新弾【龍帝】【皇騎】の発売が発表された。
カッコよくて強い『魔龍帝ジーク・フリード』
使い勝手のいい防御マジック『ミストカーテン』
デッキ破棄してネクサス配置、ついでにコアブーフト『栄光の表彰台』
召喚時最大15枚破棄の『機動要塞キャッスル・ゴレム』
強いカードが多数収録される。
私の狙いは低コスト武装スピリット『機人エムブラ』
あとは『栄光の表彰台』と『機動要塞キャッスル・ゴレム』も青デッキを作りたいから欲しいかな。
「レイちゃん今日ウキウキだね。何かいい事あった?」
「あったじゃない、あるんだよ。学校が終わったらバトスピの新弾買いにいくの」
「やばっ!発売今日だっけ?私も学校終わったら買いにいこっと」
「じゃあ一緒に行こうよ。どーせオダイハマまで行かないといけないんだし」
「オッケー!ならレツも誘ってくるわね」
「そうだね。そういえばレツ、チカバ町大会優勝したんだってね」
「そうなのよ。レイちゃんがオダイハマに行ってた日にね。もう完全に抜かされちゃったわ」
私がオダイハマのショップバトルでヒャッハーしてる内にチカバ町大会が終わっていたらしい。
私はそもそもチカバ町大会ってなんだっけレベルなんだけど、まあ多分ゲーム内のイベントなんだろうな。
決勝戦はレツVSコジローの熱いバトルがあったとかなかったとか。
レツがどんなバトルをするのか、見たかったなー。
「マドカ、レイ。おはよう」
「おはようレツ。優勝おめでとう」
「ありがとう。レイもおめでとうな、オダイハマのショップバトルで優勝したんだろ?」
「うん」
対戦相手のことを考えないゴミプでしたけどね。
まあ優勝は優勝なので、ありがたく賛辞の言葉は受け取ろう。
「そういえば決勝の相手はコジローっていう関西弁の男だったんだけど、レイの知り合いって言ってたんだ。一体どーいう関係なんだ?」
「なんてことあらへん。前に1回バトルしたくらいの関係や」
「うわっ!?コジロー!?なんでここに!」
背後から声をかけるコジローに驚くレツ。
レツに対面してた私は当然コジローの存在に気づいてたけど、面白そうだし黙っといた。
「先日親の都合でチカバ町に引っ越してきたんや。で、この町に学校はここしかないからな。今日からここの生徒っちゅーわけや」
「そうか。これからよろしくな!コジロー」
「こちらこそよろしゅうな!レツ」
コジローが仲間になった。
てのは冗談として、カードバトラーが増えたのは素直に嬉しい。
色んなデッキと戦えるからね。
「じゃあ放課後、バトスピの新弾買いにみんなでオダイハマシティに行こー!」
◇◆◇◆
さて、昨日ぶりのオダイハマシティですよ。
レツはオダイハマにあるおじさんの家に寄ると言っていたので、私はコジローと2人で先にバトスピショップに来た。
おっ、新弾あった。
売り切れてなくてよかった、とりあえず1BOXずつでいいかな。
後は欲しいカードが揃うまでタワーを引こう。
「コジロー君は何か狙いのカードある?」
「ワイは『吸血鬼ダンピール』と『王蛇ケツァルカトル』やな。レイは?」
「んー、Xレアなら『機動要塞キャッスル・ゴレム』あとはコモンとかかな。MレアやRは特に狙いはないよ」
お、『機人エムブラ』が3枚揃った。
後で『神機ミョルニール』と差し替えよう。
『ミストカーテン』はどうしようかな。
『バインディングソーン』なら攻めにも使えるし見送りで。
タワーを1個占拠してカードを買っていると、コジローが急に険しい顔になった。
「おいレイ、お前何かしたか?」
「ん?どーしたの急に」
「アレや」
コジローの視線の先には、フードや帽子で顔を隠した男たちがいた。
チラチラとこちらの様子を伺っている。
「んー知らないかな。私の髪色が珍しいんじゃない?ほら、私 銀髪だし」
「アレがそんな視線かいな。レイ、ホントに何もしてないんか?」
「してないよ。……でももう出ようか」
買ったカード達を仕舞い、ショップから出ようとする。
が、
「おいなんやアンタら。邪魔や退け」
謎の男たちが扉の前に立ち私たちの邪魔をする。
さっきは気づかなかったけど、この男達の服には黒い山羊のマークがデザインされていた。
(なんだ、あの害悪集団か)
私は男たちの正体を理解した。
よーするにゲームの敵組織の下っ端なんだ、こいつらは。
「……お前、昨日あの
「人違いです。そこ、どいてください」
「っと、そういう訳にもいかねぇんだわ。……なあ、オレたちと『バトスピ』しないか?」
「はぁ?アンタらええ加減に……」
「いいよ」
「おいレイ!わざわざ挑発に乗ってやることはあらへん! 今からでも」
「どーせ断ったら断ったで変なこと言ってくるタイプだよ。粘着されるのが分かってる虫なら、早く振り払った方がいい」
コジローの忠告を無視して男たちの要求を飲む。
男たちはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。
「その前に、カードを買ったばっかりでデッキ構築をしてないのよ。ちょっと時間くれない?」
「いいぜ。好きにしな」
そうですか、じゃあ遠慮なく。
デッキに新弾のカードと共に『フレイムテンペスト』を3枚を組み込む。
普通に戦っても負ける気はしないけど、念の為。
「お待たせ。それじゃやろうか」
「やっとか。待たせやがって」
デッキをシャッフルしてプレイマットに置く。
じゃんけんの結果、私が先攻だ。
「始めようか。先攻は譲ってやるぜ」
「……スタートステップ、ドローステップ、メインステップ。『ガトリングスタンド』を召喚、ターンエンド」
上から目線のムカつく台詞を聞き流して淡々とターンを進める。
「俺のターンだな。『ゴラドン』『エッジホッグ』『リザドエッジ』『カプリホルン』を召喚するぜ。ターンエンドだ」
一気に4体もスピリットを召喚、01デッキかな。
「フードのニーチャンは低コストデッキか。BPは低いけど数が多い、厄介な相手やで」
それは元の世界での話、ここではどうせBPが負けてたらアタックしないんだから関係ない。
ここは数を並べて自分のライフを守るよりも、さっさと相手のライフを削って相手に攻撃させないのが正解だ。
「メインステップ『機人エムブラ』を2体召喚。アタックステップ『機人エムブラ』でアタック」
「ライフで受けるぜ」
「もう1体の『機人エムブラ』でアタック」
「それもライフで受ける」
「『ガトリングスタンド』でアタック」
「……ライフだ」
「ターンエンド」
01デッキは相手のフラッシュを気にせず殴れるから楽だ。
あって『バインディングソーン』くらいだし。
早々にライフを3つ削ることができた。
「『ビートビートル』『フライングミラージュ』を召喚。そして『カプリホルン』と『エッジホッグ』をLv2に上げるぜ。アタックステップ、『ビートビートル』でアタックだ!」
「フラッシュはない、ライフで受ける」
「『ゴラドン』でアタック」
「フラッシュはない、ライフ」
「『リザドエッジ』でアタック」
それはさすがに無防備に攻めすぎだよ。
ま、そういうものだから仕方ないけど。
「フラッシュタイミング『フレイムテンペスト』あなたのスピリットは全部破壊される」
「なっ……!」
バトルの前に組み込んだ『フレイムテンペスト』
このマジックはBP3000以下のスピリット全てを破壊する効果だ。
相手のスピリットは全て破壊対象、ご愁傷さま。
「くそっ!ターンエンドだ」
フードの男のフィールドには何も無く、手札も0。
2コスビートと違い、手札が枯渇する01デッキは一度フィールドを焼かれると立て直しが効かない。
もう詰んでるよ。
「私のターン。スタートステップ」
◇◆◇◆
「……で、アイツら一体何者なんや」
「さあ?『機人エムブラ』でアタック」
「さあて、知らんてことはないやろ。そのアタックはライフで受ける。ワイはバトルの前に『フレイムテンペスト』をデッキに入れてたの見てたんやで」
「数で攻められるデッキの対策にいいかなって。たまたま刺さってよかったよ。『巨神機トール』でアタック、フラッシュタイミングで『インビジブルクローク』を使用、トールはブロックされない」
黒い山羊のマークの集団とのバトルに勝った私たちは、グランドセンターで新弾のカードを使ってバトルしていた。
「ライフで受ける。……で、『機人エムブラ』を破壊して回復かい。新しいカードが入っても変わらないんやな」
「まぁね、これが1番楽しいし。回復した『巨神機トール』でアタック」
「楽しい、か。ホンマにそうやったらええんやけどな。マジック『デッドリィバランス』を使用、ワイの『魔界七将デスペラード』を破壊して『巨神機トール』を道ずれにするわ」
「……ターンエンド」
しまった、勝負を焦ったかな。
紫はこの無条件破壊があるから気をつけないといけなかったのに。
「『マミーラ』を召喚。なぁ、ちょっとええか?」
「うん? なに?」
「ワイにはアンタが何で悩んでるのかは知らへん」
悩んでる?私が?
「アンタに相談する気がないなら、無理やり聞いたりもせん。でも、悩んでも悩んでもどーしよーもなくなった時は頼ってくれてええんやで」
そういうとコジローはターンエンドを宣言した。
私の悩み……悩みか。
あるにはあるけど、
「大丈夫だよ。私にはレツがいるから」
「カカッ、ここでもやっぱりレツか!」
私の返事にコジローは腹を抱えて笑い出した。
こうしてると、私は誰かとバトルをしているのだと感じる。
バトルの間に流れる声が、感情が、心地いい。
でも、実際は、みんな、ただのデータなんだ。
「…………」
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんでもないよ。『デュアルキャノン・ベル』を召喚。アタック」
「『マミーラ』でブロックや。『サイレントウォール』を使うから、これでアタックステップは終了やで。まだ終わらせへんよ」
コジローの宣言通り、その日のバトルはいつもよりも長く続けられた。
まあ結局私の勝ちなんですけどね!