セルモノー・リューに生まれ変わった青年の話。   作:黄色いうちわ

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  おっさんというと本人以外から睨まれたから止めた。


 賢者の森での出会い。

 

 

   冒険の旅の締めは賢者の森探索と決めています。オルファウスさんに会いたいですからね。

 

   私が運命に選ばれてはいないからか、中々会えませんが、数をこなせば会えるはずです。

 

   しかし、この森は、私になにか恨みがあるのでしょうかね?今日も捨て子を拾いましたよこんちくしょうめっ。

 

   双子の姉妹とお兄ちゃん…オッケー把握しました。

 

   「おっさん。焼けているけど食ってもいいか?」

 

   「どうぞ、召し上がって下さい。スープは熱いから気を付けて下さいね」

 

   「ありがと。なあ、妹の治療費は必ず払うからちょっとだけ待っていてくれ。エンシャントで稼いでくるから。おっさん、潔癖すぎんだよ」

 

   …稼ぐって、スリとか売春でしょう?ダメですからね。もうね、モンスターに襲われているところを助けて、兄妹の傷を魔法で治療した直後に、お礼を言われて妹二人から離れた場所に連れていかれてモゴモゴされかけたら察しますよ。ついつい、拳骨を頭に落としてお説教を一時間。無理っ。もうディンガル帝国と周辺国は終わっています。近寄りたくないっ。

 

   「あ、治療費はいりませんよ。あなた達三人は私が雇いますから。養子にしたいけど、あなたは妹達を自分で育てて守りたいのでしょう。私の故郷で教育を受けて下さい。あなた達兄妹が大人になるまでは私が保護者になります。大人になったら私の会社の社員になって下さいね。なりたくなければならなくてもかまいませんから」

 

   「…おっさん、あんたは馬鹿か?あんたが損をするだけじゃねーか。なんか、こう、俺達に求める対価はないのかよ?」

 

   「対価?対価ですか?う~ん無いですね。ボランティアの一種ですし。あなた達兄妹の前にも結構拾って育てていますから。大人を拾えば行き先がなかったら雇いますし、迷子の子供だったら親御さんを探しますし、孤児だったら養子にしましたし。エンシャントの魔法の宝箱に挑戦すれば、養育費なんか一瞬で稼げますから心配しないで下さい。申し遅れました。私はセルモノー・リューです。ロストールの冒険者王族です」

 

   「ああ、そっか。おっさんがあの稀代のお人好し王子か。なら、俺と妹達を頼む。俺が汚れ仕事は全部してやるから妹達はキレイなままでいさせてくれ」

 

   「…わかりました。(流石シスコンの鏡ですね。汚い仕事っていいましても貴方に押し付けるのはエスリンさんの補佐官ですよ)」

 

   優秀な三人の兄妹を拾えたのが旅の収穫でした。…うまくお兄ちゃんの消滅を避けられれば良いのですが。

 

   三人の養育はエスリンさんに任せました。ネメア君とタルテュバ君がノーブルの代官の仕事を完璧にこなしてくれているので、エスリンさんには孤児院の院長をしてもらっています。ノーブルの代官でも有能でしたが、孤児院の院長は更に大活躍をしてくれて、適任でした。ありがたい事です。

 

   

 

         ※※※

 

 

    お人好しな親父に拾われてから八年が過ぎた。

 

   …育ての親のお袋も拾ってくれた親父も、見掛けが変わらないのはなぜだ?

 

   同じ孤児院で育った兄弟姉妹も、俺の大切な妹達も親父の子供達も年をとったというのにっ。

 

   「兄さん、どうしたの?」

 

   「お兄ちゃん、どうしたの?」

 

   「いや、そのな、セルモノー様とエスリン様とエリス様の見掛けが変わらないなと思ってな」

 

   「「皆が、いつまでもエスリンお母様やセルモノーお父様とエリスお母様に元気で若くいてほしいとお祈りしたり願っているからかなぁ?神様が聞き届けてくれたのよ」」

 

   「…そっか。うん、きっとそうだな」

 

   神様か。いないと思うが、俺の大切な妹達がいるというのならいるんだろうな。でもって、女の神様ならお袋達の顔をしていて、男の神様なら親父に似た顔をしているのだろう。

 

   成人の日にお祝い金とお祝いの品が贈られて、更にはお袋の孤児院の副院長の任命証書が贈られて力が抜けた。ロストールに行って汚れ仕事はどうしたと聞いたらキョトンとした顔をしやがった。

 

   執務室にいたタルテュバとエストが西地区のどぶさらいを手伝ってくれるのか?助かる。早速行こうと嬉しそうにいったから、断れなかった。汚れ仕事は汚れ仕事でもな、こういった民衆から感謝される仕事じゃないんだよ。三人で仕事後に飲んだ麦酒は美味しかったが。

 

   「なあ、タルテュバにエスト。親父に黙ってやっておいた方が良い仕事はなんかないか?ディンガル帝国系とかでさ」

 

    思いきって聞いてみた。

 

   「ツェラシェル兄さん、悩み事があるのですね。相談にのりますよ」

 

   「お父様に黙ってなんて無理だろう。俺とネメア、レムオンとエリスお母様が内緒で考えていた計画もばれたぞ。酒場でお前が発言した直後に数人が王宮とノーブルとギルドに向かって走って行ったしな。さて、お前に連座をしてお説教を受ける前に食べておくか。フェルムさん、オムライスとコーンスープと白身魚のフライを下さい。エストとツェラシェルはどうする?」

 

   「フェルムさん、僕もタルテュバ兄さんと同じものをお願いします」

 

   「かしこまりました~」

 

   「…ごめんなさい。お嬢さん、俺も同じ物を下さい」

 

   「はい、わかりました。あの、このチーズの盛り合わせはお店からの差し入れです。陛下のお説教頑張って下さいっ。拳骨がないことを神様にお祈りしてますから」

 

   「「「…あ、ありがとうございますっ」」」

 

   「ここの会計は俺が払う。正直悪かった!」

 

   「み、みずくさいぜ兄弟っ。俺達はお父様に拾われて育った者同士だろうっ。神様っ、拳骨がありませんようにっ」

 

   「そ、そうですよっ。お父様に育ててもらった者同士でしょうっ。拳骨だけは嫌だっ。神様、慈悲をっ」

 

   「神様っ。二人は見逃して下さいっ。悪いのは俺ですっ」

 

    三人で震えながら神様に祈った。

 

   あのお人好しな親父は細身の優男だが、戦闘能力が化け物だし魔法も化け物だ。ぶっちゃけ、ガチで親父は人類卒業していると思う。性格がお人好しであるから辛うじて人類のはしっこに踏みとどまっているだけで、性能は人類卒業で魔人に近いと思っている。でもって、大抵の事は笑って許すが、俺達子供が危険な事をすると怒る。マジ切れする。すっごく怖いし拳骨が痛い。叱られちゃったね、テヘッ。で済むのはネメアとレムオンだけだ。ちなみに娘とエリスお母様には鉄拳制裁はないので女性陣が羨ましい。

 

   結論から言うと、三人揃ってお説教された。拳骨がなくて良かった。ディンガル帝国にも他国にも、子供のうちは関わってはいけませんと念をおされた。

 

   俺とタルテュバ、ネメアとレムオンはもう大人の仲間入りをしたのだが。しかし、これを言うと、鉄拳制裁待ったなしになりそうなので黙っておいた。

 

   汚れ仕事をさせる気が、これっぽっちもないようなので、俺が親父と二人のお袋の老後、介護をしてやろうと決めた。 





   いやいや、そこは子供達全員でしましょうよ。by兄弟姉妹全員。

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