インフィニット・ストラトス リビルドワールド   作:しびれあくせる

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みんな、ただいま!!


第九話 宿命と真実と応龍の咆哮
決められた道をただ歩くよりも


夕日が暮れ始めたアリーナの空に、黒い影がいくつも浮遊し一夏達を見下ろしている。

それは鴉ではなく、量産型ISと無人機・ゴーレムの群れ。

量産型ISは戦争の継続を理念とするテロ組織・亡国機業(ファントム・タスク)がハッキングして得たイギリスのISサイレント・ゼフィルスを元に、あらゆるISのデータを組み込んで設計した機体。

呼称される名は【セルリアン・ブルー】。

ブルー・ティアーズやサイレント・ゼフィルスを彷彿とさせるデザインでありながら、色合いはシアンブルー。

使用に適性を要するビット兵器は2基のみ搭載され、ガーデン・カーテンを参考にしたビームシールドを標準装備。

コンパクトサイズとなり連射に特化したレーザーライフル【スターブレイカーMk-II】。

腰部には強力なバズーカランチャーがマウントされ、集団での戦闘に特化された機体となっている。

それが10機。

ゴーレムが20機。

そして、上空より粘着質で巨大な図体をしたアメーバ状のなにかが、グラウンド上へと3体、落下してきた。

IS学園の生徒達のトラウマを抉り出すであろう、その正体は―――。

 

「モルドスライム・・・!」

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが変化したそれより小さいものの、それ以外は同一個体。

大量のナノマシンを放出し、触れた電子機器およびISを無力化してしまう悪夢のような能力を持った怪物。

かつてドイツ軍大佐ニコライ・ゲルトナーがIS学園乗っ取りを目論んだ際に使用されたVTシステム―――ヴィールス・トランス・システムの再現である。

 

敵の襲来に備えるためアリーナの天井上へと登ってきた山田真耶先生と架神マドカは、眼下へと登場したそれを目にして眉間を寄せる。

「あんなものが、三体も・・・!」

「昔は敵味方関係なくISを結晶化させてたけど、制御に成功したのか・・・!」

亡国機業に在籍していた過去を持つマドカの呟きを聞き取ったのか、同様にアリーナの天蓋に立つ炎の一族、スコール・ミューゼルが薄く笑って応えた。

「そうよ。今となってはこれだけでIS学園を墜とす事だって容易いわ」

「スコール・・・」

「久しぶりね、M。見ないうちに随分と腑抜けたみたいじゃない」

せせら笑うような物言いのスコールにしかし、まるで表情を変えないマドカは吹き抜ける風に短くなった髪をなびかせながらその瞳をじっと見据える。

「そういうおまえはどうなんだ、スコール。いつからオータムをほったらかす程薄情になった?」

「・・・大人の事情よ。一族の長たる私には、個人の感情で優先順位を間違える事は許されないの」

昔のように強気な口調となったマドカの言い返した言葉に、途端不機嫌となるスコール。

オータムはスコールの恋人で、今は意識不明のままフランスの警察病院に監禁されている。

それを取り戻したいのを押してここへ来たスコールにとって、オータムの話題は一番触れられたくない話題であった。

 

けれど、もはや関係の無い事だ。

マドカにとって、スコールもオータムも、ましてや亡国機業も仲間ではない。

彼女は自分の意志でここにいるのだから。

 

「目的は暮桜という事で合っていますね?」

山田先生の問いかけに、意外そうな表情をするスコール。

亡国機業、その裏に潜む組織エデンは、IS学園地下にて凍結されている暮桜に搭載されている【鍵】を狙っている。

これを解放されてしまう事は、男性でもISを使用出来るようになり、つまりはこれまで女尊男卑に苦しめられた男達が反旗を翻し、戦争となってしまう可能性だってある。

それは亡国機業としては願ったり叶ったりの話なのである。

「あら、知っていたのね。なら話は早いわ、このまま学園がVTシステムに蹂躙される前に、あのISを引き渡してくれないかしら?」

話題がオータムから逸れて余裕を取り戻したスコールが指を鳴らすと、グラウンド上のモルドスライムはナノマシンの放出を開始する。

大雨だったあの時とは違い、本日は晴天。

学園全域へナノマシンを撒き散らすにはもってこいの状況だ。

 

「まずい、あれだ!のほほんさん、下がってくれ!あのナノマシンは豪さんのコアじゃないと耐えられない!」

「りょ、りょーかいっ!」

活動を停止したリベリオンをかつぎ、有線ビットでセシリアとシャルロットを回収した本音の九尾ノ神獣がモルドスライムから離れるべくピットへと退避する。

量産型ISコアはVTシステムのナノマシンに触れると結晶化してしまうが、鶴守 豪が作成したコアであればそもそもの設計が違うため結晶化される事が無い。

そのため殿として残った一夏の白虎であるが、ここまでリベリオンとの戦闘でかなりダメージを負っており、バリアスキンも残り少ない。

 

だが退かない。逃げない。

それが織斑 一夏という男なのだ。

 

『非戦闘員は生徒会の誘導に従って避難を!来賓の身柄を優先して!』

「皆様、脱出を!地下格納庫ならば安全です、慌てないで!」

鳴り響くアラート音、生徒会長たる刀奈のアナウンス、率先して避難誘導するアルベール・デュノア。

こうなる事を見越していたIS学園側の動きは早く、観客席からは人がみるみるうちに姿を消していく。

そんな様子を眺めていたスコールは意外そうに息を吐いた。

「そう、事前に避難訓練でもしていたのかしら?一人くらい人質を取って手早く済まそうと思っていたのに」

「裏から忍び込んだ連中も対処済みだ。うちの生身の最高戦力が向かってるからな」

「織斑千冬、か。なるほどね・・・」

マドカへゆっくりと視線を向けるスコールはそれでも余裕を崩さない。

仮に潜入部隊が失敗したとしても、VTシステムがある限り優位なのは亡国機業側である事に変わりはないのだ。

「それでどうしようというのかしら?まさか籠城でもするつもり?」

「まさか。(わたし)はおまえたちを倒しに来たのだから」

「そうです!大人しく投稿すれば手荒にはしません!」

「はっ―――何を言うかと思えば」

山田先生の勧告もスコールには届かない、どころか勘違いしているのはお前達だと言わんばかりに口元へと妖艶に指を這わす。

「こちらにVTシステムがあると分かっていながらその態度、何か策でもあるのかしら?」

「いまにわかる。追い詰められてるのはスコール、おまえ達だ」

「なんですって?」

「おまえ達がVTシステムを使ってくることなんて想定内だと言っている」

まるで動じないマドカの自信に溢れた物言いに、スコールは目を細める。

マドカは信じている。確信に近い程に。

自分が最も信頼している義父、架神 忍と同じくらいに。

「あまりかんざしを舐めてもらっては困る」

 

 

一人構える白虎=一夏の元へ、背後から一機のISが接近してくる。

「お待たせ、織斑くん!」

それは純白のヴェールに身を包んだ電子戦特化のインフィニット・ストラトス。

マドカの姉貴分である優等生、更識を終わらせた少女、更識 簪が駆る打鉄弐式のカスタム機、アナスタシア・ブライドである。

「簪!」

緊迫していた一夏の表情に余裕が生じる。

頷いた簪は電子キーボードを素早く叩き、両肩のナノマシンをパラボラアンテナ状に変形させると横腰部に接続してあった箱状のデバイスとケーブル接続する。

「よし―――アンチVTプログラム、イグニッション!」

簪がエンターキーを押下すると同時に、振動と共にモルドスライムへと特殊な電波が向かう。

触れたものを無力化しつつあったモルドスライムのナノマシンは、アナスタシア・ブライドから発せられる電波を受信した途端に勢いを衰えさせ、やがて無力化してパラパラと地面へと落下して塵の山となっていく。

 

「・・・これは」

「想定内だと言ったはずだ。もうIS学園にVTシステムは通用しない」

眉を顰めるスコールへと言い放つマドカ。

もしもまたIS学園にモルドスライムが現れたら―――その時のために。

かつての惨劇を回避すべく、簪は山田先生と協力し、VTシステムを研究して中和剤となるワクチンプログラムを設計・構築していたのだ。

幸いというべきか、サンプルは使用不可となった第一アリーナに大量にあった。

特殊な電波によりVTシステムのナノマシンへと干渉し、機器への影響をゼロにして無効化させる、それが開発されたアンチVTプログラムなのである。

 

舌を打つスコール、それを見てISを展開させようと構えるマドカと山田先生。

「物量戦なら、おまえ達と我々どちらに分があるか。試すか?」

「・・・ふん。上等じゃない」

VTシステムの脅威が無くなったとはいえ、モルドスライムが強敵である事に変わりはない。

同様に構えるスコール、マドカ達へレーザーライフルを構えるセルリアンブルー。

「いきますよ、マドカさん!」

「うん・・・!」

山田先生に対しては素直に頷くマドカ。

それぞれがIS待機状態のブローチを、イヤリングへと手を当てる。

 

「燃え上がりなさい、ゴールデン・ドーン」

呼び声と共にスコールの身に纏われる黄金の機体。

獣の王者たるライオンを模した姿、巨大な尾、両肩より下がる炎の鞭。

灼熱を纏う金の立ち姿は、文字通り王者の風格を有していると言えよう。

 

「始めましょう、ショウ・オブ・マスト・ゴーオン!」

真耶の身に装着されるはラファール・リヴァイヴ・スペシャル。

幕は上げられたという名を与えられたグリーンの機体に、レッドがアクセントとして塗装されている。

武装は両手のサブマシンガン―――綾がアマデウスにトルキッシュ・マーチという武装を装備させる際に参考にしたもの。

四枚のウイング状となったシールドが印象的なISである。

 

そして。

 

「駆け抜けろ、フェイト・ザ・ブラックナイト!!」

マドカの声に応え、両耳のイヤリングが黒く輝く。

かつて千冬が駆った白騎士と似たデザイン、ひさしの飾られたヘルメット。

先端からビームを発射できるランサーを装備。

二対の蛇腹剣がスタビライザーのように肩から垂れ下がり、腰にはビームセイバーが二門。

母体となったのがサイレント・ゼフィルスだとは思えないほどに完全接近戦用の装備の機体となった運命の黒騎士であるが、何より目を引くのは跨っている黒馬型の自立型ユニットであろう。

黒騎士自身より二回りも巨大な体躯をもつ機械仕掛けの駿馬を目にしたスコールは、つい驚きの声を漏らす。

 

「なに、そのIS・・・いえ、そんなものがISだとでも言うの!?」

「オータムのアラクネだって大概だったろう!」

 

スコールの驚愕を一刀にて斬り捨てるマドカ。

ユニコーンのように一本角の生えた黒馬は、それ自体にISコアが搭載されておりブラックナイトとの連携を前提に製作されていて、黒騎士自身のコアと合わせて疑似的なツインドライブ搭載機となっている。

黒馬には前身であるサイレント・ゼフィルスのコアを搭載されており、言うなれば忍と出会う前のマドカの人格が反映されていると言えよう。

文字通り、過去の自分を乗りこなしてみろという束からマドカへの挑戦だったのだ。

 

========================

 

マドカは訓練中、過去の自分とジョーカーというトラウマ、二つと相対する事となった。

従わない黒馬、襲い掛かる恐怖。

今日までの数日間、傷だらけになっては何度も吐いた。

それでも、やめるかという(ちち)の問いには首を横に振り続けた。

その先にあるのが、自分の嫌う戦いである事が分かっていても、尚。

マドカは瞳を充血させながらも立ち上がって、挑み続けた。

負けたくなかったから。

ここで折れてしまったら、昔の誰かを気付付けて嗤っていた自分が正しい事になってしまうと思った。

恐ろしさに屈したら、あの簪の覚悟に泥を塗る気がした。

 

だから、負けない。負けてやるもんか。

 

(わたし)は・・・黒馬(おまえ)を否定しない・・・!」

見下すように、嘲笑うかのように自分を見つめる黒馬へ、真っ向から目を逸らさない。

 

過去があった事は間違いない。

過去を無かった事になど出来やしない。

(わたし)が教えてやる。

過去(おまえ)より、(わたし)が正しいと。

誰かを傷つけて得る快楽よりも、誰かと笑い合う日常の方が尊いと。

 

恐れを振り払い、過去を受け容れ、なお、前へ進め。

 

(わたし)に従え!おまえは、(わたし)だろう―――!!」

 

絶叫に、覚悟に、ついに折れたのは―――馬の方だった。

頭を垂れ、背中をマドカに預ける黒馬に、忍は仮面の下でしずかに微笑んだ。

自分の娘は、自分の想像を超えて成長している・・・こんなにも急速に。

ならば手加減は無礼というもの、

人馬一体となった愛娘に対し、左腕にドリルを展開したジョーカーは、腰を深く落として構えた。

 

「かかってこい」

「うん・・・!」

 

ようやく過去との決着をつけ、武器を構えるマドカ。

ここはまだスタート地点に過ぎない。

自分のため、守りたいもののため、自分自身を示すため。

架神 マドカはジョーカーと激突する。

 

========================

 

「いくぞ、ホムラ!」

マドカに名前を呼ばれた黒馬は、踵で脇腹を叩かれると嘶きウイングブースターを展開、猛スピードで疾走。

四肢には疑似的な重力場を発生させる装置が組み込まれており、実際に地を蹴るかのように空中を走る事が可能であるのだ。

ゆえに、通常のISでは発生させられない馬力というものが発生し、空中での格闘戦攻撃力が段違いに上がる事となる。

ランサーを振りかぶり、すれ違うようにゴールデン・ドーンへ初手をかますマドカ。

「ちっ・・・!」

スコールのゴールデン・ドーンはラウラのシュヴァルツェア・ガーベラと同様、バリアスキンとは別に機体を覆うバリアフィールドを有している。

プロミネンス・コートと呼ばれるそれに、両肩の鞭を回転させる事で破格の防御力を発揮するのであるが、様子見で受け止めた一撃の重さに顔をしかめてしまう。

「馬力で負けている・・・?ツインドライブか!」

しかしそこは腐っても亡国機業の長の一人、瞬時にフェイト・ザ・ブラックナイトのスペックを見切ると炎の鞭より練り上げた火球を5つ、後方へと駆けていくマドカへと放つ。

振り向きもせず気配のみで右へ左へと躱す黒馬・ホムラ。

そのままマドカは宙にいるIS集団へと突貫し、真耶の機体もそれに続いていく。

 

「いきますっ!」

 

真耶のラファール・リヴァイヴ・スペシャル、ショウ・オブ・マスト・ゴーオン―――SOMGと略すが、この機体は彼女が現役時代に使用していたラファールのデータを元に、ラファール・リヴァイヴを改良した専用機である。

切り離して遠隔操作可能なシールドブースター、【シャッタード・スカイ】を装備しているのが特徴で、これを操作し両手のマシンガンの弾をシールドに跳弾させる事で、角度を選ばない縦横無尽な射撃を行える事が強みだ。

 

降り注ぐセルリアン・ブルー軍団からのレーザーを危なげなく掻い潜り、両手で撃ち返しながらシャッタード・スカイを展開。

集団対1の戦いであればこれで独壇場だ。

中央へと突撃していったマドカが蛇腹剣を伸ばし、鞭のように巧みに振るう事でセルリアン・ブルーたちは回避行動に移る。

それこそが真耶の思う壺。

移動した先には真耶の放った銃弾(メタルジャケット)の群れが、前方上方下方より雨霰のように量産型ISへと降り注いで、ヒットした弾はまたも跳弾して他の機体へと襲い掛かる無限地獄。

ここまでの精密性を得るには瞬時に弾道を計算できる頭脳が必要となるが、真耶は独力でかつ地道な努力でこの技術を身に着けてきた。

千冬の様な天性の才能は無くとも、一発一発の弾丸に祈りを込めて学習してきた愚直な心。

それこそが綾が尊敬し心酔した真耶の力なのである。

 

「うおおっ!!」

 

叫びと共に反転し、ホムラの加速に任せてビームセイバーを抜き放ったマドカは動きを止めたセルリアン・ブルーの一機を背後から斬り抜き、次いで45度の位置にいたもう一機を断ち切る。

「あぐっ!」

「ぎゃっ・・・」

か細い悲鳴と共にISを解除させていく亡国機業のIS使い達。

エデンにいいように使われている事も知らず、スコールを信じて従う少女兵たちだ。

マドカはそれを可哀想だとは思わない。

かつて自分も同じ場所にいた。

ただ違うのは、生まれながら戦いを求められた自分とは違い、彼女達はそれぞれの思惑をもって戦争継続を理念とする亡国機業へ参加した者達だ。

考える事を許されなかった自分とは違い、考えた結果このような行動を起こしている。

その違いが、戦争を求めるという思想が、マドカには許せるものではなかった。

死の恐怖を、悲しみを、どうして世界中に蔓延させようとする。

忍や簪から教わって知った戦争という恐ろしいものを、なぜ良しとする。

 

「どうしてだ、スコール・・・!」

 

セルリアン・ブルーを真耶へ任せ、スコールへ再度の突撃を敢行するマドカ。

迎え撃つべく、今度は火球から大剣を精製して構えるスコール。

長槍と大剣、二つの鉄の塊が激突し、競り合いながらマドカは問いかける。

 

「どうして戦争の継続なんて願える!なぜ(わたし)をそんなものに加担させた!」

「それが人間の進化の道だからよ!」

「いのちを蔑ろにしての進化など!」

「歴史が証明しているわ!戦争があったからこそ今の豊かな暮らしがある、それを知らずよくも知った口を!」

「過去は過去だ!今はもう戦争なんてあやまちなんだって分からないか!」

あの男(架神忍)にそう吹き込まれたの?それこそ間違いよ、M!」

(わたし)はマドカだ!Mと呼ぶなーっ!!」

 

激昂と共に押し切ろうと力を込めるマドカ。

剣を引く事でいなして一歩退き、勢い余って直進するホムラをかわすスコール。

すかさずマドカはホムラから飛び降りてランサーを片手で構え、ビームを射出。

炎鞭・プロミネンスで弾き、お返しとばかりに火球を放つスコール。

容易に弾く事も受ける事も出来ない程の熱量のそれを臆することなくマドカはたくみに身を捻じりながら避けつつ前進、ひさしを上げて顔を露出させ、蛇腹剣【フェンリル・ブロウ】を両手にゴールデン・ドーンと鍔競り合う。

 

「ふっ・・・やはり戦いの申し子ね、M。あなたのその身体能力こそが戦争の中で産まれた新人類の可能性だとわかるのよ!」

(わたし)は人間だ!ただの人間でたくさんだ!」

 

分かり合う事のできないスコールとの溝に歯軋りするマドカ。

対してスコールはまだ余裕を見せながら笑う。

 

「海を駆ける技術も、空を飛ぶ技術も、戦争と共に進化し発展してきたのよ!戦争が無くなってからというもの世界はどうなったかわかる?成長は遅延し、必要のない人類は70億にまで膨れ上がってしまった!もはや間引きが必要な時期なのよ!」

「何の権利があって!人間はもっと賢い、急ぐ必要なんてない!」

「地球の資源が食い潰されてからでは遅いでしょう!」

「成し遂げたいだけの欲望に!人類を付き合わすなーーーっ!!!」

 

剣と剣の激突、激突、もはや乱舞。

 

遺伝子改良されて誕生したマドカもさることながら、スコールも劣らずどころか押し返す程の勢いを見せてフェイト・ザ・ブラックナイトを技術で上回る。

同じ組織に在籍していながら、むしろ当然というべきかマドカはスコールと戦った経験は無い。

ゆえにここまで自分の反応速度についてこれるとは思ってもいなかったが、こうして少しの手合わせをしている中で気付く。

精神面ではまるで違う、だから肉体面での既視感。

それは人為的な肉体改造を施された、忍と同等のものではないだろうか。

「ホムラ!!」

要請に応じ、ホムラは口部よりビームを放ちながらゴールデン・ドーンへ突進。

寸前でビームを防ぎ、突進を片手で止めるスコール。

スタジアムの天蓋を削りながらホムラの勢いを止めた彼女は、口の端を吊り上げながら力任せに黒馬を放り投げた。

「こんな程度で私を止められると思ったら大間違いよ、M」

身を捻って体勢を立て直したホムラがマドカの元へ戻るのを悠々と見送り、スコールは言う。

今度はマドカが忌々しげにスコールをねめつけ、その肉体の秘密へと迫る。

 

「スコール・・・おまえは、改造人間か」

「そうよ。あなたの道を誤らせたあの架神忍・・・わたしはそのプロトタイプとして改造された第一被検体」

 

腕関節を有り得ない方向へひん曲げながらその存在をアピールするスコールは、表情をまるで変える事の無いマドカに嘆息しつつ、

「もう少し驚いてもらえないと張り合いがないわね」

そう言って、大剣を構え直す。

「私は一度死んでいる。けれどこうして疑似的に永遠の命を得る事に成功したわ。この力で、時間で、私は世界を調律してみせる。私の生きているこの時間こそが戦争よ!」

「違う!命も、時間も平等だ!(わたし)も、おまえも同じ生命(いのち)だ!」

「戦うために産まれた子がよく言う!」

「どう生きるかは自由の筈だ!」

互いに主張は譲らず、鞭から業火の火炎放射を行うゴールデン・ドーン、再度ホムラに跨り回避するフェイト・ザ・ブラックナイト。

 

彼女達が激闘を繰り広げている間にもゴーレムはスタジアム外へと着陸し、IS学園の設備を次々と破壊し、モルドスライムはそれぞれがうぞうぞと蠢き外壁を這っていく。

 

「これ以上、好きにやらせるかよ!!」

 

救援を待たず、白き虎を纏った傷だらけの一夏が地を蹴り、空を駆ける。

一秒でも早く、大切なものを守り抜くために、いつだって彼は剣を抜くのだ。

 




↑←↑

唐突に展開される富野節よ。

馬の名前はサイクロンとどっちにするかで悩みました。
ネーミングセンスが欲しい。。。
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