戦姫絶唱シンフォギア 流星の煌き   作:セイ・アオク

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一部一部の記憶が未来に繋がるなら、それは…


流星の始まり 中編

 ボクは出会った。救いの光であり、希望の光でもあった。

だからこそ、希望の輝きに潜む絶望があるということを、この時のボクは知らずにいた………

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 ボクと女の子の間は気まずさが漂っていた。目の前の女の子は、フードを被っていて顔はよく見えない。なんとなく怯えているような怖がっているのか身体が小さく震えていた。見知らない人が急に現れたら、そうなるのは当たり前だと思う。

 でも、あの歌はボクは分かるような気がした。大切な人を亡くして悲しくて苦しい中でも、楽しい事も想い歌に込めて歌う…でもその人はもう会えないから余計に下に沈んでいくような感じ。

 シドウさんに言われた事もあるけど、この歌が目の前の女の子に話し掛ける勇気を持てたのかもしれない。

 

「えっと、さっきの歌っていたのはキミだよね?」

 

「・・・・・」

 

 目の前の女の子は小さく頷く。しかし、身体の震えは尚続き楽器を握る力が増しているように見える。シドウさんの用事を言うにも、先ずは怯える女の子を安心させないといけない。

 でも、どうしたら良いんだろう。やっぱり、コレしか思いつかないや…

 

「あ、あのさ、急に知らない人が話し掛けられて怖かったよね……だから…ごめん」

 

 ボクは怯えている子に向けて、出来るだけ優しく言いながら地面に座り頭の額を地面に擦り付ける。

 

「……えっ!?だっ、大丈夫だから。一回、近くに座れる場所があるから、そこに座ろうよ?」

 

「…分かった」

 

 急に驚いたような声を出し、戸惑いながらもボクを許してくれたみたいだ。

 

(でも、なんで驚いたんだろう?……父さんや母さんが喧嘩してる中で謝る時はコレで間違ってないはず)

 

 ボクは内心戸惑いつつもその場に立ち上がり、女の子の後ろに付いて行くと大きな切り株が一つ、女の子は無言のまま切り株に座るとボクに視線を向けてくる。

 

(隣に座れば…良いんだよね?)

 

 沈黙の状況で言葉に出せずに心の中で呟いたボクは、視線に従って女の子の隣に座ると女の子が話始めた。

 

「さっきはごめんね?急に戸惑ったり驚いたりして。それから突然だけど一つ聞いても良いかな?

 

「別に良いけど…」

 

「私の歌聴いてみてどうだった?」

 

 真っ直ぐな瞳がボクを見つめる。嘘言ったとしたら、ボクはあの歌とこの子を否定している事になる。出来るだけ伝わるようにやらないと…

 

「ん〜と、歌全体は温かいけど何処か寂しいように…感じたかな?」

 

 あまり深追いしないように言葉を選ぶ。でも、良い言葉が出ないボクは感覚的な言葉を出すしかなかった。

 

「……そっか。ありがとね?」

 

「・・・・」

 

 笑顔で感謝する女の子に対して、まさか感謝されると思っていなかったボクは、キョトンとしながらも頷くことしか出来なかった。そんな中、女の子は話を進める。

 

「私の名前は響・・・、・・・って呼んで?」

 

 そこからの記憶は曖昧になり彼女の名前は最初の部分しか覚えていない。それに、彼女が何故感謝したのか…笑顔だったのか…未だに分からずにいる。そして、覚えている記憶の中で次に彼女が出るのは赤黒く塗り潰したよう場面になるがまだ後になる。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 そこから時間は約半年後に進み、シドウさんから話があると言われて一階のリビングに来ていた。

 

「話は何ですかシドウさん?」

 

「お〜来たなスバル。実はな、スバルにはこれから沢山のしゅ…じゃなかった習い事をしてもらおうと思ってな?」

 

 満遍の笑みをするシドウさんと困惑するボク。

 

「習い事?ボクは頼んでないけど…」

 

「まぁまぁいーじゃない?色々と経験すれば、どんな状況に置いても役立つ筈だよ?」

 

「わ、分かりました」

 

 まぁ経験するのは良いことだけど、一つや二つくら…

 

「因みにだけど、習い事の内容は…まぁ十何個もあるけどスバルなら大丈夫だろうさ。それから教えてくれる先生がいるから頑張れよ〜」

 

「えっ!?それって一体…?」

 

 急に背後からの衝撃を受けたボクは、床に転がる形に倒れた。意識を失う中でシドウさんと大きな影が話している。

 

「良いのか?」

 

「あぁ…時間が無いんだ。後を頼む」

 

「フン、貴様に頼まれるとは世も末かエース?」

 

「俺じゃあ役不足なんだよ。だから…」

 

 そこからの話は聴けず強い衝撃と共に意識は真っ暗闇に染まった。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 気が付くとボクは咄嗟に周りを見渡すと、機械の部品や紙やコードが散らばってる。戸惑っていると、部屋の扉が開き大きな大男が立っていた。

 

「気付いたか坊主?良く逃げなかったな?」

 

「……状況が分からないのに逃げても捕まるだけだよ。それに貴方はあの影と似ているから、シドウさんが言っていた先生でしょ?」

 

 そうじゃないと、冷静でいられるはずがない。それにこの人から感じる雰囲気が異常過ぎる。親よりもシドウさんが怒った時よりも遥かにオカシイ。

 

「フン、青二才にしては冷静か。俺は確かに奴が言った先生になる。だが、やるとは言ってない。しかし…」

 

「・・・・・」

 

 大量の汗が出続けている。息も乱れて頭の意識が薄れながらもボクは大男に見つめる。もし逸らしたら…それは死が見えてしまうから。

 

「まぁ良いだろう」

 

 その言葉を聞いた瞬間、先程の感覚はピタリと止まる。緊張の糸が切れ安心感が広がるボクは床に座る。

 

「小僧、良く耐えられた褒美に俺が直々に面倒を見てやる。時間も有限だ…早く立て」

 

「う…うぅ…」

 

 足や腕に力が入らない中、一生懸命に立とうとするにも身体は拒否を示すばかり。そんな中大男は扉を開き…

 

「フン……三十分の猶予をやる。立ち上がったならば扉を開き階段を降りろ。そこで待っている」

 

 そして、扉は閉まりボクは一人機械に囲まれた部屋に取り残された。

窓から入る光が白から赤に染まり、光が消えた暗闇な部屋でボクは考えていた。逃げるべきか向かうべきか…その二択に挟まれていた。

 

 逃げれば楽になれる。でも、逃げてもその先にあるのは?

 向かったら、またあの大男に何かされるのではないのか?

 

 約束の時間を過ぎながらもボクは悩み迷い続ける。そんな時、外から歌が聴こえた。

 

「歌?何処から…」

 

 歌に誘われて窓に向かうと、月夜に照らされ木の上に人影が一人あった。風でマフラーを揺れながらも楽器を弾き歌う者を…

 

(何処かで似ているような…)

 

 目を逸らしたら瞬間には、既に姿はなく歌声は聴こえなくなった。

 でも、不思議と勇気は湧いてくる。

 

(今は動くしか…ないよな。誰かは分からないけど、ボク…やるよ)

 

 誰かは分からない。でも、後ろを押してくれた事で勇気を持てた。だからこそ、あの人に向かう決意が固まる。

 言われた通りに向かうと、大きな空間が広がっていており、あの人は目を閉じて座禅を組み静かに待っていた。ボクが来たことが分かるのか、彼方から話掛けてきた。

 

「来たか…随分と遠回りしていたようだな?」

 

 緊張感がヒシヒシと感じながらも、それでも勇気の一歩を踏み出す。

 

「…はい、時間掛かりました。でも、大切な時間だと思ったんだ」

 

「ならば言ってみろ」

 

 威圧感が増す中、ボクはあの時何を感じ何を思ったのかを。

 

「ボクは初めてあの感覚を受けて、逃げたくて……逃げたくて堪らなくなりました。もしまた、貴方の所に行けば何されるか……不安しかなかった」

 

「ならば、何故この場にいる?逃げれば良いだろう。子供に問う馬鹿は居ない。十人が皆同意するだろう。…生きる為なら逃げた事が凄いとな」

 

 言っている事は正しいかは分からない。ボクが子供なのは間違いないし、逃げることは悪くないかもしれない。

 

「でも、ボクは勇気を貰ったんだ。誰かは分からないけど、その歌がボクを押してくれた。だからここにいるよ」

 

「勇気は場合によれば、無策にもなり空回りになる。だが、勇気…決意がなければ生きる事は出来んよ」

 

「それに、アレをしてくれたからあの大事な時間が出来たんだ。三十分っていうのは関係なくて…」

 

「もういい…何かが分かったならば有意義だったはずだ。次は俺の有意義にしてくれ」

 

「は…はい、頑張ります!!」

 

(コレも奴の入れ知恵か…或いは天性か。単純に純粋かは分からないが賭ける理由にはなるか)

 

「まだ名前は言ってなかったか…ジョーカーという。ついでに先生ではなく師匠と呼ぶんだ。お前の名は俺が認めたら名前を呼ぼう。それまでは小僧だ……良いな?」

 

「先生ではなく師匠ですか?それにジョーカーって…あっはい!!ジョーカー師匠!?」

 

 気に入らなかったら殺気を出すボクに出来た新しい師匠。この人がボクの戦い方の基本になり、色々と最強だと思う。

 

「因みに習うのは何個くらいなの?」

 

「フン、簡単のことだ。これから三〜四年で、武術・体術・銃系統の全てをマスターする。次に、料理を出来るだけ覚えること。そして、機械や電脳・電波を熟知することだ。最初と最後を重点的にやるぞ」

 

「そっ、そんなにあるんですか…」

 

 師匠達が決めたなら良いけど、ボクは何処に向かうのだろう?

 

「後もう一つあるが、それは別の者がやるから安心しろ」

 

「まだ……あるんだ。内容は?」

 

 星の観察や星座といった系統なら良いんだけど、これ以上難しいのはちょっと…

 

「小僧の好きな歌だ。これについては、いつかは必要になる」

 

「絶対にですか?」

 

「絶対に必要になる。だから色々と歌を知り覚えて上手くなるんだな……俺の管轄外だが」

 

 ボクの問いにジョーカー師匠は絶対と断言する。歌自体は好きだけどなんで必要なんだろう?それに歌を教えてくれる人って一体?

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 師匠との出会い、勇気を与えてくれた謎の人物。そこから三〜四年の月日の中で、ボク自身や周りの環境や変化していき、ボクの居場所が確立されていった。でもボクが気付かない中、黒い渦は世界全てを呑み込もうとしていた事を知らずにいた。…そう一部の人達のおかげで世間知らずでいられたんだ。

 

 

 十一歳のある日…ボクは全てを失った。

 

「約束…だよ?」

 

 その日は、流星が多く降り続ける。多くの輝きと共に…

 始まりはすぐそこに迫る。 




色々と伏線擬きとシンフォギアに繋がるようにオリジナル路線ですが、これからも気長に応援よろしくお願いします。

コメント及び読んで頂き感謝です。

一部修正及び空欄調整(3月23日)
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