ってな訳で過去改変ルート第5話、スタートやで。
俺がカナエさんに抱きつかれて泣くこと数分、やっと落ち着いた俺は、改めてカナエさんに剣を教えて欲しいと告げるとカナエさんは
「ええ、分かったわ。ただし、まずはこの前の傷を治してからね。」
と俺に剣を教えてくれる事になったが、まずは傷を治してからだと言われたのだが、正直言って暇である。何せ後3日はこのままだそうだ。
あぁ、何か面白い事はないのか?いや待て、そういえばここには将棋が置いてあったな。…探しに行きたいがこの怪我では動けないのがとてももどかしい。それに。
「...さっきは思い切り泣いてしまったな...よりよってしのぶの姉の前とは、元の世界のしのぶがいたらなんて言われるんだろうな...」
あれほど泣いたのはいいが、もしこれをしのぶに見られたら無茶苦茶怒られる予感がする。あっちからすれば見知らぬ男子が姉に泣きついてるのなんて認められないだろう。しのぶにバレた時の対応策を考えていると病室のドアからノック音が聞こえた、恐らく看護師でだろうと思い、入っていいですよと伝えるとドアが開けられたのはいいのだが、相手がな…
「失礼します、体調の方はどうですか?」
なんとカナエの妹であるしのぶだった。
なんでここでしのぶなのだろうか…絶賛反抗期特有の荒れっぽい状態だと何を言うか分かったものでは無い、経験者は語る。
「…あぁ、まだいささか身体が重いが大分良くなってきた。」
そろそろ身体を動かしたい所だ、と言うと、
「そうですか、ちょっと診させて頂きますね?」
と聞いて来たので頼むとしのぶはおもむろにベッドの上に乗り…って待て、パッと見では気づかなかったがなんだかしのぶが大人びているのは気の所為か?
「…ちょっと待て、近い。」
「仕方ないでしょ、私は身体が小さいんですから、それぐらい我慢してくださいよ!」
「…そうじゃないんだが…」
俺が言いたいのはそうじゃないんだがな…どうすれば伝わるのだろうかと考えていると、先程の一言がいけなかったのか、しのぶは診察を止めてこちらに不満そうな、いやこれは怒った顔で聞いてきた。
「そうじゃないならなんだって言うんですか!?何とか言ったらどうなんですか!!」
「…その、なんだ、とても綺麗だから近付かれると恥ずかしい…」
仕方ないので半分嘘で半分真実の事を言って誤魔化そうとしたのだが、今回も言葉が足りなかったのか、しのぶは顔を紅潮させて俯いている。
「ばっ!?/// そう言う事は幾ら貴方が
しのぶは顔を真っ赤にしながら怒っているが、正直俺は今のしのぶの発言に驚いていた。
(俺がしのぶより年下だと?確かここに飛んで来る前の時は俺が年上だった筈だが、これも過去改変のデメリットか。)
まさか俺があいつより年下になっていようとはなと驚いていると、ようやく騒いでいたしのぶの声が聞こえてきた。
「ちょっと聞いていますか!?今度から不用意に女性に綺麗とは言わない様にしてくださいよ!いいですね!」
「…善処する。」
「善処じゃなくて絶対しなさい!!」
善処するだけでは物足りないのだろうか?我儘な奴だな。まぁいいや、今はそんな事よりもいい加減身体を動かしたいのだが…
「…今ので診察は終わったのか?」
「貴方が余計な事言ったからまだ半分しか終わってないわよ!!」
「…すまなかった。」
「謝るんだったら最初から言わないで!女の子に綺麗なんて言葉口説き文句と一緒なんだからね!分かった?分かったのなら続きやるから!」
「…了解した。」
まぁこんな事もあり、5分で終わる所が15分かかってしまった、半分は自分が原因なので文句は言えまい。
今度は上手くやろうと決意して、まだ顔が赤いしのぶに診察して貰うのだった…
それから3日後…
あれから3日経ったがその間に特に変わった事は起きなかった、診察の際にしのぶの顔が赤く紅潮していた事と姉さんが見舞いに来たこと以外は。何故あんなに赤いのかは知らないが、好きな人でも出来たのだろう。それと姉さんは元気そうに最近の事をよく話してくれる。どうやら元々婚約する予定だった人と結婚したらしく、生活は幸せらしい。平和に生きろよ、姉さん。とまぁ、ここ数日の出来事を思い返し、ベッドから見える窓から空を眺めているとドアがノックされた。そういえば今日からリハビリだったな。気を付けないとな…
「...入っていいですよ」
ガチャ、の音と共にカナエさんが入ってきた。
「体調はどうかしら?」
「…特に問題は無いですね、早く身体を動かさないと身体が鈍りそうなぐらいに」
「あら、それは良かったわ!それじゃあ、始めましょうか!」
「そうか…最初は軽めにやるのか?」
「んーそうね、今日の所は軽めにしましょうか。」
そういってカナエさんはおもむろに俺の足を持ち上げ…って待て待て俺の足はそんなに上がらなぁぁぁ!!?
「…全然軽めじゃないだろう…」
一応これの何処が軽めなんだとカナエさんに言ったが…
「しょうがないでしょ〜私に剣を教わりたいなら早く身体を慣らさないとね〜」
と、返されてしまった。解せない、しかも言っている事は的を得ているため尚のことタチが悪い。これでは呼吸を覚える前に身体が悲鳴を上げそうである。…痛い痛いその方向に足は曲がらないからぁぁぁ!!?この時蝶屋敷に男の断末魔の様な声が響いたとか。
結局この日はひたすら下半身のストレッチ(限界突破)をする事になり、お陰で下半身が筋肉痛でぐったりしてしまった。
その日の夜、とある一室にて。
「それにしてもあの男の子、見た目が美少年だからってあんな甘い言葉をホイホイ言うのはどうかしているわよ!…でも、あの子何処かで見覚えがある?ような?」
あの時の出来事により義勇は知らずにフラグを立てた出会いであった。
次の日、義勇は目を覚ますと自分のある変化に気付いた。
「…身体が軽いな。」
昨日はあんなに疲れていたのに何故こんなに身体が軽いんだろうか?噂で聞いた超回復と言うやつだろうか?何方にせよ、早く呼吸と型を覚えなくては…試したいことも出来た事だしな。
「…そういえばもう歩く事も可能だろう。」
あれだけしごかれた後で歩けるのかは知らないがやってみる価値はありそうだ。
「よっ…こいしょっと…まだ若干ふらつくが大丈夫そうだな。」
やっとこれで将棋盤を探しに行けるぞ、と俺はムフフと笑いながら探しに行くのだった。
まさか日間ランキングに載るとは予想もしなかった…
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