ(REC停止)。
言質は取った。あいつには知ってる情報全てと、プログライズキーのデータを明け渡してもらおうか!!
仕方がない、まずは一度家に戻って……ん?
階段の上に誰かいる。フードつきのマントで誰だかわからなくしている。
思いっきり不審者だ。
なにをしてくるのかと身構えていると、フードの人物はパネルを操作する。
すると、飛電のラボの壁が閉まって……ちょちょちょっと。
「っおいおい、たしかに飛電の警備ザルだけど!!」
こんなベタな展開あるか……?
壁に触れてみるも、映し出されたパネルに打ち込むパスワードを俺は知らない。
持っているのはゼロワンドライバーとライズフォンだけ、近くに見えるにはちょっとした工具……。
せめて銅線さえあれば、ゼロワンドライバーを繋いでライズフォンからハッキングすることもできたんだが……。
「いっそのこと、ここで変身して壁を壊す他には……っとと、何の音?」
ヴィーと、何かが動く音が響く。
辺りを見渡すと、初期型ヒューマギアのモデルが下に下がっていくところだった。
エレベーターになってるのか……?」
「お困りのようですね」
「お前は……誰だ?」
「そう慌てないでくださいよ」
再び上がってきたエレベーターに乗っていたのは、古風な探偵の格好をしたヒューマギア。
丸いメガネをくいと上げ、微笑んで見せた。
「私はワズ・ナゾートク。見ての通り探偵です。お初にお目にかかりますね、新人社員の方」
「探偵……?」
「……私はワズ・ナゾートク。見ての通り探偵です」
「ついさっきも聞いたぞそれ」
「…………私は、ワズ・ナゾートク。見ての通り、探偵、です。はいっ」
「だあっ、わかったわかった!こっちも自己紹介しろって事だろう!?……奥義旋人。ついこの前、飛電インテリジェンスに勤めることになった、ただの社員だ」
ワズは「ほほう!」とややオーバーなリアクションをしながら辺りを見渡す。
周りのデータを取得して、この状況を理解しようとしているのだろう。
ワズの視界のデータが、初期型ヒューマギア独特の丸いヘッドギアに送信されていく。
「なるほどなるほど」
「…………」
『それでは旋人君、状況を教えてください』
わかったんじゃないのか。
「エレベーターに乗ったばかりなのに状況がわかるはずないじゃありませんか」
「心を読むなヒューマギアのくせに。……よくわからないフードのやつに閉じ込められた。社長様は戦闘中だ」
「なるほどぉ……謎は全て解けました」
うさんくさい。
ワズは壁に手を触れ目を瞑ると、なにかを念じているように、まるで人間のように唸る。
……パズワードでも入力されたのか、壁が消えていった。
「はい、これで外に出れますね」
「……ちょっと待てよ。お前が使ったエレベーターを使えば外に出られたんじゃ?」
「さ、いきましょうか!」
「あっおまっ、なんなんだよお前は!!!」
……行ってしまった。
まあ、空いたのだからいい。俺も後を追おう……
『衛星ゼアからの命令を受信。構築を開始します』
「……は?」
俺の後ろにあった箱のようなものが、唐突にそんな声を発した。
寄ってみると、中のアームが何かを描いている。
レーザーのようなものが何かを作り出し、箱が『構築を完了しました』と言った頃には……。
「……なんだこれは」
前面が金色でコーティングされた、妙な形のプログライズキーがそこに置いてあった。
◇
ドードーマギア。
いつからか、祭田Zというヒューマギアが行方不明になり始め、イズの兄を名乗るヒューマギアと共に、この事件が滅亡迅雷net.の仕業であることが判明した。
ドードーゼツメライズキーには今までの戦闘データが詰め込まれ、ドードーマギアは戦うたびに強くなっていく。
力が、足りない。
このヒューマギアをどうにかするには、圧倒的に、力が……。
『フレイミングタイガー!!』
フレイミングタイガーにハイブリットライズ。両手から炎を出して牽制するも、両手に持った大太刀の一振りでかき消されてしまう。
バインディングシャークの力を存分に活かすには水場がないといけない。
ブレイキングマンモスはこんな市街地で使えない。
イズは側で見ているが、ヘッドギアに手を当てて何かを更新している。
『人間、絶滅……!!』
「くっ、うぐっ……がっ、は……」
一方的に押し込まれ、初めて負けそうになる。
諦めるわけじゃない。でも、今は勝てない……。
腰から肩にかけて切り裂かれ、許容できる以上のダメージを受けて変身が解除される。
……もう……。
「飛電!!」
聞き覚えのある声。先程増援を頼んだ人だ。
その人が、太陽に輝くプログライズキーを手に走っている。隣にワズもいた。
そのプログライズキーが今、俺のもとに投げられた。
「これを使え!」
「これは……」
『今までのゼロワンの戦闘データで作り上げた、新しいプログライズキーです、或人社長!』
「ありがとう、イズ、旋人!よぉし、これなら……!」
『シャイニングジャンプ!!』
『オーソライズ!!』
変身……ッ!!
旋人君が割り込んだのはシャイニングホッパー覚醒前ということがわかった回です。
アサルトだったり中間フォームゼロツーだったりの指標にしかならないのであんまり関係ありません。
……みんなゼロワンが終わって飽きた?