ACE COMBAT7 AFTER STORY/IF 王女様の戴冠式 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
「集まってもらったのは、重要な任務を与える為だ」
「戦争は終わったのに?」
「終わったから、だな。任務といっても、軍事的なものではない。どちらかと言えば、外交だな」
「外交なら専門家に丸投げしてくれ、俺達はファイターパイロットだぞ」
「そんな事言ったら、あたしだって整備の人間だし、そもそも軍――」
「聞いてくれ。今、エルジア国内は混乱しているだろう」
「あぁ、だからあたしらがここにいる」
「戦争に負け、王がクーデターで殺され、クーデター軍と反政府軍とで内戦が起きた。これは既にIUN、そしてハッシュ作戦を期に反政府軍側の勝利で終わった。だが、国内は荒れ果て、しかもいくつかの州が独立した。このような混乱状態の中、エルジア新政府は1つの策に辿り着いた」
「策、ねぇ」
「新しく王を立てる、という方法だ」
「新しく?」
「一体誰が?」
「そんなのでどうにかなると思うか? なぁ、トリガー」
「静かに。そして、その戴冠式をやるそうだ」
「ワーオ。つまり、俺達は曲芸飛行をやれと?」
「いや、式典飛行はエルジア空軍が行う。我々ロングレンジ部隊は、オーシア軍代表という来賓だ」
「来賓?」
「つまりVIPか」
「守るのはともかく、守られる方か」
「……息子への自慢話が増えたな」
「だけどよぉ、着ていく服がねぇ。タキシードを買えってか」
「それについては、既にオーシア本土から君達の制服が届いている」
「根回しが早い」
「軍服だって? 最後に着たのは飛行士過程の卒業式だ」
「あたしもだよ」
「君達は軍人だ。軍人として招かれる訳だから、軍服でなければおかしい」
「じゃああたしはどうなる?」
「スクラップクイーン、何かご不満か?」
「スクラップクイーン?」
「あだ名だよ。あたしは、軍服どころか軍人ですらないんだが」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ワーオ」
「おい、それって本当か?」
「本当だよ」
「そういや、階級を聞いた覚えが無いな」
「そりゃそうだ。階級なんて無いからな」
「何でここにいるんだ?」
「あたしが聞きたいよ。それで、ドレスを着ていけばいいのか? あたしはごめんだ。そもそも、何であたしまでお呼ばれされるのかが分からないんだが」
「君も今回の戦争終結の立役者だから、との事だ」
「……呼んだのは何処の大馬鹿野郎だ?」
「確かに、誰が王になるんだろうな」
「それについてだが、ローザ=コゼット=ド=エルーゼを知っているか?」
「おいまさか――」
「あのじゃじゃ馬娘が?」
「あぁ。呼ばれたのは、ローザ王女の戴冠式だ」
「……そいつは断れないな。だけど、あたしのドレスは――」
「そもそもスクラップクイーンにドレスは――あがっ!? スパナで殴るな!」
「……君の着るドレスについて、既に手筈は済んでいる。ちょうどいい助言者が来てくれたんだ」
「誰だ?」
「どうぞこちらへ」
「お久しぶりです、ミス・エイブリル」
「……あの姉妹か」
「誰だ?」
「おいランツァ、本気か?」
「ミスターXの孫姉妹だよ。雑誌やテレビに何度か出てる」
「ワーオ。美人だな」
「手を出したら憲兵事案だぞ」
「出すかよ」
「……そんで、助言者っていうのは――」
「お2人には、ミス・ミードのコーディネートをお願いしたいんだ」
「かしこまりましたわ。ミス・エイブリルはお任せを」
「お任せを」
「おいちょっと待て、引っ張るな! おい見てないで止めろ! あたしを着せ替え人形のようにするつもりだろう! フリフリのとか着ないからな! 聞いて――」
「……戴冠式は5日後、エルジア王宮で行われる。くれぐれも、失礼の無いように。特にロングキャスター、君だ」
「私が!?」
「カウントやフーシェンは大人しくしていれば大丈夫だろう。そんなに馬鹿をするとは思えんしな。だが君はご馳走を前にしたら――」
「有り得るな」
「ロングキャスターだからな」
「目に見えるぜ」
「お前ら、覚えておけ。今度ノースポイントから激辛料理を山ほど頼んでやる。トリガー、今頷いてただろう?」
「……息子に話せられるだろうか」