全てを統べる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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雄英入試 そして……

出久side

 

雄英一般入試当日、この日は誰もが名だたるヒーローたちを選出してきた高校に意地でも合格しようと緊張しているだろう。

 

僕は緊張していない……といえばウソになるが今までの自分が託してくれた思いのためにもここで止まってなんかられない!

 

「どうしたの?出久」

 

エリザベスが心配して顔を覗き込んできたので心配させないように「大丈夫だよ」と返しておく。

 

そしてそのまま会場に向かおうとしたのだが

 

「どけデク!」

 

「かっちゃん……」

 

「俺の前に立つな!殺すぞ!」

 

いつもどおりの荒っぽい言動を吐きながら周りの視線も気にせずにかっちゃんは中に入っていく。

 

「出久……あの人がまさか……」

 

「……うん。僕を昔っから虐めていたかっちゃん、爆豪勝己」

 

あのヘドロ事件の後かっちゃんは、悪い意味で有名になり新聞社がかっちゃんのこれまでの所業を突き止めると同時にかっちゃんは学校にいられなくなって逃げるように転校した。そんなかっちゃんが雄英を受けられたのは多分光己さん(かっちゃんのお母さん)や転校先の先生が各方面に頭を下げたからだと思う……勿論かっちゃんもボランティア活動などに参加して少しでも心象をよくしようとしているがかっちゃんからすれば窮屈この上ないことだろう。その不機嫌のせいかかっちゃんは殺気ビシビシだった

 

控室でエリザベスがかっちゃんのことを聞いてきたのでこれまでのかっちゃんと僕との関係を話すと

 

「酷いわね……」

 

『ワシも出久が止めてなかったら奴をチリにしてやるところだが……』

 

やめてクラマ、君がやったら笑い話じゃすまなくなるから

 

そして筆記試験は自己採点で問題なく終わり、午後になって説明会場に来ていた

 

『今日は俺のライブにようこそー!!エブリバディセイヘイ!!』

 

説明会の司会はボイスヒーロー『プレゼントマイク』だ!僕も毎週ラジオ聞いてたよ!世界を回った後じゃあ大分昔のように感じるが

 

でも周りのピリピリしている空気のせいか誰も反応しなかったので

 

『こいつはシヴィー!!受験生のリスナー!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!!?イェー!!』

 

プレゼントマイクの説明によれば内容はこうだ

 

・10分間の模擬市市街地演習

 

・4種類のいる中の3種類の仮装敵を倒すか行動不能にしてそれぞれに振り分けられているポイントを稼ぐのが目標

(ちなみに残りの一つは0ポイントのギミックらしい)

 

・道具の持ち込みは自由

 

・アンチヒーローな行為はご法度

 

『俺からは以上だ!最後に一つ!我が校の校訓を紹介しよう。更に向こうへ!≪plus ultra.≫だ!それでは皆!いい受難を!』

 

エリザベスとは別会場だったので別れることとなってしまい

 

「私も出久と一緒がよかったわ……」

 

「まあまあ、同じ会場でないなら僕も本気がだせるからさ?ここは大目にみてよ。その代わり……」

 

チュッ

 

「これで元気出た?」

 

エリザベスにキスするとアワアワし始めた

 

「もうっ!いっ、いきなりキスするなんて!」

 

「アハハ、ごめんごめん」

 

「でも……嬉しかったよ♪」

 

「エリザベス……」

 

「出久……」

 

モジモジしたエリザベスが可愛くてつい手を伸ばしてしまった

 

ちなみに後でクラマから聞いた話だがこの様子を見ていた受験生たちは『爆発しろ』だとか『舐めてんのか』と思っていたらしい

 

エリザベスと別れてからバスに乗って演習会場に着くとウォーミングアップをして一息吐く。

 

そして開始の合図が近づくと右手を拳の状態で地面において左手を膝に置く

 

そして

 

「……ギア2(セカンド)

 

全身から蒸気のような煙が噴き出させると立ち上がって前を向く

 

周りにいた人たちは僕の様子を見て不思議そうな顔をしていた時

 

「ハイスタートぉ!」

 

「剃!」

 

僕は一気に駆け出した。

 

・・・・

 

???side

 

「今年は優秀な金の卵はいるかね?」

 

プレゼントマイクくんの呟いた言葉に私たちはモニターを見ると根津校長が

 

「この入試はヴィランの配置も総数も伝えていない。だからこそあぶり出されるのさ。広大な敷地の中で配置を把握する情報収集力。遅れて登場じゃ話にならない機動力。あらゆる状況で冷静でいられる判断力。そしてヒーローで重要な純粋たる……戦闘力……平和を守る基礎能力が示されるのさ。ポイントという数値でね」

 

「だが合理的じゃありませんよ?」

 

相澤くんが呟く。他の先生方曰く彼は入試の時はいつも口走っているそうらしい。

 

「まあまあ!マスコミなどを考慮した校長先生の考えなんだからな!?目を瞑ってくれよ!」

 

マイクくんが相澤くんにツッコミをいれる

 

そろそろスタートが近いので準備したマイクくんがある程度間を置き、スタートの合図を出すと何名かはすぐに走り出したその時

 

ドガァン!

 

「なんだなんだぁ!?」

 

音を拾った一つのモニターに注目すると仮装敵が何体か倒されていたのが見えた

 

「おい!故障か!?」

 

「そんなはずはありませんが……」

 

「会場は?」

 

校長が聞くと

 

「H会場です!」

 

とモニターのほとんどがH会場のカメラに変わった。

 

そして映し出されたのは

 

ドガァン!ガゴォン!ゴッガシャーン!

 

次々に仮装敵が吹き飛ばされていく映像だった。だが注目すべきことは

 

「誰がやったんだ?」

 

そうモニターには誰も映ってないのだ。

 

「遠距離系の個性じゃありませんか?」

 

その可能性もありうる。遠距離系の個性なら近くのモニターに映らなくとも可能だ。だが

 

「明らかに殴られたような跡だぞ」

 

相澤くんが呟いた通り仮装敵は殴られて潰されたような跡があったのだ

 

「ならスロー再生してほしいのさ」

 

根津校長がそう言うとすぐにスロー再生に切り替わったが

 

「ん?なんだこりゃあ……?」

 

映像には影のようなものが映っていたがなにかまではわからなかったのだ

 

「これがやったのか?」

 

ブラドキングくんがそう言うと

 

「それだったらスローでも見えねえなんてなんつう速さなんだ?」

 

マイク君が言う通り確かに私並の速さであろう

 

そして更にスロー再生させてそこに映ったものに私は驚きを隠せなかった

 

(な……!?)

 

そこに映っていたのは私がかつて会った少年だったからだ。それも

 

『個性がなくても!ヒーローになれますか!?』

 

彼は無個性だったからだ

 

「見えたぞ!」

 

「こいつがやったってのか!?」

 

「にしてもすげえ速さだ。スローでも正体がわかっただけでなにしてるかまでは映らねえ」

 

「彼は……」

 

私が呟いたのを聞き逃さなかったのか根津校長が

 

「オールマイトくん。彼を知っているのかな?」

 

私の方を見て聞いてきた。

 

「はい……彼とは一年ほど前に会いました……」

 

「じゃあオールマイトさん。彼について知っているんですか?」

 

相澤くんがすかさず聞いてきた。他の先生方も興味津々といった感じだった。

 

「ええ……個性のことだけですが……」

 

「それでも充分だよ。それで?彼の個性は?」

 

「はい……彼は……」

 

『彼は?』

 

「……無個性です」

 

『ハッ!!?』

 

モニタールームにいた全ての先生方がそんな声を漏らした

 

「っ~……オールマイトさん。いくらなんでもそんな冗談は通じませんよ」

 

「そうだぜ!オールマイト!あれが無個性のはずねえだろ!」

 

皆もそう言ってたが

 

「僕も同意見なのさ。本当なのかい?」

 

根津校長も信じられないような顔で私を見ていた。

 

「……私も信じられない気持ちでいっぱいです……ですが彼に会った時彼が『個性がなくても!ヒーローになれますか!』と聞いてきたのです……その時の彼がウソをついているようには見えませんでした……」

 

「……じゃあ本当に無個性だってのか……?」

 

「そんなはずはない!だったらあれはなんなんだ!?」

 

相澤くんが声を荒げるとそこに映っていたのは更にスローされた映像で誰もが映っていた彼の姿に言葉も出なかった。なぜなら

 

『腕が……伸びているぅ!?』

 

そう。無個性なはずの彼の腕がまるでゴムのように伸びていたのだ

 

とここで一人の教師が持っていた資料を見て

 

「ありました!受験番号5120の緑谷出久!オールマイト先生が言ってた通り彼は無個性です!」

 

『はぁーーーー!!?』

 

殆どの教師が叫んだあとに

 

「無個性だと!?ありえない!」

 

「だったらあれはなんだってんだ!?」

 

ガヤガヤと騒ぐ教師陣。だが私には一つの可能性を考えていた

 

「まさか……オールフォーワン!?」

 

と私が呟くと

 

「オールフォーワンだって?まさか、彼は死んだはずじゃ……」

 

根津校長がそう呟くと緑谷少年に疑惑の目が向けられ、その後も緑谷少年について話し合っていたが

 

「どっちにしろ彼の合格は決まりと言ってもいいだろうね。証拠もないのに根拠だけで不合格にするわけにもいかない。もしかすると本当に無個性なのかもしれないし相澤くんに確かめてもらったら彼の力が個性かどうか判明するはずだ。いいよね?」

 

「わかりました」

 

そしてモニターに再び注目する教師陣

 

・・・・

 

出久side

 

よし!これで150ポイント!

 

他の人のためにも残しとかなきゃ!

 

剃を解除して周りに目を向けると3ポイント敵に襲われていた人がいたので駆け付けて助ける

 

「あ、ありがと!」

 

「じゃあ頑張って!」

 

そして再び困っている人がいないか駆けまわる

 

・・・・

 

一方モニタールームでは

 

「彼は気づいたようだね」

 

「ええ……」

 

「しかし……本当の脅威を見た時……どうなるか……」

 

教師の一人がボタンを押すと会場に0ポイントが現れた

 

・・・・

 

出久side

 

あれが0ポイント!他の人たちがいないか確かめないと!僕はビルまで跳躍して覇気で誰かがいることを確認すると僕は魔剣ロストヴェインを手に持ち0ポイントの上まで跳ぶと

 

「僕の畏れよ……刃に宿れ!」

 

ぬらりひょんの恐れを刃に宿らせると横に一閃した

 

小さな切り傷から畏れが侵食して徐々に0ポイントは畏れに飲まれてやがて轟音を鳴らせて0ポイントは倒れた

 

そしてそのまま地面に着地して駆け付けると茶髪の女の子が足に怪我してるのを見つけたので

 

「大丈夫?」

 

「ああ、うん……ありがとね!」

 

「ちょっと待っててね……」

 

茶髪の女の子にクラマのチャクラを少しだけ分け与えると

 

「うそ!?治ってる!?」

 

よかった……と思った時

 

「リクオ様!?」

 

え……なんで……その呼び方は……

 

その声に覇気で感じた懐かしい気配

 

まさか……

 

僕が後ろを振り向くと同時に抱き着いてきたその着物を着た女の子は

 

「つら……ら……?」

 

「はい……!若の……リクオ様、いえ出久様の氷麗です!」

 

そう言って抱き着いてきた女の子は美少女と言っても過言ではないがそのグルグルの目を僕が見間違えるはずもなかった

 

「やっぱり……氷麗なのか!また……また会えた……!」

 

「はい!あの畏れ……出久様に間違いありません!また……また会えました……!」

 

僕も嬉しさのあまり抱きつく力を強めると氷麗も抱きしめ返してくれる

 

「えっと……お邪魔みたいだからどっかいくね……」

 

怪我した女の子は空気に耐えられなかったのかすぐに退散した

 

試験も終わった僕は氷麗を連れて外でエリザベスを待っていた

 

「それじゃあ氷麗もこの世界に来たの?」

 

「はい。羽衣狐に頼んだら連れていってくれました」

 

そうか。転生妖怪である彼女にとったら簡単なことなのか

 

そしてエリザベスが来ると

 

「あっ、出久……まさかその人は……」

 

となんて説明するか考えていたが氷麗が出ると

 

「初めまして。貴方が出久様のお嫁さんのエリザベスさんですね?同じお嫁さんの及川氷麗です」

 

「やっぱり……初めまして。私も出久のお嫁さんのエリザベスよ」

 

そして

 

「貴方は……私がいてもいいのですか……?」

 

エリザベスが本題ともいえる問いを氷麗に向けると

 

「ええ、構いません。私は若が皆を愛してくれるのなら……」

 

氷麗がまっすぐにエリザベスを見つめると

 

「そうね……私も構わないわ」

 

二人は握手をすると僕の横まで来て腕を絡ませる

 

「「ふふっ……」」

 

嬉しいけど恥ずかしィィィ!!

 

こうして僕の入試は終了した。

 

 

 




及川氷麗

ぬらりひょんの孫の世界で出久(リクオ)に仕えてきて、出久のお嫁さんであり雪女。出久のことが好き

好きなもの
・出久
・奴良組の皆
・アイス

嫌いなもの
・出久を絶望させたオールマイト
・出久をバカにする奴等(特に爆豪)

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