インフィニット・ストラトス リビルドワールド 作:しびれあくせる
来たる日曜日。
破損とウイルスの被害が酷いIS学園第一アリーナは封鎖されており、今回選ばれたのは第二アリーナ。
広さ等の規模は第一と変わらず、ISでの戦闘感覚に特に変わりはない。
観覧席からフィールドを眺める綾、セシリア、本音、アルベール。
そのすぐ傍には一夏、箒、鈴、そして千冬の姿もあった。
「いつの間にか生徒会長とバトルする事になってたなんてなぁ・・・」
二日ほど前に帰ってきていた一夏達はどうやら、地元の友人と交流したり夏祭りに参加したり花火を見に行ったりと、さながら夏休みのごとく休暇を満喫していたらしい。
「シャルロットなら問題ない。あいつは強い女だ」
腕を組んで試合開始を待ち侘びる箒。
「ちょっと乳モップ。それアタシのセリフなんだけど?」
ポップコーンをもしゃもしゃと食べながら一夏を挟んで箒へと毒づく鈴。
「黙って見ていられんのか、お前達は・・・」
やれやれとかぶりをふる千冬。
そんな彼女たちを後ろからゆっくりと見渡した綾は、遠慮がちに一夏へと声をかけた。
「・・・それで。何で君はそんなボロボロになっているんです?」
「俺にもよくわかんない・・・」
頬は腫れ、瞼にはひっかき傷があり、そこかしこに湿布が貼ってある一夏。
だいぶ完治してきてはいるのだが、帰ってきたばかりの頃はもっと酷かったのだ。
原因は箒と鈴、更には地元の友人の妹をまじえての一夏争奪戦という名の醜い女の争いに景品扱いとして巻き込まれたがために、その過程で猫に襲われたり自転車に跳ねられたり神社の階段から転げ落ちたりプロレスラーからラリアットを喰らったりと散々な目にあったからなのだが。
こんな目にあって尚、箒達への信頼を失わずに平気な顔をしている一夏はもしかして聖人か何かではないかと疑わしく思える程である。
色々と察して詳しくは聞かなかった綾はふと千冬へと視線を向けると、少し慌てた様子の千冬が、
「・・・私は何も関係ないぞ」
と、視線を逸らしながら釘を刺してきた。
「いや、何も聞いてませんよ・・・?」
祖父からの忠告もあって何となく見ていただけなのだが、普段クールに決めている千冬にしては盛大に自爆したものである。
(案外ブラコンなのか・・・?いや、休日になるとたまにうちの部屋にやってくるあたり、そんな気はしていましたが)
ふんふんと頷きながらまたフィールドへと目をやると、シャルロットとラウラが伴ってグラウンドの中央へ歩いていくのが見えた。
その足取りには不安や緊張、疲れといった要素は見られず、万全の状態である事が見て取れる。
こちらに気付いたらしいラウラへと手を振ってやると、ぶんぶんと大きく手を振り返してきて、出会った頃と違うリアクションに思わず綻ぶ綾を、いたずら猫のような眼差しでからかう本音。
「りょーちんのシスコーン」
「おぐっ・・・!」
「そうそう。このあいだ温泉旅行に行った時も、リョウったらわたくしたちよりもラウラにかかりっきりでしたのよ?」
「そんな事は無いでしょう!?」
思わず立ち上がって紅茶を飲むセシリアへ何か言ってやろうとするも、背後からなにやら負のオーラを感じて振り向くと、本音が恨めしそうな表情で裾を引っ張り、
「・・・なんでわたしは誘われてないのかな?かな?」
と、冷凍したマグロのような瞳で訴えかけてきた。
「い、いや、そもそも誰も誘ってない!シャロもセラも勝手についてきたんですよ!」
「あらもしかしてお邪魔でして?それはそれはごめんあそばせ?」
「セラぁっ!?」
綾が女子に振り回されているところをあまり見た事の無い一同は、揃って奇異の目で彼のリアクションを眺め、いじられるのに慣れていない綾が遠くの席へ移動しようとするのを今度は本音とセシリアが裾を引っ張って引き留める。
誰に何を言われても飄々としていた綾であるが、ここにきてラウラという弱点が出来た事に、一夏は同年代の男として完璧に近い振る舞いをしていた同居人の、人間らしさを垣間見ているような気がして少し嬉しく思っていた。
「はっはっは!若いというのは良いな!」
後ろから笑いかけるアルベールをじとりと目だけで振り返る綾。
「うっさいですよクソ親父・・・ん、対戦相手が来ましたよ」
ラウラ達と反対口からフィールドに現れた人影を確認した綾の言葉に、その場にいた全員が目の前へと注目する。
うち一つはIS学園生徒会長にしてロシア代表ISマイスター、更識 楯無。
そしてもう一人は―――。
「あれは・・・アメリカの・・・!」
背が高く筋肉質な体躯、女性らしさを損なわないボディライン、主張を忘れない巨大なバスト。
ブロンドの髪をサイドで編み込み揺らして歩く彼女の名は、イーリス・コーリング。
アメリカIS国家代表にして、軍属のマイスター。
かなり荒々しい戦闘スタイルで、周囲を気にせず暴れ回るその姿はさながらバーサーカーの如く。
専用のIS、ファング・クエイクは鈴の甲龍と同様のコンセプトで作成された機体であり、重装甲・高出力、さらに接近戦に特化され、綾と同様徒手空拳での戦闘をも行う。
これほどの人物を招いてきた楯無の本気の程が伺える。
「中々の強敵だ。これは目が離せませんね」
「ええ、マイスターとしての練度は格上。これに勝つには一瞬の油断も許されませんわ」
IS使いとしての性か、頭の中で勝つための戦略を組み立て始める綾とセシリアの言に、一夏はごくりと喉を鳴らしてフィールドを注視する。
グラウンドにて相対する四人は、戦闘開始前に軽く会話を行う。
「ふふ、約束通りタッグの相手を用意してきたわ。たまたまイーリスが日本にいてくれたのは貴女達にとって不幸だったかしら?」
「本当は任務中なんだけどな。ちょいと時間が空いてたから遊びに付き合ってやろうと思ったのさ」
こきりと首を鳴らして不敵に笑うイーリスに、ラウラは鼻を鳴らして応じる。
「それは運が良かったな。わたしたちの相手は楽しいぞ。忘れられない思い出にしてやろう」
「ハハッ、活きがいいのは嫌いじゃねぇな!」
格上相手でも物怖じしないラウラを気に入った様子で上機嫌となるイーリス。
シャルロットがラウラに続く。
「どっちにしても、ISで上を目指してたら戦う相手なんだ。それが早いか遅いかの違いだよ。ボク達はみんなのおかげでベストコンディション。それに、ISの準備も間に合って不幸なのはあなた達じゃないかな」
「へぇ、言うじゃない?私は自分のISは自分一人でフルスクラッチしたけどね?本当にISに対して情熱があるならそのくらい当たり前よねぇ?」
楯無もシャルロット達がISの開発を行っていたことを遠巻きから観察して承知していた。
詳細までは知らない様に配慮したのは楯無なりのハンデであったが、どちらにしても自分優位である事に変わりはないと確信していた。
「ぼっち自慢はその辺にしておけ」
専用機の製作過程についてマウントを取ろうとした楯無であったが、冷ややかな目をしたラウラからさくりと言葉のナイフが刺さる。
「ぼっ・・・!?」
「わたしはじいさまから預かった自分のISを誇りに思っているし、シャルロットとて親とわたしと我が兄が協力して作ったISに何の不満も無い。それとも何か、負けた時の言い訳に自分がぼっちで作ったISのせいにするつもりか?用意周到だな」
「・・・い、言ってくれるじゃない・・・!」
「ハハハハ!いや面白ぇ!お前ホントに面白いな!!」
苦笑いするシャルロットとぐぬぬ顔で扇子を握りしめる楯無だが、イーリスはさらにご機嫌となってラウラの肩を叩く。
「アタシのISだって軍が作ったモンだからな。それに文句つけるつもりはねぇし、負けたらそん時ゃアタシの実力不足だって認めてやるさ。だからな?」
言い終わると同時にラウラの肩へ置いた手に力を込め、凄む。
「お前らもちゃんと、負けた時の言い訳は準備しとけよ」
「問題ない。アドリブは得意だ」
「はっは!本当に面白ぇ!」
遠回しに勝つ事しか考えていないと表明したラウラにまた笑いかけ、開始位置へと下がっていくイーリス。
それを見て、何か言いたげにして飲み込みつつ下がる楯無を見て、ふぅ、と息を吐くシャルロット。
「気持ちで負けるなよ、シャルロット」
「分かってるけど・・・ラウラは、強いね」
「いや。わたしほど弱い人間もおるまい」
楯無たちに背を向けて開始位置へと歩きつつ、ラウラはシャルロットと視線を合わせながら語る。
「わたしは誰かに支えられなければ生きていけない人間だ。綾にも、じいさまにも、シャルロットにもセシリアにも、本音や、シュヴァルツェ・ハーゼの皆にも、助けられて導かれてここにいる」
「ラウラ・・・」
「だが、その弱さは同時に強さでもあるのではないかと、わたしは思うんだ」
開始位置にて立ち止まり、ラウラはただ一言、
「皆から貰った弱さで、あいつらという壁を超えよう」
「・・・うん。一緒にいこう、ラウラ!」
キッと同時に振り向き、それぞれのISを呼び出すラウラ、そしてシャルロット。
「―――咲き誇れ、シュヴァルツェア・ガーベラ!!」
「蘇れ、フェニックス・リヴァイヴ!!」
喚び声に応え、粒子化した機体が形を成し、少女たちの手足へと纏われていく。
黒と銅色の重戦機、シュヴァルツェア・ガーベラ。
燈と赤の戦術武器庫、フェニックス・リヴァイヴ。
楯無も手にした扇子を優雅に振るい、イーリスと共に自身のISを喚び出した。
「魅せてあげましょう、ミステリアス・レイディ!!」
「吼えろ!ファング・クエイク!!」
水を湛えたかのようにクリスタル状の両翼を持ち、裾広のドレスを思わせる両腰のアーマー、巨大なランスを掲げた楯無のネイビーブルーのIS、ミステリアス・レイディ(霧纏の淑女)。
そして、刃や肉食獣の爪を彷彿とさせる装飾が施され、ヘルメット型のバイザー、近接戦を想定した巨大な拳、背中から伸びる大型のスラスターパックとワイヤードパイルバンカーを有した、イエローとブラックのストライプカラーのファング・クエイク(震える牙)が姿を現した。
それを待っていたかのように戦闘開始のCGシグナルが宙に浮かび、カウントダウンを開始。
両者無言。
既にスラスターを温めて突撃する気を隠さないファング・クエイクを除き、残りの三機は動きを見せずに待機。
3、2、1とカウントが数を減らす。
シャルロットとラウラは一瞬だけ視線を合わせ、0になった瞬間に飛び込んできたファング・クエイクを、迎え撃つようにシュヴァルツェア・ガーベラが前へと出た。
蟷螂のように前面へと展開された両腕のブレードを構えて加速するガーベラを見たイーリスは、バイザーに隠された瞳を戦闘狂の色へと染めて口元を歪ませる。
「ハッ、ガチンコの殴り合い上等ってか!やっぱり面白ぇな!!」
振りかぶった単分子結晶ナックルを握りしめ、イーリスが吼える。
「だがな、アタシとタメ張ろうなんて十年早ぇ!!」
音速に届きかねない勢いの左ストレートが、腕をクロスさせたラウラのガーベラに突き刺さる。
下手をするとバリアを突き破って上半身が吹き飛びかねない一撃であったが、その拳の勢いはガーベラが発する強力なバリアフィールドによって威力を殺され、無防備となった拳にブレードが横線を刻む。
「アタシの拳を・・・!?」
「くっ・・・!凄まじいな、腕が折れるかと思ったぞ!」
衝撃に歯を食いしばりながら、ブレードで挟むようにファング・クエイクの拳を固定したラウラは、背部Xスラスターを変形させて両肩、両脇から発射できるビームキャノンモードへと移行し、そのまま発射。
「ぐおっ・・・!?」
熱線によりみるみるバリア残量を削られたイーリスは、それでも距離を離さずに右の拳を叩きつけようとする。
「させるか!」
片腕をファング・クエイクへと向け、袖口から野球ボール大の鉄球のような弾を発射するラウラ。
ものともせずに右腕を振るうイーリス。しかし。
「うおおっ!?」
それが右腕に付着した途端、目に見えない斥力のような力で後方へと吹き飛ばされたイーリスは、状況把握もそこそこにどうにか体勢を立て直そうと空中機動に集中するが。
「ここから先、好きに動けると思わない事だ―――!」
ラウラは続けて、空中にいるファング・クエイクの真下の地面へと先程と同じ鉄球をもう1つ放出すると、それが強力な磁場を発生させ、ファングの右腕の鉄球と反応してそれを引き付ける。
「磁力!?こんな強力なッ・・・ぐああっ!!」
どうにか抵抗しようとスラスターを吹かすイーリス。
動きが止まったも同然のファングを両手に持ったハンドガンで滅多撃ちにするラウラ。
シュヴァルツェア・ガーベラは二つの強力な能力を有している。
一つは強力なバリアジェネレータによるIS最高峰の防御力。
ISが通常装備しているバリアの上に、もう一枚分厚いバリアを発生させると言えば分かりやすいか。
本来なら並みのISであれば一撃で粉砕するファング・クエイクの殴打をほとんど相殺し、尚且つバリア出力を一点集中させたり、分散させたりと応用を利かせる事でその強度を自由に調節が可能。
専用のジェネレータによるフィールドバリアは燃費も良く、これで相手の攻撃を捌き切って残弾が尽きたところを攻撃するのも、防御力を信頼して突撃し、袋小路へ追い詰めて攻略する事も戦略自在となっている。
もう一つの能力は電磁性宝玉による磁力操作。
両腕の袖部分に仕込まれた宝玉は強力な磁気嵐を発生させ、接触した対象に電磁ネットで貼り付き、シュヴァルツェア・ガーベラ自身が発する電磁力で相手を引き寄せたり吹き飛ばしたりする事が可能。
更に宝玉同士で引き付け合わせたり反発させる事も出来るため、敵機の行動のほとんどを阻害し、かき乱す事が出来るのだ。
かつてレーゲンが使用していたAICと違い、宝玉を発射するというワンクッションが必要となるものの、精神を集中して自身の動きを止める必要もなく、応用力も高い能力である。
これがラファール・リヴァイヴ・カスタムIIが相性悪しとされた能力であり、距離感を乱しつつ戦うシャルロットのスタイルを完全に殺してしまう要因となったのである。
また、この二つの能力を組み合わせた攻撃方法も用意されている。
「くっ、何て厄介な能力!」
フェニックス・リヴァイヴとガトリング砲同士の応酬をしていた楯無が、シュヴァルツェア・ガーベラのワンオフ・アビリティを目にして唸る。
シャルロットを迎撃しつつラウラを背後から狙おうと画策していた楯無であったが、そのやり取りを停止してファング・クエイクの援護へ向かおうとする、が。
そこへフェニックス・リヴァイヴの肩部コンテナからとてつもない数のホーミングマイクロミサイルが飛び出しミステリアス・レイディへと飛来。
アラート音に振り向いた楯無がそれらをランスに仕込まれたガトリングで撃ち落としながら回避行動を取るも、今度はミサイルの合間を縫って超高熱を纏った巨大な粒子弾が狙い撃つかのように飛び込んでくる。
「バスター・キャノンですって・・・!?」
ぞわり、と悪寒を感じて振り返る楯無。
ウイングを掠めて飛来したエネルギーの塊を急停止により躱した彼女は、下手にイーリスを助けに行くと諸共に撃たれる可能性を危惧し、その射手へと向き直る。
開始位置からほとんど動かず、両肩部に装備したミサイルコンテナからマイクロミサイルを撃ち続け、片側のISコアからケーブルでエネルギー供給されるバスター・キャノンを横に構えて楯無を狙うシャルロットのフェニックス・リヴァイヴ。
遠距離での攻撃方法にこういった広範囲を塞ぐ事が可能なミサイルと強烈無比な威力のバスターキャノンを得たシャルロットは、
彼女固有の戦闘スタイルである【砂漠の逃げ水】のパターンに、大きくレパートリーを加える事が出来たのだ。
通称、バスター・ウェポンと呼ばれる兵器は三種類存在する。
まずバスター・ボムという戦略兵器。
その名の通り爆弾としての使い方を主とするが、その威力は一般的な爆発物と桁違いのものとなる。
ものによっては半径1kmに及ぶ巨大な火球を発生させ、それが長時間持続するというもので、その熱量は人間が2秒で消し炭と化すと言われている。
そのため核兵器に匹敵する脅威と呼ばれ世界条約で禁止されている兵器である。
次にバスター・ランチャー。
これは高濃度陽電粒子を臨界まで圧縮し、光の奔流と共に吐き出す超高威力のビーム兵器。
本来ならばISに携行できるような兵器ではなく、大型の戦艦や空母に搭載される最終兵器のような武装である。
綾のアマデウスに装備されているバスター・ランチャー「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」は、元々のバスター・ランチャーの砲身を小さくしたうえで威力を大幅にデチューンしたものであるが、それでも白狼の零落白夜のような武器を除けばISの装備においてこれを超える武装は存在しないレベルの攻撃力となっている。
最後にバスター・キャノン。
いわゆるバスター・ランチャーをISが携行できるようサイズダウンして設計したもので、バスター・ランチャーのように放出し続けるのではなく、一発の放出期間を砲弾サイズに短くする事で砲身への負担を下げ、連射が利くように調整されたものである。
その分威力と射程距離は下がっているものの、それでも十分すぎる破壊力を備えている。
バスター・ウェポン共通の仕様として調整が難しく、これを使おうとしても出力を制御できずに自壊したり、使用前に暴発したりと事故例が後を絶たないため、使用者が限りなく少ない。
それを当たり前のようにアマデウスへと搭載した鶴守 豪の技術力がどれほどのものかが分かるものだが、その孫たる綾もフェニックス・リヴァイヴへ搭載する際に心血を注いだ武装がまさにバスター・キャノンであった。
IS用に設計したと言ったが、本来であればあくまでバスター・キャノンを使用する前提の専用機体を製作する必要がある。
それをツインコアドライブにより出力の一端をIS自体に依存させる事でサイズダウンを行い、拡張領域にぎりぎり入れるレベルの大きさと実用性を獲得したのである。
アルベールやデュノア社スタッフすら、機体の方向性が定まらない場合にバスター・キャノン専用機として組み上げるつもりで持ってきた、ともすれば使う予定の無い武器であったところを、全て美味しいとこどりのISに仕上げる事が出来たのは綾が豪と共にアマデウスへバスター・ランチャーを組み込んだ際のナレッジがあったからこそであった。
そのような経緯を知らない楯無は、出力を低下させる事なくバスター・キャノンとミサイルを並行して撃ってくるフェニックス・リヴァイヴに、背筋が凍る想いを抱いていた。
「こんなIS、子供のおもちゃには勿体なさ過ぎよ!」
ホーミングマイクロミサイルは一発一発の威力は低いものの弾切れを起こす様子もなく、かといって少しでも動きを止めて迎撃に専念すればバスター・キャノンの餌食となる緊張感に、楯無は戦慄しながらも対策を打つ。
「だったら、これでどうっ!?」
両翼のアクア・クリスタルから霧状の水分を周囲へと散布し、それがミサイルの爆発によって蒸発を繰り返し、次第に巨大な爆発へと変貌していく。
「・・・!水蒸気爆発!?」
「行くわよ!清き情熱(クリア・パッション)!!」
爆発は連鎖を起こしながら、ミサイルを発射し続けるシャルロットの位置まで伸びていく。
すぐさま気付いてバスター・キャノンを格納したシャルロットは、上空へと飛翔してそれを回避しようとするが、
「その動きもお見通しッ!!」
シャルロットの上空周辺にも同時に霧を散布していたミステリアス・レイディの罠。
そもそもこれは相手の熱源を利用せずとも自分の意志で水蒸気爆発を起こせる技であり、自身は水のヴェールで身を守りつつも相手だけを爆発に巻き込む、そういった使い方もできるのである。
指を鳴らすと同時にフェニックス・リヴァイヴの逃げ道で大爆発が発生する。
その光景に目を見張る一夏、鈴、箒。
「ふふん、やり過ぎたかしら?」
優雅に笑ってファング・クエイクへと視線を向ける楯無。
だがしかし。
その爆炎を振り切って更に上空まで飛翔するフェニックス・リヴァイヴの反応に気付くと、ほぼ無傷と言っていいバリア残量を確認し、信じられないといった表情を見せる。
「うそっ・・・!?あんな攻撃特化の機体なのに、なんでこんなに硬いの!?」
無傷の理由は防御パッケージであるガーデン・カーテンによるもの。
普段は肩部アーマーから垂れ下げる形式のそれを上部へと向け、エネルギーシールドの出力を上げる事でダメージらしいダメージは残っていない。
すぐさまガーデン・カーテンを格納したシャルロットは、頭部バイザーを起動し、ファング・クエイクとミステリアス・レイディをマルチロックオン。
ミサイルが効果薄であると思わせたつもりの楯無の裏をかき、再度マイクロミサイルを大量に放出する。
「そんなの私のクリア・パッションで一網打尽だって学ばなかったの――!?」
即座に霧を散布する楯無であったが、ミサイルの挙動が先程と違う事に気付く。
「霧の薄いエリア判明、濃度30%以上のルートは回避指示。左腕武装変更、敵機バリア残量把握、ラウラへターゲットとミサイルのルートを伝達、ミサイル弾数残り僅か?オーケー、ここで使い切る。かき回すだけかき回して従来のスタイルで戦闘を継続!ゴーゴーゴー!!」
バイザーから伝わってくる情報をもとにミサイル一基一基へ器用に指示を出していくシャルロット。
それが可能なレベルでOSのユーティリティを格段に向上させてあるのだ。
霧が薄い、または散布されていないルートを通って敵機二機を狙うそれに驚く暇もなく、今度はフェニックス・リヴァイヴの左腕バックラーから武装変更された大型ガトリングガンに狙われる楯無。
「こんなっ、次々と・・・ッ!」
実弾ゆえ水蒸気爆発の火種にならないガトリング弾と、誘爆を狙える位置にこないミサイルに焦る楯無。
試合前は確かに慢心があったものの、それを差し引いてもこんなにやるとは。
ちらり、とイーリスの方を見ると、どうにかハンドガンを避けながらもついには磁力に囚われて地表へと落ちたファング・クエイクが、右腕が宝玉の磁力で塞がっているために、もう片方の腕でハンドガンの連射に耐えていた。
とはいえ、シュヴァルツェア・ガーベラが放出した宝玉の磁力もそこまで長い時間効果を発揮出来るわけではない。
歯噛みするイーリスであったが、ぴくり、と右腕が動かせることに気付く。
次第に磁力が弱まってきた事を確認したイーリスは、チャンスとばかりに余裕こいて打ち続けてくるラウラへとイグニッションブーストで突貫する。
「そのハンドガンにもっと威力がありゃ、とっくにアタシを倒せてたのにな!」
「まったくだ。抵抗が遅すぎて念を入れたのが馬鹿馬鹿しいぞ」
「!?」
バリア残量を半分ほどまで減らしながらも凄まじい速度で迫るファング・クエイクの拳を、まるで消えるかのように上空へと回避するシュヴァルツェア・ガーベラ。
上空へと発射した宝玉の磁力で自身の跳躍速度を跳ね上げたのである。
「お前ッ!手加減して撃ってたってのか!?」
「手加減じゃない、勝つための策だ。ほら、わたしの相方がご馳走を用意してくれたぞ」
滞空していた宝玉を袖へと回収し、ガーベラがミステリアス・レイディへと飛翔するのと入れ替わりに、フェニックス・リヴァイヴが発射したマイクロミサイルの雨がファング・クエイクへとなだれ込む。
「クソっ!!」
一直線に進むガーベラに道を譲る様なルートで飛ぶミサイルを、背部に装備したワイヤードパイルバンカーをマウント、振り回す事で直撃を避けるイーリス。
ミサイルを跳ねのけてラウラを追いたいが、最短で追っていけるルートはすべてミサイルが封じている。
「っんだよ、楯無の奴!IS学園の一年坊が相手だってのはウソか!?こんな面白ぇ奴らが相手ならマシンガンの一丁でも積んでくるんだったぜ!」
言葉とは裏腹に強い相手と戦える事に高揚するイーリス。
過去に一夏が簪との戦いで体験したのと同様、近距離戦の武器しか無いが故にミサイルの雨をやり過ごす手段に乏しい状況であるが、無いものを悲観しても仕方がない。
ミサイルはどう逃げても追尾してくる、ならばここで撃ち落とす。で、最短で追う。
でなければ、いくら楯無とて二対一では不利だ。
戦うのは大好きだが負けるのは大嫌いなイーリスは、覚悟を決めて効果を失った宝玉をむしり取って捨て、ボクシングでいうところのフリッカースタイルでマイクロミサイルと向き合う。
「でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃーーーーーーーーっっ!!!」
さながら鞭の如く、しなる左腕で次々とミサイルを墜としていく。
ある程度墜として手が足りなくなってきたら両手を高速でピストン運動させるように連打。
連打、連打、連打、連打、連打。
拳圧によってひしゃげて爆発していくミサイルの群れはファング・クエイク本体へ致命傷を与える事なく、塵となって地面とへ降り注いでいく。
「何という無茶苦茶な・・・!」
紅茶を注ぐ手を止めて頬を引きつらせるセシリア。
「あのレベルでの人体動作フィードバックが出来るのは箒くらいだと思ってました。いやはや世界は広い」
冷や汗を一筋垂らしながら綾が苦笑いする。
綾の評価を聞いて無言でドヤ顔を披露する箒へと、鈴がポップコーンの種を吹き出してやると一夏を間に挟んで取っ組み合いが始まるが、それを意に介さず一夏は戦闘を続ける四人から目を離さない。
その頃、ミサイルの処理に四苦八苦していた楯無は、背後から迫るシュヴァルツェア・ガーベラに歯噛みしていた。
「くっ・・・このままじゃ不利ね・・・!」
接近しながら狙い撃ってくるハンドガンを躱しながら、楯無はついに、ミステリアス・レイディの単一使用能力(ワンオフ・アビリティ)を使用する。
「ちょっと大人しくしていなさい――沈む床(セックヴァベック)!!」
ミステリアス・レイディの翼からまたもナノマシンが大量に放出され、シュヴァルツェア・ガーベラの進路上へカーテンのように幕となって広がる。
「むっ・・・!」
それを回避しきれずに肩から突っ込んでしまったラウラは、次の瞬間、触れた部分からまるで空間に取り込まれるように動きを停止させられた。
「動けん・・・!これがAICを凌ぐという・・・?!」
「そう、私のワンオフ・アビリティである沈む床(セックヴァベック)。その気になればもっと広範囲の敵を拘束してしまうことが出来る空間結界よ。貴女のISがいくら強力だろうと、動けなければ―――」
「シャルロット、頼む!」
「了解っ!」
楯無が自慢げに説明している間にずぶずぶと身体を空間に侵食されていくラウラだったが、残った腕をシャルロットへと向けて宝玉を発射し、ガトリングからスイッチしたバックラーで受け止められたそれと共振させて磁力で無理矢理空間から抜け出ていく。
「――ってちょっと!?そんな簡単に攻略しないでくれる?!」
「こんな小手先の結界などわたしには効かん!こういった能力の対策はレーゲンで使っていた時からイメージ済みだ!」
ずぶり、と全身を結界から脱出させたラウラは、即座にミステリアス・レイディへとイグニッションブースト。
反撃のランスをバリアに掠らせながらもシュヴァルツェア・ガーベラの全体重を全速力にて激突させる。
「ぐぅぅうううっ!!!」
強烈な体当たりを喰らった楯無が舌を噛みそうになっていると、ラウラはそのまま片手でミステリアス・レイディを抑えつけたまま磁力を全開にする。
「合わせろ、シャルロット!!」
「任せてラウラ!!」
自分の方へと向かってくるラウラと楯無へ向け、シャルロットもバックラーを構えながらイグニッションブーストで迎える。
「ちょ、ちょちょちょちょ!!貴女達これって!!」
「これが磁力の本当の使い方って奴だ!」
「はあああぁぁぁーーーーーっ!!」
咄嗟に押さえつけられた上半身へナノマシンの水をかき集めて防護壁を作るも、ガーベラの左腕とフェニックスの左腕バックラーが、強烈な勢いで交差するように楯無の身体を鈍い音と共に挟み込んで、圧縮。
具体的にはマスクマンのマスクが絶命と共に吹っ飛びそうな技である。
「くっ・・・はぁ!!」
防御に回した水壁が弾け飛び、水滴と共に落下するミステリアス・レイディ。
いまだバリアは残っているものの、ISが無事でも中の人間へ伝わった衝撃は只事では済まない。
ミステリアス・レイディが地面に落ちる直前、ブーストして駆けつけてきたファング・クエイクが抱き留めてダメージを軽減させるも、気がつけばバリア残量的にラウラ達が優勢となっている。
「おい、まだ戦えるよな楯無!」
「くっ・・・頭くらくらするわ・・・!でも、このままやられてなるもんですか!」
「上等だ!一気にカタをつけるぞ!!」
頷き合うなり、ミステリアス・レイディを前に、ファング・クエイクをその真後ろへとつけてスラスターの出力を上昇させていく。
何か仕掛けてくると踏んだラウラとシャルロットも合流し、相手の攻撃へと備える。
ランスを掲げて集中力を増す楯無は、余裕のあった雰囲気を消し去って眼前のラウラ達を睨む。
「褒めてあげる。私にこれを使わせるなんて大したものだわ。けど、これで終わり」
次第に身に纏った水のヴェールが赤に発色し、同色の翼のようなユニットが背部へと接続される。
「麗しきクリースナヤ・・・!」
それはミステリアス・レイディのパワーを限界以上に引き上げる超高出力モード。
通常時の三倍もの性能を引き出すそれに加え、身に纏っていたアクア・ナノマシンを全て手にしたランスへと一極集中させていく。
「そしてこれが、私の最強最大の武器、ミストルテインの槍よ!!」
防御力をかなぐり捨て、すべてのナノマシンを攻撃性へと変質させて攻撃力に変換する両刃の剣。
自身をも危険に晒すが、その威力は小型機化爆弾4基分に相当するとされる。
「んで、こっちも切り札ァ!!」
四基の大型スラスターがイグニッションブーストのための待機状態へと移行。
ファング・クエイクはそれぞれのスラスターにて発動させる、個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッションブースト)が可能。
それによって通常のイグニッションブーストを遥かに上回る超加速を行えるのだ。
「この合わせ技で、フィニッシュよ!」
「止められるもんなら、止めてみやがれ――――!!」
ミストルテインの槍を前方へ構えて発進するミステリアス・レイディの両肩を、後ろから押し込むように加速するファング・クエイク。
あまりの加速に空気が熱し、赤き流星となって飛来する。
それに対し、手にした宝玉を放り投げたラウラをシャルロットが背中から抱きしめるように密着し、ガーデン・カーテンを展開。エネルギーシールドの出力を全開にする。
ラウラは前方にフィールドバリアを五重に発生させて一点集中の態勢。
合体防御の体形で待ち構える。
「さて、受け止め切れるか――」
「気持ちで負けるな、でしょ?」
「その通りだ!」
最強の鉾と無敵の楯。
ぶつかり合えばどちらが勝つのか。
「矛盾の回答なら最初から出ている」
見守る綾が眼鏡の弦を中指で押し上げつつ言う。
「そのこころは?」
「技量と運と気持ちが上回った使い手が勝つんです」
そう、武器の性能が互角なら、勝敗を決めるのは武器ではない。
あくまでそれを扱う人間にのみ結果は訪れる。
緊迫の一瞬の間を置いて、乾坤一擲の槍撃と堅城鉄壁のシールドが、激突。
多重防御結界は接触により3つが破れ、ファング・クエイクの追加イグニッションブーストにより4枚、5枚と砕かれ、ついにはガーデン・カーテンへと到達。
残ったイグニッションブーストにより、それもまたヒビをいれて静かに決壊。
アクア・ナノマシンの水蒸気爆発と、エネルギーシールドを突き破られたガーデン・カーテンの爆発が重なる。
衝撃に吹き飛ぶラウラ達に楯無が確かな手ごたえを感じ取ると共に、シュヴァルツェア・ガーベラの装甲のいくつかが宙を舞い、地面へと突き刺さった。
「やったぜ・・・!」
同じく反動で空中回転しながら勝利を確信するイーリス。
言葉も出ずに見守るギャラリーが次第に薄れゆく爆煙が晴れたのを確認した瞬間、楯無が、イーリスが、驚愕に目を見張る。
「―――グングニール、起動・・・!」
眼帯を量子化させ、黄金の左目を輝かせて健在を主張するラウラ。
重厚な装甲をパージし、黄金の粒子発光を全身から放つ超高速機動形態へと変化するシュヴァルツェア・ガーベラの切り札たる能力、それがグングニール。
ヴォーダン・オージェ(オーディンの瞳)を全開にする事で、更に感覚そのものまで加速させるクロックブーストである。
「ツインドライブ、フルブーストッ!!」
そして、アサルトライフルを両手に、ファング・クエイクへとコア二つ分の出力でイグニッションブーストしていくシャルロット。
大幅にバリアを損耗しながらも共に健在な両者にショックを受けながら、楯無は彼女達の無事の理由を察した。
「・・・!激突の瞬間に磁力で後方へ自分を引き付けて、威力を半減させたのね・・・!」
防御の直前にラウラが宝玉を捨てていたのは見ていたが、エネルギーの切れた武装をパージしたものと考えていた楯無の渾身のミスである。
歯軋りをするよりも早く、金色に輝く残像を残しながら楯無の懐へと潜り込んでブレードを振るうシュヴァルツェア・ガーベラ。
発動残り時間あと僅かな麗しきクリースナヤを以て、互角な速度で激しい打ち合いを開始する楯無とラウラ。
併行して、銃弾の嵐を撒き散らしながら接近するフェニックス・リヴァイヴにバリアを削られながら、イーリスは豪快に笑いながら迎える。
「ハッ!ハハッ!!ハハハッ!!!いいぜお前ら最ッ高だ!!ここから全力で叩き潰してこその戦いだよなァ!!」
ダメージ量レッドアラートをものともせず、ワイヤードパイルバンカーを腕部へ装着し、最後の一撃に賭けるイーリス。
「このバンカーで返り討ちにしてやるぜオラァ!!」
イグニッションブースト同士の激突。
右腕で振るわれるパイルバンカーを左腕のバックラーで受け止めるシャルロット。
防御など関係ないとばかりに、盾ごと腕を潰さんとその巨大な杭を射出するファング・クエイク。
堅牢なバックラーを真っ二つにしかねないインパクトの瞬間、炸薬でバックラーをパージさせて威力を逸らすフェニックス・リヴァイヴ。
その下からは、ラファール・リヴァイヴの時に使用していた72口径パイルバンカー、灰色の鱗殻(グレー・スケール)より大型化された杭打機がその首をもたげる。
「マジかよ」
靨を引くつかせるイーリスの土手っ腹へと、シャルロットは咆哮と共に左腕を撃ち込む!
「ゼロ距離!いけぇぇえええーーーーーーッッ!!!」
リボルバー式の96口径パイルバンカー・デュランダルが3発もの火を吹き、ファング・クエイクのバリア残量をゼロにして吹き飛ばす。
激痛に意識を奪われながらもイーリスは、満足そうに口元を歪ませて笑った。
「へっ・・・次は負けねぇぞぉ・・・!」
そのまま100mほど滑空して地面を滑り、ISを解除させ、気絶するイーリス。
「―――ありがとう、ございました」
緊張状態から解放されたシャルロットは顔中に噴き出してきた汗を頭を振ることで払いながら、大きな吐息と共にイーリスへと頭を下げた。
一方、ラウラと楯無もまた。
「こ、こんなっ!こんな筈じゃっ・・・!」
「お前は確かに強かった!だが、致命的な弱点があった!それだけの話だ!」
振るわれる槍の威力をバリアフィールドで受け止めながら、ブレードとハンドガンという二足の草鞋で懐から離れず連撃するラウラ。
どうにか防ぎつつも超近距離戦では分が悪い上に、ヴォーダン・オージェにより加速されたラウラの反応速度についていけなくなっていく楯無。
お互いのバリアを削り合いながらもついに麗しきクリースナヤを解除させてしまった楯無の鳩尾へ、ラウラは宝玉を先端に装着させたハンドガンを突き付ける。
敗北を確信した楯無は、悔しそうにラウラへ問う。
「・・・聞かせてくれるかしら?その弱点って?」
躊躇いなくバリアエネルギーを収束させ、ハンドガンの威力へと転化させるラウラ。
更に、電磁力と融合したエネルギーの奔流が、止めの一撃へと変貌。
トリガーを引く事で収束された電熱弾が光の速さでミステリアス・レイディを貫く。
フィールドバリアでハンドガンの射出威力と剛性を向上させ、電磁力により弾丸の回転力を上げ、指向性ハイパーレールマグナムへと変化させるシュヴァルツェア・ガーベラの最終兵器、その名をルシファーズ・ハンマー。
バリアを失い、静かに落ちゆく楯無へと、ラウラは瞳の色と眼帯を元に戻しながら回答した。
「戦闘中に喋り過ぎなんだ」
もうちょっと接戦にしたかったけど、楯無がペラペラ自分の能力喋るから一方的になってもうた。