セルモノー・リューに生まれ変わった青年の話。 作:黄色いうちわ
く~る、きっと、く~る。(きたら負けますが。)
セルモノー・リューになって初陣をし、いくつかの戦争をした頃に、イベントが発生してしまいました。
ええ。賢明なる読者諸氏は思い浮かびますよね。
うふふ。神様死神閻魔様ったら、イベントアイテムも×500は嬉しかったです。嬉しかったけど、闇の神器まではいらなかったです。…いらなかったんや。
寝苦しくて、従者のノヴィンと散歩に出ました。ツェラシェル曰くのデカブツを倒して、ノヴィンに祈られました。ここまでは、いつもの日常的な出来事でした。デカブツでないと暗殺者ですが。その日は大物が釣れました。
ぶっちゃけ思いました。ウルグを既に宿せているからお前は呼んでないと。
戦いになりましたが、一ターンで倒せました。トリプル取れてましたし、負ける要素がありませんでした。
なんか、余の家臣を返せなんて言っていましたが、永く生きてきてとうとう痴呆にでもなってしまったのでしょうかね?そもそもそれが遺言って何ですか?恐怖を伝えてやったわとか災いを残したとか言いませんか?
家臣か。円卓の騎士の事ですかね?ウルグ、倒しておいてなんですが、謝っておきます。ごめんなさい。私、バルザーとマゴスは嫌いなんで、ぐーで鼻の下をぶん殴ります。バルザーはその後に全力で腹パンもします。神様に完璧に創られた存在というのなら、妻子を守りなさいよっ。ていうか、ウルグ貴方もですよ。神様なんだから、システィーナさんを護りなさいよ。なんで一番大切な存在から離れてしまうかな。当時の人間も、システィーナさんは女性なのだから大切にしないと。なんか、この世界人の命が軽すぎだけど、男尊女卑も酷すぎます。父上と兄上に女性を大切にするべきですと進言しましょう。
「せ、セルモノー様っ。先程のセルモノー様はいったい?」
ああ、ずっとウルグを宿していましたから、ノヴィンからしたらあれは私自身みたいなのですね。姿も一緒でしたし、さて、言い訳をしないとですね。あ、ステータスがまた爆上げ…ああ、なんか色んな体験していない事や記憶が加算されましたね。完全に同化しても狂わないのは、私がゲームをしていたからですね。神様死神閻魔様からの加護もあるからでしょうね。ありがとうございます。
「ノヴィン、あれは私の過去です。人間を滅ぼしたい、亡くしてしまった恋人を甦えさせたいと願う私と人間を魔の軍勢から救いたい私で分かれたのです。前世で私は神様、神ウルグだったと言ったら信じてくれますか?変わらずに私に仕えてくれますか?」
…相手が普通の小姓や従者だったのならともかく、今日の従者は狂信者ノヴィン・ファーロス君でした。人選と言葉を失敗しました。失敗やったんや。
「神っ。セルモノー様が(やっぱり)ウルグ様っ。この身も魂も、ファーロス家も全てセルモノー様に捧げることをお許し下さいませっ。今はまだ何の力もありませんが、必ずやセルモノー様の為の神殿をこのロストール王国に建立いたします!そうだ、今すぐにも陛下にセルモノー様に王位を禅譲するように進言(+.+)(-.-)zzZZ」
ノヴィンを魔法で眠らせてファーロス家へと送りました。噴水を見ながらロストールの将来について語り合っていた。夜店で買ったホットワインをついつい飲みすぎてしまった。私のせいだからノヴィンを叱らないで下さいと言いました。ノヴィンがきれいに忘れて下さいますように。…結果的には、ファーロス家の総意になりましたが。国教を竜教からセルモノー教に改宗して神殿を建立する事を。なんてこったいっ。
勿論、止めましたよ。全力で。だって、厨二病の極みじゃないですかっ。なんかファーロス家って私の事が大好きすぎて怖いっ。…もしかして、ファーロス家とエリスからの愛と忠誠が重すぎて、ゲームのセルモノーは恐怖心からファーロス家に傀儡にされている。エリスと愛のない結婚をしてしまったと思い込んでしまったとか…は、ははっ。無いよねっ。それだと、《セルモノー様から死を賜れた!財産をついに受け取って頂けたっ!》になってしまう……ゆ、癒着や忖度や汚職や談合と言われても、私はノヴィンとエリスとファーロス家を大切にしましょうっ!私が犠牲になってファーロスが幸せになるのならそっちが良いっ。
「しかし、セルモノー殿下は謙虚ですな。爺としてはセルモノー殿下が孫を蘇生して下さった時点で竜教信者と寄進をやめましたぞ。だいたい、自害をしセルモノー様に蘇らせてもらった孫とセルモノー様を慕う将兵は全員竜教を辞めておりますのに」
「は、初耳です。爺、あの…私が蘇生した将兵達だけですよね?や、止めてくださいっ。そのどや顔っ」
「初陣従事者全てとその家族恋人は少なくとも信仰の対象をセルモノー様へとしておりますよ。勿論、ファーロスの信仰と忠誠もセルモノー様へと捧げておりますよ(晴れやかな笑顔)」
なに言ってんだこいつらと言いたいが、この人達はマジで真剣に心の底から言っているのです。そう、そして厄介な事に私自身がファーロスを大切にしたいと思っているのです。ファーロスの人々が愛しいのです。言葉があれですが、ファーロスは大貴族に見える忠犬ですからね。
「爺、父上と兄上が困るから改宗の件は秘密ですよ?」
「わかっておりますとも。ロストールの竜教の大神官は既に捕らえて、洗脳と調教を済ませて毎日セルモノー様だけに祈りを捧げていないと不安感から自殺をしたくなるくらいにセルモノー様だけに夢中になっておりますからな。セルモノー様、邪魔な存在がありましたら、隠さないで爺にこっそりと教えて下さいませ。単に殺すよりもこちらの下僕にするのがセルモノー様の利益になりますから。爺はセルモノー様から手作りのクッキーを下賜されましたら光栄でございますれば」
「め、目敏いですね。スラムに暮らす子供達に食べさせてあげたくて作った試作品の余りですけど、ファーロス家の皆さんでどうぞ(糞ナーシェスじゃないと祈りたいっ。神様死神閻魔様っ、ナーシェスがロストールの竜教の大神官ではありませんようにっ)」
…余りもののクッキーに嬉しそうに笑う老獪な貴族。今日も良い天気だな(激しい現実逃避中)
…ナーシェスからの報告がない。