空を見上げる。
あー……やっぱり経験の差が大きいかぁ……。
ベルトやスーツの機能を深く知っていたのは或人の方だったみたいだ。
それと武器の差。
カバンから変形した剣が、俺の眼前に突きつけられる。
或人のお付きのヒューマギアがベルトの前面部分───ライズリベレーターをスライドし、ライズスロットからプログライズキーを取り外した。
「どうぞ、或人社長」
「ありがとうイズ」
しばらくの間プログライズキーが装填されていなかったので強制的に変身が解かれ、俺はもうただの生身の人間だ。
もう、超絶パワーをもったヒーローではない。
くっそ……完璧な作戦だと思ったのに。
「……こちらも」
「兎とカメレオンのプログライズキー?」
「待て!それは俺の痛ァ!」
殴られた。なぜだ。
俺はただ……ノアの復活をしたかっただけなのに……。
「どうしてこんなことをしたんだ」
「……はは」
「答えろ!!」
わかりきってんだろ、ピンチな企業の社長なら。
「護りたかったんだよ」
「何……?」
「オメエが会社護りたいようにッ!!俺もッ!!護りたいモノがあるんだよって言ってんだ!!」
剣を押し除け、イズの顔面を殴る。
硬い。手の甲がじんと痛む。けどそんなの知らない。
プログライズキーはなくなった。なら作ればいい!!
負けるもんか、二度と!!
バイクに跨り、フルスロットルで飛ばす。
後ろから声と振動音。
クソ、そういえばあいつもバイク持ってた気がする!!
「待て!!」
「その言葉で待ったら警察は仕事要らずだな!!」
誰もいない時間帯、道路を二人で突っ走る。
イズは置いてきたらしい。バイクチェイスを挑むつもりか。
相手は換装状態。対してこちらは生身。武が悪いにも程がある。
繰り出される剣の峰を躱し、腕力だけで体を持ち上げ蹴りを繰り出す。
高速道路帯に入った。律儀に二人とも速度を上げる。
ハイスピードバトルチェイス。
「パッと見でも高性能なバイク……並のバイクじゃあスピード負けする……だが!!」
「うおっ!?」
これでも少しだけ、ヒーローやってたんでね!
ハンドルを固定してバイク上で殴り合う。一撃が重い。
向かいから車のクラクション。今気づいたが反対の車線に入っていたらしい。
壁際ギリギリまで寄る。
トラックの荷台がハンドルの一部を吹き飛ばした。すまん運転手、黒い汚れがついてるかもしれん。
右を見る。飛電は健在か。
「くっ!!」
『バインディング!インパクト!』
飛電の拳が青く光る。
戦ってる時に見た、あの青い刃。
ヘルメットを脱ぎ、盾がわりに───
バ
イ
ン
デ
ィ
ン
グ
イ ン パ ク ト
「うわあああああああああっ!!!!」
爆炎。
吹き上がる体。
そこで俺は、意識を手放した。