世界大会予選、日本チームは10位中8位で突破した。
私が初戦を長引かせたり、2戦目で負けたりして迷惑をかけたけど、レツとヒメ様が頑張ってくれたおかげで無事予選突破。
ちなみに勝利数はレツが12で私とヒメ様が4ずつだった。
レツさん、まじありがとうございます。
予選が終わり、本戦は明後日からだ。
賭けの都合上、ある程度の日にちを空けなくてはならないらしく、2日おきにトーナメントを進めることになっている。
本戦は予選を突破した30人+IBSAの代表選手2人でのトーナメント形式。
既に選手にはトーナメント表も配られている。
私とヒメ様が同じブロック、レツは反対のブロックだった。
戦うなら決勝だね。
今日は予選突破祝いだー とレツ達とご飯を食べにいくと、やはり私が負けたことが話題に上がった。
まぁこの世界では初の敗北だったしね。
「0コストと1コストの小型スピリットを後攻1ターン目に5体召喚されての敗北、か。その者のチームも予選を突破しておる。アバジャイと同じ、フェレンガル王国の代表選手じゃ」
「へぇ。あの子も代表選手だったのか」
レツは前にその子とバトルしてたからね。
というかレツもあの子が代表ってこと知らなかったんだ。
「勝率は9勝6敗……負け越してるけどバトル回数が多いんだね。自分が負けてもチームで勝てばいい今回のルールなら、戦法としてはありか」
「それだけではない。選手が予選に使ったデッキは、賭博の要素にするために資料としてネットに上がっておる。おそらく彼の者は本戦は別のデッキを使うのじゃろう。情報戦という見地からも圧勝じゃ」
へー、あんな小さな子がそんなことまで考えて。
子供のうちから姑息なこと考えてると、大人になった時、信用得るのに苦労しますよ。
「そういえば、賭けの倍率はどうなってるの?」
「そうじゃな……優勝者予想じゃと、レツが2.113と大会最高じゃな。対してレイは350.572と大会最低じゃぞ。ほれ」
「えホントに?」
ヒメ様が差し出したタブレットPCを見ると、確かにレツがトップで、私はビリだった。
え、なぜ。
「レツは予選を12戦12勝。レイも5戦4勝と悪くはないが、対戦相手が悪かったの……。勝った相手は殆どが予選落ち、さらにあの者に負けた者は皆予選落ちしておるからな」
「あー、私も実力は予選落ちレベルと思われてると。ならあの子のオッズは?」
「20.850、まぁ普通じゃな。予選で情報を落とさない狡猾さに期待をする者は多いか」
「えぇ……なにそれ」
「それと、レイに対する有識者の見解は見てられぬほど酷い。『緑白を中心としたデッキなのに何故か黄のマジックとネクサスを計6枚も採用。予選では意表を突くことに成功したが、本戦では対策されて初戦落ちすることが予測される』とな」
「えぇぇ……何その有識者、アホなの?」
私のデッキに入ってる黄のマジックって『ウィッグバインド』だぞ。
対策出来るものならしてみろ、『ウィッグバインド』になるから。
『ウィッグバインド』の対策が『ウィッグバインド』しかない現状を知れ。
「普通に強いよな『ウィッグバインド』使われたら何も出来なくなるし」
「レツはもう何度もそれにやられてるもんね」
それでもレツは『ウィッグバインド』を入れてない。
やっぱりコストの重さで敬遠してるのかな。
しかしあのカードにおいてはコストの重さなぞ関係ないと早く気づくといい。
それくらいやばいカードだぞ。
「個人戦では、レイの初戦は15.352、レツは1.501じゃな。……レイ、自分に賭けておいたらどうじゃ?」
「そんなお金ないよ。それなら、ヒメ様が私にベットしておけばいい。損はさせないよ」
「ふふっ、もう賭けておるわ。30口ほどな」
さっすがヒメ様、抜け目ねぇぜ。
30口って言うと……3000万円ちょっとか。
私が勝ったら……4億5000万!!??
「すごい期待されてるね」
「なに、他に賭けるよりも益がありそうじゃったのでな」
初戦の相手はアメリカ代表の紫使い。
デッキレシピを見るとピスケガレオンさんの主張が激しい。
アニメでは全く出番なかったのに……。
「なに、本戦までまだ時間はある。せっかくじゃし、明日は皆で街に出ぬか? 信秀殿も街にバトスピショップが多くあると言っておったしの」
「いいな。行こうぜ!」
そんな流れで明日は異国の地でバトスピショップ巡りをすることになった。
いや、どうせなら観光しましょーよ……。
「さて、そろそろホテルに戻るか。リゾートとはいえ、あまり遅くなるとスリや強盗に狙われるからの」
「そうだね。といっても取られて困るものは持ち歩いてないんだけど」
まだ陽は昇っているがあと少ししたら一気に暗くなる。
私たちは食事を終え、ホテルに向かった。
その途中で、私たちは事件にあった。
「すいません。バトルスピリッツ世界大会、日本代表の皆様でいらっしゃいますね?」
「ん? なんじゃ貴様らは」
黒服サングラスの男たちが、私たちに流暢な日本語で話しかける。
「失礼しました。私たちはIBSA本部の者です。日本代表の皆様に急な用事があり、探しておりました。少しお時間よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。これからホテルに戻るところだったので」
「では、こちらにお乗り下さい」
黒服のお兄さんはそういうと、黒塗りの高級車の扉を開けた。
これから本部に連れて行ってくれるのだろうか。
私たちが乗ると、車はゆっくりと加速し大通りを走り出した。
「それで、一体何があったのじゃ。急に我らを呼び戻すなど」
「申し訳ございません。私共は皆様をお連れするよう仰せつかったまで。それ以上は存じあげません」
そーなのかー。
まぁとりあえず行って話を聞いてから考えればいいや。
10分ほど走ると、車はどこかのホテルの駐車場に入っていった。
外を見るともう陽は落ちて辺りは暗くなっている。
「IBSAの本部に行くわけじゃないんですね」
「はい。お部屋までご案内します」
黒服のお兄さんの後についていくと、ホテルの最上階に来た。
最上階はフロア全体が1つの部屋になっており、中はとても広い。
私たちは中に入り、部屋を見てまわる。
が、そこには誰もいない。
これ以上探しても仕方ないので、黒服のお兄さんに質問した。
「あの、すいません。私たちに用があったと聞いているんですけど……」
「申し訳ございません。日本代表の皆様には、大会が終わるまでの間、この部屋で軟禁させていただきます」
え?
◇◆◇◆
どうやら私たちは誘拐されたらしい。
「レイ、これからどうする?」
「とりあえずフロア中を詳しく見てきたけど、特に脱出出来そうなところはないねー。エレベーターの前にはあの黒服がいるし、隙をついてとかはできなさそう」
ホテルのベッドに座り、今後について話し合う。
さすがに誘拐と分かった直後は焦ったけど、今はみんな落ち着いている。
「我らを誘拐したのは身代金目的……という訳ではなさそうじゃな。大会が終わるまで監禁、ということはそちらに目的があると見た」
「んー、ありそうなのは、優勝しそうなカードバトラーを棄権させて、他の人を優勝させるってことかな。今回の大会はそれで賭けまで行われてるし」
ウチには優勝予想大本命のレツがいる。
今回攫われた理由としてはそれが1番しっくりくる。
でもそれだと最高倍率の私を優勝させるのが1番儲かると思うんだけどな。
「そんなの考えても仕方ない。とりあえず今はここを抜け出す方法を考えよう」
「そうじゃな。今我らが考えることはこの現状をどうするか、じゃ」
確かにレツの言う通りだ。
でもそう言われても割とどーしようもないんだよなぁ。
出入口のエレベーターは黒服の見張りがある。
ベランダからは外に出られるが、最上階から下に降りるのは大変だ。
途中で落ちたら死ぬ。
携帯も、私のは外国だから使用料的な観点から持ってきていない。
ヒメ様のタブレットPCは黒服に取られてしまった。
こういう時にゲームの知識があればよかったのに、と思う。
もう既に『バトルスピリッツ デジタルスターター』のストーリーは終わり、私の知らない歴史が進んでいる。
私はこの先、レツたちがどうなるのかを知らない。
大会に出場できるのかどうかも分からない。
もしかしたらここで死ぬのかもしれない。
死ーーそうだ、死だ。
この世界では、死んだらどうなるのか。元の世界に戻れるのか、それともそのまま死んでしまうのか。
分からない、分からない、分からない。
私はもう、何もーー
「おい」
声をかけられてハッとする。
すると目の前には、服装は黒服サングラスだが、昨日私たちを連れてきた人とは違う男がいた。
「朝食はここに置いておく。勝手に食え。大人しくしてれば死にやしねえよ」
外を見るともう夜は開けていた。
どうやら考え込んだまま眠ってしまっていたらしい。
「ーーッ!」
私は急いで自分の服装を確認する。
特に昨日と違うところはない。
よかった。
「ガキに手を出す趣味はねぇよ。着替えが欲しいならいいやがれ。テキトーに用意してやる」
男はそういうとさっさと部屋を出ていった。
朝食はトーストとサラダとゆで卵にコーヒー付き。
(ホントに監禁されてるだけなんだな)
ベッドから起き上がり、朝食をとる。
食べていて特に変なモノが入っている感じはない。
遅効性の毒とかなら分かんないけど。
隣のベッドではレツがヒメ様を抱き枕にする格好で、同じベッドに寝ていた。
うーん、これはヒメ様から起こした方が面白そうだなー。
「おーいヒメ様ー。朝ですよー」
「んっ……ーーーッッッ???」
「目は覚めました?」
「……うむ」
ヒメ様は俯いたまま、洗面台の方へ向かっていった。
顔は見えなかったけど、耳は真っ赤に染まっていた。
「レツも起きろー?」
「なんだよマドカ……てレイか。悪いな」
おおう、ここでいない女の名前を出すとはやるな。
ヒメ様が聞いてたら手を出されても文句言えないぞ。
2人が朝食を食べている間に、もう一度ベランダに出る。
昨日は夜だったからあまり景色は見れなかったが、今ならよく見える。
あそこにIBSAの本部、あっちに泊まっていたホテルだから、ここは空港の辺りか。
そしてその後は特に何もなく、ただ時間だけが過ぎていった。
「ホントなら今日はバトスピショップまわる予定だったのになー。結局ホテルで過ごすことになったね」
出された夕食を食べながら、そんな話をする。
明日は本戦の1回戦。
このままだと棄権になってしまう。
「昨日以上の進展はなし。全く、非常階段もないとは……このホテルを設計した者の気が知れん」
「進展はあるよ。このホテルは多分空港の近く。9時くらいに出れば、まだ大会には間に合うかな」
「ホテルから出られんから困っとるんじゃろうが……」
まぁその通りなんですけどね。
でも、口にするかしないかは大切だよ。
「さて、今日はもう寝ようか。明日は早いしね」
「まったく肝が据わっておるの。何かアテがあるのかの?」
「あるよ。確証はないけど」
「ふむ、ならばよい。では妾はレイと同じ布団で寝る。レツは1人で使うが良い」
「え? なんだよアテって? おーい???」
さあ? 何があるかは私にも分からない。
もしかしたら何もないかもしれない。
でも、期待する何かのために立てておくものは立てておいた。
さて、果たしてこの世界はあのゲームの延長なのだろうか。
◇◆◇◆
「レイ! ヒメ! 起きろ!」
レツに起こされ、私は目を覚ます。
何かあったと思ったら、私たちの前にあの人がいた。
「あれイズミさん。何故ここに?」
謎の洋館のメイド、イズミさんだ。
前にコアリーグでバトルをしているから面識はある。
「ご主人様に、レツくん達にもしものことがあったらいけないからって護衛を頼まれてたのよ。でもまさかあんな簡単に誘拐されると思ってなかったから、びっくりしちゃった。遅れてごめんね」
「大丈夫です。まだ間に合う」
時計を見ると、時間はジャスト9時。
(やっぱり分かりやすいフラグでも、しっかり立てておかなきゃね。ちゃんと回収してくれた)
ゲームの世界なら、撒いた伏線やフラグはしっかりと回収してくれる。
それが主人公周りなら尚更に。
さすがレツ、主人公補正盛々だね。
「そんなことよりイズミさん! 早く行こう!」
「そうね。見張りは気絶させておいたから、エレベーターから行けるわ。はいこれ、みんなのデッキケース。ちゃんと取り返しておいたわよ」
「感謝するぞ、イズミとやら」
イズミさんからデッキを受け取り、会場に向かう。
誰が私達を誘拐したのかは知らないけど、その目的くらいは破壊してやらなきゃ気が済まない。
そして多分、それは私達が優勝することで達成される。
◇◆◇◆
「遅かったじゃねえか嬢ちゃん。来ないのかと思ってヒヤヒヤしたぜ」
「いやぁすいません。ちょっと色々あったもので」
タクシーを飛ばし、1回戦の開始にギリギリ間に合った。
会場についてから全力ダッシュしたから息が切れてるけど、バトルには影響しない。
それくらいで頭が回らなくなるような私じゃない。
「よろしくお願いします」
初戦の相手はアメリカ代表の紫使い『双魚賊神ピスケガレオン』の人だ。
ピスケガレオン対策は、スピリットの上にコアを余分に置いておけばいい。
私のデッキはコアを増やすことに特化しているから相性がいい。
互いにシャッフルを終え、デッキから4枚ドローする。
しかし、引いたカードは私のデッキには存在しないはずのカード達だった。
(『タワー・ゴレム』『吟遊詩人のオルフェ』『リボル・アームズ』『オリンスピア競技場』……まさか!)
これらのカードには見覚えがある。
これはヒメ様のデッキに入っていたカードだ。
もしかしてさっき取り違えたのか。
だとしたら、ヒメ様は今私のデッキで戦っているのか。
あのデッキを、CPUが使うのか。
「俺は後攻だ。嬢ちゃんのターンからだぜ」
いや、ヒメ様の心配をしてる場合じゃない。
もうバトルは始まっている……やるしかない!
「メインステップ。ネクサス『オリンスピア競技場』をLv2で配置します。ターンエンド」
「ほお、青のネクサスか。予選とは違うデッキみてぇだな。俺のターン、『ジョー・サイス』を召喚だ。ターンエンド」
相手は変わらず紫デッキ。
ドローをするデッキなら、LOも狙いやすい。
「メインステップ。『リボル・アームズ』を召喚します。召喚時効果発揮、ボイドからコア2個を『オリンスピア競技場』に置く」
『リボル・アームズ』は召喚時にボイドからコアを2個、自分のネクサスに置ける。
3ターン目に2コアも増やせてるのは強い。
「『タワー・ゴレム』を召喚します。『リボル・アームズ』を『タワー・ゴレム』に
「メインステップ。2体目の『ジョー・サイス』を召喚。1体をLv2に上げる。ターンエンドだ」
『ジョー・サイス』は【呪撃】を持つスピリット。なるべくアタックはさせたくない。
BPは低いから、壁を貼っておけば対処は容易だ。
「メインステップ。『吟遊詩人のオルフェ』を召喚します」
『吟遊詩人のオルフェ』の召喚時効果。自分の手札1枚を破棄することで、相手の手札を全て見て、その中のマジックカード1枚を破棄できる。
「『海賊ラッコルセア』を破棄。さぁ、手札を見せてください」
「ちっ……ほらよ」
「では、効果で『サイレントウォール』を破棄します」
見せてもらった手札には『双魚賊神ピスケガレオン』があった。
これはコアを余分に置いておかないといけないね。
「ネクサス『最後の優勝旗』を配置します。配置時効果、ボイドからコアを1つ、このネクサスに置く。そのコアとリザーブのコアを使い、『タワー・ゴレム』『吟遊詩人のオルフェ』をLv2にします。ターンエンド」
「『戦車皇ディルガン』を召喚。『ジョー・サイス』のレベルを上げる。ターンエンドだ」
私のフィールドにはBP8000の『タワー・ゴレム』とBP6000の『吟遊詩人のオルフェ』がいる。
BPで負けている相手はアタックしてこない。
そして、『戦車皇ディルガン』は前のターンに手札を見た時にはなかったカードだ。
つまりこのターンのドローで引いたカード、なら今相手の手札にマジックカードはない。
「『天秤造神リブラ・ゴレム』をLv3で召喚します。さらに『タワー・ゴレム』に
『リボル・アームズ』と『最後の優勝旗』のおかげで『天秤造神リブラ・ゴレム』を召喚するコアができた。
あとはスピリットが落ちることを願うだけだ。
「アタックステップ、『天秤造神リブラ・ゴレム』でアタック」
まずは『リボル・アームズ』の
コスト3/4のどちらかを指定し、このバトルの間、相手は指定されたコストのマジックを使えない。
どうせ相手にマジックはないけど、せっかくだから『サイレントウォール』のコスト4を指定しておこうか。
次に『天秤造神リブラ・ゴレム』の【粉砕】
【粉砕】は自身のLv1につき、相手のデッキを1枚破棄する。
リブラゴレムはLv3だから、3枚破棄。
そしてリブラゴレムのLv3効果、破棄された中にスピリットーー『ソードール』がいたので、回復する。
オマケに回復中はライフが減らない親切設計だ。
「ライフで受ける」
しかし、リブラゴレムの効果でライフは減らない。
「
「ライフで受ける」
「アタック。3枚破棄、回復」
「ライフだ!」
ライフで受ける宣言をするが、リブラゴレムの効果で実際は減っていない。
ライフが減らない、ということはコアが増えない、ということだ。
「もう一度アタック。3枚破棄、スピリットがあるので回復」
「ライフで受ける」
しかし、ライフは減らないがデッキはしっかりと減っている。
結局、最後の3枚までスピリットが落ち続け、対戦相手のデッキは0になった。
「ターンエンド」
「スタートステップ。デッキ0で俺の負けだ。やるな嬢ちゃん」
「はい私の勝ち」
世界大会本戦。
私たちは誘拐やデッキを間違えるというハプニングがあったものの、無事初戦を突破できた。
ただ一人、彼女を除いて。
◇◆◇◆
「ヒメ様、ほんとゴメンなさい! デッキケース間違えてた!」
そう、自分のデッキを使えなかったヒメ様は、初戦の相手にボロボロに負けてしまった。
もし、自分のデッキが使えていればーーそう思うと、ミスをした私に責任がある。
「……いや、レイは悪くない。レイも他人のデッキで戦い、その上で勝ったのじゃ。ただ、妾にその力がなかっただけじゃ」
「でも……」
「それにの、レイ」
ヒメ様はそう言って、デッキケースを取り出す。
中を見てみると、それはレツのデッキだった。
「取り違えたのは、妾も一緒じゃ。たとえレイが取り違えてなかったとしても何も変わらんよ。そして、レツもレイのデッキを使い、勝っておる。……みんな同じ条件じゃ。主らにここまで地力の差を見せつけられれば、流石に諦めもつく」
そういうヒメ様の目には薄らと涙が浮かんでいた。
彼女が何を思っているのか、何となく察せられた。
「…………」
…………はぁ、私ってホントこういう時に気の利いた言葉が出てこないなぁ。
「ねぇヒメ様、私とバトルしよう」
そうだ、私には
たとえ相手が
「一切手は抜かない。全力で