レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン4 最強のカード

バトスピにおいて最強のカードとは何か。

 

ある人は「マグナマイザー強すぎ」と言い、またある人は「フェンリグやめろ」と言う。

「アマテラスやデスフェルミオンに色魔神つけて殴ればおk」と言う人もいる。

 

しかし、その脅威を知ってる人は皆、口を揃えてこういうはずだ。

 

「ミカファール、あとセイリュービは大罪」と。

 

 

◇◆◇◆

 

 

日曜日、私はバトスピの大会に出るために電車に乗ってオダイハマシティまで来ていた。

 

チカバ町にバトスピショップはあるものの、バトルできるほどのスペースはない。

だからチカバ町では大会は行われておらず、電車でここまで来ないと大会に出られない。

 

「大会参加します。名前は『レイ』で」

「はい、時間には着席しておいてください」

「分かりました」

 

まあオダイハマシティなんて名前からもわかる通り、ここもゲームの舞台の1つだ。

オダイハマシティは「市長がバトスピ好き」というふざけた理由でかなり広くバトスピが親しまれており、チカバ町よりもカードバトラーは多い。

ゲームの仕様のおかげなのか、チカバ町とオダイハマシティは電車賃がタダなのでたまに遊びにくるのだ。

 

少し待って、ようやく定員に達したので大会が開かれる。

初戦の相手は帽子をかぶっている少年だった。

 

「よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

挨拶をしてバトルを始める。

今回はいつもの『インビジブルクローク』で殴るデッキではなく、趣向を変えてLO(デッキアウト)狙いのデッキだ。

 

「『大天使ミカファール』の効果で『タイムリープ』をノーコストで使用。『ストン・スタチュー』の召喚時効果を再発揮してデッキを1枚破棄。さらにもう1枚『タイムリープ』今度は『大天使ヴァリエル』の召喚時効果を発揮してトラッシュのタイムリープ2枚を回収する」

 

はい、要するに『ミカファールターボ』ですね。

 

いや、ミカファールターボがクソゲーだってのは知ってるよ。

でもたまには、ね?

使いたくなる時ってあるじゃん。

 

「スタートステップ、デッキアウトで負けです」

「はい私の勝ち」

 

結果は言わずもがな。

初戦の男の子から決勝戦の青年まで圧勝でした。

 

「優勝商品は『獅龍王レオン・ハウル』か、どうせ使わないしレツかマドカに譲ろうかな。ま、それは後で考えればいいか。……すいません、フリーお願いできますか?」

「あ、いいですよ」

 

大会が終わった後、まだショップ内に残っている人にフリーバトルを申し込む。

 

さすがにフリーでは普通に白使おう。

というか『ミカファールターボ』も久々に使うと楽しいけど1回やれば十分だ。

2回戦目以降はさすがに申し訳なさが勝った。

ソリティアだと相手がつまらないからね。

まあCPUだし気にする必要はないと思うけど。

 

「『鋼人スルト』でアタック。マジック『インビジブルクローク』を使用。ブロックされない」

「うぅ……ライフで受けます」

「はい私の勝ち」

 

と言ってもこっちもこっちで『インビジブルクローク』ゲーなんだけどね。

やっぱり禁止カードは強い。

 

もう十分遊んだしそろそろ帰ろうかな、と考えていると今度は別の人に声をかけられた。

 

「いきなりですまない。僕とバトルしてくれないか?」

 

ホントにいきなり声をかけられて、少しビクッと震えた。

声の主は全身真っ黒で何故かマントをつけた中高生くらいの子だった。

 

「(ああ、これくらいの子ってそういうの好きだよね)いいですよ」

「ありがとう」

 

ふむ、この子本格的に中二病を患ってるな。

まあ私の知ったこっちゃないし、程々にボコしてあげよう。

 

「おいおいマジかよ……(ヒソヒソ)」

「ああ、まさかアイツが……(ヒソヒソ)」

「こりゃ珍しい。彼がバトルを挑むなんて……(ヒソヒソ)」

 

おや、なんだかモブが騒ぎ出したぞ?

というかヒソヒソ話はもっと声を抑えてしなさい。

めっちゃ聞こえますよ。

 

「よろしくお願いします」

「……よろしく」

 

シャッフルを終えデッキから4枚ドローする。

さて初手は何かな、と手を開けると、

 

(あっミスった)

 

デッキからドローした4枚のカード達。

そしてそこには慈愛に充ちた微笑みを見せた大天使様の姿があった。

 

(『大天使ミカファール』……これって『ミカファールターボ』の方だよね、片付ける時に取り違えちゃったかな。え、どうしよう。デッキ間違えたって言ってやり直してもらおうか…………ま、いっか)

 

私はあまり深くものを考えない性格なので、そのままバトルすることした。

決してやり直すの面倒くさい、とか思ってたわけじゃない。

 

「1ターン目『ドラグサウルス』を召喚する。ターンエンド」

「えっと、その……先に謝っておくと、ごめんね?スタートステップ」

 

2ターン目にして既に私の手札はえげつないことになっていた。

『コリスタル』『大天使ミカファール』『マジックブック』『イビルオーラ』『ストームドロー』……4/5が禁止・制限だ。

 

「『コリスタル』を召喚。さらに『マジックブック』を使用。『イビルオーラ』『ストームドロー』をオープンして2枚ドロー。ターンエンド」

 

『マジックブック』は手札のマジックカードをオープンして、オープンした枚数だけドローできる優秀なカードだ。

未来でも制限カードと、禁止には至ってない良カード。

 

「『昇龍バルムンク』を召喚。……ターンエンド」

 

中二病君はシンプルに赤デッキかな。

遅そうだし、ゆっくりやろう。

 

「手元から『ストームドロー』を使用、3枚ドローして2枚破棄。『チャウー』を召喚、『コリスタル』をLv2にアップ。ターンエンド」

「……『昇龍バルムンク』を召喚。『ドラグサウルス』をLv2に上げる。ターンエンドだ」

 

『コリスタル』は0コストなのにコア2個でLv2BP5000と破格の強さを誇る。

BP5000の壁を越えられないNPCはこれで止まる。

 

まあもう相手にアタックステップはやってこないんだけどね。

 

「『ピヨン』を召喚。そして『大天使ミカファール』をLv1で召喚。不足コストはピヨンより確保」

 

『大天使ミカファール』は召喚時にフィールドの黄色のスピリット、ネクサスの数だけデッキからオープンしてその中のマジックカードを全て加えられる。

 

『ミカファール』『コリスタル』『チャウー』で3枚オープン。

『ストームドロー』『マジックブック』『タイムリープ』はい勝ち。

 

「『コリスタル』のコアを使って『大天使ミカファール』をLv2に上げるね。Lv2効果で、私はマジックをコストを支払わず使用できる」

 

まずは『マジックブック』で手札4枚全てオープンして4枚ドロー。

オープンした『タイムリープ』でミカファールの召喚時効果を再発揮、手札を増やす。

『ストームドロー』で欲しいカードを手札に呼び込む。

更に『イビルオーラ』2枚を『チャウー』に使用して計10コアブースト。

 

「増えたコアで『大天使ヴァリエル』を召喚。召喚時効果でトラッシュの『マジックブック』2枚と『タイムリープ』を回収する。そして回収した『マジックブック』を使用してドロー」

 

中二病君の顔がどんどん険しくなっていく。

いやホント申し訳ない。

 

「『ストン・スタチュー』を召喚。召喚時効果でデッキを1枚破棄。そして『タイムリープ』で『ストン・スタチュー』の召喚時効果を再発揮。そしてもう1枚の『タイムリープ』で『大天使ヴァリエル』の召喚時効果を発揮、トラッシュの黄色のマジックカード全てを回収する」

 

以下ループ。

7ターン目のスタートステップには中二病君のデッキはなく、バトル(しないスピリッツ)は私の勝利で終わった。

 

やっぱりミカファールは罪ありき(ギルティ)

 

 

◇◆◇◆

 

 

帰り道、私は電車の窓から、ぼんやりと外の景色を眺めていた。

 

『ミカファールターボ』でフルボッコにした後、申し訳なさから中二病君に「別のデッキでやらない?」と提案したが断られた。

去り際に「次は負けない」と如何にもな中二病セリフを残していったが、こちらとしては申し訳なさすぎて出来ればもう会いたくない。

 

(でもあの子……前にどこかで会ったような気が?)

 

欲しい記憶が、あと一歩のところで出てこない。

大切なことがあると思い出したが、その内容が思い出せないようなもどかしさ。

 

(ま、思い出せないものは仕方ない。次来る時はレツやマドカも誘おうかな?)

 

結局私は、考えることをやめた。

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