「世界大会!? 南国でバカンス!? 何それ私も行きたい!(ワクワク)」
IBSAの信秀さんから聞いた話をするとマドカは予想通りというか、実にマドカらしい返事をした。
「別に来るのはいいけど、旅費はそっち持ちだよ。リゾート地だから物価やばいけど」
「えーっ!!!」
世界大会の開かれる「フェレンガル王国」は600年続く王家に主権がある独裁国家で、石油の輸出で力をつけて急激に発展した国だ。
政策により国全体が一級リゾート地として成り立っており、学生が旅行で行くには高すぎる。
「IBSAの本部もそこにあって、かなりバトスピも盛んに行われてるみたい。Gでも買い物ができるから、やろうと思えばバトスピで食べていけるよ。1日100勝くらいすれば」
「さすがにそんな自信ないわよ……素直にネット中継見て応援するわ。そういえば、新しいパックが出てたわね。買った?」
「もちろん。世界大会に出るんだし、十全に用意したよ」
先日公式から『ブレイヴ』の追加が発表され、ブレイヴが収録されているパックが4種類発売された。
つまり星座編、12宮Xレアが一気に発売である。
私が用意したデッキは『ラグナロック・コンサート』と『姫ループ』の2つ。
ホントは『颶風ガルード』も作りたかったけど、ガルードがどこ探しても見つからなかったので諦めた。
ショップバトルの景品だと思ってんだけど違った。
「じゃあレイちゃん、バトルしよーよ! 私も新しいカード試したいし!」
「いいよ。じゃあ用意するから待ってね……オーケー、準備できたよ」
プレイシートとコアを用意してバトルを始める。
何だかんだマドカとのバトルも久しぶりだね。
◇◆◇◆
バトルは私が先攻。
「『ノーザンベアード』を召喚。ターンエンド」
懐かしきかなノーザンベアード。
アニメでのモルゲザウルスとの相討ちはよく覚えてる。
「メインステップ。『戦竜エルギニアス』『オリンスピア競技場』を配置。『オリンスピア競技場』をLv2にしてターンエンド」
マドカはあれか、ガンディノスの赤青デッキだね。
元々強いガンディノスに、構築済みデッキで優秀な小型スピリットが追加されてさらに手がつけられない。
できればガンディノスが出てくる前に終わらせたいけど。
「『ダンデラビット』を召喚。召喚時効果で2コアブースト」
『ダンデラビット』は召喚時、リザーブに1個と「系統:星魂」を持つ他のスピリットに1個、ボイドからコアを置ける。
『ノーザンベアード』が星魂を持っているので今回は2コア増やせた。
「リザーブと『ノーザンベアード』のコアで『ダンデラビット』をLv2にアップ。ターンエンド」
前はガンガン攻めてたけど、ブレイヴ環境では一気にバトルが決着することは珍しくない。
「ライフを減らす」ことよりも「相手にコアを与えない」ことを重視するようになった。
「メインステップ、ネクサス『灼熱の谷』を配置するわ。さらにマジック『ブレイヴドロー』。2枚ドローして3枚オープン、『牙皇ケルベロード』を加える。ターンエンド」
おっとやばいぞこれ。
オープンしたカードに『凶龍爆神ガンディノス』があった。
『ブレイヴドロー』はデッキの上に戻す効果だから、次のターンにマドカはガンディノスを引く。
ガンディノスとケルベロードを出されたら、普通に死ぬな。
「『要塞蟲ラルバ』をLv2で召喚。召喚時効果で『ノーザンベアード』と『要塞蟲ラルバ』にコアを1個ずつ置く」
私は『要塞蟲ラルバ』でさらにコアブースト。
ラルバは白のスピリット2体にコアを1個ずつ置く効果、さらにLv2だと自身を白のスピリットとしても扱えるため簡単にコアを増やせる。
「『鉄騎皇イグドラシル』を召喚。召喚時効果でマドカの『戦竜エルギニアス』と、私の『ノーザンベアード』『ダンデラビット』『要塞蟲ラルバ』を手札に戻す」
『鉄騎皇イグドラシル』は召喚時にBP3000以下のスピリット全てを持ち主の手札に戻す。
この時相手だけでなく自分のスピリットも戻せるのが強い。
これでまた召喚時効果を使える。
「『鉄騎皇イグドラシル』をLv3にして、ターンエンド」
イグドラシルはLv2から【装甲:赤/白】を持つ。
ガンディノスの前では気休め程度にしかならないけどね。
「『灼熱の谷』の効果で2枚ドローして1枚破棄。メインステップ、『戦竜エルギニアス』を再召喚。そして『凶龍爆神ガンディノス』召喚! さらに『牙皇ケルベロード』を召喚、ガンディノスに
これで4回アタックするBP11000のダブルシンボルが出来ましたとさ。
ツラい。
「
「ライフで受けるよ」
「もう1度アタック。【強襲】で『灼熱の谷』を疲労」
「ライフで受ける」
「さらにガンディノスでアタック! 『牙皇ケルベロード』の効果、デッキを5枚破棄して回復!」
「フラッシュタイミング、マジック『デルタバリア』を使用。コスト4以上のスピリットのアタックでは私のライフは0にならない」
デルタバリアの強さは弾さんのお墨付きだからね。
「『戦竜エルギニアス』でアタック」
「イグドラシルでブロック。エルギニアスを破壊」
「
「ライフで受ける。
「ターンエンド」
おおう『デルタバリア』を使ったのにアタックしてくるのね、久々にCPUのガバプレイを見た。
とにかくこのターンは耐えきった。
ライフは減ったけどコアは増えたし、次はこっちの番だ。
「『要塞蟲ラルバ』を召喚、2コアブースト。『ノーザンベアード』『ダンデラビット』を召喚。さらに2コアブースト。『鉄機皇イグドラシル』を転召して『終焉の騎神ラグナ・ロック』を召喚。召喚時効果、6コアブースト」
前のターンに手札に戻したスピリットを召喚し、効果でコアを増やす。
さらに軽減を稼いで『終焉の騎神ラグナ・ロック』を召喚した。
ラグナロックは『鉄騎皇イグドラシル』で転召した時、ボイドからコアを6個もラグナロックに置ける。
転召でコア1個ボイドに送っているとはいえ、やはり強い。
「ブレイヴ『オオヅツナナフシ』を召喚。召喚時効果で私の手札を全て破棄して、マドカの手札と同じ枚数になるようにドローする。4枚ドロー」
ドローしたカードの中に、あの黄色のネクサスがあった。
これで最後のパーツが揃う。
「『星空のコンサートホール』をLv2で配置。『終焉の騎神ラグナ・ロック』に『オオヅツナナフシ』を
『終焉の騎神ラグナ・ロック』はアタック/ブロック時にコスト8以下のスピリットを3体回復させる。
しかし
ここで重要なのが、デッキ名にもなっている『星空のコンサートホール』
このネクサスがLv2の時、私の
これでラグナロックの効果で自身を対象にとれる。
前世ではルール改訂のせいで使えなくなった無限アタックですね。
「ライフで受ける」
「もう一度アタック。回復」
「ライフで受ける」
「アタック。回復」
「ライフで受ける!」
「はい私の勝ち」
マドカは防御カードを引けていなかったらしい。
ダブルシンボルのアタックが3回決まり、私の勝ちだ。
ウォール系じゃなくても『サジッタフレイム』で止まるから結構危なかった。
それでも他にスピリットが3体いるし、なんとかなったかもしれないけど。
しかしさすがブレイヴ環境、ライフ5でも油断できない。
「前にショップバトルで優勝したデッキだから大分自信あったのに〜(悔)」
「世界大会にもいるだろうしね、ガンディノスデッキの人は。いい練習になったよ」
「どーいたしまして。レツやヒメちゃんとは練習しないの?」
「レツとは何回かやってるよ。結構やばいコンボ使ってくるからスピード勝負って感じ。ヒメ様にはよっぽど負けないかな?」
レツが使うデッキは射手座の12宮Xレア『光龍騎神サジット・アポロドラゴン』にベオウルフとスピニードハヤトをつけて殴るWブレイヴデッキ。
強いけどあまり早くないので対処できる。
ヒメ様は天秤座の12宮Xレア『天秤造神リブラ・ゴレム』でLO狙いのデッキだね。
『颶風ガルード』対策に入れてる『鳳翼の聖剣』のおかげでまず負けない。
「まぁサイキョーのガンディノス使いの私に勝ったんだし、世界大会もレイちゃんの優勝で間違いないでしょ! 私もお小遣いを賭けようかな?」
「それなら、外国の銀行に口座を作らないとね。あと賭け金の最小単位が1万ドルだから、どこかからお金借りないと」
そんな他愛もない話をマドカとしていると、ヒメ様から連絡が来た。
どうやら大会の日程が決まったらしい。
時期は夏休み。
早くパスポート取ってこないとね。
「あ、そうそう。知ってる? レイ」
「ん? なに?」
マドカが新しい話題を投げかける。
大会に思いを馳せる私に、マドカはその爆弾を投下した。
あくまで噂なんだけど、なんて頭にあったけど、マドカのその後の発言に私は色々な意味で衝撃を受けた。
どこかの研究チームが、スピリットを実体化させるバトルフィールドシステムの開発に成功したらしい、と。