レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン40 衝突

 

 

「私とバトル……ですか。うーん、どうしましょうねぇ。今日の放送は終わってますし、やる意味がないんですよね〜」

 

ネオ・ハッカーに勝利した私はネオ・アゲハにも勝負を挑む。

ハッカーの敵討ち、というわけではないけど目の前で人を殺したアゲハに思う所が無いわけではない。

 

私の精神衛生のためにも、早々に潰してやる。

 

「あなた達の都合はどうでもいい。やるかやらないかだけ」

「それならやりません」

「逃げるの?」

「ええ。逃げますよ」

 

随分とはっきり言うな。

 

「大丈夫、すぐに新しい舞台は用意してあげます。あなたのバトルはやけに人気があるんですよ〜」

「一応聞かせて。あなた何者?」

 

ネオ・アゲハの名前から、ネオコレクターやネオハッカーと同じネオ・ブラックゴートの幹部であることは察しがつく。

でも、それだけじゃないはずだ。

それだけならネオ・ハッカーがあんなにもビクビクするわけがない。

 

「私はネオ・ブラックゴートの一幹部ですよ。ただし人事と経営を握ってるので、実質ここのトップですけどね!」

 

ネオ・ハッカーのアゲハに対する態度にようやく合点がいく。

人事を握ってるアゲハに逆らったらクビにされるから。

賭けバトスピで金儲け出来なくなるから。

 

「納得。で、あなたとバトルできるのはいつ?」

「私以外の幹部を全員倒したら相手してあげますよ。ま、そういうわけで。さっさと撤退した方がいいですよ。()()、気分よくないでしょう?」

 

アゲハの視線の先にある赤黒い塊。

さっきまで綺麗な紅だったのに。

この色はあんまり好きじゃない。

 

「確かに、あまりよくないかな。じゃあまたね。ネオ・ブラックゴートは必ず潰すから」

「はい。私もあなたを殺せる日を愉しみにしてますよ」

 

 

◇◆◇◆

 

 

「レイ!」

「あ、やっほー」

 

家に帰る途中で偶然、レツと出会った。

汗がだらだらと流れ息も上がっている。

まるで町中走り回ってたみたいに。

 

しまった、文化祭をテキトーな仮病で休んだから怒られるかもしれない。

 

「レイ! なんでこんなことをしたんだ!」

「うわ、落ち着いて落ち着いて」

「落ち着いてられるか! なんで言わなかった! なんで相談してくれなかった!」

「なにが!?」

 

一切中身の分からない怒りを向けられて困惑する。

 

相談?

一体なんの話だ?

 

「なんで1人でネオ・ブラックゴートの基地に乗り込んだんだ!危ないだろ!」

 

なるほど、そっちか。

まあ確かに1人で敵基地に突っ込むのは怒られても仕方ない。

 

でもみんなには秘密にしたはず……ああハッカーのせいだな。

口止めするの忘れてたし。

 

「……なんで、こんなことをしたんだ」

「ネオ・ブラックゴートを潰すためだよ」

「だからって! わざわざレイが戦うなんて、そんな危険な真似させるわけないだろ!」

「レツだって1人でダークトピアに乗り込んだでしょ。それと一緒よ」

「それは!」

 

うーん、心配してくれていることは伝わったけど正直面倒くさい。

こうなるからこっそりハッカーに頼んだのに、まったくあの陰キャめ……。

 

「とりあえず場所を変えようか。どこかで腰掛けてゆっくり話そう」

「待て、話はまだーー」

「いいから行くよ。こんな往来で話すことじゃないでしょ」

「……おう」

 

 

◇◆◇◆

 

 

レツに説明するために公園に移動する。

後ろから刺さるレツの視線が痛い。

 

「……風花って、まだお前の中にいるのか?」

「風花?」

 

あれ、そういえばいないな。

文化祭の時はいたと思うんだけどーーそういえば()()()()を思い出してからはいなかった気がする。

 

水野風花の大事な記憶ーーそれを思い出したから消えたのかな。

 

「声が聞こえないから、多分消えたんだと思う」

「じゃあ今のレイは、レイなんだな?」

 

レツの質問に上手い返事が出てこない。

 

今の私はレイであり、レイでない。

風花であり、風花でない。

レイでも風花でもあり、そのどちらでもない。

 

自分でもそのあたりは分からないし、どーでもいい。

 

「うーん、確実なのは私は私ってことだけだね。この答えで満足?」

「……そうか」

 

レツとの会話はここで1度止まった。

結局レツが何を聞きたかったのか分からない。

まあ納得してるみたいだし、別にいいかな。

 

そして、会話が再び始まるのは、私達が勝利の記念公園に着いた時だった。

 

「レイ。俺とバトルしてくれ」

「唐突だね」

 

別に私はレツと戦う必要なんてないんだけど……ま、いいや。

 

それでレツが満足するなら。

一々私の過去を説明するのも面倒だからね。

 

 

 

公園の椅子に座り、机にフィールドを広げる。

秋の夕方、少し寒いがまあ風情があって面白い。

 

「じゃあ先攻。『タマムッシュ』を召喚。召喚時効果、ボイドからこのスピリットのレベルの数だけコアを置く。Lv1なので1個。バーストをセットしてターンエンド」

 

Lv1なら1個、Lv2なら2個コアを増やせる『タマムッシュ』は未来の制限カードだ。

やっぱり3コストで単体2コアブーストなのがダメなのかな。

 

「メインステップ。『オードラン』『アルマジドラゴン』を召喚。バーストをセットしてターンエンド」

 

オードランにアルマジドラゴンか。

赤白デッキ、ロードドラゴン・セイバーが鬱陶しいくらいかな。

まあバースト転召なんてよっぽど決まらないでしょ。

 

「ネクサス『彷徨う天空寺院』を配置。ターンエンド」

「……レイは、レイが風花になった時、何をしてたんだ?」

 

はあ、またその話か。

あんまり詳しく話すこともないし、元に戻った時に色々と事情がある(説明するのが面倒くさい)から聞かないでくれって言ったのに。

 

「風花が私だった時は、私の精神は真っ白な所にいたよ。何も無い真っ白な世界」

「じゃあレイが戻ってから、風花はその真っ白な世界に行っちまったのか?」

「違うよ。コーヒーに入れた一粒のミルクみたいな感じかな。溶けて無くなったけど、確実にここにある」

「……そうか。俺のターン『ドス・モンキ』を召喚。『アルマジドラゴン』をLv2にアップ。アタックステップ、『オードラン』でアタック」

「ライフで受けるよ、バーストもない」

「ターンエンド」

 

ドローステップ。

おお、来たねアマテラス。

でもまだ召喚する必要はないかな。

 

まずは相手のスピリットを破壊する。

 

「マジック『双翼乱舞』を使用、デッキから2枚ドロー。『ワン・ケンゴー』を召喚、さらに『砲凰竜フェニック・キャノン』を直接合体(ブレイヴ)召喚。召喚時効果で『ドス・モンキ』『アルマジドラゴン』を破壊」

 

召喚時、破壊時ともにバーストなしっと。

もうアタック後かライフ減少後だけだね。

 

……ま、何でもいいや。

バーストなんて発動してから考えればいい。

どうせそれ1枚で盤面崩壊するフェンリグみたいなのはない訳だし。

 

「『タマムッシュ』でアタック」

「ライフで受ける」

「『ワン・ケンゴー』でアタック」

「ライフで受ける。そしてライフ減少によりバースト発動、『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』を召喚」

「ターンエンド」

 

『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』か。

能動的に召喚時バーストを発動できる赤の覇王(ヒーロー)Xレア。

あのカードを発動されるとちょっと辛いなー。

 

「メインステップ。マジック『双翼乱舞』を使用。デッキから2枚ドローする。『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』をLv3にアップ。バーストをセット。アタックステップ、『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』でアタック。アタック時効果でバーストをオープン!」

 

オープンしたバーストは『爆覇炎神剣』

 

「『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』の効果。オープンしたカードのバースト発動条件が[相手の『このスピリット/ブレイヴの召喚時効果発揮後』]なので、バーストを発動する! デッキから1枚ドローし、BP6000以下の『タマムッシュ』を破壊する。さらに自分がバースト発動した時、ロードドラゴン・バゼルは回復する!」

 

ふー、良かった。

『爆裂十紋刃』だったら泣いてた。

ネクサスもブレイヴも焼かれてたからね。

 

「相手による自分のスピリット破壊によりバースト発動。『双光気弾』、デッキから2枚ドローする。アタックはライフで受けるよ」

「ターンエンド」

 

相手のライフは残り3。

よし、このターンで決まるかな。

 

「『アルマジトカゲ』を召喚。そして『時統べる幻龍神アマテラス』を召喚。『彷徨う天空寺院』を疲労させることで3コストで召喚する。召喚時効果、ロードドラゴン・バゼルを破壊」

「俺のバゼルが!」

 

強いでしょ。

まあXXレアのアマテラスになるともっとやばくなるけど。

 

『砲凰竜フェニック・キャノン』をアマテラスに合体(ブレイヴ)させる。

 

「アタックステップ、アマテラスでアタック。【激突】」

「『オードラン』でブロック。フラッシュタイミング、マジック『絶甲氷盾』を使用。このバトルが終了した時、アタックステップを終了する」

「『オードラン』は破壊する。ターンエンド、そしてアマテラスの効果発揮」

 

防御札1枚ではアマテラスの攻撃から避けられない。

そのために入れたカードなんだから。

 

「BPを比べ相手のスピリットだけを破壊した時、自分のターン終了時に赤のスピリット全てを回復させ、もう一度アタックステップとエンドステップを行う」

 

さて、絶甲氷盾はもう1枚あるかな?

 

「『アルマジトカゲ』でアタック」

「ライフで受ける」

「『ワン・ケンゴー』でアタック」

「ライフで受ける」

「『時統べる幻龍神アマテラス』でアタック」

「……ライフで受ける」

 

これでレツのライフは0、はい私の勝ち。

 

「……なあレイ」

「ん? なに?」

 

カードを片付けながら、レツが話しかける。

 

「レイは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんて思ってるのか?」

「……それは聞かないで」

 

それは私が世界大会で感じたこと。

絶対に勝てるバトルなんて、一々やる必要もない。

 

「レイ……」

「帰る。レツはおじさんの家に泊まってくの?」

「……ああ。じゃあまた月曜日、学校で」

 

レツと別れ、電車に乗る。

ケータイがぶるぶると震え、画面を見るとあの黒山羊の双頭があった。

 

次のバトルは明後日。

相手はネオ・パンクだ。

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