レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン27 パラレルワールド

 

 

日本に戻った私は、三葉葵家のお世話になることとなった。

 

「風花が言っておった自宅を調べたところ、水野家はしっかりと存在し、そこに風花自身も確認した。記憶と現在が一致していることから、風花がレイではない、ということも一応は納得した」

「いやー、何から何まですみません。……え、()()()()()()()

「うむ。これがその写真じゃ」

 

姫子ちゃんはスっと1枚の写真を出す。

確かに私だ。

 

「どういうこと? 私が2人?」

「話し方や思考パターン、その他学力等も色々比較させてもらった。そして、その結果は完全に一致した訳ではない」

「と、いうと?」

「まず学力は全ての科目においてお主の方が秀でておる。また、バトスピについてもお主の方が腕が立つ」

 

えっ、なにそれこわい。

いや既に怖い状況が起きてるんだけども。

 

「結論は『水野風花』という子よりも、『氷田零』の姿であるお主の方が諸々優れておる、ということじゃ」

「えぇぇ……」

「じゃが、ヒントはある。お主が言っておった、『お台場』についてじゃな」

「そう! そうだよ!」

 

そういえば、日本に戻ってから不思議なことがいくつかあった。

 

例えば、お台場がオダイハマという名前に変わっていたり、私の周りではバトスピをやっていた人は少なかったのに、ものすごい流行ってたり。

 

私の記憶と違う点がいくつかあった。

 

「パラレルワールド、というのを知っておるか?」

「平行世界でしょ? もしも〜だったらー、てやつ?」

「うむ。パラレルワールドの『水野風花』が『氷田零』の意識を乗っ取った、と考えるのはどうじゃろうか」

「なるほど……」

 

姫子ちゃんの提示した答えは、如何にもといったものだった。

しかしパラレルワールドって、私これからどーすればいいの?

どーしようもなくない?

 

「なに、原因が分かればどうにでもなろう。まずお主、どうやってこちらの世界に来たか覚えておるか?」

「いや、気づいたら病院で寝てて……ごめんなさい覚えてないです」

「まぁそうじゃろうな」

 

どうやって来たか覚えてたら、同じことして帰ってるよ。

というかその()()()()()()に来た記憶がないから、混乱してたんじゃん。

 

「しかし困ったのう……原因が分かれば何とかなりそうなものじゃが、こうなると……」

「何か私にできること、ある?」

「そうじゃな……よし風花、今からオダイハマのショップへ行って、ショップのバトルに参加してこい」

「へ?」

「お主の世界との相違点は『オダイハマ』と『バトスピ』。その2つを同時に調査するには都合がよかろう」

 

なるほどら確かに。

 

「姫子ちゃんって、頭いいんだね」

「世辞はよい。早く行かねば、ショップバトルが始まるぞ?」

「分かった! いってきまーす」

 

直後、道が分からずまた三葉葵家に戻ってくるんだけど、それはまあご愛敬ってことで。

 

 

◇◆◇◆

 

 

なるほど。

姫子ちゃんの言いたいことがよく分かった。

 

「『光龍騎神サジット・アポロドラゴン』でアタック」

「ライフで受けます」

 

私はバトスピを友達とか、小さなコミュニティでしかやっていない。

 

たまーに市外に出てバトスピの大会に参加するけど、その大体は初戦負け。

カードが揃わない子供は、大人買いしてカードを揃えている人達に勝てない。

 

だからバトスピは好きだけど、私は自分のことをあまり上手いとは思っていなかった。

そのせいもあると思うけど、オダイハマのショップバトルに出て、最初に感じたのは「あれ、周りの人あまり上手くない?」というものだった。

 

例えばアタックすればライフを減らせるのにアタックしないとか、コアの調整をしないとか。挙げればキリがない。

 

「ライフで受けます……ありがとうございました」

「ありがとうございました」

 

私は1度も接戦という接戦をしないまま、ショップバトルに優勝した。

 

「さすが世界チャンピオン、全く歯が立たなかった」

「ははは……」

 

そういえば、この体の人はバトスピの世界チャンピオンなんだっけ。

そんな人の体に入るくらいなら、この体の人とバトルしたかったなー、なんて。

 

さて、ショップバトルも終わったし、誰か対戦してくれる人はいないかな……と、周りを見ると、1人壁にもたれかかってこちらを見てる人がいた。

 

「すいません、対戦できますか?」

「……氷田零」

 

あれ、この体の人の知り合いだったかな。

ミスった、ボロが出ない内に退散しよー、と。

 

「えっと、無理そうならーー」

「……やろう。今度こそボクは、キミに勝つ」

 

うぅ、こっちから誘った手前、今更辞めようとは言いにくい……。

 

ま、まぁ姫子ちゃんの仮定通り、この世界のバトスピが元の世界と違い、()()()()()としたら、私でもこの体の人のように世界チャンピオンの実力があるのかもしれない。

 

なんとか、なんとかこのバトルだけでも誤魔化しきってみせる!

 

 

◇◆◇◆

 

 

「……ボクが先攻だ。『ヴェロキ・ハルパー』を召喚。Lv2にしてターンエンド」

「スタート、コア、ドロー、リフレッシュ、メインステップ。『ブレイドラ』『角獣ガルナール』を召喚。『角獣ガルナール』でアタック」

 

『角獣ガルナール』はアタック時にデッキを3枚オープン、その中の系統:「星竜」を持つスピリットかブレイヴを手札に加える。

 

「『輝竜シャイン・ブレイザー』を手札に加えるね」

「アタックは、ライフで受ける」

「ターンエンド」

 

ガルナールでいきなりブレイヴを加えられた、ラッキー。

 

「『ヴェロキ・ハルパー』をもう1体召喚。ターンエンド」

 

やっぱりアタックはしてこない。

『ヴェロキ・ハルパー』はLv2、3のアタック時効果でライフを減らしたらドローできる。

 

今の私のフィールドには『ブレイドラ』のみ。

アタックしていたら私は、ライフで受けるか、BPで負けている『ブレイドラ』でブロックするしかない。

 

どちらにしても、相手の方が有利な結果だったはずだ。

 

「メインステップ。ネクサス『光り輝く大銀河』を配置。手札の系統:「光導」を持つスピリットのコストを5にする。『光龍騎神サジット・アポロドラゴン』を召喚、不足コストは『ブレイドラ』から確保!」

 

今日はデッキが面白いくらいに回ってる。

これならボロを出す前に決められそうだ。

 

「アタックステップ、サジット・アポロドラゴンでアタック。アタック時、Lv2の『ヴェロキ・ハルパー』を指定アタック」

「……『ヴェロキ・ハルパー』でブロック」

「BPバトルはサジット・アポロドラゴンの勝ち! 続けて『角獣ガルナール』でアタック! 3枚オープン」

 

『太陽神龍ライジング・アポロドラゴン』がオープンされた。

いつもは全然決まらないのに、ありがとうガルナール!

 

「アタックはライフで受ける」

「ターンエンド」

 

これで相手のライフは残り3つ。

W合体(ダブルブレイヴ)の射程圏内だ。

 

「メインステップ。『太陽神龍ライジング・アポロドラゴン』を召喚」

 

うお、相手もライジング!?

しまった、指定アタックされたらサジット・アポロドラゴンが……

 

「ターンエンド」

 

あ、はい。

そうですか、そうですよね。

 

さっきから、こんな事が多々ある。

やばいと思っても、相手が斜め下の行動をしてくる。

最初は相手が何を考えているのか分からなくて怖かったけど、実の所ただ何も考えてなかっただけ、みたいな感じで私も驚いた。

 

「メインステップ。『光龍騎神サジット・アポロドラゴン』をLv3にアップ。ライジング・アポロドラゴンに指定アタック!」

「『太陽神龍ライジング・アポロドラゴン』でブロック」

「フラッシュタイミング『バーニングサン』を使用! 『輝竜シャイン・ブレイザー』をサジット・アポロドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)! そして回復!」

「……『太陽神龍ライジング・アポロドラゴン』は破壊される」

合体(ブレイヴ)スピリットでアタック。ダブルシンボル」

「ライフで受ける」

 

残りライフは1!

 

「ガルナールでアタック!」

「ライフで受ける」

「ありがとうございました!」

 

ふーっ、なんか今のバトルは上手く回してた気がする!

これなら世界チャンピオンって言われても信じる……信じない?

 

「……氷田、零」

「は、はい」

 

なんだろう。

え、もしかしてバレた!?

上手く誤魔化せてると思ったのに!

 

「……キミにとって、バトスピとは何だ?」

「えっ」

 

あ、これやばい。

絶対ボロが出ちゃう。

 

だって私は氷田零さんじゃない。

私は水野風花、全く別の人だ。

別の人が何を考えているかなんて、分からない。

 

「えっと、対話? とか」

「……そうか」

 

やばい、絶対間違えた!

「バトスピは対話」とかいつも言ってるから、つい言っちゃった!

 

「……以前戦った時、キミはボクを全く見ていなかった。無意識に、目を背けていた」

「へ、へぇ(何してんの氷田零さん!)」

「……だが、先日の世界大会では、キミはもっと酷い顔をしていた。()()()()()()()()()()、そんな目だった。対話? そんなのする気のないバトルだった」

 

うっそ、世界チャンプがそれでいいのか。

歴代バトスピアニメ主人公達をリスペクトしろよおい。

 

「でも、今日のバトルは違う。キミは間違いなく、対話していた。……キミがどういう人間か、分かった気がする」

「あ、ありがとう……」

 

話を終えると、その人はショップから出ていった。

その後ろ姿は、彼がチャンピオンと言われても納得できるほど、カッコよかった。

 

「……私も帰ろうか」

 

ーーキミにとって、バトスピとは何だ?

 

私は勢いで対話と答えたけど、いざ落ち着いて考えてみると難しい。

姫子ちゃんはなんて答えるのか。

今はいない世界チャンピオンの氷田零だったら、なんて答えたのだろう。

 

そして、私にとってのバトスピとは。

 

……そういえばあの人、結局誰だったんだろう。

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