レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン39 賭け金

 

 

「……ここが会場、ね」

 

ハッカーから聞いたネオ・ブラックゴートの賭場はオダイハマにある無人ビル。

遠目に中を見てもチラホラと人影が確認できる。

 

フードを深く被り直し、私も中に入る。

ハッカーからもらったネオ・ブラックゴートの会員証を見せると、控え室に連れていかれた。

 

「(黙ってればバレないもんだね。まあハッカーの素顔を知ってる人は少ないらしいし、それもあるのかな)」

 

まあバレたところでって感じはするけど。

次回以降成りすませなくなるが、どうせ相手からしても私も存在は魅力的なはず。

次のバトルを勝手に用意してくれるだろう。

 

さてここからは修羅の道だ。

私も、私の過去に向き合わないといけない。

 

思い出したくもない、あの過去に。

 

 

◇◆◇◆

 

 

時間になり、私は控え室から会場へ移動する。

会場に入るとガラの悪い男が待っていた。

 

「よおハッカーさんよ。初めましてだな。ブラックゴートでやり手の幹部ってことで気負ってたが、まさか女だったとはな」

「……どーも」

 

絡み方がウザイ。

てか誰だよこいつ。

 

「おっと、自己紹介がまだだったか。俺はネオ・ハッカーだ。つまり今日は新旧ハッカー対決ってことだな! ハハハ!」

「……あなたが新しいハッカー、ね」

 

どちらかというとパンクに近い格好してるくせに。

まあどーでもいい。

 

「で、ルールは」

「ハンデなしのバトルだ。あんたが勝てば300億。負ければ死だ」

「いらない」

 

300億……すごい額だね。

けど、どうせコイツらからしたら端金だ。

 

ネオ・ブラックゴートを潰すには、もっとふっかけないと。

 

「私はネオ・ブラックゴートを潰すために戦いに来た。あなた達が今まで戦ってきた賭け金もない、命を賭けるしかなかった貧乏人とは違う」

「……ほぉ、じゃあお前も金を賭けるってことか?」

「逆だよ。あなたも命を賭けろ、て言ってるの」

「はっ、悪ぃが、そいつはできねぇなあ。これは俺たち強者が安全な場所から弱者をいたぶるゲームだ。お前ごときにわざわざ危険な場所に行くつもりはねぇよ」

 

まあ知ってる、私でも同じことするだろうしね。

 

さて、ここからが私の腕の見せ所だ。

ここからネオ・ハッカーに命の代わりに全財産を賭けさせる。

流石に全財産をさらえば、ネオ・ブラックゴートにも大打撃を与えられるはず。

 

まあ賭け金を上げさせるわけだし、かなりのハンデは覚悟しないといけないけど……まあ何とかなるでしょ。

 

「いいですよ! じゃあハッカーさんが勝ったら、ネオ・ハッカーさんには死んでもらいましょう!」

 

なんて考えていたら、会場の奥からネオ・ハッカーの代わりに了承する声が聞こえた。

 

声の主は、前にネオ・コレクターを殺した女だ。

確か名前はーー

 

「てめぇ、アゲハ! 何の用だ!」

「暇だったから遊びに来ただけじゃないですか。えっと、なんて呼んだらいいかな……()()()()()()()。あなたが勝ったらこの人を殺します。ネオ・アゲハの名にかけて約束しますよ」

 

ネオ・アゲハは拳銃に指をかけ、銃口をネオ・ハッカーに向ける。

仲間を躊躇なく殺せる人だ、間違いなく殺すだろう。

 

「おい、アゲハ……冗談だよな? 俺たち仲間だろ?」

「知りませんよ。それに前任者に勝てないような人はいりません。()()()()()()()()。大丈夫、勝てばいいんですよ」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「……後攻だ」

「じゃあ私から。スタートステップ」

 

予想外の展開になった。

 

ドア・イン・ザ・フェイス。

最初に大きな要求をして後に用意した小さな要求を通す技術を使って全財産を賭けさせるつもりが、まさかその大きな要求が通るなんて。

 

しかも自分から要求しただけに今更撤回しにくい。

 

「『ワン・ケンゴー』を召喚。バーストをセットしてターンエンド」

「……俺のターン、スタートステップ」

 

相手も声が震えている。

目はチラチラとアゲハの方を見て、顔には冷や汗が浮かんでいる。

格好の割に心が弱い。

なんでこんなのが幹部なんでやってるんだ。

 

「『ストリーム・カリブー』を召喚。ネクサス『凍えるフィヨルド』を配置。……ターンエンドだ」

 

まあ私も予想外の展開にちょっと驚いてるわけだけど。

私が勝ったらこの人が死ぬ、なんて心情的に勝ちづらい。

 

「ネクサス『彷徨う天空寺院』を配置。『ワン・ケンゴー』でアタック、【激突】」

「『ストリーム・カリブー』でブロック」

「破壊。ターンエンド」

 

まあ負けたら私が死ぬんだから勝つしかないんだけど。

どうせ1人やってるんだ、2人も3人も変わらないでしょ。

 

「メインステップ。『ワイルド・ホーン』を召喚。Lv2に上げる。そしてバーストをセット。ターンエンドだ」

「私のターン、マジック『双翼乱舞』、デッキから2枚ドロー。さらに『ドス・モンキ』を召喚。アタックステップ」

 

『ドス・モンキ』の効果で私のスピリットは全てBP+3000される。

 

「『ワン・ケンゴー』でアタック。【激突】」

「『ワイルド・ホーン』でブロック。ブロック時効果でボイドからコアを1個、ワイルド・ホーンに置く」

「BPはワン・ケンゴーの方が上だよ」

「『ワイルド・ホーン』は破壊だ。そして相手による自分のスピリット破壊によりバーストが発動する! 『シェリフ・イーグル』を召喚!」

 

バースト発動時に自分の系統:「機獣」を持つスピリットが破壊されている事が条件で召喚できるバーストスピリット。

でも、BPはたったの4000。

 

「『ドス・モンキ』でアタック」

「ライフで受ける」

「ターンエンド」

 

自身の効果でBP+されたドス・モンキはBP6000。

ブロックされても勝てる。

 

「メインステップ。『ワイルド・ホーン』『アウトロー・キッド』を召喚り『シェリフ・イーグル』をLv2にするぜ。アタックステップ、『ワイルド・ホーン』でアタック」

「ライフで受ける」

「ターンエンド」

 

死にたくないと防御に寄ることもない、ただのCPUの動き。

うん、私がコレに負けることはないね。

 

「『時統べる幻龍神アマテラス』をLv2で召喚。『彷徨う天空寺院』の効果、本来のコストが8以上のスピリットを召喚する時、このネクサスを疲労させることで2コスト支払ったものとして扱う」

 

8コスト3軽減5コスト、天空寺院によって2コスト支払っているので残り3コストを支払い召喚する。

そしてアマテラスの召喚時効果。

 

「『シェリフ・イーグル』を破壊する。アタックステップ、『ワン・ケンゴー』でアタック」

「『アウトロー・キッド』でブロック。『アウトロー・キッド』は破壊だ」

「『ドス・モンキ』でアタック」

「ライフで受ける」

「『時統べる幻龍神アマテラス』でアタック」

「それもライフだ!」

「ターンエンド」

 

これで相手のライフは残り2。

次のターンで決まるね。

 

「いいの? このままだと私が勝つけど」

「まだだ! まだ、終わってない!」

「そういう意味じゃないんだけどね。アゲハに勝手に命を賭けられて、()()()()()()()()()()()()ってことだよ」

 

私の言葉に相手はピクリと反応する。

けどそこまで、それ以上は何も言わなかった。

 

「メインステップ。バーストをセット。『虚械帝インフェニット・ヴォルス』を召喚だ。これでターンエンド」

「あなた達の組織で、アゲハってどんな立ち位置にいるの?」

「……なんでもねぇよ」

 

なんでもないはずがない。

勝手に賭けの内容を変えたり、勝手なことをしたからと仲間を撃ち殺す人だ。

組織内でもそれなりと立場にいることくらい分かる。

 

「話す気がないならいい。メインステップ、『ドス・モンキ』をLv2、『時統べる幻龍神アマテラス』をLv3にアップ。アタックステップ、『時統べる幻龍神アマテラス』でアタック」

「『ワイルド・ホーン』でブロック! ブロック時効果で『虚械帝インフェニット・ヴォルス』にコアを置く」

「BPはアマテラスの勝ちだよ。続けて『ワン・ケンゴー』でアタック。【激突】」

「『虚械帝インフェニット・ヴォルス』でブロック。破壊される」

「『ドス・モンキ』でアタック」

「ライフで受ける! そしてバースト発動『絶甲氷盾』だ! ライフを1つ回復し、コストを支払うことでアタックステップを終了する!」

「ターンエンド」

 

そしてここで『時統べる幻龍神アマテラス』の効果が発揮する。

 

「自分の赤のスピリット全てを回復。そしてアタックステップを行う。『ドス・モンキ』でアタック」

「追加のアタックステップ!? くっ、ライフだ!」

「『ワン・ケンゴー』でアタック」

 

相手はフィールドにスピリットも、バーストも、マジックを使えるだけのコアもない。

完全に詰みだ。

 

「ライフで、受ける……!」

「私の勝ち」

 

勝利にホッとする。まず負けないといっても、100%じゃない。

負ける可能性も僅かだけどあった。

 

さて、これでこのネオ・ハッカーさんは殺されるわけだけど。

 

「いやー、新旧ハッカー対決は元ハッカーさんの勝ちですね! では約束通りーー」

「うおおおおぉ!!!」

 

アゲハが銃口をハッカーへと向ける。

が、ハッカーはそれよりも早く、アゲハに襲いかかった!

 

 

 

 

 

 

 

「あんまり舐めないでもらえます?」

 

次の瞬間には、ハッカーは仰向けに倒れていた。

 

「まったく、私に逆らおうなんてとんだ駄犬ですね。もういいや、死んでください」

「ま、待て! 俺はーー」

 

弁解するハッカーの眉間に弾丸が撃ち込まれる。

パシュっと血が吹き出した後、傷口からどくどくと紅い血が垂れてくる。

その感覚もどんどんゆっくりになって、遂にそれ以上、血が吹き出すことはなかった。

 

「さて、約束は守りましたよ! これでいいですか、()()()さん?」

 

まったく予想外が過ぎる。

 

近距離なら銃なんてあまり使い物にならない。

圧倒的に体格に優れているハッカーがアゲハを組み付して何とか生き延びるーーなんて思ってたけど、そう上手くはいかなかったか。

 

「あれ、思ったより取り乱しませんね?もしかしてビックリしすぎて声も出なくなっちゃいました?」

「黙ってよ」

 

取り乱してないわけないだろ、こんな場面で。

2回目だからまだ何とか自我を保ってんだよ。

 

「おおっとー?ちょっと何言ってるか分かりませんが、まあとにかく今日はお疲れ様でした。それではまた次回の配信をーー」

「アゲハ」

「……なんですか?」

 

とりあえず、ハッカーとアゲハの会話から分かったことがある。

それはネオ・ブラックゴートは幹部内にも序列があること、そしてアゲハはその中でかなり高い地位にいるだろう、ということだ。

 

「もう、一体何ですか? 終わりの挨拶くらいさせてくださいよ」

()()1()()()()()。ほら、早くその席に座りなよ」

 

なら、さっさと頭を潰す。

これ以上死体を増やさないためにも。

 

ここで彼女を倒す!

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