1回戦シード、2回戦カガミ、3回戦名前も知らない人、4回戦ヒメ様と勝って決勝戦まで残った。
決勝戦の相手は言うまでもない。
この世界唯一のPC、レツとのバトルだ。
「さァ今年のバトスピチャンピオンシップも気づけば決勝戦を残すまでとなりました!コアリーグ優勝『渡雷烈』選手、VS!ガンスリンガー1位『氷田零』選手のバトルだァ!」
ギャラクシー渡辺の紹介に合わせて壇上に上がる。
レツもステージの向かいから出てきた。
「よろしく、レツ」
「ああ!お互い頑張ろうぜ!」
「それでは早速やっていこう!バトスピチャンピオンシップ決勝戦!ゲートオープン、界 放ーーー!!!」
レツとバトルをするのがこれが初めて。
前に合宿でコレクターとバトルしているのを見た事があるけど、動きは普通の人間の行動だった。
この世界に来て初めての対人戦。
柄にもなくテンションが上がっている。
「私が先攻。メインステップ『天弓の勇者ウル』を召喚。ターンエンド」
赤相手はとりあえずスピリットから。
もう『ドラグサウルス』は嫌です。
「ネクサス『灼熱の谷』を配置。『レイニードル』をLv2で召喚。ターンエンド」
『灼熱の谷』はドローステップにドロー枚数を+1して、その後手札を1枚捨てる効果を持つ未来の制限カードですね。
3コスのネクサスでそれはさすがにダメだったよ。
「メインステップ。マジック『ストームドロー』を使用。3枚ドローして2枚破棄。さらにネクサス『超時空重力炉』を配置」
向こうが制限ならこっちも制限。
さて、とりあえず1点取っておくか。
ダブルシンボルで削る前提で、5→4→2→0が理想。
「アタックステップ。『天弓の勇者ウル』でアタック」
「『レイニードル』でブロック」
ウルもレイニードルもどっちもBP3000、相討ちだ。
しまった、完全にCPU相手のつもりでいた。
レツは私が『インビジブルクローク』持ってること知ってるし、そりゃライフを守りにくるよね。
「ターンエンド」
「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ。『灼熱の谷』の効果で2枚ドローして1枚破棄。リフレッシュステップ、メインステップ。『天槍の勇者アーク』を召喚。アタックステップ、『天槍の勇者アーク』でアタック」
「ライフで受ける」
「ターンエンド」
初手のミスがかなり痛い。
なんとかこのターンでカバーを……と思ってたら2枚目の『超時空重力炉』がきた。
あれ、2、4……出せるじゃん。
「メインステップ。ネクサス『超時空重力炉』をもう1枚配置。そして『機神獣インフェニット・ヴォルス』を召喚!」
「コスト10のスピリットがもうか!早いな!」
「アタックはせず、ターンエンド」
『超時空重力炉』はスピリットを召喚する時白のシンボル3つになる。
それが2枚でシンボル6つ。
10コスト6軽減4コスト、まさかこんな早くに出せるとは思わなかった。
「メインステップ。『煌星龍ジークヴルム・アルター』を召喚。ターンエンド」
「烈選手もキースピリット『煌星龍ジークヴルム・アルター』を召喚! お互いのキースピリットの対面だァ!」
ジークヴルム・アルターの召喚にギャラクシー渡辺が盛り上がる。
いや私のキースピリットはグランウォーデンですよ、今大会では殆ど活躍してないけど。
だってライフを削るのはジークリでアンブロ2点でいいし、インフェニット・ヴォルスはBP高い疲労ブロッカーで優秀なんだもん。
「マジック『ライフチェイン』。『機神獣インフェニット・ヴォルス』を破壊して10コアブースト」
「えっ、自分のキースピリットを破壊!?」
だからキースピリットじゃ(ry
「マジック『ダブルドロー』を使用、2枚ドロー。『空帝竜騎プラチナム』をLv3で召喚。アタックステップ、『空帝竜騎プラチナム』でアタック」
「ライフで受ける」
「ターンエンド」
これでお互いライフ4。
プラチナムの効果でBP5000以下のスピリットのアタックでは私のライフは減らないから、ちょっと前傾姿勢で攻めた。
「メインステップ、マジック『エクストラドロー』を使用。2枚ドローして1枚オープン。『メテオストーム』なのでデッキの上に戻す。『煌星龍ジークヴルム・アルター』をLv2『天槍の勇者アーク』をLv3にアップ。アタックステップ『煌星龍ジークヴルム・アルター』でアタック」
「ライフで受ける」
「『天槍の勇者アーク』もアタック」
「それもライフで受ける」
「ターンエンド」
連続攻撃をライフで受けて残り2つ。
私がライフ2まで追い込まれたのっていつぶりだろうな。
多分この世界に来てから初めてな気がする。
「メインステップ、まずは『ダブルドロー』で2枚ドロー……いいね。『空帝竜騎プラチナム』の効果発揮。ターンに1回、手札の【転召】を持つスピリットを【転召】させずに召喚できる。8コスト5軽減、3コストで『翼神機グラン・ウォーデン』を召喚。さらに『空帝竜騎プラチナム』を転召の対象にもう1体『翼神機グラン・ウォーデン』を召喚」
ライフチェインで潤沢に増えたコアを使って、私のキースピリット『翼神機グラン・ウォーデン』を2体召喚する。
『空帝竜騎プラチナム』を残して『煌星龍ジークヴルム・アルター』の効果でグランウォーデンを連れてかれたら嫌だからね。
ここは高BPを2体並べさせてもらおう。
「アタックステップ。『翼神機グラン・ウォーデン』でアタック」
「フラッシュタイミング、マジック『サイレントウォール』! このバトルが終了した時、アタックステップを終了する。そのアタックはライフで受ける」
「アタックステップは終了、エンドステップでターンエンド」
防御札を握ってたか、まあこれでレツのライフは2。
もう1回ダブルシンボルを叩き込めばそれで終わりだ。
まあ、その前にこのターンを耐えないといけないんだけど。
「メインステップ『サーべカウラス』をLv2で召喚。『煌星龍ジークヴルム・アルター』をLv3にアップ。アタックステップ、『煌星龍ジークヴルム・アルター』でアタック! アタック時効果【激突】!」
サーべカウラス、アーク、アルター。
打点は足りてるのに最初にアルターからアタックするのか。
サーべカウラスの効果でBPが上がったアルターはBP10000、グランウォーデンと同じだ。
相討ち前提のアタック?
うーん、何か嫌な予感もするけど……まぁいいか。
「『翼神機グラン・ウォーデン』でブロック」
「フラッシュタイミング、『エクストラドロー』を使用。『煌星龍ジークヴルム・アルター』をBP+2000する!」
あー、なるほど。
嫌な予感が当たったよ。
まあでもこのターンは耐えれそうだし、まだ何とかなる。
……あれ、そういえばさっきエクストラドローでオープンされたカードって。
「ごめん、ちょっと考える。……使うしかないか。マジック『ダイヤモンドストライク』を使用。ブロックしてない『翼神機グラン・ウォーデン』を回復させるよ」
本当なら自分のアタックステップでもう一押しに使いたいカードだったんだけど、この場合は仕方ない。
レツ相手なら、このタイミングで使うしかない。
「フラッシュタイミング、マジック『メテオストーム』を使用! 不足コストは『サーベカウラス』より確保、『サーベカウラス』はLv1にダウン」
さっきエクストラドローで捲られたカード『メテオストーム』
『メテオストーム』はカード名に「ヴルム」とつくスピリット1体に「BPを比べ相手のスピリットだけを破壊した時、このスピリットが持つシンボルと同じ数、相手のライフのコアをリザーブに置く」という効果を与える。
これでスピリットもライフもどっちも持っていこうということだ。
ホントよかった。
CPUならともかく、
「【氷壁:赤】発揮。『翼神機グラン・ウォーデン』を疲労させることで『メテオストーム』の効果は発揮されない」
「なっ!」
【氷壁】は白の専用効果。
相手のターンに、相手が指定された色のマジックを使用した時、【氷壁】を持つスピリットを疲労させることでその効果を無効にする。
正直強いか弱いかでいったら弱い専用効果だし元の世界で使ってる人見たことないレベルだけど、上手いこと行ってよかった。
「……でも、『翼神機グラン・ウォーデン』は破壊だ。『煌星龍ジークヴルム・アルター』の効果でもう1体も破壊する」
「どーぞ」
『煌星龍ジークヴルム・アルター』はBPを比べて相手のスピリットだけを破壊した時、破壊したスピリットと同じ系統を持つスピリットを破壊する。
当然同じスピリットは同じ系統だから、グランウォーデン2体が同時に道ずれされた。
「『天槍の勇者アーク』でアタック」
「フラッシュタイミング。マジック『ブリザードウォール』を使用。このターン、ブロックされなかったスピリットのアタックでは、私のライフは1しか減らない。ライフで受けるよ」
「……ターンエンド」
【氷壁】を使って『メテオストーム』を無効にしたのはこの『ブリザードウォール』を使うためだ。
『ブリザードウォール』の効果でブロックされなかったスピリットのアタックではライフは1しか減らないが、スピリットの効果では減ってしまう。
だからわざわざ『ダイヤモンドストライク』で回復させてでも【氷壁】を使ったわけだ。
でも、防御に手札を多く使ってしまい、私の今の手札は『冥機グングニル』1枚。
このデッキの防御札は『ブリザードウォール』だし、ライフ1の今となってはもう引いても意味がない。
つまり、このターンで勝つしかない。
「ドローステップ
…………うん、ありがとう」
こういうことがあるからバトスピは止められない。
圧倒的不利な盤面を逆転する1枚を引いた瞬間のドキドキは、何者にも変え難い。
「メインステップ、『冥機グングニル』を3コスト支払って召喚。そして『冥機グングニル』を転召、『極帝龍騎ジーク・クリムゾン』を召喚!」
「ここでジーク・クリムゾンか!」
「召喚時効果で『サーべカウラス』『天槍の勇者アーク』を破壊。アタックステップ、『極帝龍騎ジーク・クリムゾン』でアタック」
レツは2枚手札を持っている。
さて、果たしてその2枚にジークリを防ぐカードがあるのか?
「フラッシュはない!」
レツはハッキリと、大きな声でそう言った。
「こちらもありません」
「ライフで受ける。ありがとうございました!」
「はい私の勝ち。ありがとうございました」
勝った。勝った、勝った!
『ーー決まったァァァ!!! 2010年バトスピチャンピオンシップ、優勝は「氷田零」選手だァァァ!!!』
そもそもエクストラドローを氷壁しろよってご指摘はNG