インフィニット・ストラトス リビルドワールド 作:しびれあくせる
「ごーちゃんが動いてくれた・・・!」
まるで初めての恋人から指輪を送られた女の子の様に、篠ノ之 束は瞳を輝かせてときめきの笑顔を浮かべた。
ボゥイがオータムを撃退する様子を自身の空中要塞にあるネットワークセンターから観測していた束は、頬を桜色に染めてデスクから立ち上がり、うきうきとステップを踏む。
篠ノ之 束にとって鶴守 豪とは何よりも特別な存在なのである。
突発変異体ともいえる超常的な思考能力と溢れ出るセンス、果ての無い身体能力を有して誕生した束は、幼い頃から目に映る全てのものが灰色に見えていた。
自分より弱いくせにただ偉そうな父。
自分より間抜けなくせに理解の外を叱る母。
自分より劣っているのに、自分より大切にされる・・・妹。
彼女が心を許すことが出来たのは、自分と同じかそれ以上の運動性能をもった千冬だけ。
そんな束の転機となったのは、とあるニュースを目にした時。
世間的にはほとんど注目されることがなかった、鶴守 豪博士が製作したという宇宙開発用マルチフォームスーツ、インフィニット・アストロノーツの発表。
その発想はなかった。
地球に居場所が見出せないのなら、宇宙へ進出してしまえばいいのだ。
良い思考のとっかかりを見つけたとばかりに我流でIAの研究を開始した束であったが、その行為はある一定の部分で頓挫する事となる。
外骨格、性能、武装といった設計は簡単に出来た。
原案者の鶴守 豪など軽く凌駕している自信はある。
だがどうしても、この天才である自分の頭脳をもってしても、コアの解析・製作方法だけは理解できなかった。
約半年の研究を経てついにギブアップした束は、単身群馬県にある豪の工場へと出向き、押しかけ弟子さながらにインフィニット・アストロノーツについて教えを請いに行った。
当時の束は小学生。
豪もまだ現役で、突然現れた束に対して懐疑的な眼差しを向けたものだ。
束だって豪からコアのナレッジさえ得られれば用済みとして記憶から消すつもりだった。
豪が差し出された束の設計図や論文、その考え方を目に、耳にしていく次第にその表情が変わっていく。
面倒そうな表情を浮かべるのは束だ。
ああ、いつもそうだ、大人ってやつは。
自分より有能な者が現れると、そいつの悪いところばかりを粗探ししてこちらの気持ちや能力はちっとも考慮してくれない。
なんて矮小。惰弱。
何の力も無い癖に、篠ノ之 束という人間を無理矢理型にはめこもうとする。うんざりだ。
そんな風に豪を大人というフィルター越しに見ていた束は、感激して彼女の手を取った目の前の老人に、戸惑った。
「すげぇなお前!おれより精度の高い設計が出来るなんざ大したモンだ!型破りな思考や視点のつけ方も面白ぇ!おれぁお前みたいなヤツを探してたんだ!!束っつったか?おれと一緒に研究してみねぇか!?」
初めてだった。
父のように不真面目と怒るのではなく、母の様に異端と切り捨てるのではなく。
あるがままの束を受け入れてくれた大人は、後にも先にも豪だけだったのだ。
この時の喜びを束は一生忘れない。
つまらなかった灰色の世界が、一瞬にして鮮やかな彩色に包まれた。
それから豪は束を自分の研究室へと招き入れ、コア製作方法を指南したり、共に研究を行ったり、時には仕事に付き合わせたりと彼女を自分の子供の様に可愛がった。
くだらない話もした。一緒に食事だってした。
豪の娘である愛奈にも優しくしてもらった。その夫のレオンには人としての強さを教わった。
束は豪から、当たり前の事をたくさん学んでいった。
彼との出会いが無ければ、束は早々に人類という存在に見切りをつけていたかもしれない。
やがて束は豪やレオンと協力して、愛奈とレオンの子供である綾を誕生させるための人工受精器と育成のための人工子宮を作り上げた。
そうやって誕生した綾を、豪は大層可愛がった。
嬉しそうに礼を言う豪に束はとても幸せな気持ちになれたし、自分の考えた方法で産まれた綾の事も愛おしいと思えた。
その数年後に、奴らと出会ってしまった。
―――あんな事さえ、あんな奴らに会いさえしなければ。
わたしはずっと、ごーちゃんの傍にいられたのに。
束にとって豪は肉親であり祖父であり父であり、兄であり恋人であり夫であった。
一人の女性が一生分注ぐ異性への愛を、束は全て豪へと捧げていた。
歪んでいると思われても構わない、それほどの想い。
だからこそ、豪の隣にいられずにいる現在の状況はとても辛い。
それでも、全てが終わったなら・・・新たな肉体を得てまで生き長らえてくれた豪の元に帰りたい。
束の想いはたったそれだけだった。
そう。
豪がいなければ、何も悪くない妹である箒の事だって、受け入れて大切に思う事など出来なかったのだから。
ツインドライブ技術が敵に流出する危険性と、妹の命の二択を迫られた今、両方へ手を回そうとすれば、忌まわしき敵から自分の居場所を察知されてしまう可能性がある。
それは出来ない。それは豪のいるこの世界の終わりを意味しているからだ。
せめてどちらか一方だけでも誰かが守ってくれれば・・・そんな気持ちを込めた、束の賭け。
最後に頼る事が出来たのは結局、豪以外にいなかったのだ。
束が豪へ向けたメッセージは確かに届いていた。
ならば後は、自分が箒を守るだけだ。
「くーちゃん、いる?」
「はい、束様」
音もなく薄く閉じられた瞼の、青白のドレスを纏った銀髪の少女が束の傍へと立つ。
座り心地の良いゲーミングチェアへと腰を下ろした束は、くーちゃんと呼ばれたメイド風の少女へと視線を向けてお願いをする。
「ノブちゃんを呼び出して。今わたしが切るべきカードは彼しかいない」
「かしこまりました」
お辞儀をして去ろうとする少女はしかし、束が操作している幾重ものキーボードにつながるディスプレイの一つへ顔を向けると、束へと問いかける。
「・・・束様、ひとつだけよろしいでしょうか?」
「んー?なになに?」
「このボゥイという男は何者なのでしょう?見たところ―――まともな人間ではない様に感じられます」
「ふふふ、くーちゃんは偉い子!よく分かりました!」
シャルロットの傍へ寄り添うように立つ昏い長髪の少年にどこかしら違和感を感じた少女を束が抱き寄せる。
それを困ったように受け入れる少女の頭を撫でながら、束は優しい声色で答える。
「多分だけどね、あのボゥイくんはそもそも人間じゃないよ――元・人間って言った方がいいかな」
首を傾げたくーちゃんという少女から手を離した束は、再びコンソールに向かう。
困ったように眉をハの字に寄せる少女は、その真意を求めた。
「・・・拙や、ラウラ・ボーデヴィッヒのような人ならざる者という事でしょうか?」
「くーちゃんは人間だよ。ラウラって子もね」
唐突に出されたラウラの名であるが、なるほど少女の風貌はどこかラウラと似ているかもしれない。
それを笑って否定した束は人の産まれ方で差別するような思考は持っていない。
たとえ血が繋がっていなくとも、どんな形で生誕したとしても彼女――クロエ・クロニクルという目の前の少女は自分の娘であるのだから。
「・・・では、彼は一体?外見のそれは人間ですが、あの膂力と感知能力はとても――」
「うん。もしかしたらボゥイくんは【エクシード】なのかと思ったけど・・・あれは違う。存在そのものが人間からかけ離れてる。ごーちゃんすら、そうせざるを得なかったのかもね」
エクシード、という単語が何を指すのかは不明であるが、束は目を細めて語る。
「人間を超えた人間、自然と科学の融合・・・ある意味、わたしとごーちゃんが目指した存在の極地にあるのが彼なのかも」
「そこまでの・・・?」
少女・・・クロエが驚きの表情を浮かべる。
とは言っても、彼女の瞳は閉じられたままなので見た目としてはあまり変化が感じ取れないが。
頷いた束はデスクに肘をついて両手を重ね、少し乾き気味の口をつけて哀れむように言う。
「彼はね、インフィニット・ストラトスだよ」
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遡る事数時間・・・ボゥイがデュノア親子と出会う直前。
夜の群馬県渋川駅へ辿り着いた綾、ラウラ、セシリア、一夏の四人は、以前と同様に無人のステップワゴンが迎えに来るものと考えて駅ロータリー脇のベンチで待機していた。
だが、やってきたのは一台の黒いBMW120iカブリオレ。
見覚えのある車体、ナンバーに反応したのは一夏だ。
「千冬姉の車だ・・・!」
ぐるりとロータリーを回って彼らの目の前で停車したハードトップの車からは、一夏の言う通りオーナーである織斑 千冬が降り立つのが見えた。
タンクトップの上に飾り気のないショートドレスシャツとスリムジーンズという、普段の学校で見せるフォーマルスーツとは違った印象の姿での登場である。
運転中に一夏達の姿を見つけていたのだろう、探したりする事なく学生四人の元へと歩み寄った千冬は軽めの仕草で手を挙げた。
「遅くなってすまん。尾行の類が無いか確認するために私だけ別行動を取ったが、どうやら杞憂だったようだな」
「いえ、杞憂であるという結果が分かった事が収穫です」
「ご苦労様です、教官」
紳士的に出迎える綾と敬礼するラウラ、優雅な礼を行うセシリア。
一夏へ人数分の飲み物を渡した千冬はさて、と一息つくと綾へと向き直り、
「今日は学校の授業じゃない。私は本来、鶴守 豪からは招かれざる客の立場の筈だ。ここから先の舵取りはお前に任せるぞ」
「承知しました。とはいえ、お爺様の研究所に辿り着けば後の判断はだいたいお爺様次第となりますが」
これまで、綾へ千冬に気をつけろと言い含めていた豪であったが、今回の招集に千冬を含めたのは他ならぬ豪自身だ。
千冬も気付かぬうちに束から監視・盗聴用のナノマシンでも付与されていたのなら、豪の居場所も何もかもが筒抜けとなってしまう。
そうでなくとも千冬は束について探っているという事もあり、つまり千冬が知っている事は全て束の知り得る範囲となると考えられたのだ。
それを逆手に取るという発想も無くはないが、デメリットの方が多いと判断したがための綾への忠告であった。
しかし、先日紅椿を持ってきた束の反応から察するに、千冬を通して綾たちを監視しているという風には見えなかった。
白狼のビジュアルが白虎を模していた事を知らなかったのもその一環だ。
豪から疑念を抱かれないための演技かもしれないが、その可能性は限りなく低い。
もし束が警戒している相手が豪であるなら、そもそもあの場に束が姿を現す必要がないのだから。
彼女は自分の姿をあえてさらす事で豪へと夏季期間中のIS学園専用機持ち生徒への危害の可能性を提示したかった・・・それが束の起こした行動の最大の目的である。
紅椿については本心から箒に使ってもらいたいと思っていたのかもしれないが、拒否される可能性も十分に考慮していたのだろう。
だから綾レベルの実力があればプロテクトを外して甲龍とのミキシングが可能だった。
ならば千冬への警戒を解いて、逆に協力を仰ぐべきと豪は考えた。
冷静さや寡黙さも評価の一端だが、何より彼女は単純に強い。
あの束が認めて親友と呼んだ程なのだ、戦力にならないわけがない。
可能ならISを与えたいところであるが、千冬はその強さゆえに専用機を持つ事をIS国際連合から禁じられている。
別段そんな事をしなくとも千冬はISを持てなくなってしまっているのだが、もしまた所持が可能となった場合の保険として取り決められたのだろう。
それほどまでに、千冬単独の戦闘力はずば抜けていた。
生身一つで一個大隊を壊滅させかねないというのが戦術論者複数名の合意である。
そんな千冬は呼び出してきた豪へと自分勝手な科学者だ・・・という印象は持たなかった。
仮に持ったとしても束で慣れているし、豪が懸念材料として自分を疑うのも仕方がないとさえ思う。
むしろようやく綾越しのアプローチが実を結んだとも言える。
自分を取り巻いた環境や生誕の過程、この運命について。
少しでも答えを示してくれるだろう出会いを千冬はずっと待ち望んでいたのだから。
自分の愛車を有料パーキングへ停めてきた千冬は、腕を組みながら綾達へと問う。
「それで、研究所とやらへはどのように向かうんだ?」
「・・・地獄の様な荒々しい運転と先の見えない道が待ち受けていますわ」
ふるふるとトラウマを思い返すセシリアに首を傾げる織斑姉弟。
目の下に縦線を刻んだ彼女の頭をすりすりと撫でやった綾は、クラクションを鳴らしながら一行の元へと接近してくる、見覚えのあるワゴン車の姿を確認した。
「やぁ、どうやら来たみたいですね」
「ひぃぃ頑張るんですのよセシリア!シャルロットのためリョウのためオルコット家のため、こんな試練に屈してはなりませんわ!」
恐怖に耐えながらラウラに手を引かれて、目の前に停車した車の後部座席側の扉を開けようとした・・・時、車の運転席から陽気で明朗な女性の声が発された。
「やっはー!お待たせ!いやぁそんなに渋滞してなくてよかったよかった!」
ばん、と右前列のドアを開けて降り立ったのはセミロングで獣耳のような癖毛があり、カジュアルなタイトスカートにシャツ、緩んだファッションタイと縞柄の薄手パーカーを身に着けた20歳そこそこの女性。
豊満なお山にごくりと唾を呑んだ綾の耳を思い切り引っ張りながら、セシリアは初対面たる彼女の素性を問いかけた。
「あ、あの、どちら様ですか・・・?」
「うん、うちの名前はレティシア・S・ジェンキンス!鶴守 豪博士の助手やってんだ!」
扉を開こうとした手を止めてそちらを見るラウラ。
自分の知らない存在に、会った事があるか物思いにふける綾。
レティシアと名乗った女性はそんな綾へと歩み寄って握手し、
「ははぁ~?リョウ氏、うちの事全く覚えてないみたいな顔してるなぁ?」
「む・・・」
いたずらっぽい笑顔に口を結ぶ綾であったが、どうしたって記憶に引っかからない。
この言い方からすれば自分と何か関係のあった人物なのだと察する事が出来るが・・・。
セシリア含め、一同がレティシアが何者かと視線を投げかけると、彼女は楽し気に、
「実はうちも初対面だから知らなくて当たり前なんだけどね?なははは!」
がくり、とずっこける綾と一夏。
思わせぶりな言い方からテーブルクロス引きされたかのような会話のテンポに唖然とするセシリアとラウラ。
しかし千冬だけは、レティシアについて思い当たる節があった。
「レティシア・S・ジェンキンス・・・!確かお前は、モンド・グロッソの準決勝で私と戦った・・・?」
「あれ!?覚えててくれたのブリュンヒルデ!や~、光栄だなぁ!」
感激しながら千冬の手を握ってぶんぶんと振ったレティシアは、その肩を抱いてスマホで自撮りすると踊る様に車へとステップ踏んで、ドアを開け放つ。
「積もる話はとりあえず車の中でね!さぁ乗って乗って!」
「は、はぁ・・・」
三列目のシートにラウラとセシリアを、二列目に綾と一夏、助手席に千冬を乗せたレティシアは運転席に座ってオートマのギアをドライブに入れて発進させる。
前回の自動運転の時と違い、運転感触がどこか丁寧に感じられる。
「き、気を抜いてはいけませんわ。どちらにしてもあの道を通るのでしたら今から用心しておきませんと・・・!」
「ん?前回の道?あれ今日は使わないよ?」
セシリアの呟きを耳ざとく聞きつけたレティシアはバックミラー越しに三列目へと視線をやり、
「一応研究所へのルートは3つくらい用意してるからね。まえにキミ達が通ったのはわりと緊急用のルートなんだけど、うちのボゥイ君は遠隔操作であそこの道使いたがるんだよね~、スリルがあるとか何とかで。この車うちが整備してるんだからやめてほしいんだけどさぁ」
「あれって人が操作してましたの!?」
綾の頭の上から食いつく様に身を乗り出すセシリア。
「そうだよ~。ドライブレコーダーの映像を研究所のドライブシートと連動させて運転席に座らなくても運転出来るようにしてるの。自動運転も出来るけど前はボゥイ君・・・あ、いまシャルロットちゃんの所に行かせてる子なんだけど、彼がヒマつぶしに運転したがってね」
「お、おのれボゥイとやら・・・この恨み晴らさでおくべきか・・・!」
見も知らぬボゥイに対して怒りを燃やすセシリアをどうどうとなだめ、綾はレティシアに聞く。
「ルートが複数あるなんて初耳ですがね?僕はお爺様があの研究所を完成させてからはずっと徒歩であの道を通っていたのですが」
「うん、博士はその方が足腰の鍛錬になるだろうから黙ってたって言ってたね」
「成程お爺様らしい・・・」
言葉の穏やかさとは裏腹に拳をぱしんと鳴らす綾。
昔の話とはいえ相当しんどかったのだろう、こめかみに血管を浮かべる綾を今度は一夏がどうどうとなだめる。
榛名山を南西から回るルートで車を走らせるレティシアに、疑問をぶつけるのは千冬だ。
「レティシア、確かお前は第一回モンド・グロッソ終了後に行方不明となっていた筈だ。それが何故鶴守 豪の助手などやっている?」
覚えていてくれたのかとレティシアは言ったが、千冬からすれば忘れようのない強敵の一人であった。
当時、暮桜というISを駆っていた千冬がほとんど無傷でトーナメントを勝ち進んでいた中で、唯一レティシアの使う有線式ガトリングポッドを扱うラファールカスタムのオールレンジ攻撃によって7割のバリア損耗というダメージを負ったのだ。
これは本音やセシリアの使うビット兵器の雛型ともいえる武装で、見切る事の出来たIS使いは当時としては千冬以外にいなかった。
そんな彼女が大会後に突然の行方不明となる。
当時は大きなニュースとして発信されたものである。
問われたレティシアは運転中ゆえ視線を正面から逸らさず、神妙な顔つきで答える。
「うん・・・簡単に言うと、拉致されてました」
「拉致・・・!?」
「そう、よく分かんない組織に、ISを無力化されて変な薬打たれて、しばらく色々な実験に付き合わされた」
思い出すのも苦しい過去。
命の手綱を握られ、常に脳波を計測され、苦痛を伴った実験と称した拷問のような日々をずっと過ごしてきた。
自分以外にも4人同じ施設に監禁されていたが、今はどうなっているか分からない。
「そこからどうにか配備されてたISを強奪して脱走して、気付いたらこの山に迷い込んでて、なんやかんやあって博士に拾われて現在に至るってカンジ。多分だけど、あいつらは【エクシード】について研究してたんじゃないかな」
「エクシード?」
聞きなれない単語を反芻する綾。
頷くレティシアはハンドルを切りながら説明する。
「ごく稀に、ISを扱っていく中で脳が制限してる力の一部を解放されていく人間がいる。それがエクシード。エクシードに覚醒した人は高い空間把握能力を持ったり、脳波が一般の人に比べて強力で簡易的な未来予知が出来たり、ISとのリンクが強まって適合数値が上がったり、エクシード同士で感応し合ったりテレパシーを飛ばしたり出来る・・・一種の超能力、エスパーみたいな感じだね」
「レティシアがそうだというのか?」
「みたいね。まだ世間的には公表されてない情報だから知らなくても仕方ないよ。ISが人間の進化に繋がるなんて話、誰だって取り扱いに慎重になるでしょ?」
車がトンネルへと侵入する。
ごぅ、という耳障りな音を気にすることも無くレティシアは続けた。
「何を以てエクシードになった、なんて博士でも明確な基準がつけられてない。ただ、覚醒したエクシード達を戦闘力として扱おうって団体があるって事は確か」
忌々しそうな語りで、自分を道具の様に扱った者達への怒りを滲ませるレティシアは、トンネル内の隠し通路へ車を侵入させながら吐き捨てるように言った。
「うちは、そいつらを許さない」
強靭な意思を感じさせる物言いに唾を呑む一夏と綾。
自分の知らないところでそんな動きがあった事に眉を寄せる千冬。
「・・・なんだか、眉唾な話ですわね」
「ISを使っただけで強くなれるなら苦労はするまい」
どちらかといえばSFな話に否定的なセシリアとラウラが感想を述べると、突如、きんっと偏頭痛が奔り、二人の頭の中にレティシアの声が響く。
(信じる必要なんてないよ。いつか自然と分かる日がくるから)
ばっと顔をあげて運転席を見るセシリア達。
「ど、どうした二人とも?」
「何か気付いた事でも?」
一夏や綾、千冬には何も感じられなかった様子で、戸惑いながら目を見合わせるセシリアとラウラは、ようやく目的地へ到着したらしい車が停止したタイミングで振り返ったレティシアから笑顔を向けられた。
「ね?大丈夫。うちがちゃんと導いてあげるから」
そうして研究所へ辿り着いた彼らは、豪の研究室に到着したとほぼ同時にボゥイからの通信を受け、シャルロットやアルベールとの会話に参加する事となったのである。
要するにニュータイプ的な設定に名前つけただけなのですわ。
そしてまたも現れたオリジナルキャラのレティシアちゃん。
エクシードの先輩としてセシリア達を導いて欲しいですね(他人事)。
あと今日出先なので家帰ったらレティシアちゃんの立ち絵アップしますね。。。
しかし・・・ネタと登場人物が膨れ上がってきて書くのが大変だぃ。
〈追記〉
レティシアのイラストをキャラ紹介にあげました。
地味にボゥイもあがってるのでご覧下さいませ。