レイちゃんは強いカードバトラーと戦いたい   作:OZo-2

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ターン41 ちぐはぐなデッキ

 

 

「……ネオ・パンクだ。……今日は、よろしく頼む」

「どーも。私は一切手を抜きませんけど」

「……俺もだ」

 

日曜日、ネオ・ブラックゴート幹部とのバトルの日だ。

アゲハが指定した場所は山奥の山荘。

バスで3時間もかかる所に呼び出してきた。

 

「……ハンデとしてバトルにターン制限を設ける。……7ターン以内に勝てなければ俺の勝利となる」

 

やっぱりか。

ネオ・ハッカーの時は私が名前を隠して戦ったからハンデなしだったけど、今はもう世界チャンピオン氷田零とバレてハンデを付けられている。

 

普通ならふざけるなってハンデだけど、CPU相手なら何とでもなる。

 

「……俺のターンからだ。……『炎蜥蜴クトゥグマ』を召喚。……ターンエンド」

 

じゃんけんの結果、私の後攻。

このルールだと先攻の方が1ターン多く行える分勝ち目があるように見えるけど、実際そんなことはない。

相手が『絶甲氷盾』を何枚引くかのゲームだ。

 

先攻なら2枚、後攻なら1枚でも引かれたら命取りになる。

 

「メインステップ。バーストをセット。そして『彷徨う天空寺院』を配置。ターンエンド」

 

3回のターンの内1回をネクサスを配置しただけで終わる。

でも、『彷徨う天空寺院』は配置すれば1枚で4コスト分の働きをする。

1ターン捨ててでも配置しないと、余計勝ち目はない。

 

「……『ナイト・ゴーン』『炎蜥蜴クトゥグマ』を召喚。……アタックステップ、『ナイト・ゴーン』でアタック」

「ライフで受ける。そしてバースト発動、『サイゴード・アームズ』をバースト召喚する」

「……ターンエンド」

 

『サイゴード・アームズ』はバースト召喚できるブレイヴ。

 

普通こんなハンデがあれば相手はアタックなんてしてこないけど、ここはゲームの世界だ。

CPUなら条件さえ満たせばどんな状況でもアタックしてくる。

 

「メインステップ。『ブレイドラ』を召喚。そして『天地神龍ガイ・アスラ』を召喚。『彷徨う天空寺院』を疲労させることで残り3コスト支払い召喚する」

 

『天地神龍ガイ・アスラ』はあの異界王のキースピリット『幻羅星龍ガイ・アスラ』をモチーフにしたカード。

元いた世界ではあまり使われていなかったカードだけど、この世界(ゲーム)なら十分フィニッシャー足り得る。

 

「『サイゴード・アームズ』を『天地神龍ガイ・アスラ』に合体(ブレイヴ)。そして『ブレイドラ』をLv3にアップ」

 

『天地神龍ガイ・アスラ』は合体(ブレイヴ)時、【超覚醒】を発揮できる。

その効果は、他の自分のスピリットからコアを1個以上置くことができれば回復する。

『ブレイドラ』にコアが3つのっている今、少なくとも3回は回復できる。

 

「アタックステップ。『天地神龍ガイ・アスラ』で合体(ブレイヴ)アタック。『サイゴード・アームズ』の効果発揮、相手のデッキを2枚破棄する」

 

『シャンターグ』『退魔絶刀角』

さらに『サイゴード・アームズ』はこの効果でバースト効果を持つカードを破棄した時、追加効果を発揮する。

 

「バースト効果を持つ『退魔絶刀角』が破棄されたので自分のスピリットにボイドからコアを1つ置く。『ブレイドラ』にコアを置く」

「……フラッシュはない」

「『天地神龍ガイ・アスラ』の【超覚醒】。ブレイドラからコアを1個ガイアスラに置くことで、ガイアスラは回復する」

「そのアタック、ライフで受けよう」

 

ネオ・パンクのライフを1つ削り残り4つ。

バースト効果を持つカードを破棄し続ければ、無限アタックが可能だ。

 

「ガイアスラでアタック。アタック時効果で2枚破棄する」

 

『海底に眠りし古代都市』『ランテゴス』

バースト効果を持つカードはない。

まあそう上手くはいかないよね。

 

「【超覚醒】発揮。ブレイドラからコアを1つガイアスラに置いて回復」

「……ライフだ」

「もう1度、ガイアスラでアタック。2枚破棄」

 

『千貌の魔神ニャルラ・トラップ』『絶甲氷盾』

ここで防御マジックの絶甲氷盾が落ちたのは大きい。

 

「ブレイドラにコアを追加。さらにガイアスラの【超覚醒】で回復」

「……ライフで受けよう」

「ガイアスラ、アタック」

 

『異神獣クトゥルフ』『ボクルガー』

対象のカードはなし。

 

「【超覚醒】でブレイドラからコアを置いて回復する」

「……『炎蜥蜴クトゥグマ』でブロック。……破壊だ」

「アタック。2枚破棄」

 

『ボクルガー』『深海大帝ノーグ・デンス』

ハズレ。

 

「【超覚醒】。ブレイドラからコアを外し、ブレイドラは消滅する」

「……『炎蜥蜴クトゥグマ』でブロック」

「ガイアスラでアタック」

 

『ナイト・ゴーン』『退魔絶刀角』

バーストカードが破棄された。

でも、ガイアスラ以外にスピリットがいない今、もう【超覚醒】はできない。

 

「ガイアスラにコアをのせる」

「……ライフで受ける」

「ターンエンド」

 

これでネオ・パンクのライフは1。

次のターン、このまま【超覚醒】で押し切れば勝てる。

 

「……深淵を覗く者よ」

「……それって私のこと?」

「……そうだ。……深淵を覗く時、深淵もまたお前を覗いているのだ」

 

どこかの哲学者の言葉だよねそれ。

ニーチェだっけ、たしか。

 

でも、いきなりどうした?

 

「……メインステップ。……我が神『混沌魔皇アザートゥース』を召喚。……召喚時効果、ガイアスラを破壊する」

「破棄したカードを見て薄々感じてたけど、やっぱりクトゥルフデッキか」

 

『混沌魔皇アザートゥース』は召喚時、自分のシンボル2つのスピリット1体につき、相手のシンボル1つのスピリット1体を破壊する。

アザートゥース自身がシンボルを2つ持つので、私のガイアスラを破壊してきた。

 

「『サイゴード・アームズ』は残すよ」

「……ターンエンド。……次がお前の最後のターンだ」

 

第6ターン。

ハンデで7ターンの制限があるから、これが最後のターンだ。

 

相手はアザートゥースを召喚してコアはスピリットにのっている2コアしかない。

ライフも1。

『絶甲氷盾』を使うコアはない。

 

「メインステップ。『時統べる幻龍神アマテラス』をLv3で召喚。『彷徨う天空寺院』を疲労させることで残り4コストを支払い召喚する」

 

『天地神龍ガイ・アスラ』の連続アタックと、『時統べる幻龍神アマテラス』の追加ステップによる強力な防御カード封じ。

 

ターン制限があっても、それが分かっていればデッキ構築の時点でどうとでもできる。

相手も、使用デッキが定められているCPUじゃなければ絶対に負けることはなかっただろう。

ルールに全く合ってない、ちぐはぐなデッキを握らされていなければ。

 

「『時統べる幻龍神アマテラス』の召喚時効果。アザートゥースを破壊する。そして『サイゴード・アームズ』をアマテラスに合体(ブレイヴ)

 

相手のフィールドにはナイトゴーン1体のみ。

バーストも、フラッシュを使うコアもない。

 

「『時統べる幻龍神アマテラス』でアタック。デッキを2枚破棄する」

 

『海底に眠りし古代都市』『混沌魔皇アザートゥース』

バーストカードなし。

 

「……『ナイト・ゴーン』でブロック」

「『ナイト・ゴーン』を破壊する。ターンエンド。そしてアマテラスの効果、もう一度アタックステップを行う。アマテラスでアタック」

 

『シャッガイ・バグ』『ショゴルス』

バーストカードはないけど関係ない。

 

「……フラッシュはない」

「私もないよ」

「……ライフで受けよう。……んぐ、んがががァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」

 

ネオ・パンクの最後のライフがリザーブに置かれる。

それと同時に、何故かネオ・パンクが発狂し始めた。

 

(毒か!)

 

目を見開き、顔や胸を掻きむしり、涎を垂らし、失禁までしている。

爪で引っ掻いて肌は赤くボロボロになっているのに、彼の顔色は対象的に青く気だるそうだった。

彼から出る様々な体液が、辺りに異様な匂いを撒き散らし、思わず手で鼻を覆ったほどだ。

 

そんな奇行、奇声の終わりはとても静かだった。

彼はバタリと頭から倒れ、そのまま息を引き取った。

 

「……アゲハ。本当に趣味が悪いね」

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