レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン30 黒山羊のマーク

 

 

「どーなの風花ちゃん。元の世界に戻る手がかりは見つかった?」

「実は全く……」

 

私がこの世界に来てからそろそろ一ヶ月が経つ。

しかし状況は一切好転せず、ただ時間だけが過ぎていた。

 

でも、一月もすればこの生活にも慣れてくる。

みんなはまだたまに零さんと呼び間違えるけど。

 

「なに、心配する必要はない。それよりも風花は、自分が元の世界に戻った時の『氷田零』ために、最低限のことをするべきじゃの」

「つまり点数落とすなってことですよね……はぁ」

 

零さんはまだ中学生、これから受験を控えている。

内申点は大事だ。

かくいう私も元の世界では……うん、それは戻ってから考えよう。

 

まあ、まだ分かる範囲だから大丈夫……なはず。

零さんの点数が良すぎて、私はそれに追いつくのがやっとだ。

 

「レイちゃん頭良かったからね〜。でも次のテストまではまだ時間あるし、それまでに戻る方法を見つければオーケーでしょ!」

「そうですよねー。それまでには何とかしないと……」

 

でも何とかするって言って、具体的に何をしようか。

うーん……

 

「とりあえずもう1回ショップバトルに行ってきます」

「ごめんヒメちゃん、私風花ちゃんが何考えてるのか分からない」

「……すまん、これは妾のせいじゃ」

 

だってそれしかやることないんだもん。

すごいよね、毎日どこかしらでショップバトルを開催してるって。

さすが都会。

 

零さんより強くなると決めた私だけど、バトスピの腕はまだまだあの域には達してない。

レツさんとは何とか五分五分のバトルができるようになったけど、正直零さんには勝てる気がしない。

 

「んー、なら私もついてこっかな。私もこの後予定ないし」

「すまんが、妾はこの後用がある。2人で楽しんでくるといい」

 

 

◇◆◇◆

 

 

姫子ちゃんは用事があるからと別れ、マドカさんと2人で駅前のショップに来た。

 

「レイちゃ……じゃなかった、風花ちゃんは変わらず赤デッキ?」

「はい。色々試してみたんですけど、やっぱり赤が1番使いやすいので」

「そっか。レイちゃんが色々なデッキ使ってたから、ついいつもの癖で聞いちゃった」

 

店内に入ると全く人がいない。

珍しい日もあるんだなー。

 

なんて思っていると、店の奥で座っていた2人の男達が、こちらを見ると立ち上がり、迫ってきた。

 

「アンタが世界チャンピオン、氷田零だな?」

 

唐突に声をかけてきた男たち。

フードやキャップで顔がよく見えないけど、まず話し方から関わらない方がいいタイプだと分かる。

 

「えっと、人違いです」

「はぁ? ふざけてんのかオイ」

 

ひっ、やっぱりガチの不良じゃん!

なんでこんなのに目をつけられなきゃいけないの、零さん一体何したの!?

 

「ちょっとあなた達、いきなり何? 風花ちゃん困ってるでしょ!」

()()……? 氷田零じゃないのか?」

「ちっ……ハズレか」

 

おっ、分かってもらえたのかな?

はぁびっくりした。

いきなりあんな態度取られると心臓に悪い。

 

「で、誰よアンタ。レイちゃんを探してるって、何か用でもあるの?」

「あ゛? お前には関係ないだろ」

「……いや、待て。お前、谷円(たにまどか)か。氷田零や渡雷烈の友人の」

「そうよ。だからなに?」

 

え、いや待って。

マドカさんは身バレしてることを驚こうよ。

というかこの人達、一体何者!?

 

「俺たちは『ネオ・ブラックゴート』」

「ブラックゴートを継ぐ者だ」

 

あ、犯罪者予備軍の方でしたか。

警察行ってどうぞ。

 

なんて場合じゃない!

今すぐ逃げたい、関わりたくない。

「逃げましょう」と、ちらりとマドカさんの方を見るとーーマドカさんは目を見開いて呆けていた。

 

「ブラックゴート!? あんた達まだ残ってたの!?」

 

あー、これは逃げられないかも。

……いや、むしろ外に出るくらいなら、店員のいるここの方が安全かな?

 

「えっと、まずブラックゴートって何なんですか?」

「バトスピを使ってお金儲けをしてた悪い奴らよ!」

 

バトスピを使ってお金儲け?

偽物のカードを刷ってるとかかな?

 

「具体的には?」

「バトスピの試合をネットに上げて、その勝敗を賭けにしてるのよ」

 

あ、犯罪者予備軍じゃなくてガチの犯罪者でしたか。

うん、絶対関わりたくない。

 

「知ってるなら話が早い。なあ、俺たちとバトスピしないか?」

「……ルールは」

「俺たちは手札6枚、コアは6個から始まる。それでどうだ?」

「うっ……結構キツいわね」

「どーした? 自信ないのか?」

「や、やってやろーじゃないの! それくらい余裕よ!!!」

 

えーっと、なんでバトルする流れになってるんですか?

普通に断ればいいのに。

よく分からない流れのまま、マドカさんとキャップの男がバトルをすることになった。

 

……いや、ほんとになんで?

 

「おい」

「は、はい?」

 

もう1人のフードの男が声をかけてくる。

やめろ、私に関わるんじゃあない!

 

「他人の空似ってことはないだろ。氷田零の親戚か何かか?」

「いや違いますけど」

 

体を借りてるだけです。

 

「……まあいい。おいお前、俺とバトルしようぜ。大丈夫、ハンデはつけねぇからよ」

 

マジで私に絡んでくるんじゃない!

 

 

◇◆◇◆

 

 

「先攻は俺だ。『ノーザンベアード』を召喚。ターンエンドだ」

 

……いや、ホントにどうしてこうなった。

断れる訳ないじゃん!

私ってか弱い女子中学生ですよ!?

不良にガン飛ばせれて真顔でいられるほど心が強くないんです!!!

 

「メインステップ。『カメレオプス』『戦竜エルギニアス』を召喚します。ターンエンドで」

 

レツさんと戦う内に、自分のデッキの弱点が分かってきた。

 

まずキースピリット達が、みんなブレイヴに依存していること。

ライジング・アポロドラゴンもサジット・アポロドラゴンも合体(ブレイヴ)していないと最大限の力を引き出すことができない。

そのためにブレイヴに頼らない、新しいキースピリットを入れた。

 

そして、ブレイヴの赤以外の軽減を満たすカードが1枚も入っていないことにも気がついた。

デッキに入っている『輝竜シャイン・ブレイザー』『トレス・ベルーガ』が青の軽減を持っているので、赤としても扱えて邪魔になりにくい『戦竜エルギニアス』を採用した。

 

「メインステップ。『オオクチバ』『ヤミヤンマ』を召喚。『ヤミヤンマ』の召喚時効果でボイドからコアを1つ『ノーザンベアード』に置く」

 

相手は白緑デッキかな。

ラグナロックだろうし、防御マジックを引いておきたい。

 

「アタックステップ。『ノーザンベアード』でアタック」

「ライフで受けます」

「ターンエンド」

 

ラグナロックのことを考えても、最悪残りライフ3までは大丈夫。

ブレイヴでシンボルが増えることも考えて、できることなら4つ残しておきたい。

 

「メインステップ。『カメレオプス』の効果で、コスト7以上のスピリットを召喚する時、赤のシンボルを2つ追加する。7コスト4軽減、3コストで『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』を召喚。ターンエンド」

 

ブレイヴに頼らない、新たなキースピリット。

それが牡牛座の十二宮Xレア『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』

 

『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』が真価を発揮するのはLv3の時だ。

アタックするのは次のターンからでいい。

 

「メインステップ。『ヤミヤンマ』をLv2に上げる。ターンエンドだ」

 

相手はスピリットのレベルを上げただけ。

手札事故を起こしているのか、それともマジックでカウンターを狙っているのか、だ。

 

ま、カウンターはくらってから考えればいいや。

色々警戒して手が縮む方がいけない。

 

「『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』をLv3に。さらに『トレス・ベルーガ』を『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』に直接合体(ブレイヴ)召喚。不足コストは『戦竜エルギニアス』から確保」

 

『トレス・ベルーガ』は合体(ブレイヴ)条件が《系統:「光導」》のブレイヴ。

条件は厳しいけど、それに見合う効果はある。

 

「アタックステップ。『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』で合体(ブレイヴ)アタック。『トレス・ベルーガ』のアタック時効果、自分のデッキを6枚破棄することでBP+6000。さらに系統:「光導」を持つ『光龍騎神サジット・アポロドラゴン』が破棄されたので回復する」

 

『トレス・ベルーガ』の合体(ブレイヴ)でBP+6000。

アタック時効果でさらにBP+6000。

今の合体(ブレイヴ)スピリットのBPは22000!

 

「『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』のアタック時効果【激突】、相手は可能ならば必ずブロックする」

「『オオクチバ』でブロック」

「『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』の効果、相手のライフを2つ、リザーブに置く」

 

『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』は相手のスピリットにブロックされた時、そのブロックしたスピリットより多い自身のシンボルの数だけ、相手のライフを減らす。

Lv3だと系統:「光導/神星」を持つスピリットの数だけ、自分にシンボルを追加する。

 

まず自身の持つシンボルが1つ、『トレス・ベルーガ』が合体(ブレイヴ)したことでシンボルが2つ。

『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』自身が系統:「光導」を持つのでシンボルを追加。

 

つまり『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』のシンボルは合計で3つ。『オオクチバ』はシンボルが1つ。

差し引き2つ、相手のライフを奪う!

 

「『オオクチバ』は破壊だ」

「回復した『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』でアタック。トレス・ベルーガの効果で破棄、対象のカードがあるので回復。【激突】」

「『ヤミヤンマ』でブロック」

「『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』の効果、相手のライフを2つ、リザーブに置く」

「『ヤミヤンマ』は破壊される」

「もう一度アタック! 【激突】」

「『ノーザンベルード』でブロック」

「効果でライフを2つ、リザーブに置く」

「ライフ0、俺の負けだな」

 

2×3で合計6点。

『金牛龍神ドラゴニック・タウラス』と『トレス・ベルーガ』の回復効果のコンボは強い。

 

『牙皇ケルベ・ロード』?

あれはターンに1回しか回復できないから。

あとサジット・アポロドラゴンにシャイン・ブレイザーとトレス・ベルーガを合体(ブレイヴ)させたいだけ。

 

「『凶龍爆神ガンディノス』でアタック!」

「ライフで受ける……くそ!」

 

隣も終わったらしい。

マドカさんも手札6コア6のハンデマッチでよく勝てるなー。

 

「今日はこのくらいにしてやる! 覚えとけ!」

「一昨日来やがれってもんよバーカ!……はぁ、またアイツらが現れたなんて。レツにも相談しないと」

 

バトスピ賭博をする集団ブラックゴート、か。

黒い山羊……(カード)を食べる存在、とでも言いたいのかな。

 

「あれ、そういえばショップバトルはーー」

「すいません。あの人たちのせいで今日は人が集まらなくて……あ、よろしければ賞品をどうぞ」

「えぇ……」

 

その後、一応私とマドカさんで決勝戦を行い、勝った私が優勝賞品をもらった。

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