その雷は何処へ向かうのか   作:営業マン

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駄文ですがお付き合いください。


プロローグ

優しい母、厳しいながらも愛情を注いでくれた父。この人達の元に生まれてきて良かったと心の底からそう思えた。そして、歳が十三になった頃好きな女性が出来た。一目惚れだった。女性は皆んな綺麗だと思うけど彼女は別格で綺麗だった。

 

名前は小春(こはる)。同じ村に住む同じ歳で、可憐で、笑顔が似合う女の子だ。

 

「小春。俺が大人になったら結婚してくれ!」

「‥‥え、えっと、はい。私で良いんだったら喜んで」

「ほ、本当にいいのか!?」

「不束者ですが、よろしくお願いします」

 

俺の求婚に最初は戸惑った様子だったが、しばらくすると照れ臭そうに頷いてくれた。それを見た俺はわれを忘れるくらいに喜んだ。その様子を見てくすくすと笑う小春。時が経ち大人になっても、この幸せな日々が続くと思っていた。

 

でも、それは突然崩れてしまった。

 

ある日晩、俺が住んでいた村が異形の鬼たちに襲われとうとう俺達が暮らす家の中まで入り込んでしまっていた。

父さんは俺と母さんを守る為に勇敢に立ち向かったが程なくして殺されてしまう。そんな状況に俺は異様な程の身震いで震えているだけだったが、そんな俺を守るように刃物を持ち異形に立ち向かう母の姿があった。

 

「か、母さん」

「良い。征十郎(せいじゅうろう)。母さんがコイツらを足止めするから今のうちに逃げなさい!良い此処から遠くない所に貴方のお爺ちゃんが暮らしてる。その人を頼りなさい!」

 

母が震える手で刀物を持ち異形に立ち向かう姿を呆然と見ていると、今まで見たことのない顔をして振り返り俺を叱りつける。

 

「何をしてるの!男ならこれくらいでビビるな!!守る人がもう1人居るんじゃないの!?だったら早く行きなさい!!必ず母さんも後から行くから!!」

 

それを聞いた俺は家を飛び出して飛び出した。

 

 

 

「ごめんね。征十郎。貴方が大人になった姿を見れなくて。でも、貴方なら大丈夫。立派な大人になってくれるって信じてるから。‥‥私の息子を頼むわ。お父さん」

 

 

 

家を飛び出した俺は小春の家へと向かう。

 

「小春!此処から逃げるぞ!」

 

小春の家に入ると小春の両親は見るも無残な姿で朽ち果てていた。

 

「に、にげ‥て、せい、じゅ‥ろうさん‥‥だけ、でもにげ‥‥て。あいつ、が、‥もどっ、てくるから」

「小春!」

 

そして、亡くなっている両親の隣で血まみれになっている小春を見つける。

 

「ご、‥めん‥なさい。やく‥そく‥まも、れなくって‥」

「何言ってるんだよ!俺と結婚してくれるんだろ!だから死ぬな!」

 

息も絶え絶えに喋る小春を抱き締めると僅かに俺の着物に触れる。

 

「わ、わ、わたしの‥ぶ、んまで‥‥なが、いきし、て‥ね」

 

小春はそう言った後力が抜けたように横たわる。

 

「‥‥小春、誓うよ。必ず仇を討つ!!この村を襲った奴を殺してやる!!!!‥‥だから、ごめんな。今から此処を離れる。また後から来るからその時にちゃんと弔うから待っててくれ」

 

小春を静かに寝かしてその場を後にした。

 

それからは走って走って走って泣きながら走った。そして、朝になって近くの町に辿り着いて意識を失った。

 

 

「ちょっと困りますよ。慈悟郎さん!」

 

あれからどれだけの時間が経ったのか分からないが、どうやら俺は運良く誰かに拾われたようで、布団に寝かしつけられていた。

 

「良いから其処を退け!」

 

ガラッと引き戸を開けて杖をつきながら立派な鬚を生やし左頬に傷跡がある爺さんが横になっている俺の横に座った。

 

「お前さんが征十郎か?」

「は、はい」

 

すると、その爺さんは手を伸ばし俺の頭を撫で始める。

 

「お前の事は彼奴からの手紙で知っておった」

「あ、あの」

「あぁ、言い忘れとったな。儂は桑島慈悟郎。お前の爺さんになる」

 

その言葉を聞いて目を見開く。

 

「あ、あの母さん達が襲われたんだ」

「‥‥もう、何も言うな」

 

俺はその言葉で全てを悟るが、望みを捨てるわけにはいかなかった。布団に横になっていた体を起こし爺さんの服を掴む。

 

「そ、そう言えば、か、母さんは何処に?鬼を足止めするって村に残ってるんだ!」

「もう何も言うなと言っとる!!」

 

爺の気迫が伝わってきて黙るしかなくなる。

 

「‥‥お前の母さんは勇敢じゃった。一人息子のお前を逃がす為に必死に戦った」

「じ、じゃあ、母さんは?」

 

爺さんは俺の目をしっかりと見据えて、残念そうに瞼を閉じた。

 

「そ、そんな母さんまで」

 

服を掴んでいた手が自然と緩む。

 

「征十郎!しっかりせい!そんなんでは彼奴の望んだ男にはなれんぞ!じゃが、今は泣け。今だけは我慢するでない」

 

そう言って俺を胸元に引き寄せてくれる。

 

「父さん!母さん!小春!!!うぁぁわぁぁ!!」

「頑張ったな。よう頑張った」

 

しばらく爺さんの胸の中で泣きじゃくる。

 

「征十郎。鬼を倒したいか?」

「っ!倒せるのか?だったら俺は倒したい!皆んなの仇を討つんだ!!」

 

泣き止むのを待って爺さんが鬼を倒したいかと尋ねるので迷わず決断する。

 

「その道は厳しいぞ!お前の母も儂が鍛えたから強かった。だが鬼と戦いの末、怪我で剣を握れぬ体になってしまい辞めてしまったがな。そんな凄かった母が負けてしまう程強い相手と戦う事になる。それでもやるか!」

「やる!俺は鬼を倒すんだ!!」

 

爺さんは俺の手をガッチリと掴む。

 

「なら、鬼殺隊に入ることじゃ。その前に修行をし、鬼を倒す方法を身につけなければならん」

「爺さん、これからよろしくお願いします」

 

鬼殺隊。それは人喰い鬼を狩る剣士らが集まった政府非公式の組織らしい。しかし、そう簡単に入れるものではなく最終戦別に生き残らなければならないとの事だった。

 

それでも俺は鬼殺隊に入る為、最終選別を突破する為に爺さんの元で世話になることを決め頭を下げた。

 

「分かった」

 

数日後、世話をしてくれた人に礼を言い、その場を後にして爺さんが暮らしている山で修行に入る事になったが、修行に入る前に村があった場所に爺さんと戻ってくると村は悲惨な状況だった。

 

でも、皆んなの死体はどこにも無かった。もちろん、父さん、母さん、小春の死体も無かった。

 

爺さんの話では鬼は人を喰らうらしい。つまり、死体は残らないとのことだった。

 

 

「泣くならこれで最後じゃぞ」

「泣かない。泣くわけにはいかない。仇を討つまでは」

 

 

きつく手を握りしめ決意を強くする。必ず仇は打つ。

 

あの鬼の姿は絶対に忘れない。

 

 

 

 

 

ー 翌日 ー

 

 

 

先程とは違った声が聞こえてくる。

 

 

「こら!こんな草原でサボってないでさっさと起きんか!!征十郎!!」

「!!何すんだ!げ!」

 

修行を抜け出し休憩していたのが見つかり爺さんが俺を杖で叩いき起こしたようだった。

 

「何がげ!じゃ!さっさと修行に戻らんか!!お前の覚悟とはそんなものなのか!!それでは仇を討つなど夢のまた夢じゃぞ!!待っておるからすぐに支度せい!」

 

そう言うと爺さんはその場を去って行ってしまった。

 

「やるよ。やってやるさ。俺は仇を討つんだからな」

 

 

起き上がって覚悟を口にすることで気持ちを引き締める。

 

 

 

 

「何をやっとるんじゃ!征十郎!!もっと早く動かんか!!」

「はぁ、はぁ」

 

無茶言うなよ。あれから半年、毎日毎日朝から晩まで何回も仕掛けのある山を全速力で走って登り降りされて足限界だって。それに空気が薄いせいで上手く体が動かない。

 

「雷の呼吸は足を鍛えねばならぬ。怠るでないぞ!さぁ、次!」

「チッ!くそ爺ィー!!」

「くそ爺ィーとはなんじゃ!師範と呼ばんかー!!!」

「くそ師範!!!」

「くそをつけるなでないわーー!!!」

 

次を行けという爺さんに対する怒りだけで一心不乱に山を走って降りる。

 

「ヌァッ!ガッッ!」

 

足を滑らせて転び、勢いよく木に体を打ち付けた。

 

「痛ぇ。‥‥雷の呼吸を身につけて皆んなの仇を討つんだ!これくらいで折れてたまるか!」

 

痛む体を起こし、山を全力で降りる。

 

「はぁ、はぁ、次は登り」

 

乱れた呼吸を整えずに今度は山を駆け上がる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、爺さん。後何本やるんだ」

「今日はもう終いじゃ」

「いや、後一往復やってから休む」

 

もう休むように言われるが滝のように流れる汗を気にせず修行を続ける。

 

「全く、やる気がありすぎるのも困ったもんじゃわい」

 

爺さんの心配をよそに再び山を全速力で往復してその日を終えた。

 

 

次の日。

 

 

「征十郎。次の修行に入るぞ」

「これは」

 

爺さんから渡されたのは刀。

 

「素振りじゃ」

「素振り?」

「朝から晩までその刀を振るんじゃ」

 

は?朝から晩まで?生まれて初めて握った刀を?

 

「儂が使う剣術は抜刀術。目にも留まらぬ速さで鬼を斬る」

 

爺さんがそう言って持っていた杖を刀に見立て抜刀術の構えを取る。

 

「力を入れるのは一瞬」

そう言いながら刀の代わりに杖を振り抜くと同時に風が通り抜ける。

 

「このようにやってみろ」

「は?」

 

凄すぎて素っ頓狂の声が漏れるが、それを気にしない爺さんは抜刀術の構えについて事細かく説明しだす。

 

「儂みたいになれとは言っとらん。じゃが、その身に抜刀術を染み込ませるんじゃ」

「‥‥舐めんなよ!爺さんと同じになるまで次の修行には移らない!!」

 

それから毎日毎日朝から晩まで寝る暇さえ惜しんで教えてもらった抜刀術を振り抜いた。雨が降ろうが、風が吹こうが、手に豆ができても、それが潰れて刀を握るのさえ辛くても、毎日毎日爺さんに教えてもらった抜刀術を染み込ませる為に必死に振り抜いた。

 

「爺さん、見てろよ!」

「あぁ」

 

刀の素振りをしてから五ヶ月が過ぎようとしていた頃、爺さんを目の前に立たせて、抜刀術の構えに入る。

 

「っ!!」

 

構えから素早く刀を抜き振り抜くとそよ風程度の風が爺さんの髭を揺らす。元鬼殺隊の柱だった爺さんには遠く及ばないけど、初日とは比べものにならない進歩だった。

 

「‥おぉ!少しながら髭が揺れたぞ!征十郎!」

「どうだ!」

 

大したもんだと嬉しそうに何度も頷く爺さんを見て誇らしく胸を張る。

 

「よし、これなら次に行けそうじゃな。抜刀術も身についたようだからな」

 

その言葉に力強く頷く。

 

 

 

次の修行それは体術。

 

「爺さんとやるのか?」

「当たり前じゃ」

 

爺さんは鬼との戦いで足を失っている為、まともに動けないのではないかと甘くみていると

 

「心配無用じゃ。これくらいのハンデがあって丁度良いくらいじゃ。さぁ、かかって来い」

 

心を見透かされた上に、甘く見られているとあって勢いよく爺さん目掛け突っ込んでいく。

 

「後悔するなよ!爺ぃ!」

「っ!!」

 

一瞬の出来事で分からなかったが、一つだけ分かっていることがあった。

 

「が!」

 

それは片足不自由な爺さんに投げ飛ばされているということ。地面に打ち付けられ呆然と空を見上げていると

 

「何をしておる。素早く立ち上がらんか」

 

その言葉にはっとし立ち上がって、また爺さん目掛け突っ込んでいくが結果は同じで投げ飛ばされて終わってしまう。

 

「くそ。何で触ることすら出来ないんだ」

「征十郎。半歩、いや一歩動き出すのが遅い!どうやったら早く動けるのか考えるんじゃ」

 

あれから何度やっても爺さんに触れる事すら出来ない状況に愚痴を零すと何が悪いのかを教えてくれた。動きが遅い。相手に間を持たせってるって事か?だったらそれを埋める為の行動をすれば良いんだ。

 

「動き出しが遅い?だったら」

 

集中力を高めて爺さんに向かっていく。

 

「答えは分かったか?征十郎!」

 

今回も爺さんに触れることが出来ずに投げ飛ばされるが、本当の勝負はここからだ。投げ飛ばされて宙を舞っている間受け身の体勢を整える。

 

「答えっていうのは受け身だろ」

 

地面に倒れるのではなく受け身を取り、すぐ様爺さんに向かって突っ込む。

 

「その通りじゃ。これはどんな体勢からからでも素早く立ち上がる修行だったんじゃ」

「だったら最初からそう言えよ!」

 

受身から素早く立ち上がり突っ込んだものの結果は同じだった。

 

「考えることも必要。それが成長に繋がる」

 

流石は元鬼殺隊の柱を務めただけあって、爺さんの言葉に重みがあった。

 

 

 

体術修行は一ヶ月間で終わり次の修行に移ることになった。

 

「今までのは基礎中の基礎。今から全集中の呼吸、そして、型を教える」

「全集中の呼吸、型?」

 

爺さんが言うには体の隅々まで行き渡るように長い呼吸を意識することが肝らしい。

 

「そして、雷の呼吸は六つの型がある。それを全て宗次郎お前に教える」

 

爺さんは今までの修行で見せたことも無い、厳しい表情を浮かべながら事細かく全集中の呼吸、型について教えてくれる。

 

「違うそうではない!」

 

呼吸をしてみるが途中でやり方が違うと持っている杖で、胸、肺のあたりを爺さんに強く叩かれる。

 

「痛えな!」

「全集中の呼吸とは体中の血の巡りと心臓の鼓動を速くする。すると体温が上がり人間のまま鬼のように強くなれるのだ。とにかく肺を大きくする。血の中に多くの空気を取り込む事で血が驚き骨と筋肉が慌て熱くなる。もう一回やってみ」

 

話を聞くつもりがないのか俺の文句を無視して肺の使い方を説明する。話を聞かない爺さんに怒りを感じながらも胸に手を置き、もう一度、集中して呼吸をする。

 

「っ!がは!!「違う!もっと長く!」

「分かったから叩くなよ!」

「叩かれたくなかったら出来るようになるんじゃ」

 

呼吸は今までにないくらい厳しいものになったが、つきっきりの指導もあってか何とか身に付けることができた。

 

 

 

“ すぅぅぅ "

 

“ しゅぅぅぅぅぅぅ ”

 

鼻から息を吸い、肺を大きくし、口から吐き出す。

 

「出来るようになった事を考えれば、今のところは合格点じゃな。だが、慢心するなよ。征十郎。全集中の呼吸には上があるのだからな」

「‥‥分かってるよ」

 

コツとかそんなものはない。ただ、何回、何十回、何百回と呼吸をして身につけたものだった。

 

「さて、次は雷の呼吸の型じゃな」

 

全集中の呼吸を使う雷の型。

 

「気負うな征十郎。お前なら出来る」

「やってやるよ」

 

爺さんから雷の型を丁寧に説明され、全集中の呼吸を使いながら実際にしてみるがこれも簡単に出来るものではなかった。それでも頭に、体に、骨に染み込ませる。只の知識で終わってしまわないように。肺が痛くなろうが、腕がちぎれそうな痛みに耐えながら、足が動かなくなろうが必死に食らいつく。

 

 

 

そして、全集中の呼吸、雷の型を学び始めて半年経った。

 

 

「どうだ爺さん」

「うむ、よくやった征十郎」

 

雷の呼吸全て習得して、爺さんに認めてもらう事が出来た。

 

 

「もう儂に教えられることはもう無い。じゃが、更に研ぎ澄ませる為修行場を変えるとする」

 

 

今までの山よりも標高が高い山に修行の場を移して習ってきた事の繰り返しをする事になる。

 

「征十郎、これをつけて山を降りるのだ」

「目隠しか」

 

渡された目隠しをつけ山を駆け出そうとした時、爺さんはまるで忘れていたかのように仕掛けの危険度が上がっていると言い出す。

 

「すまん、すまん忘れておった。あと刀も持って行け」

「わざとだろ」

 

目隠しをいるせいで爺さんの表情は見えないが、にやついているのが目に浮かぶ。

 

「この程度で死ぬようなら最終選別などでは生き残れん。その程度の男だったという事だ」

「上等だよ。くそ爺ぃ」

 

更に環境が険しくなったのを気にせずに走りだす。

 

 

 

 

「(仕掛けの凄さ上がりすぎだろ。今までは間隔を多少空けた仕掛けだったけど、今回は間隔が曖昧で複数同時とかだし殺す気満々だな。でも、やばいという時は全身に電気が走ったかのような第六感が働くので助かる)」

 

絶え間なく自分を殺しにくる仕掛けに困惑しながらも、第六感が働いて特に怪我という怪我もなく突破していく。それが終われば刀の素振り。夜になれば木に登り、不安定な場所での全集中の呼吸。

 

 

 

更に修行を続け半年後。爺さんの元で修行し二年。ついに最終選別を受ける時がきた。

 

 

 

 




キャラクター紹介

名前 瀬田征十郎

年齢 13歳 修行後 15歳。

身長 13才時 157センチ 54キロ 15歳 167センチ 63キロ

富岡義勇、錆兎と同期。

趣味 将棋、賭けごと。猫を愛でること。

好きな食べ物 肉じゃが、玉子焼き、甘い物。
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