インフィニット・ストラトス リビルドワールド 作:しびれあくせる
三日目の一戦目。
ある意味本大会のメインイベントと言って良い一大決戦が執り行われる。
多少の試合は見逃して昼過ぎから視察に来る大物IS関係の幹部達も、各国の現国家代表すらも、今日だけは朝早くから観戦席について戦いのゴングを待ち侘びている。
試合開始前の1時間前から観客席は満員だ。
これほどの熱気は先のチーム【ゼクス】対チーム【デスペラード】の時と比較しても同等と言って不足はない。
チーム【ゼクス】対チーム【クリア・マインド】。
鶴守 綾率いる篠ノ之 箒、ラウラ・ボーデヴィッヒ・鶴守のチームと、セシリア・オルコット率いる織斑 一夏、布仏 本音のチームという対戦カードである。
グラウンドの中央では各選手がそれぞれの対戦相手へ握手を行っていく姿がある。
「楽しみにしていましたよ、一夏、セラ、本音。心の底からね」
「ふっふっふ、見てましたわよリョウ?あなた、初めて撃墜されてましたわね?」
「んぐっ・・・」
わたくしも楽しみでしたわ☆とでも言ってくれると思っていた綾の表情が歪む。
結果的に相打ちとはいえ、ボゥイ・シューマッハという新星が綾を脱落にまで追い込んだ事は、大きなニュースとなって世界的に広まっていた。
数々の国家代表を打ち倒し、日本およびIS学園の危機を幾度も救ってきた生徒達の中心たる実質1年A組リーダーの彼が、初めて土にまみれた様子は、今やIS業界からすれば大きな波紋を広げる出来事となってしまったのである。
「あー、わたしも見たよ~!りょーちんが負けたってニュース!『鶴守、慢心か?』って新聞にも書いてあった~!」
「誰ですかそのセンスのない見出しを書いたのは・・・」
基本、誰にどう思われようが気にしないタイプの綾は報道の内容など蚊程にも感じていないのだが、目の前の恋人と相棒がこちらを見ながらくすくす笑っているのは非常に腹が立つ様子である。
「へへ、リョウも何だかんだ人間だな。いや、ようやく俺達がここまで辿り着いたって事なのかな」
「うるさい帰れ唐変木」
「何だよ負け犬!いや負け鶴!俺が一番にお前を倒したかったのに情けない姿見せんじゃねぇよ!」
「ほほぅどんな気持ちです?やっつけたくて乗り越えたくて必死だった僕がシューマッハなんぞに先に倒された気分は?寝取られた気分ですか、えぇ?」
「ええ、寝取られた気分ですわ。ほんと、腹が煮えくり返って爆発しそう・・・!」
不満気な一夏を煽るつもりがセシリアの不機嫌さにも油を注いでいた事に気付いた綾は、全身の毛を逆立てるとささっと一夏の背後へと隠れた。
隠れられる程に、一夏の体格は綾と同じくらいの筋肉質なボディに成長しているのだ。
迷惑そうにもがく一夏を盾に、顔半分をセシリアへと向ける綾。
「・・・セラ、確かに僕はシューマッハと痛み分けしましたがね、あの時はむしろ箒と鈴音のためのお膳立てという側面もあったのですよ。云わば演出です。あえてそうして退場したのです」
苦しい言い訳を並べる綾。実際には全力で戦い、鈴と消耗したダメージを引きずったためシャルロットのフラッシュバンに対応出来なかったというのもある。
ある意味ではチーム【デスペラード】一丸となって綾を撃破したというのが正しい。
「あらあら、全力でぶつかる事で分かり合うがモットーのあなたらしくないですこと。一昨日は風邪でもひいていらしたのかしら?」
もちろん、そんな見え透いた嘘などセシリアには通じない。
全身から沸き立つオーラは視覚化されて天に立ち上り、一夏ですら戦慄に震えている程だ。
「ちょ、セシリア!怖い怖い怖い顔が怖い!リョ、リョウっ!どけ、何で俺の後ろに隠れるんだ、敵だろお前!」
「つれない事を言いなさるな相棒。僕が死ぬときは君が死ぬときです」
「そこまでお前に命捧げた覚えはねぇよ!?離せこのっ!セシリアー!セシリアー!怒りは試合でぶつけようぜセシリアー!!」
笑顔という仮面を被ったまま、威圧感と怒りを撒き散らしながら一夏を挟んで綾へと近寄るセシリア。
恋人の有り得ない怒りに竦む綾、巻き込まれた一夏の慌てた説得も通じやしない。
つかつかと歩み寄り、一夏を軽く押しやってどかすと、青ざめた顔をする綾の胸倉を掴んだセシリアはスッと自然な動きで恋人と唇を重ねた。
不意打ちのキスに固まる綾。
おおおっと沸き立つ観衆。
ぼけっと見守るラウラ、反して一夏と箒と本音が顔を赤くして大仰なリアクションをとる。
軽く触れあうだけのソフトキスを終えたセシリアは、にこりと笑うと呆然とする綾の頭を撫でやった。
「集団戦ですもの、アクシデントの一つや二つありますわ。それに、あなたは負けたままではいられない人。この戦いで、更に強くなってくれる事を期待していますわ」
「・・・セラ」
潜在的な綾の悔しさを見抜いていたセシリアは、まるで慰める様に優しく甘い声で囁くと、くるりと振り返って数歩歩き、ちらりとまた綾を見やる。
「わたくしに強がるのはおよしなさい。でも、強いところは見せて欲しいですわ」
「・・・見せてあげますとも。君の彼氏がどれほど強いかをね」
眼鏡を直し、気合十二分といった顔つきで立ち上がる綾。
出会った頃の様に不敵な眼差しを見せる綾の姿に、満足気に微笑んで開始位置へと歩いていくセシリア。
ぱしん、と拳を鳴らす綾に知らず触発され、燃え上がる様な闘志を燃やすのは一夏だ。
「そうだ、そういうお前と戦いたかったんだ。今日こそお前を、リョウを超えてやる」
「何を言うかと思えば、一夏。僕からしてみれば、君はもう僕を超えていると思っていますが?」
「よせよ、実際に勝ったわけじゃねぇ。きっちり白黒だけはつけさせてもらうぜ、最初の戦い―――バトルロワイアルの時からどれくらいお前に近づいたか、この手で確かめてやる」
「なら僕からも一言―――返り討ちにしてやるよ、相棒」
拳を当て、強気な笑みを浮かべ合う青と白。
その上に手を重ねてくるのは赤。
「私を忘れてもらっては困るぞ、一夏」
「忘れるわけないだろ、箒。お前達二人は俺が倒す。絶対にだ!」
「ああ、本気で来るがいい」
愛情、友情、慕情、数々の想いが混ざった感情を視線で交し合う箒と一夏。
そしてゆったりと近づいて更に上から手を乗せるのは黒。
「・・・正直もう帰りたい」
「「「テンション低っ!!!」」」
まさかのやる気ゼロなラウラに驚きを隠せない綾と一夏と箒。
どうしたのかと聞こうとする前に、ラウラはぷんすかと肩をいからせて一夏へと詰め寄った。
「いくらイメージしてもな!おまえの零落白夜で即死させられる未来しか見えんのだ、こっちは!ガーベラが頑張ってバリア張ったところで貫通してくるだろう、おまえは!」
「ら、らしくないなラウラ。なんだってそんな後ろ向きなんだ?」
後ずさりながら一夏が問うと、次いで様子を伺っていた本音にも恨めし気な視線を向ける。
「その上本音までいるんだぞ?ガーベラの苦手分野ばかり揃えて、いじめか!いくらなんでもここまでわたしをメタる編成で来るなど何か恨みでもあるのか!」
「え~、でもでも、わたしの
「あの時は深夜でテンションが上がっていたんだ!いまは後悔している!」
「わぁ正直」
涙目で不満を撒き散らすラウラをよしよしと宥めた綾は、仕方なさそうに小さく囁く。
「・・・ならいっその事、初手でグングニールを起動して本音か一夏を潰しますか」
「・・・あくどいな兄よ。ちょうどわたしもそれしかないかなと思っていたところだ」
「聞こえてるぞー」
目を細めて忠告する一夏。
そんなラウラの肩へ箒が手を置いてふっと笑う。
「心配するなラウラ。私がフォローしよう」
「ぬ?」
首を傾げるラウラ。
箒の剣撃技術はIS学園内でも最高峰であるが、赤雷は第二世代を煮詰めた機体であるがゆえに、特殊技能持ちの第三世代機との戦いで味方機をフォローする能力は低い筈だ。
決して侮辱というわけではないが冷静にそう考えるラウラへと、無言でISの待機状態であるリストアンクルを掲げる箒。
その形状は、これまでと違い飾り気のない円ではなく、幾重にもシルバーの翼が刻まれた洒落た形に変化していた。
「それは、まさか」
「セカンドシフトを・・・!?」
頷く箒。
あの鈴との一騎打ちの後、役目を終えた赤雷は静かにその姿を新たな力へと変貌させていた。
赤雷なりに空気を読んだと言って良いのかもしれない。
つまりこの場には、鶴守 豪が設計した原初のIS、四獣が全て揃った事になる。
「今までの私と同じと思うなよ、一夏、布仏、セシリア。もはや機体性能でもお前達に遅れは取らん。鈴音と共に切磋琢磨して得たこの力、存分に味わうがいい」
「うひゃー・・・想定外ー・・・」
「・・・ああ!ゾクゾクするぜ、箒!」
武者震いをひとつ、頷き合って開始位置へと向かうそれぞれ。
戦闘準備のブザーが鳴ると、途端静寂に包まれる第三アリーナ。
待機室ではシャルロットが、ボゥイが、鈴が、簪が、ミーアとダーシャが、刀奈が見守る。
「さぁ奏でよう、アマデウス!」「咲き誇れ、シュヴァルツェア・ガーベラ!」
「虹を纏え、レイニー・ステラ!」「妖炎燃ゆれ!
次々と愛機たるISを身に着けていく若きマイスター達。
そして―――。
「輝け、白虎!!」
「舞い上がれ、朱雀!!」
織斑 一夏、白き獣たる最速のIS、白虎。
篠ノ之 箒、紅き翼たる最撃のIS、朱雀。
また、この場に存在するは。
鶴守 綾、蒼き龍たる最攻のIS、
ラウラ・ボーデヴィッヒ・鶴守、黒き盾たる最甲のIS、
その四機が揃った瞬間、不可思議な現象が発生した。
鶴守 豪が設計した四機のISが各々のパーソナルカラーにて神々しく輝き、コア同士で光の線を繋ぎ合っていく。
「なんだ!?」
「これは・・・!?」
一夏が、箒が自身の身体からほとばしっていく光に目を細める。
「どうしたんだ、ガーベラ・・・!?」
何かを伝えようとする愛機の叫びを感じ取り、冷や汗ひとつ呼び掛けるラウラ。
「何が起きましたの!?」
「りょーちん!おりむー!みんなー!!」
眩しさに目を覆うセシリア、声をあげる本音。
驚きに目を見張る綾だけが、その現象の理由に気付く。
「四獣集結によるプロテクト解除・・・だと!?」
冷静に自身のアマデウスに発生した変化を感じ取り、やがてその光に身を任せていく綾。
それに倣い、ラウラが、一夏が、箒が自身のISに導かれ目を閉じていく。
ふわりとした、身体が宙に浮く感覚。
物理的に浮遊しているのではなく、さながら精神世界へとダイブしていくかのような。
(この感じ、どこかで・・・!)
一夏だけは知っていた。
白狼が白虎へセカンドシフトしたあの時、自分はこんな感覚に包まれたはずだ。
その後どうなったかは記憶が定かではないが、とても、とても大切な出会いがあった気がする。
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綾が気付いた時、目の前に広がる景色はまるで、異世界へと飛ばされたかと錯覚するような異様な空間。
鈍色の空、赤茶けた雲。
天には巨大な振り子時計が浮かび、地平線の彼方には太陽より大きな歯車がいくつもじわじわと回転している。
足元には錆びたスパナやレンチといった工具類が所狭しと打ち捨てられ、周囲は新品・中古・半壊もろもろのISがまばらに置かれている―――さながら、ISの墓場のようである。
「僕の心の具象化・・・いや、アマデウスの中か、ここは・・・?」
異様ではあるがどこかで見たような、懐かしい景色。
足元に気をつけながら歩き、あたりを見回していると、ISの残骸で出来た5メートルはありそうな瓦礫の山の頂から音を立てて一人の人間が立ち上がるのに気付く。
「誰だ・・・?」
「この世界で我にそれを聞くか、痴れ者め」
がらん、と足元のブレーキキャリパーを蹴り落とした何者かは、ひらりと瓦礫の上から飛び立つと、くるりと空中で一回転してたじろぐ綾の目の前に降り立った。
油と煤に汚れたボロボロのローブを身に纏い、真っ白だが掠れた色合いの長髪をばさりと振って裸足で立つ、綾と同じくらいの身長の若い男。
見覚えのない男だ。
だが、確実に知っている。
そして、こんな姿であるとは夢にも思っていなかった。
「ま、まさか、君、は・・・きみが!?」
「確認しなければ進めんか愚か者。それとも裏取りは科学者としての性か?」
嘲る様に罵る男は、尊大な態度で髪をかき上げると口の端を吊り上げて強気に笑う。
「我が名は青龍。だが、貴様風に名乗るとしたらこうなるのだろうな。ようこそ我のマイスターよ。歓迎するぞ、このヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがな!」
「うそぉ・・・」
完全にアマデウスの中身の人格は女性だと思い込んでいた綾はげんなりと肩を落とす。
細身だががっしりとした肉付き、顎の形、気の強い眉の形。
どう取り繕っても彼―――アマデウスは男性そのものであった。
綾のどこか残念そうな様子を感じ取ったのか、アマデウスは見下すように鼻を鳴らす。
「なんだ貴様、よもや我が幼女だったら良かったとでも思ったか?我らISに性別などあって無いようなものだが、そんな気色悪い趣味に付き合ってやるつもりはないぞ」
「ショックが強かっただけですよ!人を幼女趣味みたいに言わないで下さい!」
「知っている。年増のボインが好きなのだろう?この異常性癖め、反吐が出るわ」
「腹立つなこの疑似人格!」
毒づく綾には一切構うことなく、アマデウスの疑似人格たる男は足元の錆びついたスパナを拾い上げると手元でくるくると回して言う。
「その様子からすれば、ここが我の生み出した精神世界であると理解しているようだな。いわばここはISコアの中身。貴様は記憶しておらんだろうが、アメイジング・グレイスを使用するたびに貴様はここに来ているのだぞ」
「道理で見覚えがある筈だ・・・」
「だが、ようやくこうしてプロテクトが外れ、我と対面する事が叶ったわけだ。これで貴様と我は正式にリンクが繋がった事になる。我々が互いを認識出来るようになった以上、あの小娘の力を借りずとも貴様は単独でアメイジング・グレイスを使用出来るぞ」
「・・・!お爺様があれを搭載したのは、それを見込んで・・・!?」
セシリアの助けを得てようやく実用可能となった単一仕様能力・アメイジング・グレイス。
自身を量子化し、別の場所にて再構築するという瞬間移動に匹敵するワンオフ・アビリティはしかし、綾という存在を消しかねない諸刃の剣でもあった。
もともと単独で活用する事を目的として搭載された能力ならば、その説明は納得がいく。
色々な事に合点がいった綾が納得に唸っていると、アマデウスは指をパチンと鳴らす。
するとみるみるうちに足元の朽ちた工具が椅子の形を作り上げ、綾の後ろへとそそり立つ。
「立ち話もなんだ、まぁ座れ。貴様にはそこそこ話をしておかねばならん事がある」
同様に組みあがった椅子へ腰かけて促すアマデウス。
おずおずと腰を下ろす綾は、あまりにいまいちな座り心地に顔をしかめる。
「まずはプロテクト解除おめでとうと言ったところか。豪は何らかの要因で自分の作った機体が悪意ある者の手に渡った時に備え、ISとの共存が出来うる可能性がある者―――それこそ、セカンドシフトに至れる器が四獣すべてのマイスターとなった時に、そのリミッターを外し真の性能を発揮出来るよう仕掛けを施していたのだ」
「まさか、そのために束さんは白式と赤雷を・・・?」
「そう、あの小娘はそれを知っていた。ただし、今の豪は知らん。あの老いぼれは何もかもを自分のコピーに覚えさせたわけではない。その理由は察せるな?」
「想定外事象への備え・・・今のお爺様が殺された場合に備え、君達を悪用されないため・・・」
「その通り」
スパナを放り捨てて頷くアマデウス。
「数々の合縁奇縁を経て貴様ら四人は絆で結ばれ、我らとの強い繋がりも得た。ゆえに我らも数々の制約から解かれる事となった。お望みのセカンドシフトもしてやれるというものだ」
「それも制限されていたのか・・・!」
白狼から白虎、赤雷から朱雀という予定調和のセカンドシフトではない。
そこから先へのセカンドシフト、即ち四獣から四霊呼び方を変えれば四神への進化とでも呼ぶべきか。
夏休み中、アマデウスの前で座禅を組んでいた時間の無意味さを噛み締め、流石に苛立つ綾である。
あんな無駄な事をしている間に一夏やセシリア達に先を行かれたようでずっとモヤモヤしていたのだ。
しかし、アマデウスはつまらなさそうに両手を掲げる。
「だが我はセカンドシフトには懐疑的だ」
「どういう事です?」
「どういう事だと?貴様、本気で言っているのか?」
背を丸めて前屈みとなり、アマデウスは綾を睨みつける。
まるで思い当たる節の無い綾は戸惑い回答を見つけられずにいると、長い長い嘆息と共にアマデウスは首を振り、汚物でも見るかのような眼差しを向ける。
「愚者め。愚鈍め。愚の骨頂め。本気で我が貴様のために進化してやればそれで満足か?」
「む・・・」
言い回しのくどさと高圧的な態度にむっとする綾であるが、言われてみれば確かに、それは彼自身の求める進化の形ではない気がする。
ISマイスターであり、整備士であり、科学者でもある綾からすれば、自分で作った機体が自由自在に自分の意志で自由に姿を変えられるのは複雑なものである。
「貴様、何機のISを手掛けた?何人の助けとして奔走した?そこで得たナレッジを我のために活かそうとは思わんのか、どうなのだ」
アマデウスの言葉に深く考え込んだ綾は、ややあってその答えを推測して口を開く。
「つまり、君は僕自身の手で君をアップグレードさせろ、と?」
「何だその我がそう求めているとでも言いたげな様は。貴様自身がそうしたいのではないのかと聞いている」
立ち上がって綾の額を指先でツンツンと勢いよく突くアマデウス。
精神世界の筈なのに妙に痛い。精神世界だからこそだろうか。
「知っているぞ、我がマイスター。貴様には日々思い描いている武装があるだろう。かつては夢幻だった発想も、今の貴様なら現実として形に出来る構想がいくつもある事を。それどころか、我のコアを更に強力に強化すべきプランすら頭の中にある筈だ」
「・・・・・・!!」
心の奥底に眠る想いを言い当てられ、顔を赤くする綾。
さながら隠していた日記を音読されるかのような気分だ。
「豪や束にしかコアの解析が出来ないなどと腑抜けた事をよく言うものだ。貴様とて、これまでの経験や積み重ねた知識を総動員すれば、コアの解析も製作も可能だろうに」
アマデウスの射貫く様な評に思わず目を背ける綾。
自分はまだ若く、そんな器ではないという思いを見抜かれているかのようだ。
「・・・過大評価ですよ。僕はそこまでの高みに行きたいわけじゃない」
「たわけ。行きたくなかろうが行くべきだろう。挑戦すべき時が来ただけの事よ。貴様には戦いの才能は無い。まして試験管ベビーではあるが遺伝子改良されているわけでもなく、エクシードとやらに覚醒したわけでもなかろう。そんな万年落第生たる貴様が恋人や親友や妹の期待に応えるにはどうすればいいか、考えるまでもなかろう」
「言いたい放題言ってくれる・・・」
口元をひくつかせ眉間に皺を寄せ毒づく綾。
しかし、アマデウスの言う事はどこまでも隙の無い正論だ。
綾自身の能力が一夏やセシリアに劣っていたとしても、ISを自らの手で強化し己の手足として最適化させる事が出来るのは、それこそ綾以外には不可能なユニークスキル。
それにしてもアマデウスは人間ではないというのが関係しているのか、こちらがどう感じるかなど度外視した物言いである。
「何の才能も無くとも、ここまでやってこれたではないか。強くなるのに才能などいらん。それを補って余りある努力と知性と情熱が貴様の武器だろう、足踏みしている暇があったら頭を働かせんか、この凡庸め」
「本当に誰に似たんですかね、この疑似人格!」
吐き捨てる様に言う綾。
それがネガティブな態度ではなく、追い詰められてやらざるを得なくなった、やけくそ気味な意味である事をアマデウスは知っている。
「ISの人格はマイスターを元に彩られる。操者の人格パターンをコピーするところから始まり、各々の感じ方で次第に方向性を決めていくのが基本だ。だが、我ら原初の四獣はそれぞれゼロから自分自身を組み上げていった。我はネットワークを介してありとあらゆる人格データを取り入れ、至高の人格を形成したに過ぎん。外見もほれ、我以上に美形な男など他におるまい?」
「ええそうですねちゃんと身なりを着飾ればね」
自慢気に容姿を誇るアマデウスに呆れつつ、足を組んで頬杖を立てる綾。
こんな薄汚れた格好で何を言っているのかと。
「玄武は貴様の母親の記憶や人格を率先して取り入れ、白虎は豪の妻の幼少期を模していた。朱雀は騎士道とやらに夢中となり突き詰めてしまっていたが、今はどうだろうな」
「うおぉ見たい・・・他の皆の様子が見たい・・・」
自分と同じように自らの機体と精神世界にて邂逅しているであろう一夏達の様子を想像して笑ってしまう綾。
特にラウラと箒など見ものである。
「他人のプライベートなど覗き見ても仕方あるまいよ。そろそろ戻るが良い、我がマイスター。もとより我は白虎とは反りが合わん、存分に痛めつけてやるが良い」
「ああ、龍虎だから・・・」
「たわけ、偶然だ。それが終わったら我の改装を始めるが良い、精々楽しみにしているぞ」
「ええ、癪ですがこれで覚悟は決まりました」
ゴーン、ゴーンと天の振り子時計が鳴る。
それに合わせて綾の身体が粒子となって消えていく。
最期に目を合わせ、微笑み合った綾とアマデウスは、共に戦い、この先も手を取り合う相棒へと手を翳す。
「では、これからもよろしく」
「ゆめゆめ励むが良い。我がマイスター、綾」
夢から醒める様に、綾の意識は現実へと呼び戻される。
決着をつけるべき者たちの待つ、あの戦場へ。
========================
発光が収まると、四獣の操者達はISの精神世界より我へと還っていく。
自身のISとの対話を終え、さらなる繋がりと力を得た綾達は顔を見合わせながら言葉にならない想いを共有し合う。
どうやら時間もほとんど経過していなかったらしく、まだ試合開始のアラートも鳴っていない様子である。
「リョウ!ラウラ!大丈夫ですの!?」
「おりむー!ほっぴー!」
心配そうに声をかけてくるセシリアと本音へ手を掲げて無事を示す綾。
また、一夏は自らの手をぐっと握ると、一筋の涙を流して呟いた。
「・・・ありがとう。この力、大事に使うよ」
箒もまた、胸に手を添えて微笑む。
「ああ、分かっている。共に行こう、朱雀」
そして、ラウラは部分解除した手で眼帯を外して両目の涙を勢いよく拭い、ふたたび眼帯を付け直しながら宣言する。
「・・・わたしは、もう弱音を吐かん。冗談でも二度と言わん」
きっと皆、自身のISとの対話を経る事で、力以外に得たものが多くあったのだろう。
薄く微笑んだ綾は、カウントダウンの音を耳にすると力強く頷いて臨戦態勢へと入る。
「楽しみましょうかアマデウス。目の前の敵は紛れも無い最強ですよ」
言われるまでも無いと返事するかのようにトルクを増していくアマデウスに頼り甲斐のある駆動音を感じながら、綾はトルキッシュ・マーチを構える。
「・・・なんだかよく分かりませんけれど、気合だけは伝わってきますわ!」
「うん!ふんどししめてこー!」
戸惑いつつも愛しい男の新鮮な表情に、背筋へと電流を奔らせるセシリア。
触発され両拳を握って鼻息を強める本音。
監督席の山田先生は突然の発光現象におたおたするしていたものの、綾が手で始める様こちらへ促しているのを見た千冬に、試合を始めろと指示され気を取り直した。
『戦闘、開始!!』
すぐに戦いの火蓋が切って落とされる。
即座に正面から突っ込んでいく一夏、背後上空からスナイプするセシリア。
狙いはもちろん綾―――アマデウス。
「狙いが分かり易過ぎて退屈ですよ・・・!」
レーザーを回避しつつ、迎え撃つように白虎へとブーストして向かう綾。
「俺と接近戦をするつもりか・・・!?」
驚きに目を見張りながらも勢いは止めず、雪片弐型改・吹雪を振りかぶり、単一仕様能力である零落白夜を発動させる一夏。
綾の事だ、裏をかく何かを仕込んでいるに違いない。
それを察しているのはセシリアも同じだ。
油断なくビットを展開し、どこから攻められても対応出来るよう気を張りつつ、箒とラウラの動きをも見逃すまいと注視する。
「いくぜ、リョオオオオオオッ!!」
一喝、吼える白虎。
咆哮だけで大気が震え、空気がぴりつく。
吹雪の零落白夜の発生範囲はほとんど槍と同等、中距離での戦闘でも一撃にて敵を屠る事が可能な強烈にして無比な兵器だ。
「避けさせませんわよ・・・!」
セシリアもまた、再填されたレーザーを綾の回避パターンを読んで発射する。
その軌道はギザギザと角度を変え、一夏から逃れようと動けばレーザーに焼かれるよう範囲を狭め、囲っていく。
「レーザーの偏向射撃、だと!?」
セシリアが見せつけた技術の一端に驚きを隠せない箒。
自身もレーザーを放てる刀を装備しているがその発想は無く、加えて非常に高度なテクニックを要するものである事がわかる。
この日のためにどれ程の努力を積んできたのか―――セシリアの気合の程を知り得る業である。
しかし。
「知っているでしょう、僕は捻くれているんですよ・・・!」
突き刺すように突貫してきた白虎の光撃を、まるで受け入れる様に量子と化して消えていくアマデウス。
その場にいる誰もが、一夏はもちろん、セシリアなど顔を真っ青にして驚愕する。
「ばっ・・・!?」
「馬鹿で結構、君の彼氏はそういう男ですよ!」
ワンテンポを置いて、驚きに震えるセシリアの真正面に顕現する綾。
流石にショックが大きかったのか反応が遅れるセシリアであったが、向けられたトルキッシュ・マーチが火を吹く寸前、二人の間に巨大なエアバッグが爆発と紛うような音を放って急速に膨らみ、綾とセシリアを引き離す。
「ちぃっ・・・!もう仕掛けていましたか、本音!」
「あ、あぶっ、あぶなっ!もう終わるところでしたわっ・・・!」
舌を打って眼下にいる本音を見やる綾。
不遜に鼻を鳴らす本音は、猫の様に口元を折り曲げながら楽しげに言う。
「わたしがいるからには好きには動けないよ~、りょーちん!」
反応をロストして振り向く一夏、視線の先には綾と中距離の射程で向き合うセシリア。
そして牽制するように地上からみくじ砲を向ける本音。
「リョウ、あの量子化って使ったらヤバいんじゃ・・・!?」
「そうですわ!わたくしの援護無しでそれを使うなんて・・・!」
心配と批難の混じった問いかけを風の様に流す綾は、特に後遺症のない身体をアピールするかのように宙で一回転して両手を掲げる。
「もう僕のワンオフ・アビリティにその欠点はありませんよ」
「な、なな、なんですってぇ?!」
当然、納得のいかない表情を見せるのはセシリアだ。
彼女がエクシードとして目覚める切っ掛けとなったあの繋がりをスポイルされたと捉えられかねないその言葉は流石にセシリアの琴線に触れる。
「とはいえ、これは偶然の産物だ。本音に阻害されましたが、これで決着をつけるつもりなどありませんでしたよ」
「それはそれで舐めたマネですわね・・・後でお話は伺わせてもらうけれど、とにかく今は頭にきましたわ!」
「それでこそですよ!かかってくるがいい、ハニー!」
「行きますわよダーリン!」
レイニー・ステラがガトリングを放ち、アマデウスがマシンガンで撃ち返す。
この時を楽しみにしていたとばかりに、一組のカップルは互いへと銃口を向けて分かり合うのだ。
綾を後ろへ通してしまった一夏はしかし、その後を追うよりも先に箒の朱雀にターゲットロックされる。
「お前の相手は私だ、一夏っ!」
「先にこっちか、来い箒!」
零落白夜を解除した隙に斬りつけられ、反射的に鍔競り合う白虎と朱雀。
箒の新たな機体・朱雀。
コアナンバー003、紅き翼のインフィニット・ストラトス。
鎧武者然としていた赤雷とは違い、ノースリーブの和服を模した装甲を上のみ羽織り、アクティブクロークアーマーにもなる翼状のスタスターウイングと、バックパック中央から二つ伸びるウイングブースターを装備。
赤雷の頃に装備されていた両肩部カノン砲に代わる遠距離兵器の搭載は無いが、雨月と空裂があれば特に問題にもならないだろう。
振袖のように伸びる腕部装甲内部には薄手で鍔の無い隠し脇差とビームサーベルが仕込まれており、脚部装甲は袴のように縦線の段となっており、アキレス腱あたりから幾重もスラスターが仕込まれているのが見える。
ウイングブースターと両腰部には計四刀が格納されており、うち二本は赤雷の頃から使用していたエネルギー刃を射出可能な
残り二本は、対粒子コーティングが施された大型太刀、
光学兵器を切り裂き、弾く事が出来る武装だが、極論すればこの太刀であればビームサーベルや零落白夜といった実体のない剣が相手でも、鍔競り合う事ができる。
実際に刀身同士がぶつかり合ってせめぎ合うわけではなく、粒子の吸収を行う大蛇の刀身は、貪欲に粒子の供給口からエネルギーを強力に吸い上げる。
ゆえに、自然と武器の持ち手が太刀へと近づいてしまうため、本来なら素通りするはずの粒子刃もろとも大蛇に吸われ、密着する事となるのだ。
たとえその相手が零落白夜であったとしても、例外ではない。
最期の一本の名は
大蛇とは逆に、刀身そのものから零落白夜のようなビームソードを発生させる有効範囲の広い刀。
この装備こそが、朱雀を設計した豪をして『最撃』の二つ名を与えた所以である。
右のウイングブースターから叢雲を掴んだ箒は、勢いよく抜き放つと同時にその単一仕様能力を起動させる―――。
「ゆけ―――
瞬間、朱雀の全身から赤白い影が浮き上がり、そこからワイヤーフレームのような残像が三機、乱れ飛んで白虎を取り囲む。
「なんだ・・・目くらましか!?」
「見切れるか、最撃の乱舞を!」
大蛇をもう片手に持った朱雀が白虎に接近、大振りな一撃を一夏が吹雪にて受け止めるも、周囲の残像はそれぞれ意志を持っているかのように各々の刀を両手に抜いて横から、背後から痛烈に斬りつける。
「ぐ、うああああっ!?」
想像だにしていなかった四方からの連続攻撃に大きくダメージを受けながらも、零落白夜を発動し大きく振り回して残像を払い飛ばし、猛烈な勢いで上空へと距離を取る白虎。
あっという間に霧散する残像、荒く息を吐きながら朱雀の能力を察する一夏、冷静になる隙を与えないとばかりに追撃する箒。
「・・・残像が、それぞれ実体をもって攻撃してくるのかよ・・・!」
小さく呟きながら、両足のブレードを展開させる一夏。
これを相手にするには片手の吹雪だけでは到底足りはしない。
朱雀の
実体化する自身の残像を最大三機まで生み出す事が可能で、出現した残像は少しでも攻撃を受けると消え去るものの、攻撃スペックだけは朱雀そのものの能力を再現する事が出来る。
残像の操作は箒の脳波コントロールにて行う事が出来るが、エクシードではない箒のサポートを朱雀本体のコアが行う事で、さながらビットの様に自在に操作する事が出来る。
もっとも、ビットではなく本体を増やして殴りかかるという能力はビットよりも凶悪にして強力、束が紅椿に組み込むにあたり参考にしたエネルギー増幅機能・
だからこそ、最撃。
攻撃回数と攻撃チャンスの多さがこの二つ名を与えられた所以であり、全ての状況を斬り裂いて押し通る紅蓮の翼なのである。
なお、同様のエネルギー増幅回路は四獣全てに搭載されている。
再度放たれた残像の波状攻撃に、四肢を振り回して応戦しながら冷や汗をかく一夏。
「のほほんさん、援護してくれ!想像以上に箒がヤバい!」
「おっけおっけー!」
一夏の救援要請を受けた本音の九尾ノ神獣が接近しつつ、竹箒型のニードルキャノンを大量に朱雀へと射出。
「そう急くな、本音!」
もちろん残ったラウラがただ見守っているだけにはいかない。
朱雀への攻撃をバリアフィールドにて弾き、勢いのまま九尾ノ神獣へとブーストしていく。
「ららちゃんっ!」
「男と女の戯れに割って入る者は馬に蹴られて死ぬぞ!」
「それって誰の入れ知恵ー!?」
言いながらも本音が指を鳴らすと、朱雀の行く手を遮る様に鉄板の塊が出現。
「く、仕込みの早い・・・!」
間一髪、激突を回避すべく急停止に成功する朱雀。
「安心するには・・・ってね!」
ふふん、と笑う本音が続けてもう一度指を鳴らすと、内側から爆発を起こす鉄板。
爆発の中からは無数に撒き菱のような刃片が四方八方へと飛び散って朱雀の装甲へ小さなかすり傷を刻んでいく。
「二段仕込みか・・・!」
「隙ありだ、箒!」
更に爆発の中からは白虎が超速にて飛び出し、左腕のワイヤークローが射出され朱雀の右腕へと絡みつく。
これで叢雲を振る事は出来ず、残像を生み出す事が出来ない。
「やるな、一夏!」
「取ったぜ箒・・・!」
振りかぶった零落白夜の一撃が朱雀に直撃する、その直前。
ウイングとして使用していたアクティブアーマーが折り畳まれ朱雀の全身を包み込み、その表面に施された特殊加工は一撃必殺たる零落白夜のバリア貫通粒子をも弾く。
「なにっ?!」
「零落白夜一辺倒で勝てると思うなよ!」
朱雀のアクティブクロークアーマーは、もしも白虎が敵に回った時を想定して装備が組まれている。
もともと零落白夜は織斑 千冬が使用していた暮桜および雪片が、第一世代ISながら搭載していた能力だ。
それを見越した豪が対策していても何らおかしくはなく、この朱雀は束がチューニングを施したバージョンなのだ。
もしも一夏が道を踏み違えた時、白虎が敵に奪われた時、止められるのは箒しかいないというメッセージなのではないだろうか。
そのまま肩口から白虎へ体をかました箒は、足のスラスターを一夏の顔面へと向けて火を吹かせる。
「ぐうううっ!」
思わず熱と光に目をきつく閉じる一夏。
その隙にワイヤーを切り裂いて脱する箒。
「くそっ・・・!やってくれるぜ、箒っ!」
「どうだ、少しは見直したか?」
「見直すも何も、最初からすげえと思ってるよ!!」
霞んだ視界が元に戻ると、一夏は即座に両翼よりバーニアを煌めかせて朱雀へと向かう。
決して折れず、怯まず、立ち止まらない。
この力強い羽搏きこそが織斑一夏を織斑一夏たらしめる、ひた向きな輝きなのだ。
「いいぞ、まだまだ私はお前と戦っていたい!」
「そりゃ嬉しいぜ、箒!!」
今度は零落白夜をカットして素のまま突っ込んでくる一夏、迎える箒。
まずは左の蹴りから放たれるブレードを右手の叢雲で受け止め、挟み込むように全身の力を込めた吹雪の一撃を大蛇で捌く・・・瞬間。
ずどん、と強烈な衝撃が箒の左腕にのしかかる。
「なっ・・・!?」
あまりの威力、否、一夏の膂力に歯を食い縛る箒。
空中戦であれば操者の力はあまり攻撃力には影響しないと言えるが、片足を箒が受け止めてしまっているが故に一夏はその力をダイレクトに朱雀へ伝える事が出来る状態だ。
それにしたって、この力は尋常ではない。
圧搾機に放り込まれた哀れな鼠のように、支え切れない力から逃げる様に振り払い、バックブーストする箒、構わず追う一夏。
有り得ない程のパワー、それも、これまでの一夏には決して無かった程の。
これ程の力は存在がISであるボゥイと戦っている時ですら感じられなかった、威圧感。
追いすがる一夏の姿の中に、箒はふともう一人の影を見る。
(千冬・・・さん!?)
そう、一夏の唯一の肉親、敬愛する姉、織斑 千冬。
自らのIS、白虎の疑似人格と精神世界で邂逅した一夏は、その中で彼女と同等の力を得るに至ったのである。
過去一番長い章かもしれない・・・。