インフィニット・ストラトス リビルドワールド   作:しびれあくせる

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戦士よ、仲間よ起ち上がれ

スタジアム内で戦闘が開始された事は格納庫にいる綾も把握していた。

既にアマデウスの強化案は豪のチェックを終え、後は出力を待つのみ。

想定ではあと二時間はかかるはずだ。

 

「間に合うか・・・」

 

ひとりごちる綾。

いつでも出撃が可能となるようにISスーツを身に纏ってはいるが、果たして。

「いや、間に合わんな」

その隣で余裕と共に腕を組んで立つラウラの言葉は決してネガティブなものではない。

「アマデウスの改造が終わる前に、わたしが片付けてしまうからだ」

「それはそれは頼りになる。デザートくらいは残して欲しいものですが」

「馬鹿を言え、デザートが主菜だ」

「じゃあスープだけでいいです」

冗談めかして笑い合う綾とラウラの兄妹はこつりと拳を当て合い、ISエネルギータンクに繋がれたレイニー・ステラ、フェニックス・リヴァイヴ、道老龍・・・そして、目を覚まさないリベリオン―――ボゥイ・シューマッハへと視線を向ける。

 

慌ただしく量産型ISや先輩達の専用機が出撃準備を進める中、セシリアは額に冷えピタを貼ってソファで寝転んでおり、鈴は疲労困憊といった風にその隣に腰かけて汗を拭っている。

 

そして、シャルロットは。

「ボゥイ・・・」

自分とて疲れているだろうに、心配そうにリベリオンの傍でボゥイの目覚めを待っている。

 

「健気だな、シャルロットは」

「シャロがいる限りシューマッハは大丈夫でしょう。そろそろいけますか、ラウラ、箒」

「うむ、あまりのたのたしていると一夏が危ない」

準備を完了していた箒がラウラの横で頷く。

「わたしもまだまだがんばっちゃうよ~!」

ナノマシンの補充を終えた本音がふんすと気合を入れる。

彼女とてかなりの集中力を消費したであろうに、一夏同様気力は尽きていない様子だ。

「アタシ達も行くよ、ミーア!」

「まかせてダーシャ!」

簪軍団、ミーア・デイヴィスとダーシャ・ラメッシュ・カーンも続く。

彼女達もまた、本日一試合こなしているが目の輝きは衰えていない。

 

そしてその他のIS専用機持ち達。

需要と供給を考えると紹介する必要は無いと思うが念のため。

 

立ち技ならムエタイが世界最強だッ!母直伝の蹴りを見せてやるッ!

タイ代表候補生、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー!!

専用ISは「ドゥルガー・シン」ッ!!

 

作った彼女の数など覚えちゃいないッ!世界最強のレズはこの俺だッ!

オランダ代表候補生、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ!!

専用ISは「オーランディ・ブルーム」ッ!!

 

ISを駆るのが一人だけだと誰が決めたッ!常識を覆す二人で一人のISマイスターッ!

カナダ代表候補生、双子の姉妹ファニール・コメットとオニール・コメット!!

専用ISは「グローバル・メテオダウン」ッ!!

 

燃えるハートでクールに戦うミステリアスメガネッ!3年の意地を見せてやるッ!

ギリシャ代表候補生、ベルベット・ヘル!!

専用ISは「ヘル・アンド・ヘヴン」ッ!!

 

IS適正Sは伊達じゃないッ!ゴーストフレンドと共に命、燃やすぜッ!

ロシア予備代表候補生、クーリェ・ルククシェフカ!!

専用ISは「スヴェントヴィト」ッ!!

 

目覚めろ野生のパワーッ!ダイヤモンドは砕けやしないッ!

ブラジル代表候補生、グリフィン・レッドラム!!

専用ISは「テンカラット・ダイヤモンド」ッ!!

 

エロい格好なら誰にも負けやしないッ!やる気と実力は正反対ッ!

アメリカ代表候補生、ダリル・ケイシー!!

専用ISは「ヘル・ハウンド」ッ!!

 

カワイイイイイイッ!説明不要ッ!!

もう一人のギリシャ代表候補生、フォルテ・サファイア!!

専用ISは「コールド・ブラッド」ッ!!

 

そしてそして、どこへ行っていたんだ生徒会長ッ!

我々は君を待っていたッ!!

ロシア代表・更識 刀奈の登場だーーーーーッッ!!!

 

あとその他。以上。

 

「「「「「「「「「悪意しかないッッ!!!」」」」」」」」」

 

あまりにも雑な紹介の仕方に憤った刀奈以外のアーキタイプでブレイカーな女子達からのクレームが届くも、まぁ、でもこんだけ個性豊かな専用機持ちラインナップがあるんだよって感じで。

本編での活躍はないので覚えなくともよい。「ひっど!?」

 

また、専用機持ちでなくとも先生や成績上位者8名は最新鋭機であるコスモスを、戦闘意欲のある者は打鉄やラファール・リヴァイヴ占めて50機。

訓練生ながらもゴーレムを相手にするには十分な戦力だ。

 

「ていうかっ!アタシは紹介すら無いってのはどういう事よ、鈴!!」

 

と、専用機持ちの中から甲高い声が上がると、疲れた表情をみせていた鈴がさらに疲れたかのように長々と溜息を吐いた。

そして声の主へじろりと視線を向け、サイドテールにした少女へとひらひらと手を振る。

 

「ちゃんと特別枠用意されてて良かったじゃない、乱。どうあがいてもサブキャラだけど」

「むっがーっ!自分だけ専用機強化されたからって調子のってーっ!!」

 

肩をいからせて鈴へとつっかかっていく少女。

少し鈴を幼くしたような容姿にお揃いのISスーツカラー。

 

彼女の名は凰 乱音(ふぁん らんいん)、鈴の年下の従妹である。

 

台湾代表候補生であり、もともと1年Aクラス所属であったのだが二学期より母国より専用機が送られてきた事により専用機持ちとなったという経緯がある。

その専用機とは、鈴の甲龍および道老龍のデータを元に、デュノア社から技術提供を受けて開発されたISのプロトタイプ「甲龍・紫煙」。

それを隣国であり属国と化したIS台湾にて運用テストを行う運びとなったのである。

 

「自分アピールより今はIS学園の危機なんだからちゃんとしなさいよ。あたしも道老龍が使える様になったらすぐ行くから、それまで保たせなさいよね」

「う・・・な、なによ、真面目ぶっちゃって・・・」

普段なら乱の不満にも乗っかってやる鈴であるが、セシリアとの激戦を経ていまだ戦場に残心しているためどこか素っ気ない。

 

負けた事は悔しい。

結局一夏と一度も手合わせできなかった事も。

けれど、それ以上に得たものも多く。

 

「セシリア・・・オルコット。刻んだわ、その名前」

 

ISのスペック上では負ける要素などないと考えていたレイニー・ステラにしてやられたという経験が、鈴の集中力をさらに増していた。

箒との決闘を経て、いつの間にか無くしていた『格上への挑戦心』。

満足しきっていた心へ注がれた、ハングリー精神という熱湯。

セシリアは言った、自分に勝ちたいと。そのために武装も揃えたと。

確かに成長を続けてきた自分にまだ足りないもの、それは勝利への飢え。

この、戦いに身を置く者として当然の心構えを、思い出させてくれた。

 

「次は勝つ。その次も勝つ。勝ち続ける。いずれ織斑 千冬の首だって噛み千切ってやる」

「・・・いくらでも付き合いますわ。強いライバルは大歓迎ですの」

「ん」

 

その呟きを聞いていたセシリアは仰向けに寝転がりながら片手を揚げると、ノールックで手を握る鈴。

ここにまたひとつ、互いを高め合う仇敵という関係が誕生したのである。

 

「・・・・・・」

そんな従妹の姿に、どこか遠くに行かれてしまったみたいで寂しさを感じる乱。

切なげな表情の乱の肩に手を置いた箒は目を合わせて静かに頷いた。

「箒・・・」

「お前にもいずれ分かる時がくる」

それだけ言い残すと箒は、ラウラを伴って格納庫からピットへ向かっていく。

「出るぞ!綾、指揮は頼む!」

「ええ、僕はここでモニタしてますから。もし手が足りなくなったら量産機で出ますよ」

頷く綾。微笑む箒。

「そうさせんようにするのがわたしたちの仕事だな。いくぞガーベラ(おかあさん)!」

『ええ、ラウラ!』

互いに思いやり、気持ちを共にするラウラと玄武―――シュヴァルツェア・ガーベラ。

「我々も遅れを取るわけにはいかんぞ、朱雀!」

『承知しております、我が主!』

負けじと声を張る箒、そして朱雀。

 

「IS学園の進退、この一戦にありよ!皆、準備はいいわね!」

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」

 

刀奈の掛け声に全員が応じる。

 

「咲き誇れ、シュヴァルツェア・ガーベラ!」

「舞い上がれ、朱雀!」

「立ち上がれ、スカーレイディ・R!」

 

ラウラ、箒、刀奈を筆頭にピットに辿り着いたIS学園女子達は各々のISを起動していく。

全員の準備が完了すると刀奈は蒼流旋を突き出すように携え、号令をかけた。

 

「準備できた者から出撃っ!!各員、健闘を祈る!!」

「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」」」」」

 

========================

 

モルドスライムが全身から触手を伸ばし、一夏の全身を捉えようと無尽に動き回る。

「どけぇっ!!」

四肢を振り回して触手を捌きつつ、一夏はモルドスライムのうち一体を睨む。

確かにビームを反射し斬った傍から再生を行うという凶悪な性能をもつ敵であるが、一夏はそれよりもこんなものを平然と使ってくる亡国機業のやり方に憤りを感じていた。

貴重なISコアを暴走状態にするだけでなく、人間一人を餌に吸収し、その命の行方すら厭わないVTシステムの機構は、誰かを守りたい、命を大切にしたい彼にとって許しがたい兵器なのだ。

「白虎!こいつらの中にいる人の反応は分かるか!?」

『だめよ、だめよ!白虎(わたし)はセンサー類が弱いの!大まかなコアの反応しか分からないわ!』

「大丈夫、私が探してる!」

どうにか中の人間を救いたい一夏の願いを先読みして簪が叫ぶ。

モルドスライムは浅黒い色合いで人間やコアの位置を視認しづらく、またセンサーを用いても正確な場所の検知が難しい。

だが電子戦・索敵において他を寄せ付けない性能をもつ簪のアナスタシア・ブライドであれば、ほんのわずかな熱・光や心臓の鼓動すら見逃さない。

高速で電子キーボードをタイピングする簪。

そこへ真耶からターゲット変更してきた量産型IS、セルリアン・ブルーが三機、ゴーレムが6機アナスタシア・ブライドへレーザーライフルを照射してくる。

「くっ・・・!」

回避行動に移ろうとする簪、しかしそこへ。

 

「簪ちゃんに手出しはさせないわっ!」

 

ABCマントを盾に簪の前に立つ刀奈、弾かれたレーザーは威力を殺され霧散していく。

「姉さん!」

「ふふ、はじめてお姉ちゃんらしい事できたかな!」

微笑みながら振り返りつつ、刀奈は簪と視線を交わして後続する専用機持ち達へ指示を飛ばす。

「戦闘指揮は私が取るわ!簪ちゃんは索敵とモルドスライム攻略に専念して!」

「ありがとう、姉さん・・・!」

「皆は簪ちゃんの護衛をしつつ敵ISとゴーレムの迎撃を!この場では簪ちゃんのアナスタシア・ブライドが生命線よ、絶対に守って!本音は簪ちゃんの護衛にぴったりついて!モルドスライムの相手は一夏くん、箒さん、ラウラさんでお願い!」

「「「了解!!」」」

指示に従って各々モルドスライムへ飛翔していく四獣の三機。

「これで敵がすべてと思わないで!増援がまだ来るものと思って立ち回るのよ!」

「敵機接近を検知したら私がすぐ伝えます!各員、健闘を!」

更識姉妹の言葉に行動で答える専用機たち。

その中で、刀奈とチームを組んでいたダリルとフォルテは簪の周囲へと立ち、

「だるいからアタシたちはこっちで護衛に専念するから」

などと言うものの、刀奈は。

 

「いいえ、貴女達は前線に出て!敵の大将をマドカさんと一緒に叩くのよ!」

「「!?」」

 

この指示には想定外といった表情を浮かべるダリルとフォルテ。

ただ『仕事をしろ』と発破をかけるのではなく、あえて最も難易度の高い任務を与えようという。

たじろぐダリル、何かを耳打ちするフォルテ。

どこか様子のおかしい二人へと、わざとらしく怪訝そうな表情をみせてやる刀奈は、まるで追い詰めるかのように問う。

 

「どうしたの、やる気が出ない?それとも・・・出来ないのかしら?」

 

「!!ダリルっ!」

「くっ―――」

「ダーシャ、ミーア!!」

「りょ!」「おっけ!!」

動きを止めたと思えばアナスタシア・ブライドへ刃を向けようとしたダリルとフォルテに、簪の合図を受けたチャンドラハースとユルルングルが勢いよく激突。

そのまま簪から距離を引き離されていくエースたち。

眉間に皺を深く刻んだダリルは、普段の態度を消し飛ばしながら忌々しげに刀奈へと叫んだ。

 

「アタシ達の正体に気付いていたのか―――いつからっ!」

「だいぶ前よ。貴女に最新型のICチップを渡した事をお忘れ?」

「・・・っ、盗聴されていたのか!!」

 

それは学園祭、ダブルガターザンなどというふざけた企画の際に楯無だった刀奈と組んだダリルは、報酬としてまだ市場に出回っていないIS用の最新型チップを受領していたのだ。

たとえそれを装着していなくともそれは発信機と盗聴器の役割を果たすよう改造されており、ダリルの行動を逐一観察出来るように仕組んでいたのである。

そこまでした刀奈の狙いはただ一つ。

 

「腐っても更識なのよ、ダリル・ケイシー!いくら戸籍を偽造しようとも私には誤魔化せない!貴方の本名はレイン・ミューゼル!亡国機業の一員だという事はお見通し!」

 

戸籍がダミーだと見抜いた刀奈は彼女を観察するためにタッグを組み、同様にチーム戦に誘ったのだ。

その結果としてIS学園の状況や戦力を逐一どこかへ通信しているダリルの姿を確認出来ており、ここ一番のタイミングで寝返ると踏んだ刀奈は裏で他の専用機持ちへ話を通し、この戦場の要である簪を狙うだろうと勘付いて指示を飛ばしていたのである。

ダリルを調査する中でフォルテもまた協力者である事を知った刀奈は、例え楯無の名を失おうとも本来このように隙の無い動きが出来る女なのだ。

 

「くそっ・・・なんて失態だ!」

「どうするの、ダリル・・・!」

歯噛みするダリル。もはやレインと呼ぶべきか。

正体を見抜かれた上に実力行使すら防がれたダリルとフォルテは、更に一度敗北を喫したミーアとダーシャに分断されている。

この分ではレインが亡国機業へ送ったデータの大半はダミーであったのだろう、潜入作戦は大失敗という形だ。

こうなった以上、何としても簪を倒してVTシステムのナノマシンを有効化する以外に汚名返上の術はない。

「このまま大人しく帰りなセンパイ!でなきゃアタシがまた相手するし!」

「今度は降参しても手を止めないから・・・!」

させじとダリルを抑えつけるダーシャ、フォルテを蹴り飛ばしてライフルを乱射するミーア。

IS学園側有利となった戦線は次第に押し切る様に戦場に火花を散らしゆく。

 

 

「しくじったわね、レイン・・・」

嘆息しつつぼやくスコールは同じ苗字が示すように同じ家系――炎のミューゼル、レインの叔母に当たる。

IS学園へレインを差し向けたのも上司たるスコールであり、この程度の作戦は成功して然るべきと考えていたのだが。

「考えが甘かったな、スコール。IS学園を舐め過ぎだ!」

「むしろ安心しているわ、獅子身中の虫に気付けないような馬鹿が相手では、あの女がやる気を出さないもの!」

「!!地の草薙・・・!」

接戦を続けるマドカとスコール。

しかしその口から亡国機業・地の一族の長である草薙 葵を示唆されるとその可憐な顔立ちにも緊張が奔る。

それが嘘か本当かは定かではないが、その名前だけでマドカを戦慄させる草薙 葵という女の危険度の程が分かるというもの。

ぎちり、と競り合った剣を押し込みながらマドカは、気合の吐息と共に改めてスコールをねめつけた。

「ならば一層の事、おまえを手早く倒さなければならないな!」

「安心なさい、どうせあの女の目的は織斑 千冬のみよ。本当はもっと手伝ってもらいたいのだけれど!」

「ねえさまに手出しなどさせるか!」

苛烈にぶつかり合うマドカとスコール、黒と金、フェイト・ザ・ブラックナイトとゴールデン・ドーン。

量産型IS五機を相手を相手取る真耶。

そしてグラウンド上で、学園中で戦闘を繰り広げる生徒達。

 

また、忍と千冬は――――。

 

 

========================

 

 

サブマシンガンで武装した生身の兵隊が次々と積み重なる。

既に裏から潜入していた斥候部隊が、迎え撃った忍と千冬に返り討ちに遭い、昏倒したのを縛り上げられて一か所に集められているのだ。

「撃ち漏らしはないな?」

「誰に物言ってやがる」

遺伝子改良によって産まれた存在の中でも最高傑作たる千冬と、その身を戦闘用に改造された忍が相手では、いくら訓練された兵士であろうとも太刀打ちなど出来はしまい。

 

ふたりがところどころ雑木の植えられた校舎の裏庭にて片づけを行っていると、何の気配もなく一人の喪服を着た三十路そこそこと思われる女性が鞘に収まった―――まるで物干し竿のように長い刀を手に歩み寄ってきた。

このような女はIS学園には存在しない。

つまりは。

「亡国機業の手先か」

「ふん・・・まだいやがったのか」

手首を振って構える千冬。こきりと首を鳴らす忍。

そんな二人を順繰りに眺めた女性は、ややあってふっと溜息をつくと、まるで巫女が御幣を掲げるかのように両手で刀を掲げると。

 

「油断、慢心。その程度で死ぬのなら見込み違いも甚だしい」

 

彼女が刀の柄へ手をやった瞬間。

 

ぞわり、と。

 

猛烈な悪寒を感じると共に、半ば本能に任せて反射的に伏せる忍と千冬。

刹那、それまで首のあった位置を目に見えない程の速度で斬撃が奔り、うしろにあった雑木がぐらりと崩れて忍たちへと倒れ込んでくる―――。

「ちっ・・・!」

「まずい!」

忍と千冬はお互いの足の裏を蹴り合ってバラバラに飛びずさると、箒すら上回りかねない神速の居合いをみせた彼女へ、緊張感と共に視線を向けた。

「・・・何者だ、貴様」

無手でやってきた事を後悔しつつ、千冬は下ろした腰から立ち上がりながら女へ問う。

 

「我が名、草薙 葵。亡国機業に属し地の一族が長。織斑 千冬、いざ尋常に勝負致せ」

 

初めて聞く名に眉を寄せる忍。

「・・・いつの間に地の一族は代替わりしたんだか。おい、ご指名だぜ織斑」

「やれやれ・・・こんな生身でISと戦えそうな相手を私に押し付けるのか?」

「てめえが言うな、てめえが」

どちらにしてもブーメランが返ってくる話である。

軽口を叩き合う余裕をみせるものの、隙を見せれば首と胴体が永遠に離別しかねない相手である。

しばし様子をみつつも、状況を鑑みて千冬は忍へ提案する。

「仕方ない、こいつは私が相手をしよう。ただし、流石に素手は厳しい。格納庫からISの剣でも持ってきてくれ、振り回せるなら何でもいい」

「ふん・・・気に入らねえが聞いてやるよ。こっちもマドカが気になるんでな」

「頼んだ」

「―――ドゥ・フォーメイション!ジョーカー!!」

忍はすばやくISジョーカーを身に纏うと、それでも隙を見せず空中へと飛び去って行く。

あのスピードと切れ味で居合いを抜かれれば、さしものISとてバリアスキンを発動する前に切り裂かれてしまう可能性がある。

だが、結果論としてはその心配は杞憂であった。

葵の薄く閉じられた瞳には千冬しか映っていないからだ。

 

「さて、噂に聞く世界最強(ブリュンヒルデ)・・・味合わせてもらおうか」

「なんなら今すぐそんな称号は返上したいくらいだよ、今の私はISも使えないからな」

「純粋な戦いの場にインフィニット・ストラトスなど無粋」

「・・・変わった奴だ」

 

葵の剣が閃き、見切った千冬が回避する。

一歩間違えば即死につながるデスゲームの幕があがった。

 

 




たたーかーう!せなーかーに!ゆばえをあつめながらー!

アーキタイプ・ブレイカーのキャラはフレーバー的に出しただけで活躍の場はありません。乱含め。

そしてISの小説書いてるのに生身の決戦が始まろうとしている・・・なんなんだ・・・。
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