水は過去へ戻り蟲を救う   作:霜月優斗

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悲壮の道 (義勇さん過去改変ルート)
仇討ちと失った哀しみ


「カァ!!死亡!!胡蝶しのぶ死亡!!」

 

『胡蝶しのぶが死んだ』。

 

その知らせを聞いた俺は頭が真っ白になり、幻のように彼女言葉が聞こえてくる。

 

『冨岡さん』 『そんなんだから皆に嫌われるんですよ?』

 

噓だ、噓だ噓だ…!!やめてくれ、お前もそばからいなくなるのか?

 

『さようなら、そしてありがとう、()()()()

 

またなのか…俺はまた生きていて欲しい人を失ったのか…

ばきり。

 

その瞬間、俺の壊れてはいけない(ばしょ)が砕け、溢れ出る思いと復讐の炎が俺の頭を埋め尽くした。

 

「―——————ッ!鎹烏。()()()はどこで死んだ。今すぐ教えろ。」

 

誰だ、胡蝶を、しのぶを殺したのは。見つけたら必ずしのぶを殺した奴の喉元に刃を振るってやる。

 

「カァ!!ツイテコイ!!」

 

「…炭治郎。悪いが少し頼めるか?」

炭治郎は

「義勇さん…分かりました、但し、必ず生きて帰ってください。」

 

炭治郎は俺の願いを聞き入れ、走っていった。

「…悪鬼め。」

必ず殺してやる、俺は今にも暴れだしそうな怒りをこらえて鎹烏に付いて行った。

「人だぁ殺してやr」

「…うるさい」

途中で何体か鬼と遭遇したが、一太刀で首を落とした。

 

「カァ!!ココダ!!」

「あぁ、助かった。」

俺は道案内をした鎹烏に感謝し、ついでにしのぶを殺した鬼の名を聞いたら童磨というやつだと教えてくれた。

 

「…ここに…」

あいつを殺した鬼がいるのか。俺はそう思い乱暴に扉を蹴破るとしのぶを殺したと思われる鬼が立っていたが、随分と血を流しているため激戦だったことが伺える。

奴は俺の殺気に気付いたのか、振り向き口元歪めながら呟いた

 

「あれぇ?もしかして君はもしかしてしのぶちゃんの知り合いかなぁ?」

 

鬼は気持の悪い笑みを浮かべながら()()を取り出した。

 

「そうそう、しのぶちゃんは俺とひとつにさせてもらったよ~」

そう言って目の前の鬼はひらひらと蝶の髪飾りを俺の前に翳す。

その髪飾りは、俺が以前…!

…そうか、俺は本当に間に合わなかったのか…ならばもう容赦などしない、目の前の鬼を殺すだけだ。

「…貴様だけは絶対に殺す。」

「へぇ、出来るのかい?ただの人間であるキミに?」

その言葉を合図に二人は地を蹴った。

「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き」

「血鬼術 粉凍り」

やつが扇子を扇ぐと細かな何かが散布されるが、何も変化は無い。不発か?……いや、違うな、目に見えない程に分散しているのか。そして奴の技の名前…もしや氷か。

やつとて上弦だ。歴代の水柱と戦っていてもおかしくない。ならば、()()()使えない型を使えばいい。

全集中…

「水の呼吸 拾壱ノ型、凪」

目に見えないのならば全て凪げばいい。

鬼の表情が余裕から僅かながらの驚嘆へと変わるが、直ぐに鬼は嗤った。

「ッ…俺の血鬼術が効かないなんて初めてだよ〜。でも、どうやって俺の氷を防いだんだい?」

そう言って鬼は何故自身の血鬼術が防がれたを俺に問いただす。

「…目に見えない大きさなら凪げばいい。」

「へぇ!俺の氷を粉々にしているのかい?」

 

目の前の鬼がドロりとした言い方で話して来るのが俺は堪らなくイラついていた。こんな表向きは教祖気取り、その実、ろくな感情もない餓鬼に俺の大事な人は殺されたのか、と。

「黙れ悪鬼、しのぶの姉も殺しただろう?」

「あぁ、今までで唯一救えなかった子だからよく覚えてるよ。」

「そうか、貴様はここで死ね。」

「俺を殺せはしないと思うよ?だから力尽きた時は君を救ってあげよう」

「……口だけは達者の様だな。」

そう吐いた俺は両腕を交差し、頭の後ろに日輪刀を回し、本気の踏み込みで奴に突貫する。

 

「へぇ、そんなに俺に救われたいのかい?」

童磨は変わらずの笑み(嗤い)を浮かべて扇を振るう。

血鬼術 蓮葉氷

凶氷で出来た蓮が俺に目掛けて飛んでくる。その数5つ。

───だが、そんなものはどうでもいい。

 

「水の呼吸、玖ノ型、水上飛沫 乱」

当たらなければただの氷の蓮でしかないと、俺に向かって飛んでくる凶氷の蓮を躍るように交わしつつ肉迫、そして袈裟斬りに一閃するが目の前の鉄扇に防がれる。

 

「おおっ、やっぱり強いね君、名前はなんて言うのかな?」

「……答えるとでも思ったか?生憎悪鬼に名乗ってやる名前はない」

「おっと手厳しいね〜、でも俺は諦めないよ!」

そう言う目の前の鬼はヘラヘラと相変わらず気味の悪い笑みを浮かべて難なく俺の一撃を受け止めた。

全く、上弦の弐にもなるとこうも規格外な力を持つのだろうか。こうしている間にも味方の隊士が次々倒れていると言うのに、じわりと迫る焦りと己の無力さに対する怒りに日輪刀を持つ手に力が入る。

「おやぁ?急に刀を握る力が増したねぇ、俺には勝てないだろうけど見せてみるといいさ」

 

その一言を聞いた俺はこの瞬間、覚悟を決めた。使う型など既に決めた、鬼から距離を取り、腰を落とし抜刀術の構えを取り深く息を吸い込んだ。

今から行うのは自らの限界を越えて放つ一撃だ。()()()()()()使()()()()()()()()()()()()だから誰も知らない。

この技は、絶対に殺さなければいけない相手にしか放ってはいけないと心から決めていた。

 

身体を刃のように、全身を研ぎ澄ませろ。奴の首をはねる事だけを考えろ‼

その瞬間、義勇の頬に水模様の痣が出現した。

全集中、水の呼吸…

「地獄に落ちろ…拾弐ノ型、逢魔が時ッ!」

その型の名を告げると同時に床を縮地法で駆け、ほぼ同時にヤツの足元に辿り着き日輪刀を振るうと同時にヤツを取り囲む様に三方向からほぼ同時に斬撃が放たれた。

相手もそれに気づくが振ろうとした途端、自らの腕は()()()()、回復する間もなく瞬く間に全身に3本の傷が付けられる。

「……終わりだ。」

そう言いって最後の一閃を放った後に鞘に刃を収めるとグサリとと音を立てながら童磨の首が撥ねられる。

「ガ、ハッ!?まさか切られるとは…これはあの君の力って奴に負けたのかな…」

そう言いながら彼は再生しようとする。しかしいつまで経っても再生しない事に気付く。

「……あれ?なんで再生しないんだろう、あぁ……そうか、首を跳ねられたのか、おかしいなぁ、何故あの時に俺の腕が腐ったのだろう……彼女は既に取り込んだと言うのに」

目の前の鬼はどうして自分の身体が腐り落ちたのかが理解できないまま消滅した。

 

 

「倒したぞ、しのぶ。代わりに仇は取った、ぞ…」

俺はまだ息の荒い状態で握り拳を天に掲げて伝えた。

だが奴を倒して安堵したからか気合いで保っていた意識が薄れて行った…

 

 

 

それから時は数刻経ち、無限城での戦いで炭治郎が日の呼吸で鬼の始祖である鬼舞辻を倒し、全ての鬼は滅ぼされたようだ。

 

義勇が次に目を覚ますとそこは蝶屋敷の一室だった。

だがそこには義勇にとって当たり前にあったはずの暖かさはなかった。

「なんで俺を遺して逝った…」

そこにあるのは、魂がひび割れてしまった青年の涙とひっそりと光る愛する者の形見の日輪刀だけだった。

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。
評価、感想お待ちしております。

松月さん 誤字指摘感謝致しますm(_ _)m

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