水は過去へ戻り蟲を救う   作:霜月優斗

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水は祈りを込めて遡る

無限城での闘いから1ヶ月後、俺は目を覚ますとそこはよく見慣れた蝶屋敷だった。

しのぶはもう戻って来ない事に気付き泣き続けたあと、ふと周りを見ると、あることに気付いてしまった。

 

「色が...白黒になっている...」

 

そう、俺はしのぶを失った悲しみからあらゆる色を失っていたのだ、皮肉にもこの世界は俺が望むもの程奪っていくらしい。

 

「お前が居ない世界でどう過ごせばいいんだ...」

もう今の俺には絶望しかないのだ。しのぶが居ない世界なんて俺には耐えられない。せめてもの救いは形見である刀を回収出来たことぐらいだ、遺体すらない墓に祈りを捧げてもしのぶは帰って来ないのだ。ああ、だが─

 

「俺には墓参りをする事ぐらいしか色が戻らないな…」

 

それからすぐに義勇は屋敷の廊下を歩いていたアオイにある事を聞いた。

「...神崎。」

「はい、どうかしましたか水柱様?」

「胡蝶の...しのぶの墓の場所を教えて欲しい...」

「──ッ、は、はい分かりました、付いてきて下さい。」

何故か神崎の顔が酷く驚いていた。俺の顔に何かついて居たのだろうか。

まぁそれもそうだろう、何せ、今の俺の目には光もなにもないのだから、…それは元からだったか。

蝶屋敷からしばらく歩いて少々入り組んだ場所を抜けるとそこに遺骨が入ってない彼女の墓が姿を見せた。

「ここが師範のお墓です。」

「ここか、...案内感謝する。」

神崎が案内してくれた場所に、しのぶの墓があった。

「お参りしていきますか?」

「あぁ、そうさせて貰う。」

俺は墓前にしゃがみ、悲鳴嶼さんに貰った数珠を挟んで手を合わせる。

「なぁ、しのぶ。お前が倒せなかった鬼はきっちり倒してきたぞ、鬼舞辻も倒したからもう鬼はいないんだ。だから...満足して、逝って、くれ...」

近くにいたアオイは今まで冨岡義勇と言う人間は寡黙で無口な人物だと思っていた、だが今の彼はこんなにも今は亡き師範に語りかけているではないか。

(もしかして水柱様はしのぶ様と恋仲だったのでは?)

アオイは目の前の彼を見つめながら考えていた。

すると彼は何か思い出した様に嘆いた。

「何故なんだ…何故、お前まで死ななくてはいけないのだ…どうして…ッ!!」

何故お前なんだ、どうして...!!お前は自分の身体を毒に染めるような真似をしたんだ!!

俺は声にならない叫びを出しながら何度と地面に拳を殴りつけた。

「水柱様...」

傍にいたアオイはなんとも言えない気持ちになった。

 

五分後ほど、経ってから

 

「...みっともない所を見せて申し訳なかった。」

「いえ、大丈夫です、それより、早く屋敷に戻りましょう、その傷を治さないといけないのですから。」

「そうだな。」

俺たちは悲しみを背負いながら蝶屋敷に戻ると炭治郎が話しかけてきた。

「義勇さん!目が覚めたんですね!」

「あぁ、無事では無いけどな。」

「え?どこか悪いのですか?」

「...もう俺の目で見える世界は白黒なんだ。」

「そう...なんですか...」

炭治郎はしまった、と罪悪感からか顔を附せる。まったく、どうしてお前はそんなに優しいのか...

「炭治郎、俺の目のことは気にしないでおけ。」

「ですが...俺が弱かったから義勇さんは...!」

俺の視界が白黒になったのが自分のせいだと言う炭治郎を俺は頭を撫でた。

「炭治郎、よく聞け。これは俺の心が弱かったからバチが来ただけだ、それに俺の事より胡蝶の継子と話さなくて良いのか?好きなんだろう?」

「えっ!?それは...」

「話せる内に話しておけ、じゃないと、俺のように手遅れになるぞ?」

俺は炭治郎に『決して俺の様にはなるな』と伝えると出来る弟弟子は覚悟を決めたらしい。

「義勇さん...分かりました、カナヲと話してきます!」

「あぁ、そうするといい。」

どうやら炭治郎は俺の言った事を理解したようでしのぶの継子の所に話にいった。

幸せになれよ、炭治郎。

さて、そういえばあの日の前にしのぶが俺にあの事を話していたがそろそろ頃合いか...

 

『いいですか冨岡さん?もしも私が死んでしまったら私の部屋の引き出しにあるものをしまってあるのでそれを見てください、もしかしたら、貴方の本当の願いが叶うかもしれませんよ?』

 

懐かしい声が聴こえた気がしたがきっと気のせいだろう...

 

しのぶが言っていたことを思い出したのでしのぶの部屋に行くことにした。幸いしのぶの継子から許可は得ているため問題は無い。

 

「ここがしのぶの部屋...確か引き出しにしまっているとか言ったな。」

俺はあまり散らかさない様に引き出しを探してみるとすぐにそれは見つかった。

「...これか。」

恐る恐る引き出しを開くとそこには一通の手紙と薬が何かの薬が置いてあった。

 

「どうして手紙とこれが...?」

おそらくしのぶが言っていたものとはこの2つで間違いないだろう。

手紙の封を切り、手紙を読む。

『こんにちは、冨岡さん、この手紙を読んでいると言う事は私は死んだのですね。さて、ここで冨岡さんにお願いがあります。大変おこがましいとは思いますが、手紙と一緒に入っている薬を飲んで欲しいのです、毒ではないのでご安心ください、その薬は調合の失敗で出来た代物ですが、それの効果は「過去に遡る」ことが出来ます。それを飲んで上弦の弐を殺すために藤の花を食べる事を決めた私を止めて欲しいのです。それをしてもあの鬼を殺す事は出来ないと分かりましたから、依頼、受けてくれますよね?』

ここで手紙は終わっている。

なんで、気付いていたなら何故止めなかったんだ。

けれど、お前の作った薬で過去を変えれるのならば。

かつて救えなかった皆を救えるのなら…!!

「あぁ、やってやる、そして、必ずお前を助けに行く。」

だから、待っていろ、この道がどんなに棘だらけの道だとしても...!!必ずお前をあいつから守ってやる。

俺は覚悟を決め、薬を飲んだ、瞬間。

俺の意識は暗転した。




まさかルーキー日間ランキングに入るとは...もっと精進しなくては...( ;´・ω・`)

感想、評価お待ちしております。

星10 Drex様
星9ゆう@0119様
評価ありがとうございます!

番外編書くとしたらどんなお話が良い?

  • ぎゆしのでデート♪
  • ぎゆカナで料理教室♪
  • 胡蝶姉妹の休日!
  • キメツ学園編!
  • 義勇さんにお酒を飲ませようとする胡蝶姉妹!
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