完夜廻もしくは深夜廻らない   作:トロリスト

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今回は、サブタイ通りです。


第11話 また あえたね

紙飛行機が飛んでいく

 

あれは、誰かが誰かに宛てた誰が読んでもいい手紙。

なにか言いたいことや聞いてほしいこと、とにかく何でもいいから手紙を書いてその紙で紙飛行機を折り、高いところから風に乗せて町へ飛ばす。

落ちた手紙は誰が読むか分からない。まったく知らない人が読むかもしれないし、友達が読むかもしれない。

 

最近、女の子の間で流行っている遊びだ。

なにやら流行り廃りというのがあるらしく、お母さんに話したら、お母さんの子供のころにも流行っていたらしい。

話している最中に「懐かしいわぁ」と、自分の世界に入ってしまったので放っておくことにしたけど。

 

 

あたしはクラスの子と違ってなぜかそれをやる気になれなかった。だけどやっぱり紙飛行機が飛んでいるのを見るとワクワクして追いかけちゃう。

今、飛んでいる紙飛行機は少しはなれたところから見てもなんだかすごくキレイに折ってあって、

それに本当の飛行機みたいにまっすぐ飛んでいる。

 

いったい、だれが書いた手紙なんだろう?

 

あたしはその紙飛行機を一生懸命追いかけた。

追いかけていくとだんだん飛ぶ力が弱くなってきたのか少しずつ飛ぶ高さが落ちてきた。

やがて、ある家の前でふわりと地面に着陸した。

 

あたしは紙飛行機を拾う。すごくきれいな紙飛行機だ。でも、なんか紙は少し色あせていて古めかしい感じがする。

それを抜きにしてもこんなきれいに折れるなんて誰なんだろう?

ワクワクしながら紙を広げた。

 

「ん~と、『ユイへ』…あれ?あたしと同じ名前だ

『ひっこししてから…』誰だろう?あたしのお友達でさいきんおひっこしをした子はいなかったはずだけど…

『きっとみつけるから』、『あえるってしんじてる』(なんだろう、すごくドキドキする)

あとは『てをつないであそびにいこうね』か…きっとなかよしの友達に書いた手紙なんだろうなぁ」

 

彼女(名前はユイというらしい)は、拾った手紙を丁寧に折りたたみ、

お気に入りのウサギ型ナップサックの内側にあるチャック付のポケットに、

大事なものを取扱うようにこれまた丁寧にしまってチャックを閉めた。

手紙を拾うことは時々あり、丁寧に折りたたむことはあってもいつもはナップサックのなかに放り込むだけである。

なのに、今日の手紙はチャック付のポケットに大事にしまっている。

 

なぜそうしたのかはわからない。彼女も不思議そうにしている。

でも、この手紙はそうしないといけないような気がした。

 

彼女は手紙をしまったあと、夏休みの日課のようになっている町の探検という名のお散歩を続ける。人間には見えないが、なにやら黒っぽいものと茶色っぽい小さな影が彼女の後をつけていた。

少し歩くと家の前にトラックが停まり、なにやら荷物を運んでいるのが見える。

 

「そういえば、夏休みの間にこの町におひっこししてくる家族がいるって聞いてた。

同じくらいの年の子がいるといいなぁ」

 

彼女は近づいて行き、門のあたりから様子を伺う。

家の人だと思うおばさんがいたので「こんにちは」と声をかける。

 

「はい、こんにちは」

 

「あの、ここにおひっこししてきた人ですか?」

 

「そうよ。よろしくね。あ、お名前は?」

 

「ユイっていいます」

 

「ユイちゃんね。うちの子と同じくらいね」

 

「同じくらいの子がいるんですか?」

 

「あ、ちょっとまってね、今呼ぶから」

 

「ハル~!こっちいらっしゃ~い!」

 

ハル?女の子かな?でも、なんだか知っているような、懐かしいような…?

 

「は~い、なあに?お母さん」

 

パタパタと可愛らしい足音を立てて自分とおなじくらいの女の子が玄関まで出てくる。

 

「この子がうちのハル。仲良くしてあげてね」

 

「あの、お母さん、この子は?」

見知らぬ子がいることに気づき、すぐさまお母さんのかげに隠れてしまう。

 

「この子はこの町に住んでいる…で、いいのよね?」

 

「はい」

 

「この町に住んでいる、ユイちゃんっていうそうなの。ほら、ご挨拶して」

 

「え?あの…ハル…です。あの…よろしく」

 

お母さんのかげから顔と体を半分出し、片手でお母さんの服の裾をつかみながら、おずおずと挨拶してくれた。

今にもお母さんのかげにかくれちゃいそう。甘えんぼさんなのかな?

 

「もう、この子ったら」

 

「ユイだよ。よろしくね」

 

握手しようと右手を差し出す。

 

「あ、そうだ。ユイちゃん、迷惑でなかったらこの子に町を案内してくれないかしら?」

 

「お散歩していただけなんでかまいませんよ」

 

「よかった。ほらハル、行ってらっしゃい」

 

「あの、おひっこしのお片付けは?」

 

「いいのよ、引っ越してきて早々、同じくらいの年の子と出会えるなんて、きっとなにかご縁があるのよ。いいから行ってらっしゃい」

 

(ご縁…)

なんだかその言葉が気になってぼそっと呟く。目の前の子、ハルと呼ばれた子もなにか気になるのか「ん?」て顔をしている。

 

「う、うん、わかった」

 

「よし!そうと決まれば、いこっ」

 

あたしはもう1度右手を差し出す。

 

「うん」

 

ハルは、おずおずと左手を伸ばし…あたしの右手を握る。

 

!!!!!

 

なにか体に電気が走ったみたいだった。なんだろう?この感じ。

 

「どうしたの?」

 

急にあたしの動きが止まっちゃったからどうかしたのかと心配そうに聞いてくる。

この子自身も何か不思議そうな顔をしている。

 

「ん?あ、なんでもないよ。えっと、ハルって呼んじゃっていい?」

 

「うん、いいよ」

 

「あたしのことも、ユイでいいから」

 

「わかった、ユ、ユイ…」

 

!!!!!

 

まただ、この子にユイって名前呼ばれたらまた電気みたいのが…

気のせい気のせい!気を取り直して遊びに行こう!

 

「じゃあ、ハル。どういうところに行ってみたい?」

 

「えっと、ユイがお散歩しててみつけたおもしろいものってある?」

 

「おもしろいもの?ん~、じゃあ、アレかな?」

 

「アレって?」

 

人差し指をくちびるに当てて

「ないしょ」

 

「いじわるぅ」

 

「行ってからのお楽しみだよ。行こう!」

 

「うん!」

 

あたしたちは手をつないで走り出す。

ついさっき会ったばかりなのに、ずっと友達だったみたいな不思議な感覚。

どこへ行くかなんてどうでもいい、ハルとこうして手をつないで行った場所がきっと楽しい場所。

あたしは不思議とそう思った。

 

その光景を物陰からずっと見ていた黒と茶の小さい影…クロとチャコは嬉しそうに顔を見合わせ、

小さくうなずいてから跳ねるように山へ走って行った。




これにて、本エピソードは完結です。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。

次からはだいぶはっちゃけた話になるのでどうするか考え物ですが、かなり修正が必要な上にまだラストまで下書きが済んでいない。なのに、ラストのサブタイは決定しているという訳の分からなさ。なんか突然降りてきたんですもん。
まあ、なんかいいや!と、開き直って投稿しようかと思います。せっかく途中まで下書きが済んでいることですしね。

という訳で、2話のラストの修正をしてから暫く次のエピソードの修正と投稿用の編集をして、
12月の半ばくらいには再開できたらいいなぁ。という感じです。
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