プログライズキー作っちゃったお話。   作:翠晶 秋

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勘違いしている方も多いと思うので訂正というか注意をば。

ゼロツーは『ゼロワンによるクライミングラビットのハイブリッドライズ』ではなく、『クライミングラビット』であります。
それ故、ゼロワンドライバーに保存されているライダモデルが、【ゼロワン=ライジングホッパー】、【ゼロツー=クライミングラビット】となります。

旋人の言葉を借りるなら……『簡単に言うと、ゼロワンのライジングホッパーが白くなっただけ』 だそうです。
ではでは。


無邪気なアイツは怒ると怖そう

 

スポンと栄養ドリンクの蓋を外す。

健康に害を為しそうな不気味な色合いのそれを喉に流しつつ、俺はラボのショーケースを見つめた。

 

「……ふむ。変化なし」

 

ショーケースの中でのんびりとゼリーを貪っているカメレオン。

ゼリーの隣にブランクプログライズキーを置いているのだが、一向に変化する気配はない。

なにか条件があるのだろうか。

 

あれ以降も暴走するヒューマギアは次々に発生し、わかったのはヒューマギアの暴走が人為的に行われているということだけ。

ゼツメライズキーの回収にもいつも失敗する。

探しても全然無いんだもん。いやになっちゃうよね。

というわけで、今は新しいプログライズキーを作ろうとしているんだが……全然変化がない。

 

『ピンポーン』

 

お客さんかな。ウチに何のようだ?

神経質なカメレオンが木の枝に擬態する中、ラボの中からインターホンのカメラを見る。

 

青を基調とした迷彩服の男が、肩に書かれた文字を見せつけて来る。

A.I.M.S……エイムズぅ!?

 

『人工知能特務機関【A.I.M.S】隊長の不破(ふわ)だ……数日前のヒューマギア暴走の事件について、任意での動向を頼みたい』

 

警察来たわ……。

 

 

 

 

「俺、これからどうなるんすかね。どんな容疑を課せられるんですかね」

「今回は取り調べのみだ」

「取り調べであんな大人数!?」

「あの動物園で最後に避難したのはお前らしいからな……一応だが、リュックの中身も押収しておく」

「え」

 

それは困る。

中にはベルトとプログライズキーが入ってるんだけど……。

まぁ、一般人が知るものではないし……出しても大丈夫かな。

 

「なッ……どうしてお前がプログライズキーを持っている!」

 

知っていらした。

 

「このベルトも……あいつの……窃盗か?」

「それ、俺が自作したやつなんですけど……」

「そんなわけがあるか。色は違えど形が同じだ。……これはしばらくの間エイムズが預からせてもらう」

 

そんな……そんな。

ハッキングは完全に立つ鳥跡を濁さずなんだが、USBとかライズフォンとかに重要なデータが入っているし、そもそもカメレオンちゃんが心配だ。そこにはブランクプログライズキーもあるんだぞ。

 

スニーカーを見つめながらしょんぼりしていると、車体が大きく揺れた。

びくっとして窓の外を見ると、鎧をまとったヒューマギアみたいのがゾンビ映画の如く張り付いていた。

 

「ぎゃあああああああ!!」

「ヒューマギアか!!」

 

不破がドアを蹴破り、外に出る。

えぇ……ロックの掛かったドアを蹴破るってどんな馬鹿力を……ってうわ。

不破に手を引っ張られ、外に投げ出された。

 

いつの間にやら不破は青い機銃のようなものを持っており、バオンという空気を穿つ音と共にヒューマギアが吹き飛んだ。

なにそのマグナム。欲しー……。

 

「ここは危険だ。いったん外に出るぞ!!」

「その前にベルト返して下さいよぉ!」

「車の中だ!」

「えええええええ!!」

 

バカっこの、アレ作るのにどれくらい時間かかったとお思いで!?

不破を蹴り上げ、銃を奪う。

既に運転手は逃げ出した。つまりは暴れていいってことだ。

 

「返せ!それは常人に扱えるものでは……」

「ほならね、アンタが責任持って取ってこいって話ですよ!!」

 

ここ数日で実戦経験を積んだ。

主に近接格闘だけだけど……。

襲いかかるトリロバイトマギアを蹴り、至近距離で引き金を引く。

思いの外強い反動に肩が持ってかれて大きくのけ反るが、そのかわりにトリロバイトマギアに風穴を開けられた。

 

トリロバイトマギアというのは、ヒューマギアが暴走した特殊個体の有線接続によってハッキングされたもの。

ヒューマギアのリミッターが外れて機械の膂力でぶつかって来るんだから、生身で攻撃されたらたまったもんじゃない。

 

なんとかトリロバイト達を交わしつつ、車の後尾座席のリュックを掴む。

そのまま不破に全力疾走。

 

「お返しします!」

「追いつかれた状態で返されても無駄だ!……クソ、後ろに下がっていろ!」

 

不破が銃を構え、反対の手でポケットから何かを取り出す。

青い……狼のプログライズキー?

……もしかして。

 

『バレット!!』

 

こいつも、変身するのか??

 

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 

雑!開け方めっちゃ雑!!

 

「……開いた」

 

開いたじゃねえよ壊れたらどうするんだ!!それにいったいいくらの情報が入ってると思ってる!!

展開したプログライズキーを銃に押し込む。だから雑だって。

 

『オーソライズ!!』

『kamen,rider……kamen,rider……』

「変身ッ!!」

『ショットライズ!!』

 

一際輝きを放つ弾丸が幾つかのトリロバイトマギアを貫き、こちらに戻ってくる。

不破は拳をにぎりしめ、その弾丸をパンチで打ち砕いた。

 

『シューティングウルフ!!』

The Elevation Increases As The Bullet Is Fired(放たれた弾丸のように進化は加速する).』

 

弾丸はすぐさま鎧となり、不破に装着される。

つまり……変身した。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

不破がトリロバイトマギアの群れに突っ込み、跳ね飛ばしたり蹴り伏せたり、好き放題やっている。

しかし、数が多い。

草むらから、道路傍から、ぽんぽんと出てきている。

これは、弁明のために俺も……!

 

「あー!!せっかく集めたのに数が減っちゃってるー!!」

 

ん?

振り返ると、赤い目をしたヒューマギアを従えた青年が頰を膨らませていた。

 

「そこの君!そのヒューマギアから離れた方がいい!!」

「えー?どうして?この子は【オトモダチ】だよ?」

 

無邪気に笑って見せる青年。

その顔が、どうしても不気味に思えた。

 

「はい、あーちゃん!」

「人間、絶滅……」

 

タクシードライバーのひヒューマギアが、青年から紫色のプログライズキー……じゃない、ゼツメライズキーを受け取る。

……グルってことか、あの青年と、バンダナの男は。

 

『エラスモ!!』

 

ヒューマギアはベルトにそれを装填して……。

 

『ゼツメライズ!!』

 

声にならない悲鳴と共に、ヒューマギアの体が変質する。

頭に突出した大きなツノ。

その装甲はパープルに輝き、禍々しい印象を持たせた。

 

「ッチ!!滅亡迅雷か!」

「滅亡迅雷ぃ?」

「とにかく下がっていろ!!」

 

不破がトリロバイトマギアを蹴り飛ばしてこちらに来ようとする。

……でもまぁ、多分。

 

「その必要は無いんじゃないかな」

「なに?」

『ゼロワンドライバー!!』

 

腰に巻き付けたベルト。

 

『バウンド!!』

「え?なになに?新しいプログライズキー!?」

『オーソライズ!!』

 

飛び降りてきたウサギに目を輝かせる青年の目の前で、これみよがしにキーを展開する。

正面に左腕を持ってきて、隙間からニヤリと笑って見せる。

 

「変身っ!!」

『プログライズ!!』

『ムーンライト?ムーンライズ!!』

『クライミングラビット!!』

Crush to the power of wearing the moonlight(月明かりを纏う脚力に粉砕されろ).』

 

装着されたマスクの下で笑う。

この感覚にも慣れた。

 

「俺は……俺のために戦う」

 

エラスモマギアに向かって駆ける。

全体重を乗せたドロップキック。

これで弾き飛ばしてクライミングインパクトでトドメを……。

 

「絶滅!!」

「うおっ!?」

「わーい!あーちゃんすごーい!!」

 

重い……こいつ、動かない……。

エラスモって確かサイの仲間だったっけ。

そりゃ動かない訳だ。

 

俺の隣を弾丸が通過し、エラスモマギアの鎧を穿つ。

しかし、白煙を上げるだけでそこまでダメージは無いみたいだ。

 

「気にもしないってか」

「アンタはいいから雑魚をやってろ!」

「なんだと?」

「脳筋に相手ができるか!」

 

エラスモマギアの突進を真正面から受け止め、足を踏ん張る。

ラグビーの最前線のようになりながらもプログライズキーを押し込む。

 

『クライミング!!』

『インパクト!!』

「どりゃっせえええええええええい!!」

 

脚力を強化し、全力で投げ飛ばす。

ひっくり返せはしたけど……どうするんだこれ。

とりあえずエラスモマギアがひっくり返した亀みたいになってるから時間は稼げた。

青年は……もういない。逃げたか。

 

『バレットシューティングブラスト!!』

 

不破の方も片付いたみたいだ。

肩を上下させている。今すぐこちらに向かうのは難しいだろう。

俺は深く息を吐いてから、エラスモマギア……つまり足元に目を向けて───。

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