忘却の偽英雄〈凍結〉   作:かぼすくん

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試験と始まり

俺には記憶がない。

名前と年齢以外の記憶が綺麗さっぱり無くなっていた。

生まれて12年、何を為したのか、どのような人間関係を気付いていたのか。

自分の事は何も分からなかったが、ヒーローになりたい。ならなくてはならない。

そんな想いだけが俺の胸の中を渦巻いていた。

俺はその想いの旨を父に伝えてヒーロー科最難関である雄英高校を受験することを告げた。

記憶がハッキリしてから3年余り、家の職業柄戦闘訓練、筋トレや戦闘技術向上の為の訓練は欠かさず行ってきた。

 

個性と呼ばれる異能力が一般化され、ヒーローは職業となった為になる事自体は難しい事ではない。

しかし、敵も個性を使ってくる故にその危険度は警察などには引けを取らないどころかこちらの方が危険性は高いのだ。

 

そんな中、俺に発言した個性は常時発動の身体強化型の個性と表向きは(・・・・・)公開されている。

とまぁ、俺は日課になっているランニング、筋トレ、技術トレーニングを行い雄英高校入試に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!!!』

 

『エヴィバディセイヘイ!!!!』

 

「「「「「………」」」」」

 

プロヒーロー、プレゼントマイク。

彼の大きな挨拶に誰一人返さない状況にプレゼントマイクはガックリと肩を落としながらも試験の内容、ルールを説明していく。

 

 

『入試要項通り!!十分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』

 

『演習場には仮想敵を三種・多数配置してあり、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!』

 

『各々なりの個性で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達の目的だ!!』

 

『もちろん他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』

 

その後は前の席に座っていた眼鏡の少年がプレゼント・マイクへの質問をして幕を閉じた。

 

『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう』

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!Plus ultra!!それでは皆良い受難を!!』

 

相手はロボ、力の加減をせずに済むことに少しのワクワク感を感じながら俺は実技試験の会場に足を運ぶのだった。

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

広いな……

 

案内された会場は校内に設けられた1つの街だった。

この中に無数のロボが徘徊しており、それを破壊しより多くのポイントを取ったものが晴れて雄英生になる事が許される。

 

『ハイ!スタート!!』

 

「「「「え?」」」」

 

『どうしたぁ!?実践じゃカウントダウンなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』

 

スタートの合図と共に駆け出した俺は仮想敵を探しギアを上げていく。

 

『標的発見!ブッ殺』

 

「悪いが構ってる暇無い」

 

俺は仮想敵の頭部を掴み引きちぎると投げ捨て次なる標的を探し駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

『残り10分!!』

 

まだ10分もあるのか、まだまだ余裕だな

 

『残り5分!!』

 

85P、これだけ取っていれば大丈夫だろう……

そう思っていた時だった。

建物を倒しながら異常なデカさの仮想敵がその姿を現した。

 

「いったぁ……」

 

「大丈夫か?」

 

「え、あ、に、逃げ」

 

「いや……」

 

倒壊した瓦礫の下敷きになった少女を救うべく少女の元へ歩み寄る。

しかし、危険を案じた少女の言葉を遮る様に巨大仮想敵の拳が振り下ろされた。

 

「……全反撃(フルカウンター)

 

まるで何かに弾かれたかのように巨大仮想敵の腕が弾け、その巨体がゆっくりと倒れ始めた。

それに伴い仮想敵の体のあちこちから爆煙が立ち上り爆発しながら崩れていきガラクタの山に変わっていた。

 

他の受験者達は唖然とした様子で先程目の前で行われた不可思議な現象に目が離せなくなっていた。

俺は下敷きになっていた少女の瓦礫を退け、抱き上げた。

少女は顔を赤くしながらあたふたしていたが無視して怪我人を治癒しに来ていたリカバリーガールの元に運んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※

 

雄英高校入試の結果は首席合格だった。

そんな俺は今実家に帰って来ていた。

 

「良く帰って来たね」

 

「ただいま父さん」

 

「……雄英の……入試の結果が帰って来たようだね。」

 

「……合格、首席だよ」

 

「そうか、それは素晴らしい。」

 

「今日はその報告だけしに来たよ。」

 

「そうか。いつでも帰って来るといい。」

 

俺は報告を済ませると父の部屋を出た。

最低限の報告を済ませたので帰ろうと玄関の扉に手を掛けた時だった。

 

「兄様!」

 

「ん……?千棘か」

 

「もう帰っちゃうの?」

 

「ああ」

 

「そんな……」

 

「大丈夫、休みの日には会いに来てやるから」

 

「ほんと?」

 

「当たり前だ。じゃあな」

 

「うん……約束だからね!出久兄様(・・・・)!」

 

義理の妹の頭を撫で俺は今度こそ実家を出た。

そして今度こそ実感し始めていた。

自身がヒーローの道に足を踏み入れたことを……。

 

言い忘れていたが、これは緑谷出久()がヒーローになる物語だ。




はい。ということで主人公は出久くんです。
え、別人みたいって?そうでしょう、そうでしょう。その理由はまぁ、だいたい察しが着くと思いますが後ほど。
その他のキャラ紹介なども別の機会に紹介したいと思います。
それでは次回、お会いしましょう。
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