全てを統べる緑谷出久のヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

9 / 10
今回のは自信がないです……


戦・闘・訓・練3

オールマイトside

 

「はあああっ!!」

 

「はあーーーーーっ!!」

 

緑谷少年と轟少年がビルの入り口前で戦っている。

 

屋内戦なので注意するべきかと思ったが後にすることにした。何故ならようやく轟少年が本気を出して戦ってくれているからだ。

 

轟少年の右の氷結と()の炎を相手に一歩も引かず、時には拳の風圧で相殺し、時には黒い炎を出して、交わし反撃した。

 

だがおかしい。緑谷少年のあの動き。まるでいくつもの修羅場をくぐってきたような動きだ。それに……

 

確か彼は無個性だったはずだ。

 

 

 

 

 

 

1年ほど前に私は彼と初めて出会った。ちょうど彼をヘドロ敵から助けた時だ。

 

『個性がなくても!ヒーローになれますか!?』

 

その時、無個性だった彼をかつての私と重ね合わせた。そして彼のその眼はヒーローになる覚悟を持った目だった。

 

しかしどれだけ正義感や覚悟があろうが力がなければだれも救えない。そして彼を試す意味でも残酷な言葉を投げてしまった。

 

『夢をみるのは悪い事ではない。だが現実も受け入れなくてはな』

 

そして立ち直れたのなら願わくば私の力を継承する候補者になるかもしれないと思ったからだ。

 

だが彼は新たな力を手にして雄英に姿を現した。

 

個性把握テストの後、相澤くんに聞いたが緑谷少年は本当に無個性だったそうだ。

 

あの時言ったことは偽りではなかったのだとわかった。

 

ならこの10か月であれほどの力をどうやって有したのだろう?

 

 

ー少し前

 

「味方を巻き込まず……核にもダメージを与えずに無力化……」

 

「最強じゃねえかっ!」

 

切島少年が震えながら叫ぶ。

 

確かにここまで影響のある冷気を放つ轟少年には流石としかいえない

 

だが……

 

「すげえっ緑谷!轟の攻撃を躱しやがった!」

 

緑谷少年は凍り始める床からエリザベス少女を抱きかかえてジャンプして氷結から免れる

 

「畜生っ!なにさらりとイケメンムーブかましてやがんだよっ!いい加減にぐへえっ!?」

 

峰田少年がなにやら騒いでいたが及川少女が氷の塊を作った後出してはいけない音が響いたような気がするが……怖いのでみなかったことにしよう……

 

そ!それはともかく躱した緑谷少年が背中にある片刃の剣を抜いて手に持った次の瞬間

 

『はあああっ!!?』

 

モニタールームに驚きの声が響いた。それも当然であろう。彼が二人に増えたのだから

 

彼は窓から飛び降りて背後に回ったが障子少年は気づいていない。まるで認識できないよ

私はヘドロ事件を思い出した。あの時も認識できない何者かがヘドロ敵から爆豪少年を助けたことに。今だから言える。あれは緑谷少年がやったのだと

 

そして障子少年を戦闘不能にした緑谷少年は轟少年の氷結に飲まれてそのまま消えると

 

本体の緑谷少年が一瞬で入口近くに転移して轟少年と相まみえる。

 

 

 

出久side

 

「行くよ!」

 

「ッ!来い!」

 

轟君が氷塊を僕目掛けてぶつけようとしたが

 

「ギア2!ゴムゴムの……JETライフル!」

 

僕が繰り出した風圧で氷塊は砕け散ってその破片が轟くんに飛び散る。咄嗟に轟君は氷の盾を作ってガードするが視界を防いだのは失敗だ!

 

「なっ!?グハアッ!」

 

僕は一瞬で後ろに回り込んで掌底を放って轟君を吹っ飛ばす。

 

ビルにぶつかりそうになった轟君だったが右腕を振るって氷壁を作り続けてビルに当たるのを回避した。

 

「グッ!」

 

轟くんは氷結を繰り出しながら突っ込んできたが

 

「フルカウンター!」

 

僕が右腕を振るうと氷結は反射されて突っ込んできた轟くんは避けることができず氷に飲み込まれた。

 

「グゥゥゥ……!!」

 

轟君はかろうじて意識を保っているがあれだけの連続の氷結の使用とフルカウンターで返ってきた分を合わせるとかなりの負担だろう。

 

なのに……

 

「……轟君、なんで左を使わないんだい?使えば脱出できるのに……」

 

「……左を使うことは俺にとっての負けだからだ」

 

「それで本当に負けてもいいのか!?それは僕を舐めているとしか思えないぞ!」

 

「なんとでもいいやがれ!俺はクソ親父の個性なんぞ使わねえ!」

 

クソ親父、確か轟君の父親はNo.2ヒーローのエンデヴァー

 

気になった僕は六道の力で轟君の心を覗いてみたがそれは想像を絶するものだった。

 

個性婚によって産まれた故に幼少期からの父による虐待とも呼べる英才教育、壊れてしまった母。憎き父親への憎悪、轟君の感情全てを感じた僕は吐き気に催されたがなんとか耐えた。

 

君の気持もわからないわけじゃない……僕だってそうだったから!一度は妖怪である自分の血を否定したから!

 

だからこそ……!

 

「確かに君の境遇も憎しみも……!僕なんかには計り知れない!でも!それは君の力じゃないか!例え血が憎くても君であることには変わらないだろ!自分のオリジンを思い出せよ!」

 

僕が心のあるままを叫んだその直後

 

「ふ……」

 

轟君の左が燃えた

 

「おまえ……バカじゃねえのか……敵に塩送りやがって……」

 

「……でも後悔はしてない。だって……僕は誰かのヒーローになりたいから」

 

「なら!俺も本気で行くぞ!」

 

「僕もだよ!来い!」

 

 

・・・・

 

氷麗side

 

出久様ったら……わざわざ塩を送るなんて……どうかしてます

 

でも今の私はとても誇らしい表情をしているでしょう。

 

だってそれがあの時から変わらない出久様ですもの♪

 

・・・・

 

そして現在ー

 

轟の変幻自在な氷結攻撃を魔神の炎で相殺して、高火力の炎による攻撃も水遁で防ぐ出久。

 

一見拮抗しているように見えるが決定的な違いがあった。それはスタミナだ。出久は全盛期よりは力が出せないとはいえそれでもトップレベルのヒーローに通用するほどのスタミナがある。

 

対して轟は負担を左右で減らしているとはいえ徐々に体力が奪われていく。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「…………」

 

「緑谷……おまえまだ余裕があるだろ」

 

「……ハハハ、バレちゃったか」

 

「……どういう体力してやがる。俺も限界が近い。そろそろ決めさせてもらうぞ」

 

「来いッ!」

 

轟は右の力を使って辺りの空気を冷やすのに対して、出久は右手に風のチャクラを練る。

 

「これで終わりだあああ!!」

 

「風遁螺旋手裏剣!」

 

そして轟は左の出力を一気にあげて衝撃波を放ち出久は螺旋手裏剣を轟に投げつける

 

凄まじい力と力が激突し、最後に立っていたのは

 

「僕だっ!」

 

出久だった

 

 

 


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