アオイとの一悶着があってから三週間後、怪我が治った私は少しずつではあるけれどまた蝶屋敷の仕事を始める事にした。とはいえ肺の一部が治っていないので不用意に無茶は出来ないのが難点であるが。
一方の冨岡さんと言えば童魔との戦いで怪我が重かったのでもうしばらく療養しなければいけないですよとアオイが伝えたところ、
『...今度鮭大根を作ってくれるなら大人しくしておくと胡蝶に伝えておいてくれ。』
と言っていたらしい。
ふふっ、冨岡さんはそんなに鮭大根が食べたいのですか...仕事が一段落したら作ってあげましょう。冨岡さんには返しても返しきれない恩が有るわけですし。さてと、無限城での負傷者もまだまだいますし、しっかりしないと、ですね。特に我妻君と伊之助君、あの二人の内、特に我妻君は怪我や血鬼術によるダメージが大きいですからね。
私は今日のすべき事を考えながら仕事をこなすのだった。
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「...朝か。」
眩しい光が差してきたので眼を開き窓を見ると太陽が顔を出しているので午前中なのが伺える。
周りを見ると前と変わり生えしない病室だった。
...胡蝶と話してから三週間経つが俺は未だに機能回復訓練に参加出来ていない。
胡蝶の方は肺の一部がダメージが残っているので参加していないらしいが、まぁそのうちどうにかなるだろう。おっと、そういえばアレを飲めと言われていたんだったな...
「...そういえば薬を飲めと言われていたな...背に腹は代えられんか...」
俺が飲もうとしている薬は胡蝶が調合して作ったものらしく、効き目は抜群なのだが...いかんせん苦い、とにかく苦い(二回目)
正直胡蝶が調合したものでなければ飲むつもりは無かったのだが...
『いいですか冨岡さん?いくら貴方が頑丈な身体をしているとはいえ大怪我しているのですから大人しく薬を飲んで下さいね?』
なんて青筋を浮かべながら忠告されてしまったので飲まないとどんな目に会うか堪ったものではない。
...実験台になるのだけは勘弁したいところだな。
───前に一度だけ実験台になった時にとんでもないものを呑まされたからな、と遠い目をしながら俺は薬を飲むのだった。
今度絶対胡蝶に鮭大根作らせてやる...
さて、そういえば今日は炭治郎が見舞いに来ると言っていたな。今日は誰と一緒にくるのやら...
「...楽しみだな。」
ムフフと笑いながら炭治郎が来るのを待っているとガラガラと音を立てながら入ってきたのは...
「こんにちは、水柱様。」
胡蝶の継子である栗花落だった。一体なんだろうか?
「...なんだ?」
「実は水柱様に報告したい事があります。あと炭治郎は残党を狩る任務が入ったらしく、今日は来れないらしいです。」
報告だと?炭治郎と何かあったのか?
「私、栗花落カナヲは貴方の弟弟子である竈門炭治郎君とお付き合いすることになりました。」
...
え?マジで?いつの間に炭治郎彼女作ってたのか!?
弟弟子に先を越されるとは思わなかった...
やばいやばいどう返事しよう!?とりあえず大人らしく冷静に変えそう。
「...そうか、おめでとう、炭治郎を頼むぞ。」
「──はいっ!」
栗花落は嬉しそうな笑みを浮かべている。
「そういえば、師範から伝言です、『私の調合した薬はちゃんと飲みましたか?ちゃんと飲んでいるなら今夜の夕飯は鮭大根を作ってあげます。』だそう、です...!?」
「そうか!この後胡蝶と会う用事があるなら伝えておいてくれ、『しっかりと薬は飲んだ』とな。」
「は、はい、分かりました。」
(水柱様って鮭大根の事になるとこんなに表情筋が動くんですね...しかも何時になく饒舌...)
この日、カナヲはいつも無口な義勇が初めて笑っているのを目撃して衝撃を受けたとか。
ちなみにこの事をしのぶに伝えたところ...
『え?冨岡さんがそんなに表情筋が動いたんですか?ふふっ、それは見てみたいですね...』
この時、しのぶは悪い顔をしていたとかしていなかったとか。(カナヲが義勇を見舞いに来た日の晩にしのぶは鮭大根をちゃんと作ってあげた所、義勇の天然スキルが発動してしのぶは赤面したとかなんとか。)
次の日の夜...
昨日は結局栗花落以外に見舞いに来た人はいなかった。
まぁ鬼舞辻が倒され鬼が消えたとは言えど、それは鬼舞辻の影響を強く受けた鬼だけであり、影響の弱い鬼は残っているからまだ鬼殺隊としての仕事はまだ残っているので仕方ない。
「さて...胡蝶の薬を呑んだからか体調が良くなったか。」
この調子ならそろそろ機能回復訓練もしても問題無さそうだ。早く訛ってしまった身体を元どうりにしなくては...
「...少しぐらいは許せ。」
俺は誰にも気付かれない様に病室を抜け出し、近くの裏山に向かった。
1人の女性に見られている事に気付かぬまま...
「あれは...冨岡さん?一体こんな時間にどこに行こうというのでしょうか?」
「...ここなら誰にも見つからないだろう。」
俺は呟きながら廻りを見るとちょうど自分の回りは広く平で蝶屋敷からは見えない場所にある。
さて、先ずは軽めにやるとするか、そう思い深呼吸した途端、
「こんなところで何をするおつもりですか?冨岡さん。」
突然、ここには居ない筈の胡蝶の声が聞こえて来た。────まさかな。
「...なんだ、気のせいか。」
ギリッ
「無視しないで下さい。一体こんな夜更けに、しかも1人で何をしようとしたんですか?」
やっぱり気のせいでは無かった!しかも痛い痛い、爪が腕にくい込んでやがる...
どうする?ここは真面目に応えた方が良いのだろうか?
というかここで巫山戯ても余計胡蝶に嫌われるだけだし真面目に答えよう。
「...リハビリだ。」
「リハビリ?殊勝な心がけなのは関心しますが怪我人がこんな夜更けに勝手にぬけだされるのは困りますよ?そんなんだから他の皆に嫌われるんですよ?」
胡蝶は少し以外な顔をしながら毒を吐いてきたので何時もの返しをする。
「俺は嫌われてない。」
「そこだけ即答で返事されても困りますよ?」
何か尺に触ったのか、胡蝶は青筋を浮かべながら言ってきた。無性に弄りたくなったので偶には仕返しをしてやろうでは無いか。
「事実だろう?現にお前は
「な!何を言うのですか貴方は!?」
ぼんっ!と音を立てながら胡蝶の顔は見る見るうちに茹でダコの様に真っ赤になった。
「だいたい急に喋りだしたと思えば何です、俺はお前に嫌われてない?いやまぁ嫌いでは有りませんが私以外の人だったら勘違いしていますよ?」
胡蝶はプンスカ怒っているがその姿さえ可愛く思えてしまうのはお前に毒されているからなのだろう。
そう思った俺は無性に抱きしめたくなった。
「そのまま勘違いしてしまえばいいだろう。」
普段口にしない台詞を吐きながら
「なっ!?それは、本気で、言っているのですね?」
「当たり前だろう。」
それなら仕方ありませんね、と胡蝶は俺を抱き返して来た。
「貴方がそこまで言うのなら、付き合ってあげます、ですが、覚悟しておいて下さいね?私、結構愛が重たいですから。」
「問題ない、お前に愛されるのなら。」
静かな夜の中、空に浮かぶ満月が2人を祝福していた。
その後、胡蝶にリハビリを手伝って貰い、病室に戻り、就寝した。
お待たせしました!
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