天地無用!皇鮫后 作:無月有用
翌日。
畑仕事の手伝いを終えたハリベルは、水穂に呼ばれて宇宙に上がっていた。
移動した先は水穂が司令官を務めている第三聖衛艦隊の旗艦である。
案内された広間にはアイリを筆頭に複数の男女が談笑していた。
その内の1人は月湖を少し若くしたそっくりの女性もいた。
「お。来たわね」
「……この者達は?」
「正木の村の子達よ。一応、顔合わせくらいはしておくべきだと思ってね。まぁ、流石に全員じゃないんだけど。天地ちゃんに近い人達はほぼ揃っているわ」
アイリは横に座っている白銀の髪の女性に顔を向ける。
「この子は天地ちゃんの姉の天女よ。一応正木の村の女性会【正木淑女会】の会長よ」
「一応ってなんですか」
「……遙照の血筋……ということか?」
「そうよ。本来なら水穂なんだろうけど、水穂は地球で生まれて育ったわけじゃないのよね。だから、天女ちゃんがってわけ」
「天女よ。天地をよろしくね」
「で、その隣が水子、音歌、風香よ。3人は立木林檎ちゃんの部下をしているわ。ちなみに水子ちゃんは、遙照君が地球で娶った子の血筋としては一番遙照君に近い子よ。曾孫くらいだったかしら?」
「あははは……。まぁ、そうですねぇ」
紫髪の女性、水子は気まずそうに頬を掻きながら頷く。
その隣に座っていた音歌と風香は呆れながら見つめていた。
他にいた男子は珀嶺。
そして、一番端で座っていたのが正木霧恋だった。
「もう月湖ちゃんとは会ったのよね?」
「ああ。……山田西南にも会った」
「え!?」
西南の名前が出たことに、霧恋は思わず驚きの声を出してしまい、すぐに頬を赤らめたまま誤魔化すように咳払いをする。
それに他の全員がニヤニヤと見つめていた。
どうやら霧恋と西南の関係は全員知っているようだとハリベルは理解する。
天女がニヤケ顔を堪えながら、ハリベルに声を掛ける。
「大丈夫だった? あの子の悪運に巻き込まれなかった?」
「私はな。目の前で自転車に乗ったまま側溝に落ちそうになっていたが」
「落ちそうってことは無事だったの?」
「私が無理矢理引っ張り上げた」
「あははは! 相変わらずねぇ、西南ちゃん! ね、霧恋ちゃん!」
「そ、そうですね……」
水子の言葉に、霧恋は明らかに頬が引き攣らせながら頷く。
「それにしても、あなた。本当に色っぽいわねぇ。天地もそろそろ理性爆発するんじゃないかしら?」
「確かに天地ちゃん家にいる女性とはまた違う色気よね。雰囲気からすれば……瀬戸様とか玉蓮に近いのかしら?」
天女がハリベルの身体を見渡してため息を吐くように言い、水子も頷きながら身近にいる人物を口にする。
ちなみにハリベルの服装はあの戦闘服である。
玉蓮とは瀬戸の女官で、恐ろしい艶っぽさを纏う魔性の美女である。
噂では先日の休暇の際に、ツアーの旅行船にいたカップルと夫婦9割を破局させたらしい。
その例えに音歌達も同意するように頷き、ハリベルは下世話な話に呆れる。
「……柾木天地なら大丈夫だろう。すでに一度私の裸を見ているしな」
『え!? 詳しく!!』
珀嶺と霧恋以外の面子(水穂含む)が目を輝かせて食らいつく。
それにハリベルは失敗を悟ったが、ここで話すのを止めれば間違いなく天地に訊きに行くだろうと確信した。
「……私が風呂に入っているところに、魎呼が柾木天地を抱えて連れて来ただけだ」
「ふんふん。それでそれで!?」
「それだけだ。柾木天地はすぐに目を逸らしたし、私がいつ出て行くのかという話題になったことで、全員の意識を逸らした」
「ああ、なるほどね」
アイリは鷲羽から話は聞いているので納得の表情を浮かべて頷き、他の者達もアイリや瀬戸から聞いていたので、それ以上はツッコまなかった。
すると、霧恋がいたたまれなくなったのか立ち上がる。
「す、すいません。早急に終わらせないといけない仕事を思い出したので、失礼します!!」
早足で去っていく霧恋に、アイリ達は苦笑する。
「前は堂々としていたのにねぇ」
「まぁ、しょうがないんじゃない? 本人も後ろめたい気持ちはあるんでしょ?」
音歌と風香の言葉に、天女と水子も頷く。
すると、ハリベルに顔を向けて、
「ねぇねぇハリベルさん。月湖ちゃんと西南ちゃんって、どんな感じだった?」
「……どう、とは?」
「んふふ~♪ 付き合う様子はなかったってこ・と♪」
「……その様子はなかったな。だが、確かに月湖の方は山田西南を異性として意識している節はある」
「「「おお!」」」
「だが、やはり霧恋のこともあるのだろう。山田西南も霧恋への想いもあるようだからな。抑え込んでいる感じだ」
「あ~……それもそうねぇ。海君のこともあるし……いきなり告白ってわけにはいかないか」
「はぁ~……西南ちゃんが正木の村の子だったら、宇宙の事を話して終わるのにねぇ」
水子が背もたれにもたれながら言い、音歌が頬杖を突きながら愚痴る。
それに苦笑する珀嶺が、
「けど、それだと霧恋ちゃんと西南君の縁も切れないのでは? 西南君が諦めないでしょう」
「そういえば西南ちゃん、宇宙好きだって言ってたもんねぇ」
「男の子だしね」
「けど、天地ちゃんは出たがらないわよ?」
「天地は畑仕事が気に入ってるみたいだしねぇ。そこのところなんか聞いてる?」
「……いつでも出れるからこそ、やれることはやり切りたい、と言っていた」
「なるほどねぇ」
アイリと天女は立派なニンジン畑を思い出して苦笑する。
その後も天地と西南について話は盛り上がる。
ハリベルは「なぜ私はここに呼ばれたのだ?」と思いながら、足を組んで座っていた。
そこに鷲羽から通信が届き、ハリベルが元々使っていた海賊艦の改良が完了したということで、解散となった。
再び水穂の案内で転送装置に向かっていると、
「ああ、そうだ。ハリベルさん」
「ん?」
「玲亜さんの結婚式の2日前にお邪魔するって天地君に伝えといてくれるかしら?」
玲亜とは天女と天地の父親、信幸の再婚相手である。
信幸の会社の事務をやっていて、天地はもちろん西南達とも面識がある。
天地の母、清音が死んだ後に、天地の姉でもあり母親代わりと言える存在だった。
天女は天地が生まれた時にはすでに宇宙に上がっていて60歳を超えていた。更に清音とそっくりで老化も遅かったこともあるので、地球にはあまりいられなかったのだ。
なので、清音と入れ替わりながら、天地や西南の面倒を見たりしていた。しかし、清音が死んだことで宇宙の事を知らない天地達の前に出ることも出来ず、20年近く我慢していたのだ。
アイリや水穂も天地の存在などは知っていたが、赤ん坊の頃に会った時以来ずっと会えていなかった。
そのため、天地の親族の女性陣は非常に天地に飢えている。
なので、今回の信幸と玲亜の結婚式にはアイリ、水穂、清音も総出で参加できるのだ。
ハリベルは頷いて、転送装置に向かうのであった。
鷲羽の研究室に戻ったハリベルは、鷲羽の案内で改修ドックへと足を進める。
そこには蒼いボディに鮫の頭部を思わせる尖ったフォルムを持つ戦闘艦が鎮座していた。
更に背鰭と胸鰭を思わす突起があった。
準小型戦闘艦【スクアーロン】。
ハリベルの異名『鮫の女帝』の由来でもある船だ。
少人数で動かすことを想定しており、機動力を重視していた戦闘艦である。
見た目に変化がない事を確認したハリベルは、鷲羽に顔を向ける。
「こっちに関しては、見た目より中身を中心に改良したよ。動力炉とエンジン、武装、コンピューターユニットをメインにね」
鷲羽がモニターを表示して、ハリベルの前に飛ばす。
素早く中身を読んだハリベルは、驚きを通り越して呆れるしかなかった。
全てにおいて向上率が50%を超えていた。
ここまでくると改良と言うよりは、完全に中身を造り直したと言われた方が納得出来る。
それでも一週間も経たずに、これだけの改良を終えたことに伝説の哲学士の恐ろしさを垣間見たのは間違いなかった。
(……新しく建造している戦闘艦がどれほどのものか、想像したくもないな)
すでにスクアーロンでも海賊が手に入れられる新型艦の性能を超えているのだから。
ハリベルは頭痛を覚えそうだったが、生き残るにはありがたい話ではあるので、諦めることにした。
「流石に例の装備は搭載できなかったから、こっちは単純に性能の向上だけだよ。それでも耐久性は中型艦程度だから、油断するんじゃないよ」
「分かっている。むしろ、性能が上がり過ぎて操縦ミスする可能性の方が高そうだ。……魎皇鬼や皇家の船の化け物具合がよくわかるな」
「くくくっ! そりゃあ、元が元だからね」
両方とも頂神の力なのだから、人間が作った船がそう簡単に勝てないのは道理である。
逆に言えば、万全以上に体勢を整えれば勝てる可能性がある分、そっちの方が意味が分からなくなってきたハリベルだった。
「瀬戸殿にも連絡して、明日から早速宇宙に出てくれってさ」
「……分かった」
ハリベルは頷いて、モニターを消す。
服を私服に変えてから居間に戻ると、天地がデッキで釣りをしていた。
柾木家の池には30~70cmサイズの魚が泳いでおり、朝食などによく出ている。
もちろん鷲羽による水質管理によって、栄養満点に成長している。
流石に養殖までは出来ていないので、今いる魚が育ちやすくしている程度で留まっている。
天地の横では魎呼と阿重霞が掴み合っており、天地は池に落ちないように最大限に警戒して体を強張らせていた。
ハリベルはその様子に呆れながら縁側に足を進めると、空から
「む……」
空に目を向けると、すでに視覚で視える程近づいており、更に落下地点が池ではあるが前回より家寄りだった。
魎呼と阿重霞は喧嘩に集中しすぎて気づいておらず、天地も2人の喧騒でまだ気づいていなかった。
ハリベルは戦闘服に変えて、一瞬で天地達の元に移動する。
そして、魎呼と阿重霞の首根っこを掴んで、まず魎呼を家の屋根に向かって後ろ手に全力で放り投げる。
「おお!? あああああ!?」
魎呼は目を見開いてミサイルのように飛んで行く。
「えぇ!? きゃっ、あああああああ!?」
次に阿重霞を魎呼ほどの勢いではないが、家の開けた窓に向かって放り投げる。
「へ? わぁ!?」
天地は2人の悲鳴に振り返ろうとするが、ハリベルが天地を右脇に抱き抱えて後ろに跳び下がる。
その直後、美星の宇宙船が隕石の如く池に墜落する。
その衝撃で先ほどまで天地達がいた場所は、水と共に吹き飛ぶ。
そして、爆風と吹き飛んで来た水がハリベル達に襲い掛かる。
「っ!!」
「うわぁ!?」
ハリベルは爆風と水から天地を庇う様に背後に回し、天地は両腕で頭を庇う。
「はぁ!!」
ハリベルはラグリマを発動して、エネルギーフィールドを生み出して水と爆風を防ぐ。
それでも流石に家全体は防ぎ切れず、居間の窓ガラスが一部割れ、玄関や上の階の窓も割れる。
「きゃあ!?」
「うぅわあ!?」
「ミャ!?」
キッチンにいたノイケや砂沙美達にも風が襲い掛かり、2人は慌てて火を止める。
ようやく爆風が収まり、天地が顔を上げると頬に「ふにゅん」と柔らかいものが当たる。
「へ?」
「怪我はないか?」
「え?」
顔を上げると、そこには水に濡れたハリベルの顔があった。
つまり、天地の頬に当たっているのは、ハリベルの巨乳である。しかも、下乳部分。
天地はそれに理解するまで数秒かかり、ようやく状況を理解した天地は顔を真っ赤にする。
「だ、大丈夫です!! あ、ありがとうございます!!? あ、あの……は、放してもらっても……!?」
「ああ」
天地は慌てるも、振り払うわけにはいかないのでキョドりながら言い、ハリベルは特に恥ずかしがることもなく天地を解放する。
天地は呼吸と動悸を整え、ハリベルは立ち上がって家の中を見渡す。
阿重霞は鷲羽の部屋の扉の前で頭を庇いながらうつ伏せになっており、砂沙美やノイケはキッチンの片づけを始めていた。
そして、リビング部分は割れたガラスが散乱しており、テーブルやソファにカーペットがびしょ濡れになっている。
デッキと池側に顔を向けると、デッキは縁側ギリギリまで壊れており、池には宇宙船が突き刺さっていた。
「「……はぁ」」
ハリベルと復帰した天地は周囲の惨状にため息を吐く。
そこに頭にたんこぶを作った魎呼が飛んで戻ってきた。
「こら、てめぇ!! もう少し丁寧に投げやがれ!! 頭打ったじゃねぇか!!」
「九羅密美星に文句を言え。それにお前は透過できると聞いていたが?」
「ぐっ……! 風に飛ばされたんだよ……!」
魎呼は体勢を立て直そうとした時に、爆風に吹き飛ばされて屋根で後頭部を強かに打ち付けたのだ。
流石にそこまでハリベルに文句を言うのは筋違いだと分かっているので、そっぽを向く。
ハリベルは心情的に理解は出来るので、それ以上は何も言わずに天地に顔を向ける。
「……私は宇宙船の方に行く。お前達は白眉鷲羽を呼んで、家の被害を確認してくれ」
「分かりました。魎呼、鷲羽ちゃんを頼む。俺と阿重霞さんは上の階を見てくるから」
「はぁ……へいへい」
魎呼はため息を吐いて鷲羽の研究室に飛び、天地と阿重霞は着替えついでに上の階へと上がる。
ノイケもキッチンの片づけを砂沙美に任せて、リビングや玄関の状況を確認しに行く。
ハリベルは飛び上がって、まずは宇宙船を池の底から抜いて、横にして浮かべる。
そして、外部からハッチを開けて、中に入り込む。
操縦室に向かい、中を覗くと、
「キュ~~……」
美星が操縦席で逆様になって目を回し、気絶していた。
「……はぁ。これでよく1級刑事になれたものだ。……それだけ挙げた功績が見事ということか」
九羅密美星の噂は、海賊でも有名だ。
GP創設家の九羅密家そのものが警戒対象と言うのもあるし、美星の母親である美兎跳も宇宙七不思議とされるほど有名である。
掃除をしていると何故か転送装置を使ってもいないのに、航行中の宇宙船やコロニーを転々とする異常現象。
それが銀河最強の情報部でもあるのだが、誰も止められないのだからどうしようもない。
ちなみにハリベルも美兎跳が自分の海賊艦に唐突に出現し、唐突に消えたことがある。
なので、九羅密家の確立の偏りはハリベルもすでに諦めている。
ハリベルは美星を抱え上げて、宇宙船の外に出る。
縁側の傍に下り立って、美星を横たえる。
家の中では鷲羽が呆れた表情で、コンソールを操作していた。
その横では顔を顰めた魎呼が胡坐をかいて浮かんでいた。
「……宇宙船はどうすればいい?」
「ああ。すぐに転送するよ」
「ったく……いい加減衛星軌道上か月にでもゲート造った方がいいんじゃねぇか?」
「そしたら、そのゲートが爆発して地球に落ちてくるか、月が崩壊するかもねぇ~」
「「……」」
容易に想像出来てしまい、その後始末に魎呼が奔走することも容易に想像出来る。
魎呼は盛大に顔を顰めて黙り込む。
ハリベルも巻き込まれるだろうことは想像できるので、同じく眉間に皺を寄せる。
そこにうんざりした顔で天地と阿重霞、ノイケがリビングに戻ってくる。
どうやら上の階も悲惨のようだった。
ノイケは気絶している美星を見て、額に青筋を浮かべて修羅の表情で美星に歩み寄る。
そして、
「美星ぃーーーーー!!!」
怒号をリビングに響かせながら大きく踏み込んで、拳を掬い上げるように振るい、脇腹に突き刺す。
美星は横向きのまま、池に向かって飛んで行き、大きな水しぶきを立てながら池に落ちる。
流石にハリベルももう助けに行く気にならず、天地達も苦笑するだけだった。
美星は殴られた衝撃と池に落ちたことで、目を覚ましてゾンビのように這い上がってきた。
「ふぇ、ふぇ~~~」
ハリベルはため息を吐きながら、服を戻す。
「手伝うことはあるか?」
「んにゃ、特にないよ。濡れたんだろ? 先に風呂に入っておいで。天地殿に魎呼達もね」
という、鷲羽の厚意に甘えて、ハリベル達は先に風呂へと入ることにしたのだった。
風呂と着替えを終えた天地達は居間に戻ると、綺麗に窓ガラスも家具も綺麗になっていた。
池に浮かんでいた宇宙船もすでに消えていた。
食卓には見事な料理が並んでいたが、座敷の隅っこに段ボールが置かれており、その上に白米とししゃも2匹、サラダと食卓に比べたら遥かに劣る食事が並べられていた。
そして、それ以上に目が行くのは、段ボールの横の壁に貼られている『美星』と乱雑に書かれた紙だった。
ノイケの怒りそのものなのだろうと察した天地を始めとする全員が、小さくため息を吐くもやらかしたことがやらかしたことなので、もう何も言わない。
というよりは、この場合のノイケは絶対に譲らないというのが分かっているからだ。
「う~~……」
美星は涙を溜めながら、大人しく段ボールの前に正座をする。
何故なら、キッチンの扉に腕を組んで鋭い目つきで仁王立ちしているノイケがいたからである。
その怒気に誰も救いの手を伸ばさず、天地達も大人しく自分の席に座る。
そして、食べ始めた頃に、ハリベルは水穂の伝言を思い出した。
「柾木天地」
「はい?」
「柾木水穂からの伝言だ。正木玲亜の結婚式の2日前に邪魔をする、と」
「2日前、ですか。姉さん達も、ですか?」
「そこまでは聞いていない」
「水穂さんって瀬戸様の副官をされてる方、ですよね?」
天地は首を傾げながら、ノイケに顔を向ける。
ノイケは微笑んで頷き、
「そうですね。天地様の伯母に当たる御方です」
「伯母……」
「けど、なんでわざわざ2日前に来んだよ?」
「恐らくは結婚式前日に行われる正木淑女会に出席するためでしょう。遙照様のことが明かされるまでは、船穂様は来られませんので、樹雷の柾木家代表代理として来られるのだと思います」
「なるほどねぇ。で、ついでに天地殿とも話したいと」
「恐らくは。清音様がお亡くなりになったことで天地様の前には姿を見せにくくなりましたから。時折地球には来られていたようですが、神社や正木の村の方に泊まられていたようです」
「天女殿同様、見た目的に清音殿の姉ってのは言い辛いだろうしねぇ。けど、妹とかと偽っても後からが大変だろうから、宇宙の事を知らせるまでは、か」
「本当ならば、天女様やアイリ様が来られた時に紹介するはずだったのですが……」
「くくくっ! 瀬戸殿、というか美咲生殿の襲来でそれどころじゃなくなったってわけだ」
「だと思われます……」
不憫そうに頷くノイケに、天地達も乾いた笑いを浮かべるしく、ハリベルは呆れるしかない。
その事件がきっかけとなって、天地の身に色々とあったし、ハリベルがここに来ることになったので何とも言えないのだ。
ちなみにその後ろで美星はずっと涙ぐみながら食事をしており、
「ノイケぇ……おかわり……」
「ないわよ!!」
「あ、あれぇ~~!?」
と、話の腰を叩き折ったのだった。