全てを統べる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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やりたいからまた書いちゃった!


プロローグ

世界総人口の8割が『個性』と呼ばれる力による何らかの特異体質になった超常社会。その不思議な力は当然悪に使うものも現れれば正義のために使うものも現れた。そして誰もが憧れたヒーローという夢が職業となったこの『個性』社会。誰もが夢見た世界であろう……

 

だが現実は時に弱者に残酷だ。

 

先程も言った通り全ての者が力を授かったわけではない。当然その力を授かれなかった者もいた。

 

そしてこの社会ではそういった弱者は侮蔑の対象にされやすくこの社会で圧倒的に不利な位置にたたされることになる。

 

彼、緑谷出久もその一人であった。

 

出久は屋上で絶望していた。

 

この日は幼馴染にバカにされ、自殺教唆までされた。

 

それだけならこうまではならなかった。

 

自身の憧れであったナンバーワンヒーローのオールマイトに偶然出会って彼に問いかけた。

 

『個性がなくても……!ヒーローになれますか!?』

 

だが返ってきた言葉は

 

『夢を見るのは悪い事ではない。だが現実も受け入れなくてはな』

 

と彼の夢と努力を否定するものであった。

 

彼自身も無個性だからとバカにされても努力を怠ることはしなかった。

 

それなりのチンピラ相手なら倒せるまでに強くなっていた。ただ自信のなさがそれを帳消しにしていただけで。

 

だがオールマイトの言葉は知らなかったとはいえその努力すらも否定したのだ。

 

オールマイトの言葉に絶望していた出久は本当に自殺しようかというところまで精神状態がきていたのだ。

 

『ハハハ……僕なんてどうせ……』

 

そして緑谷出久はビルから路地裏に飛び降りその命は潰えた。

 

だが

 

「はっ!?」

 

数秒後緑谷出久は再び目覚めた。

 

「なんで……一体……?うっ!?」

 

その時に緑谷出久の頭に様々な男の記憶と思い出が流れ込んできた。

 

その記憶はー

 

ある記憶では仲間と共に海賊王となった男

 

ある記憶では魔神の王となった男

 

ある記憶では忍びの英雄となって世界を救った男

 

ある記憶では百鬼夜行を率いて魑魅魍魎の主となった男

 

そのどれもが想像を絶するものであったが一つだけわかったことがあった。それはー

 

「これは……僕……?」

 

そのすべてが自分がまるで体験したかのような記憶だったのだ。

 

勿論すぐに信じられるはずもなかった

 

「はは……とうとう可笑しくなっちゃったのかな……」

 

緑谷出久はとうとう自分が信じられなくなった。

 

再び飛び降りようとビルの屋上に戻ってもう一度飛び降りた

 

がー

 

「なん……で?なんで死なないんだ!?」

 

不思議なことに飛び降りたがその身体には傷一つつかなかった

 

『それはおまえが飛び降りたぐらいじゃ死ななくなってるからだよ』

 

「誰だ!?」

 

出久は辺りを見回すがそこには誰もいなかったが

 

「まさか……!?」

 

そして自分の精神を集中させると目の前に

 

『おう!やっときたな!俺!』

 

『やっとお目覚めか!』

 

『待ってたんだってばよ!』

 

『ふん……ようやく来たか』

 

記憶で見た男たちが自分の前に立っていた。

 

「え、え~と……?貴方たちは?」

 

『俺たちは……お前だ!』

 

麦わら帽子の男が高らかにそう伝えたが

 

「へ……?」

 

『バカ!そんなんじゃ伝わらないだろ!ようするにだな。俺たちはお前の中の過去の記憶なんだ』

 

左の二の腕に龍の印がついてある金髪の少年がツッコミをいれた

 

「どういう……ことですか……?」

 

『つまりだな!おまえは死んだあと俺たちの記憶の通りに命が転生しながら異世界でその体験をしてたんだ。世界を渡る度に記憶を失っていただけでな』

 

金髪が跳ね上がっている男が補足した。

 

「そんなことが……」

 

『ありえないってのもわかる。だが俺たちはお前自身の記憶だ。信じられないが間違いではないはずだ』

 

白髪が後ろに跳び出ている男が確信を持って答えた。

 

「僕が……あれを経験してたっていうの……?」

 

驚きの情報がありすぎて出久は頭の整理がおいつかなかったがようやく落ち着くと

 

「じゃあ貴方たちは……?記憶を失った僕自身ってことですか?」

 

『まあそうなるな!だが俺たちはそろそろ消える』

 

「どういうことですか……?」

 

『いった通りだ。俺たちはおまえであってお前じゃない。本来のお前が復活した以上俺たちは存在できなくなる』

 

「そん……な……!」

 

『だから最後に置き土産をしようと思ってな!俺たちが、持ってた力を受け取ってくれ!』

 

「え……そんな無理ですよ!僕なんかが……」

 

『確かにこの世界のお前は無個性のデクだったかもしれないってばよ。でもな!俺だって元々落ちこぼれだったんだ!おまえならやれる!」

 

「……!!!」

 

『そうだ!お前ならやれる!』

 

『俺自身だもんな』

 

『自分を信じろ』

 

出久は嬉しさのあまり泣き出した。

 

『じゃあ一人一人の手の上に手を重ねてくれ。それで元々お前が持っていた記憶と力が完全に復活される』

 

そして出久が手を重ねると麦わら帽子の男は徐々にその存在を維持できなくなる

 

出久の中に記憶が再び流れ込むとともに今度はそれが自分自身だと認識して受け入れる。

 

その記憶は時にぶつかりあちながらも仲間と共に苦難を乗り越えた自分自身の記憶

 

「仲間って……いいですね」

 

『おう!仲間はなににも代えられないものだ!大事にしろよ!』

 

「最後に一つだけ……貴方の名前は……」

 

『俺か!?俺はルフィ!俺はお前自身で、海賊王になった男だ!』

 

そして存在が消えたルフィとともに出久はゴム人間の力と彼の経験である覇気を受け継いだ。

 

そして次に手を触れると流れてきた記憶は永劫の輪廻に苦しみながらも恋人を思い輪廻から解放され世界を救った自分自身の記憶

 

「エリザベスさんか……きれいな人だな……」

 

『だろ!?おまえになら渡してもいいって思ってるぜ!なんせ俺自身だからな!』

 

「セクハラばかりしてるじゃないっすか……」

 

『ハハハ!言っとくがおまえがやったことだからな!?』

 

「貴方は……?」

 

『俺か?俺はお前自身で、七つの大罪、ドラゴンシンのメリオダスだ!』

 

そして存在が消えるメリオダスとともに出久に全反射の魔力と魔神の力が譲渡される

 

次に流れてきた記憶は迫害されながらも仲間を信じて自分の忍道を曲げずに英雄となった自分自身の記憶

 

「よく耐えられましたね……」

 

『ハハハ……でも今では大事な仲間もいる!それにこれはお前が乗り越えたものだ!誇ったらいい!』

 

「そうですか……ところで貴方は?」

 

『俺はうずまきナルト!火影になったお前自身だ!』

 

そう言って消えるナルトとともに出久にチャクラと仙人の力と尾獣の力に六道の力が譲渡された。

 

そして次に手を触れると流れてきたのは妖怪になるのを拒みながらも仲間のために百鬼夜行を率いた自分自身の記憶

 

「妖怪か……すごいな……」

 

『ふん……あいにくと俺自身はそこまで強くなかった。でもそれでもあの戦いに勝てたのは仲間がいたからだ。人間もそうだが……真の畏れを持った者に誰もがついていくのさ』

 

「真の畏れ……か」

 

『最後に言っておこう。俺は関東任侠一家奴良組三代目奴良リクオ。もう一人のお前だ』

 

そして最後に手を触れると妖怪ぬらりひょんの力と畏れが出久に譲渡された。

 

そしてリクオも消えると出久は精神世界から戻ってきた

 

「はっ!……今でも夢を見てたみたいな出来事だったけど……あれは僕だったんだな……」

 

慌てて携帯を見てみたが時間は自分が飛び降りた後から少しもすぎていなかった。

 

それでもあれは自分がしてきたことだと確信できた。

 

と路地裏から通りに出てみると

 

「うん?なにかあったんですか?」

 

「ああ、良い個性の男の子がヴィランに身体を乗っ取られているんだとよ」

 

(え?ヒーローは?)

 

と耳を澄ませると

 

『私二車線以上ないと無理~!』

 

『爆炎系は我の苦手とするところ……今回は他に譲ってやろう……!』

 

『良い個性の子が抵抗してて近づけねえ!』

 

その時出久は思った。『こんなのがヒーローなのかと』

 

出久はすぐにぬらりひょんの力を使って認識を消してチャクラを使って術を発動させる

 

「螺旋丸!」

 

螺旋丸をヘドロヴィランの目にぶつけた。すると

 

「ぐぎゃああああ!なんだあ!?」

 

ヘドロヴィランは痛さのあまり隙ができてしまいその隙を出久は逃さずに爆豪の手を引っ張って脱出させた。

 

観衆も爆豪もその場にいたトゥルーフォームのオールマイトもなにが起こったのかわからなかった

 

突然ヘドロヴィランが苦しみだしたようにしか見えなかったからだ

 

それもそのはず。出久はぬらりひょんの明鏡止水を発動してこの場にいる全員に畏れをかけて自分の認識を消していたのだ。

 

そして解放された爆豪はその場に誰かがいるのかはわかっていたがの存在のデカさのあまり認識できないことに苛立っていた。

 

そしてオールマイトがマッスルフォームになると

 

「情けない……!情けない……!少年に諭しておいて……己が実践しないなんて……プロはいつだって命がけ!Detroitsmash!」

 

オールマイトの一撃でヘドロヴィランは吹き飛んだ。

 

そして観衆に褒め称えられているオールマイトを一瞥して出久はその場を去った

 

これは一度は死んだ少年が自らの思いと共にもう一度ヒーローを目指す物語である。

 

 

 


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