ACE COMBAT7 AFTER STORY/IF 王女様の戴冠式   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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遂に完結(はえーよ)!
あ、コールサインは全部過去作のものです(コクーンはエルジアじゃないとかいうツッコミは無しで)


AS MISSION07 FLY TO QUEEN 女王の為に

 突然のサイレンに、来賓達はうろたえる。ロングレンジ隊員達も何事かと思慮する。

 テラスの上にある、「王の部屋」にいたローザの元へ、事務官が走ってくる。そして、彼女に耳打ちした。

「それは本当ですか!?」

「はい、既に即応部隊が戦闘配置についていますが、戦力が足りていません」

 それを聞き、ローザは考える。そして、椅子から立ち上がって窓へと向かった。

 

 サイレンが鳴った後、5機のSu-37は編隊を組み直して何処かへと飛んでいく。そこへ、ローザの声が響いた。

「皆さん、落ち着いて聞いてください。エルジア軍内部の一部部隊が、反乱を起こしてこちらへ来ているそうです。皆さん、近衛兵の指示に従って避難してください。オーシア軍の方、こちらへ来ていただけますか?」

 

 近衛兵の誘導で来賓達が避難する中、ロングレンジ隊員達とエイブリルは王の部屋へと連れていかれる。

「一体何が――」

「エルジア軍で反乱が起きました」

「そいつはさっき聞いた。それで、あたしらに何か用か?」

「反乱部隊はまっすぐここを目指しています。しかし首都防衛隊を総動員しても、戦力が足りないのです。このままでは、ファーバンティはまた市民の血で染まってしまいます。なので、あなた方オーシア軍に、反乱鎮圧の支援をお願いしたいのです」

 その言葉に、ロングレンジ司令官が言葉を返す。

「それは、あなた個人としての『お願い』ですか?」

「いいえ、エルジア王としての要請です。これ以上、市民の犠牲を増やしたくありません」

「言うようになったじゃねーか、じゃじゃ馬娘」

 腕組みしたエイブリルが言う。そして、ロングレンジ司令官は隊員達の方を向いた。

「聞いていたな。たった今、エルジア女王から我が長距離戦略打撃群に治安維持活動の支援が要請された。直ちに基地へ戻り、出撃する」

『了解!』

 ロングレンジ隊員達が敬礼して答える。ロングキャスターを除いて。

「そんな……夕食会……」

「早く片付けば夕食会に戻ってこられる。ここを吹っ飛ばされれば夕食会は無くなる。それだけの事だぜ、ロングキャスター」

 カウントが励ます。その言葉に、ロングキャスターは少し励まされた。

「そうだな、カウントの言う通りだ」

 そして、全員がローザの方を向く。

「では、出撃いたします、女王様」

 オーシア軍人達が一斉にエルジア女王へと敬礼した。

 

 

 

 ファーバンティ市内を、ハンヴィーが猛スピードで走る。至る所でエルジア復興支援多国籍軍が戦闘配置についていた。

 空軍基地に滑り込んだハンヴィーから、ロングレンジ隊員達が飛び出す。更衣室へと駆け込み、軍服から耐Gスーツに着替える。そして、格納庫へと走った。

 

 一方のエイブリルはドレスを脱ぎ捨て、いつものタンクトップ姿になる。そしてF-15C イーグルの点検をする。機体番号015、垂直尾翼に3本の爪痕、トリガーの機体だ。

 そこへ、トリガーが走ってくる。機体にかけられた梯子を駆け上がり、座席に収まる。エイブリルも登り、トリガーの耐Gスーツを機体と接続、シートベルトを確認する。下にいる整備員からヘルメットを受け取り、トリガーに手渡す。受け取ったトリガーはそれを被り、酸素マスクを繋いだ。

 エイブリルが親指を立てる。トリガーはそれに気付き、親指を立てて返した。

 彼女が梯子を降りると、整備員が機体から梯子を外す。誘導員がエンジン始動の合図を出し、トリガーはスタータースイッチを押す。補助動力装置が作動、甲高い音が響き渡る。

《ストライダー隊、滑走路手前へ移動せよ》

 4機のイーグルの車輪止めが外され、格納庫から出ていく。

「行ってこい、大馬鹿野郎」

 エイブリルは敬礼し、見送った。

 

 滑走路へと、爪痕を持つイーグルが移動する。

《ストライダー1、離陸を許可する》

 F100-220Eターボファンエンジンがアフターバーナーの炎を煌めかせ、大柄な機体が動き出す。そして、大空へと放たれた。

 

 

 

 離陸したストライダー隊とサイクロプス隊の計8機のF-15C イーグルは編隊を組む。そこへ、エルジア空軍のSu-37 フランカーE、エルジア海軍のラファールM、IUN-PKFのタイフーンやF-2A バイパーゼロ、ユークトバニア空軍のSu-57 フェリン、エメリア空軍のミラージュ2000-5、更にボスルージ空軍のSu-30M2 フランカー、JAS-39E グリペンNGが集まった。

《こちらはエルジア空軍 首都防空司令部。現在ファーバンティに向け、反乱軍及びそれに同調した近隣諸国軍の空爆連合(ストライクパッケージ)が接近している。オーシア軍AWACSロングキャスター、君にこの一帯の管制を一任する。国籍を超え、集まってくれた事に感謝する。我々から出す命令は1つだけ、『我らの女王に悲しい顔をさせるな』だ》

《こちらAWACSロングキャスター、了解した。全機、聞こえていたな? ローザ女王を悲しませるな。交戦を許可する》

《ウィルコ。イエロー1、エンゲージ》

《コクーン1、エンゲージ》

《クワント1、エンゲージ》

《スカイキッド、エンゲージ》

《ソル2、エンゲージ》

《オメガ1、エンゲージ》

《サラマンダー1、エンゲージ》

《ドレイク1、エンゲージ》

《スコール1、エンゲージ》

《リジル1、エンゲージ》

 交戦開始(エンゲージ)を宣言した戦闘機達が次々と増槽を捨てていく。

《ストライダー4、エンゲージ》

《3、エンゲージ》

《2、エンゲージ。行くぞ、トリガー》

《ウィルコ。ストライダー1、エンゲージ》

 

 

 

 エルジア王宮、王の部屋。その窓を開け放ち、ローザは空を見る。遥か彼方に、宇宙へと伸びる1本の線、軌道エレベータが見える。

 そこへ、ジェット機の爆音。見上げれば、たくさんの国籍がバラバラな戦闘機達が飛んでいった。その内の8機が彼女の目に止まる。地上からは、垂直尾翼はおろか機種を判別することは出来ない。ましてや、彼女は軍事を全く知らない。それでも、その8機が彼らだと察した。

 その中の1機に向かって、ローザは敬礼した。

 それが伝わったかは分からないが、1機の戦闘機は加速していく。それにつられ、残りの7機も速度を上げた。


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